ナッツ類が好きで色々と購入するが、どうやら性の悪いアーモンドに当たってしまったようである…。
何度も買っているパッケージのものなのでこのロットだけだとは思うが、とにかく硬いものが混ざっている。無理に食べることも出来なくはないが、ちょっと食べにくいかもしれない…。
そこで今回、“せっかくの機会”なのですり潰してアーモンドバターを作ってみることにした。
以前から素焼きアーモンドといえばそのまま食べることがほとんどで、時々加工するにしても、オーブンで軽くローストしてから包丁で細かく砕いてアーモンドダイスを作り、それを時々サラダやパスタにのせたり、クッキーやパウンドケーキに混ぜるかトッピングするかして焼くことがある程度。
こんなイレギュラーなことでも無ければ、すり潰してアーモンドバター(ペースト)にしようなんて思わなかったかもしれないので、ある意味良かったかもしれない。
[目次]
■まずは汎用性のあるアーモンドバター(ペースト)を作る。
■3パターンの「甘くてクリーミーなスプレッド」も作ってみた。
■料理にも使う。(ペストトラパネーゼのパスタ)
■まずは汎用性のあるアーモンドバター(ペースト)を作る。
料理などにも使いたいので甘味料やオイルなどは混ぜずに、100%アーモンドの汎用性のあるアーモンドバター(ペースト)をまず最初に作ってみる。
今回は香ばしさが少しでも残るようにと、ミキサーなどの高速回転系の調理家電は使わずに「すりこぎ棒」で叩いてから「すり鉢」で擂ります。まあミキサーをあまり酷使したくないというのもありますが…。
◇
素焼きアーモンド(食塩・植物油 無添加)
用意した道具は「厚手のポリ袋」と「すり鉢とすりこぎ棒のセット」。
今回は両方を使用しますが、場合によっては「厚手のポリ袋と叩く道具」もしくは「すり鉢とすりこぎ棒のセット」のいずれかだけでもOK。
なお前者の厚手のポリ袋と一緒に使う「叩く道具」とは「木槌」や「すりこぎ棒」などのこと…。
■作り方
1.アーモンドをロースト。
オーブンまたはフライパンでローストします。
今回は生アーモンドではなくロースト済の素焼きタイプを使うのでこの工程は必要ないかもしれないけど、追加でさらにローストしておけば香ばしさは必ずアップする。
ただ、あまり長くはローストせず、アーモンドが熱々になり香ばしい香りが漂ってくる程度までにしておいた。
2.ポリ袋に入れて叩く。
まずはポリ袋が熱でフニャフニャにならないようにアーモンドは冷ましておきます。
アーモンドが冷めたらポリ袋に入れ、すりこぎ棒や木槌などで叩きはじめます。
ちなみに、ある程度細かくしておいた方が次の工程(すり鉢で擂る)が楽なので、ここではとりあえず叩いて細かくしておくことにしましたが、この工程を飛ばして、いきなりすり鉢で潰し始めてもいい…。
とにかくひたすら叩きます。
なお、ここでは袋の上に布巾をかけてポリ袋へのダメージを軽くして叩いています。
結構細かくしました…。
細かいパウダー状になったものと粗い粒々が混ざっている状態です。
なお、今回は油分を加えずにペースト状にしたいので、さらに次の工程(すり鉢で擂る)にて油分が滲み出るほどまですり潰しますが、
粒々とした食感が欲しい場合は、この時点で全行程を終了し、ネットリとさせるために他の油分を加えてペーストを完成させてしまっても全然いい…。
大きい粒々が混ざっていると、カリッとした食感と噛んだ時の香ばしさがあって楽しいかも…。
ただし、細かくパウダー状になった部分がそれなりの割合に達している場合ですが…。まずは叩いた回数次第かな…。
3.ペースト状になるまで擂る(する)。
とにかくすり鉢とすりこぎ棒を使ってペースト状になるまで擂ります。
トロッとしたペースト状になってオイル分が滲み出てきたら終了。
なお、さらに細かくしてもいいし、そこそこ前で終了してもいい。
市販のアーモンドバターにしても、すごく滑らかなものから粒々感のあるものまで色々とあるのでここは好み…。
4.容器に詰めて保存。
キレイに洗浄・除菌した密封容器に詰めて保存しておきます。
このアーモンドバターには甘味料を入れていないので、トーストなどに塗って頂くときに甘味が欲しいという場合は、メープルシロップやハチミツなどを上からかけるといいかも…。
ほかには、グラニュー糖をパラパラと上から振りかけると、ジャリジャリ感があってそれはそれで楽しいかもしれない。
ちなみにですが、甘味料が入っていなくてもある程度の甘味はあります。
なので、甘すぎが好きではないという場合は無理に甘味料を加えなくてもいいような気もする…。
むしろ、そちらのほうが好きだという方も必ずいるとおもう…。
