たしか「肉の臭み消しやソーセージ作りなどに」といったような内容のPOPだったと思うが、それに惹かれて3年前に購入したコモンセージの苗。
植えた最初の年は全然大きくならなかったのですぐには使う気になれずしばらく様子見することに…。
その後、ほかのハーブなどと一緒に時折剪定してはいたもののその間は最初の購入目的をすっかりと忘れていた…。
今となってはもうボウボウで取り放題のセージを何となく見ていて、そういえばソーセージ作りにも使おうと思っていたんだったと…。
ということで、そのコモンセージと一緒にコモンタイムも摘んでソーセージを手作りすることにした。
■まずは腸詰のソーセージを作る。
まず今回作る前に2度の試作をした。その1度目はあえて厳格な肉の温度管理はせず、そしてなんとなく肉を練るという感じ。つまりそこそこ適当に作ったらどうなるかというもの…。その結果、すっごい美味しい豚肉ハンバーグが出来上がってしまった。
2度目はしっかりと肉の温度管理をし、なおかつ真剣に肉を練ってみた…。結果としては、手作り感のあるすごく美味しいソーセージに…。
人それぞれ好みは違うと思うので、美味しく出来てさえいればどれが正解というのは無いのかもしれないけど、とりあえず今回も2度目と同じ方法で作ることにする。
ちなみに、フードプロセッサーでペースト状に練ると、より市販のソーセージに近づけることが出来るとはおもうが、ここでは手作り感を全面に出したいので肉は全部手で練る方法で作る。
【羊腸】… 塩漬け羊腸
【豚ひき肉】… 500g
【塩】… 5g
【砂糖】… 3g
【玉ねぎ(すりおろし)】… 50g
【氷水】… 60g
【ブラックペッパー(粗挽き)】… 2g
【セージ(みじん切り)】… 小さじ2
【タイム(みじん切り)】… 小さじ1
【羊腸】使用する羊腸の長さはそのサイズ(太さ)による。例えば、羊腸の直径サイズが16~18mmの場合は、1mあたりに詰める肉の量の目安が170g程。
19~21mmの場合は1mあたり220g程。
22~24mmの場合は1mあたり290g程らしい。
つまり、肉の量を500gとした場合に必要な腸の長さは…
直径サイズが16~18mmの場合は、2.9m程。
直径サイズが19~21mmの場合は、2.3m程。
直径サイズが22~24mmの場合は、1.7m程。
が必要になる感じ。
ただし、パンパンに太く詰めてしまうか、ヒョロヒョロに細く詰めてしまうか、その詰め方によって腸が余ったり足りなかったりはする。
【氷水】今回のようにひき肉500gの場合だと水は100gくらい混ぜるのが程よいらしいが、今回はすりおろし玉ねぎ(約90%水分)を50g入れるので、ここでの水(氷水)は60gにした。
■今回使用する道具
【口金】【絞り袋】【ボウル】【温度計】 その他
羊腸などのケーシングを設置するための口金は絶対に必要なのでこれは購入するとして、ソーセージ専用の絞り袋はどうしたものかと…。
しょっちゅう使うものならセットで購入しておいてもいいけど、このあとあまり使わないようだったらもったいないし、また、久しぶりに使おうと思って出してみたら劣化していたというのも嫌だし…。
ということで、透明なポリエチレン製で使いきりタイプのクリーム用絞り袋を使ってみることにした。
1枚だったらパンクするかもしれないけど2枚重ねだったら大丈夫だろうという一か八ですが…。
※実際には1枚と2枚重ねの両方で試してみたけど結果的には1枚でも全然平気だった。まあ心配だったら最初から2枚でも3枚でも重ねておいたほうがいいとは思う。ただし使用する絞り袋のメーカーによってはムリな場合もあるかもしれない。
なお、このクリーム用絞り袋の場合、ほぼ使いきりみたいな感じだけど洗って再利用しようと思えばそれも出来る。
でも今回は豚肉を使うので衛生面で言うとちょっと捨てたいかな…。
■作り方
1.氷の入ったボウルの上に作業用のボウルを置く。
このあとの作業で肉の温度が10℃を超えないようにするため、肉を練るためのボウルを氷の入ったボウルの上に置く。
2.ひき肉に塩を混ぜる。
冷たいボウルに豚ひき肉と塩を入れて軽く混ぜる。
3.調味料やハーブなどを混ぜる。
セージ・タイム・ブラックペッパー・砂糖・すりおろし玉ねぎを加えて軽く混ぜる。
4.氷水を入れて錬りはじめる。
手や室内の熱で肉の温度が上がらないように、氷水を入れてから本格的に錬りはじめる。
なお今回は氷が完全に溶けてなくなるまで練ることにします。
