子供の頃、おやつとして たまに“干し芋”が出てくることがあった。
そのまま引きちぎりながら食べるのも美味しかったが、アルミホイルに包んでアラジンストーブの上で焼いて食べるのも美味しかったなぁ…。
そういえば久しく食べていないが、懐かしさもあってまた食べたくなってきた。
…ということで、干し芋を手作りすることに。

最近は蒸かしたサツマイモをよく食べるので、芋のストックはたまたま家にある。
家にあったのは、五郎島金時と、産直のお買い得で買った紅はるか。
干し芋に適した品種は、どちらかといえば「ホクホク系」よりも、「ねっとり系」のサツマイモらしい。 なので、今回は紅はるかで作ります。


干し芋作りの条件は?

干し芋作りは、天日干しで3~5日間ほど。 最適な環境は、気温が15度以下の晴れた日で、さらには風通しがよいこと。 風通しが悪いとカビの生える場合も。

但し、上記の干す日数は、サツマイモの品種・カットする厚さ・形状、また、完成した時の硬さの好みによっても違うはず。 とうぜん、硬めの干し芋が好きな場合は干す日数を長めにします。 また、丸干しの場合や、大きめの芋を分厚くカットした場合には、上記よりも干す日数を多くします。
しかしこれらの逆で、柔らかいのが好き、もしくは薄くカットした、というのであったら日数を短くします。

とにかく、柔らかい場合は 羊羹(ようかん)のようにもっちりとして美味しいですし、また、硬めで噛み応えのあるのも ひとつの味です。 さらに、カチカチな場合だと保存食みたいに置いといて、焼いて食べるのもありです。
ともあれ、干し柿でも同じですが、好みの硬さに調整出来るのが自家製の醍醐味ですね。

4本のサツマイモ
■材料

【サツマイモ】

今回は、ねっとり系の「紅はるか」4本を使用。

干し芋に適した品種は、ねっとり系の、紅はるか・安納芋・紅マサリ・ほしキラリ・玉乙女・いずみ・玉豊・その他・・・等々。
ただし、ホクホク系がいけないという訳ではありません。

なお、一部の品種は干し芋専用なので、普通のスーパーなどにはないかも。

■作り方


キレイに洗って蒸し器に入れた様子
蒸し上がった様子

.芋をしっかり洗ったあと、弱火で1時間~1時間半くらい蒸します。

今回作る4本の内の半分は皮付きの干し芋にしたいので、蒸す前にたわしで擦って表面をしっかりと洗っておきました。

●それでは蒸します…。
まず、鍋に入れた水を沸騰させ、沸騰したら弱火にし、蒸し器の中に芋を設置したら1時間~1時間半位(今回は1時間半)かけてじっくりと蒸します。
いつも食べている“ふかし芋”よりも長く蒸しましたが、ここで長くじっくりと加熱することで甘味がより強くなるらしい。

なおこの時、蒸している途中で鍋底が空焚き状態にならないように“お湯がたっぷりと入る深い鍋”を使用しました。
おかげで、弱火で1時間半を余裕でもたせることが出来ましたが、もし“浅い鍋”を使用する場合は、空焚きにならないように時々お湯の追加が必要となる場合もあるかも。そこは要注意です。

また、1時間半も火を使えば、結構ガス代がかかりそうなイメージでしたが、今回、カセットコンロに新品のガス缶を差し込んで使用したところ、半分以上のガスが余裕で余りました。
新品で缶ごと測って350g(中身のガス250g)が → 使用後缶ごと測ると259g(中身のガス159g)の重さでした。
使用したカセットコンロ用のガス缶は、1本が大体110円ほどだったので、今回の場合、ガス代は40円ほどで済んでいる計算。
ガス缶には缶代も入っているためか、250gで110円という価格は、ガスとしては少しお高めです。
なので、都市ガスや家庭用LPガスの場合ならばもう少し燃料代が安いかも。