このあと色々なものに使いたいので、ここではあえて甘味料も油分も加えませんでしたが、このままでも十分にパンスプレッド(塗り物)として満足出来るくらいではあります。
パンスプレッド以外には、ドレッシングにしたり、和え物の調味料として使ったり、パスタのソースにしたりと料理にも大活躍。甘味料を入れていないので色々と幅が広がります。
なお、このページの下部にはパスタソースにするレシピも記載してあります。
■料理にも使う。(ペストトラパネーゼのパスタ)
■3パターンの「甘くてクリーミーなスプレッド」も作ってみた。
アーモンド感満載の素朴なタイプが好きという場合や、料理の調味料としても使いたいという場合は、上記のように何も入れないでおくというのがベター。ただそのままパンスプレッド(塗り物)とした場合、口の中で多少もっさりとする感じはある。もっとバター感というかクリーム感というか、口の中でトロッとなるようにしたい場合は油分を追加するといい。
アーモンドバターはネットリとしていて口の中で溶けほどけるのが比較的遅く、それがもっさりと感じます。
よく見かけるレシピには、ココナツオイル・バター・無味に近い植物油などの油分を入れるものも多いし、興味もあったのでそれぞれどのようになるのかその3パターンも試してみました。
【バター】… 25g
【ココナッツオイル】… 25g
【菜種油(無味の油)】… 6g
※今回は味の無い油として菜種油を使いましたが、無味の油であればその他のものでもいい…。
さらに上記の3パターンには、味の仕上げとして、それぞれに「甘味料」と「塩」も加えました。
ちなみに、甘味料にはグラニュー糖を使おうかとも思ったけど、メープルシロップのストックがあったので今回はこれを加えます。
【塩】… 少々
なお、甘さは好みなので入れても入れなくても…。
とは言え、甘いのが好きな場合は入れたほうがいいかもしれない。
さらに、塩を入れたら味が締まるし甘味も引き立ちます。
混ぜ合わせたら完成。
●上記の割合で【ココナッツオイル】を入れた場合だと、冷蔵庫で保存するとカチカチになってスプーンが刺さりにくくなりますが、少しずつ削るようにするとすくえるようになります。
●【バター】を入れた場合も冷やすと硬めになりますが、ココナッツオイルほどではなくスプーンで十分にすくえるくらいです。
●【菜種油】を入れた場合は冷やしても硬くはならない。むしろ入れ過ぎるとドロドロになるので、今回は上記のようにココナッツオイルやバターの場合よりも加える割合は少なめにしてあります。
この菜種油は軟らかさの調整としても使えるので、ココナッツオイルを混ぜたペーストが硬すぎるという場合は、ココナッツの香りが多少落ちるかもしれませんがココナッツオイルの割合を減らしてその分菜種油を入れるのもいいかもしれない。
味比べ。
パンスプレッドとして、小さくカットしたトーストに塗って味を比べてみた…。
●結果的には3パターンすべて美味しかったけど、アーモンド感を求める場合は【菜種油(無味の油)だけを混ぜたタイプ】がおすすめ。ザ・アーモンドバターという感じである。
●【ココナツオイルを混ぜたタイプ】は個人的にすごく好きな味。ただしアーモンド感はまあまあ薄れてしまう。でも美味しいのでまた作るかもしれない。トーストに塗っただけなのに、何かの高そうなお菓子を食べているような感じ…。
●【バターを混ぜたタイプ】もアーモンドの風味にバターのコクが合わさってとても美味しかった。
だけど次は作らないかも…。アーモンド感が薄れるのでアーモンドの味を求めてのパンスプレッドとしてはちょっと物足りないような気がするから…。
ちなみに、ココナツオイルを混ぜたタイプもアーモンド感は薄れてしまうが、それ以上に他の美味しさがあったので話は別である…。
まあ、すべて個人的な感想ではありますが…。
なお、これらの3パターン(油分を加えたもの)は、油分を加えていない場合よりも食べた時のもっさり感が少し減っていて、パンスプレッドとしては多少食べやすくはなっていました。
■料理にも使う。(ペストトラパネーゼのパスタ)
甘味料やオイルを混ぜていない100%アーモンドのペーストでソースを作ってみます。
作るのはペストトラパネーゼと言って、トマト・アーモンド・ニンニク・バジルを砕いて混ぜてペーストにしたもの。主にパスタ調理に使われる伝統的なソースらしい…。
加熱しても美味しいし、加熱しないでフレッシュなままでも美味しいです。
合わせるパスタ麺はブジアーテというネジネジのやつがメジャーらしいが、今回はとりあえずいつも使っている太さ1.6mmのスパゲッティーニを使う
◇
【パスタ】… 160g
◆ソースの分◆
【アーモンドバター】… 30g