ここでの氷水(60g)の割合は、クラッシュ氷(細かい氷)40gに水20gとしました。
クラッシュ氷を使う理由は、小さくて溶けやすいけど、ある程度の時間は溶けないのでその間は冷たさがキープ出来るため。
この氷と水の割合は、作業するその室温によって変えるといいかもしれない…。
5.肉の温度は10℃を超えないようにする。
肉の温度は常に10℃を超えないようにします。
温まってしまうと、茹でたときに肉がボソボソとなりハンバーグのようになってしまう…。
ちなみに、練っている途中の、まだクラッシュ氷が溶けていない状態で肉の温度を測ったら3.2℃でした。そして、ある程度のクラッシュ氷が解けた時点で測ってもまだまだ余裕の4.7℃でした。
クラッシュ氷とボウルの下からの氷のおかげで冷え冷えです。
6.粘りが出るまで練る。
肉に混ざったクラッシュ氷が完全に溶け、そして生地に粘りが出てプリッとなってきたら練り終了。
見た目的には肉の油と水が乳化して白っぽくなっているはず。
今回はクラッシュ氷が完全に溶けるまで大体20分くらいでした。なおこの間手は冷え冷えになって痛いくらいだったので、時々肉から手を離し休めながら練っていました。
そして練り上がった生地はこのあとすぐ冷蔵庫に入れてしばらく寝かせておく。
ちなみに寝かせない方もいるし1晩寝かせる方もいるらしい。
仮に寝かせないとしても肉を温めないようにするため、ほかの作業をしてる間はとにかく冷蔵庫に入れておくようにしたほうがよい。
※生地を寝かせることでハーブの味がなじんで肉に粘りが出るという説もある。
7.羊腸の塩抜きをする。
塩漬け羊腸の塩をはらい落とし、水を張ったバットに重ならないように並べて15~20分間浸けて塩抜きをする。
※適当な容器に水を入れて適当な状態で入れておくと水から出した時に絡まってしまい、ほどくのがけっこう大変になる場合もあります。
8.口金に羊腸を被せる。
塩抜きが済んだら、搾り袋に装着したソーセージ用の口金の先に羊腸の端を被せ、そのままクシュクシュとたくし上げて画像のように奥に寄せていく。
※なお、たくし上げる時に口金と羊腸の滑りが悪くて羊腸がなかなか奥にいかないことがあります。
その場合は、面倒でも一旦取り外して羊腸の内側に食用油を少し注してやるといいかもしれない。
とにかく、奥方向に滑りが悪いということは、その逆の前方向にも滑りが悪いということにもなる。
その場合、絞り袋を押す作業(下記の工程11)ではすごい力が必要(ブレーキがかかった感じ)となってしまうし、無理に押し出そうとし過ぎると羊腸が裂けてしてしまうこともあるかもしれない。もし取り付ける時に滑りが悪いという場合があれば油を注しておくのも手です。
9.とにかく肉の温度が上がらないように。
今回は、このあとの腸詰作業中にその腸詰された肉の温度が上がらないよう、それを受けるためのバットの下に凍った保冷剤を敷いておくことにした。
とにかく肉の温度が上がらないようにする。
10.絞り袋に生地を入れ、口金の先から外側に羊腸を少し垂らしておく。
腸詰めする前の準備をする。
まず、冷蔵庫から生地(肉)を取り出して搾り袋に入れます。※この時、搾り袋には余裕をもたせて生地を入れる。いっぱい入れ過ぎると絞る時に力を入れにくいし、袋の端(生地の入口)から生地がはみ出してもきます…。とにかく搾り袋には程よい量の生地を入れ、数回で腸詰めしていくようにする。
そして、羊腸の端部分を口金の先から前側に少し垂らしておく。この端部分は、あとで縛る部分です。
11.羊腸に生地を詰めていく。
絞り袋の端(生地の入口)を手で握って閉じた状態にし、その絞り袋にギュッと圧をかけながら生地を押し出して羊腸に詰めていく。
このとき、口金の先あたりの羊腸を手で送り出したり、逆に押さえたりしながら生地の詰め具合を調節します。
少なめに詰めると細くなってしまうけど、あまり詰め過ぎると太くなってパンクしてしまうので注意。
※ちなみに、絞り袋を押すときにすごい力が必要(なかなか生地が出てこない)という場合もあります。その原因の一つとして、上記の工程8でも記したように口金と羊腸の滑りが悪いということもあります。
12.腸の両端は玉止めしておく。
生地を詰め終わったら腸の両端は玉止めしておく。
なお、この両端が短くなってしまって玉止めがしにくい場合はタコ糸などで縛っておく。
13.好みの長さでねじっていく。