皮を剥いたところ

.皮を剥いたあと、好きな形にカットします。

切り方は自由ですが、繊維に沿ってカットしたほうがキレイにカットは出来ます。 なお、けっこう柔らかいので、崩れないよう慎重に…。

今回、4本の内、2本は皮を剥いてからカットし、もう半分の2本は皮付のままでカットします。

まず、仕上りの形状は、平干し・丸干し・角切り、などと色々あります。 丸干しは美味しそうですが、出来るまでに日数がかかりそうなので見送り。

蒸したサツマイモを平干しにするためにカットしている
ということで、皮を剥いたほうの芋は、平干しにするために厚さ1㎝にスライスカット。
そして、皮を剥いていないほうで太めの芋は、放射状で縦に6等分。 細めの芋は、同じく縦に4等分にカットして、角切り風のスティック状にしました。

平たくスライスしてザルの上に並べる
スティック状にカットしてザルの上に並べる

.重ならないようにして網やザルなどに並べ、天日で干します。

カットした芋は、風通しが良くなるように宙に浮かせた状態の“網やザル”などの上に、それぞれが重ならないようにして並べます。
ちなみに今回はザルで干したのですが、そのザルを浮かせるために、高さのあるものをいくつか下に敷いて上げ底にしました。

そして、「晴れた日」に「風通しの良い環境」にして、3~5日間ほど天日干しをします。
なお、干しておく日数は、好みの硬さによって前後させてもOK。
実際、薄くカットしてあると、2日間もあれば けっこう仕上がった干し芋にはなります。
しかし、分厚くカットした場合や、芯までしっかりと乾燥させたい場合には、長めに干したほうが良い場合も…。 まあ、そのへんはお好みです。

干している間は1日おきに裏返して、均等に天日に当てます。

なお、雨の日や 風通しが悪い場所で干すと、カビの発生する場合もあるので注意。また、砂ぼこりや虫などの付着にも注意。とにかく不衛生な状態にならないように…。

ともあれ今回は、天気予報で“3日間晴れ”となっていたこともあったので作ることにしたのに、なんと2日目の朝に雨が…。
そうなると、とうぜん窓を閉め切った室内に置いておくことになる。
そのままでも大丈夫だったのかもしれませんが、ジメジメしてカビが生えると嫌なので、しばらくは扇風機の微風を当てておきました。
結果的には、午前中だけの雨だったので、一安心でしたが…。

完成した干し芋

■最終的に、4日間干して完成としました。

途中で扇風機の風も併用したせいか、少し硬めに仕上がりました。

これらは、販売するというわけではないので、一定の期間保存したり、腐り難くするように水分量を少なくしたりする必要は無い…。せっかくの自家製なので、もし次回作る機会があったら、もう少し柔らかくしたほうが良いかな…。
その際には、2日間だけ干して“セミドライ”ほどで完成としてみよう。

なお、平干しのほうは硬めに仕上がりましたが、スティック状にしたほうは、皮付きで干したことによってその皮の面が乾燥し難くなるせいか、硬くならずに丁度良い食べやすい柔らかさでした。

ちなみに、今回平干しにした芋は、皮を“薄~く”剥いたので、周り(パンでいうところの耳の部分)がほんの少しだけ色が濃いままで、そして少しゴワゴワしています。
味には全然問題ないのですが、もし、市販されている干し芋のように見た目がキレイで、全体が均一の硬さになるように仕上げたい場合は、もったいないですけど皮を厚めに剥くとよいでしょう。
まあ、剥くというよりかは、皮の真下の少し硬めの部分ごと「厚めに剥ぎ取る、または、切り取る」という感じでしょうか。

■乾燥し過ぎて「硬くなった干し芋」の食べ方は…。

チョット硬くなり過ぎたかなという場合は、食べる前に、焼き網の上で数十秒ほど“あぶり焼き”すると柔らかくなります。
目安は、ほんの少しだけ角部分が焦げ始めてきたかな~というころ。そのころには、フニャフニャになって食べやすくなっているはず。
また、トースターやフライパンなどで少し加熱しても柔らかくなります。
但し、焼き過ぎると逆に硬くなります。