【ミニトマト(アイコ)】… 120g
【バジル】… 20枚
【ニンニク】… 1片
【オリーブオイル】… 大さじ2
【塩】… 少々
◆食べる直前にかける分◆
【オリーブオイル】… お好みで
【アーモンドダイス】… お好みで
【ブラックペッパー】… お好みで
【粉チーズ】… お好みで
【アーモンドバター】は、上記の一番最初に作った甘味料もオイルも塩も入っていない100%アーモンドのやつを使用。
【ミニトマト】 初めて作った時に何となく普通のトマトを使ったのですが、え?という感じだった。
次作った時にトマトを変えたら断然美味しくなったのでトマトのチョイスは結構重要かもしれない。
なおここではミニトマト(アイコ)を使いますが、フルーツトマトでもいいかも…。
【アーモンドダイス】は、素焼きアーモンドを軽くローストし、包丁で細かくカットしておく。
【粉チーズ】 ここではパルミジャーノレッジャーノを使用した。
以下のすり潰す工程はミキサーやフードプロセッサーなどの調理家電で行うと楽だけど、今回は昔ながらのすり潰す方法で行う。
イタリアンなので本来であれば石臼を使うのだろうけど、持っていないのでここでは和風のすり鉢を使った…。
1.ニンニクを細かくすり潰す。
ニンニクはスライスしてから細かくすり潰す。
なお今回は、作ったペースト(ソース)を最後にを加熱する方法をとりますが、もし加熱しないでフレッシュなソースとして使用する調理方法の場合は特に細かくすり潰しておくといい。
2.トマトは角切りにしてから潰す。
ミニトマトは意外とすり潰しにくいので、角切りにしてある程度細かくしておくと楽。
3.手でちぎったバジルを入れてすり潰す。
バジルは金気を嫌うので手でちぎる。
そういえば、ミキサーの刃は金属なのですり鉢で正解だったのかな…?。
4.アーモンドバター・オリーブオイル・塩 を加えて混ぜる。
甘味料も油分も入っていないタイプのアーモンドバター30g・オリーブオイル大さじ2・塩少々を加えて混ぜ合わせます。
なお、今回はこのあとの工程でソースを加熱することにしますが、フレッシュで冷たい「この時点でのソース」を、茹でたての熱々なパスタ麺とからめて人肌くらいの温度(ティエピドと言うらしい)のパスタ料理にする食べ方でもいい。
ちなみに、そのフレッシュなタイプのソースをかけたパスタも試してみましたが、アーモンドのコクとトマトの酸味とバジルのさわやかさ、そこにニンニクのピリピリとしたパンチが効いてそれはそれで美味しかったです。
自分的には“どちらかといえば”しっかりと加熱したほうが美味しかったのでこのあと煮ますが、もし数回作ったとしたらその内の1回はティエピドにするかも…。これは好みなのでどちらでも…。
5.弱火で加熱。
フライパンに入れて、かき混ぜながら弱火で加熱。
今回は10分程加熱しました。
なお、フレッシュでも食べれるくらいなので短い加熱でもOK。この加熱具合はお好みで…。
長く煮詰めるとフレッシュ感やニンニクのパンチはなくなりますが、コクが出るかな…。
6.パスタの茹で汁を加えてからパスタ麺とからめる。
10分も加熱すると煮詰まってきますので、最後にパスタの茹で汁を混ぜてソースをゆるくします。
そこに茹でたパスタ麺を入れてからめます。
パスタ麺をお皿に盛り付けたら、フライパンに残ったソースを上からかけます。
さらに上からオリーブオイルを垂らし、アーモンドダイスを散らして、ブラックペッパーをガリガリと振りかけ、上で粉チーズをすりおろして頂きます。
作り置きのソースとして。
美味しすぎたので、さらに作り置きのソースまで作ってしまった…。時間に余裕がある時にこのようにしておくと何かと便利!
パスタ以外には、パンにも合いそうだし野菜スティックのディップソースとしても使えそう…。
なお、作り置きソースの保存は冷蔵庫内で、消費するのは常識の範囲内でなるべく早く…。
ただし、作り置きはするのは加熱した場合です。フレッシュなタイプの場合は、作ったらすぐに食べ切った方がいいと思う。
ちなみに、このソースは作った2日後には頂いてしまいました…。
やっぱり美味しかった…。
以上のように、アーモンドをすり潰して、パンスプレッド(塗り物)やパスタソースを作ってみました。
パンスプレッドの場合、市販品は甘すぎて嫌と言う場合は自分で作るのも選択の一つだと思う。
甘味の調整だけでなく、フレーバーのチョイス・滑らかさや食感などが好みに合わせられるのも手作りならではです…。
あと、ペストトラパネーゼパスタの場合、
今回は「熱々」と「ティエピド(人肌くらいの温度)」の2パターンで頂いてみましたが、ソースも麺も冷たい「冷製パスタ」として頂くのもありかもしれない…。