●まず、全体長さの中心部分で2~3回ねじり、そこを中心にして半分に折り曲げます。すると半分の長さのものが2本並んだ状態となります。そしてそのねじった部分を先端とします。
●次に、その先端から好みの長さの所でつまんでそのまま2本まとめた状態で2~3回ねじります。すると好みの長さのソーセージが2本出来ます。
●そして、そのねじりが元に戻らないようにするため、好みの長さに仕上がった2本のソーセージの間に、二股になっている残りの長いソーセージのうちのいずれか1本の端を通します(全体を完全に通しきってしまう)。
●以上を数回繰り返すことによって、好みの長さのソーセージが複数出来てゆきます。
14.針で刺して空気を抜く。
最後に、空気が入っているところがないかを確認し、あれば針などで刺して空気を抜いておく。
そして今回は、バットに並べてそのまま冷蔵庫に入れ、しばらく乾燥させておきました。
※ラップをかけず冷蔵庫で放置し表面を乾燥させることで皮がパリッとした食感になるらしい。
ついでにですが、ラップで包んだ皮なしソーセージもいっしょに作っておきました。画像右上の4本がそれ。
15.お湯で茹でる。
冷蔵庫から出したあと燻製にするのもいいですが、今回はシンプルに茹でて火を通します。
温度計で温度を測りながら大きめの鍋で湯を沸かし、80℃程になったら一旦火を止めるか超弱火にしてソーセージを鍋に投入します。
16.70~75℃をキープしながら約20分茹でる。
ソーセージを入れるとお湯の温度が下がるので、そのまま70~75℃をキープしながら約20分茹でる。
とにかくその途中は、火を付けたり消したりして上記の温度をキープ。
茹で上がってくるとソーセージが上部に浮かんできて、その一部が湯面から上に出てしまうので、時々上下を入れ替えてやる。
17.茹で終わったら氷水に入れる。
茹で終わったら氷水に入れ、冷えたらザルなどにあげて水気を切ります。
18.つながっている部分をカット。
つながっている部分をカットしたら自家製ソーセージの出来上がり。
食べきれない分は保存袋などに入れて冷蔵庫へ…。
ただし、無添加ですので早いうちにどうぞ!!
頂くときはフライパンでこんがりと
焼きたてをナイフてカットすると、中に閉じ込められた肉汁がジュワーとあふれ出してきます。
そのままでももちろん美味しいし、マスタードやケチャップなどを付けるのもいい。また、焼きたてのトーストを半分に折り曲げてそこに挟んで頂くのも最高です。
とにかく、フライパンで焼き目を付けたソーセージは香ばしくてすごく美味しかった。
■次は、ラップで巻いて皮なしソーセージを作る。
なおここで使用する生地は、上記で作ったものをこの皮なし用に分けたものなので、上記の作り方とまったく同じです。
1.ラップで包んで成形し、さらにアルミホイルで包む。
まず広げたラップの上で生地を絞り、そのあとそのラップでキャンディ巻きにする。
そして、平らな台の上でクルクルと転がしてソーセージの形に成形し、冷蔵庫に入れておいた。※上記工程14の画像右上のもの。
そしてそのラップの両端をタコ糸で縛ってから、アルミホイルで包む。
なお茹でた時にお湯の熱が生地(肉)に伝わりやすいようにラップもアルミホイルもピッタリと包む。
2.お湯で茹でる。
アルミホイルで包んだままお湯で茹でます。
ここでも上記同様に、お湯の温度を70~75℃にキープしながら約20分。
なおラップとアルミホイルで包んだ場合、それらの内側にはどうしても多少の空気が入ってしまうためそこそこ浮力があります。
そのため、お湯の中に入れると、ソーセージの一部が湯面よりも上に出てしまうこともあります。
その場合は上から落し蓋などで押さえて全体をお湯に漬からせるとよい。
こちらも腸詰のソーセージと同様に、頂くときはフライパンでこんがりと
腸詰めのようなパリッと感はないけど、これはこれで全然ありです。
上記の腸詰のソーセージもそうだけど、肉の味がしっかりとしていて、スーパーなどで売られている量産品のそれとはまったくの別物です。
以上、腸詰めとラップ巻き(皮なし)、2通りのソーセージを手作りするレシピでした。
なお今回は、腸詰にしたあと茹でから焼くパターンだったけど、次回は燻製にするパータンのソーセージも作ってみたい。
ケーシング(羊腸)がまだ数メートル残っているし、もう何本か作れるのですごく楽しみ…。
ちなみに、自家製だと保存料・発色剤・合成着色料などを確実に無添加に出来るのもうれしい。