この様に加熱した干し芋もけっこう美味しいので、乾燥し過ぎて“硬くなり過ぎた”といっても失敗ではありません。
何だったら、すぐに食べないで しばらくの間保存しておきたい場合には、あえて硬めに作っておいても良いくらいです。

とは言え、超乾燥し過ぎてカッチカチ過ぎるくらい硬くなっている場合は、どうなるかわかりません。
おそらく柔らかくなるとは思いますが…。

.保存方法。

すぐに食べない場合は、密閉袋や密閉容器に入れて冷蔵庫で保存する。
また、チョット長めに保存する場合は冷凍庫で。

なお、カチカチに乾燥させればさせるほど常温での保存性は増すとは思います。
しかしその場合でも、念のため上記と同じように保存しておくと安心かな。


壁掛けネットの上に並べたサツマイモ

■再度作ってみた。

上記の干し芋は、そのまま食べても 焼いて食べても十分に美味しかったんだけど、“平干し”にしたものが少し硬めに仕上がったのが気になった。
なので、もし来シーズンあたりで作ることになったとしたら、その時は2日間だけ干して、柔らかめに仕上げることにしてみよう…。
と思っていたのですが、それまで待ちきれず、すぐに作ってしまいました。

使用した芋は、上記と同様に「紅はるか」。
なお、この時も、皮は“薄~く”剥きました。
周りの色が少しだけ濃くて市販品よりも見た目が良くない事と、その部分がゴワゴワになる事は全然気にはならないし、とにかく皮を“厚く”剥くと、その分だけ小さくなってもったいないので…。

また上記では、カットした芋を“竹のザル”に並べましたが、芋がザルにこびり付いてしまったので、
この時は、画像のように、ワイヤー製の壁掛けネットに網戸の網(新品)を張り、その上で芋を並べることにしました。
この場合も、上記の時と同様に、網の下部分の通気性を良くするため、ガラスのビンを数個下に敷いて“上げ底”にしてあります。

ちなみに、以上のような「網やザル」を使う以外には、吊り下げ式で1段~4段とかになっている市販の「ひもの干し網」を使うのも便利そうですね。

■そして、実食!

●まず1日半(36時間)乾燥したもの。
周りの部分はまあまあ干し芋の味、しかし、芯の部分に多少のふかし芋感がある。つまりセミドライ。
結果としては、芋羊羹のようでかなり美味しい。

●次の日、2日間(48時間)乾燥したもの。
※なお、包丁でスライスした時に“厚い薄い”が出来ていたので、それぞれの食べ比べもしてみた。
◆まず、厚いやつ(カット時10㎜厚ほど)
周りの部分はかなり干し芋、しかし芯の部分は微妙にふかし芋感が残っている。ただし微妙にです。
結果としては、まだセミドライ。 少しだけ芋羊羹のような感じもあり、かなり美味しい。
◆次に、薄いやつ(カット時7㎜厚ほど)
全体的に均等に乾燥されており、硬さもちょうど良い感じです。
結果としては、もう既に“干し芋”になっていました。もちろん美味しいです。

このように、干し芋を作る条件としては、乾燥させる日数以外に、芋をカットする厚さもけっこう大事ということですね。
もちろん、天気の良し悪し、気温、芋に当たる風の強さ、芋の品種も大事ですが。


以上、自宅でも出来る自家製干し芋の簡単な作り方でした。 自家製の場合だと、好みの硬さに調整出来るのが楽しいですよね。

なお、サツマイモの旬は9月~翌年1月頃らしいのですが、最近では、貯蔵技術の発達でそれ以外でも流通はしているので、もし、スーパーなどで見つけたら、作ってみるのも楽しいですよ。


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