斜め正面から見た不織布ポーチ

今回は、不織布を用いて 底の部分がコロンとしている形状のポーチを手作りしました。
不織布といっても一般的に手芸で用いられているようなフエルトやフリースなどではなく、ここで用いるのはパンチカーペットです。
なお、開口部分にはアクセントとしてレザーのパーツを貼り付けています。このレザーパーツには、デザイン的な目的以外に、開口部分(布の端部)にハリを持たせてピタッと口を閉じることが出来るようにするための補強の役目もあります。
そして、口を閉じておくための手段としてはホックを採用。ホックなのでファスナーを採用するよりも比較的楽な作業で作れます。
また、袋部分の材料が不織布なので布の端処理が不要なのも楽です。


■パンチカーペットを用いて「ポーチ」を作る。

パンチカーペットとは、一見フェルトのようにも見える不織布のカーペットのことです。
このシートは比較的硬めなので、新品のまま材料として使用すると、ポーチとして仕上がった時に、場合によってはカクカクとした折れ線があちこちに出来てしまうこともあります…。なので、シート状態の時点で一度クネクネと曲げてみて、折れ線が出来そうな感じがしたら、裁断する前に一旦「しごいて」柔らかくしておくといいかもしれません。何しろ本来はカーペットなので…。
その柔らかくする方法は「生地の端処理が不要!簡単に作れる「エコバック」」のページ内にある[■パンチカーペットを柔らかくする方法。]の項にて。

パンチカーペットとレザーとホック
■材料

【パンチカーペット】(約2mm厚のタイプ)
【革】(1mm厚のヌメ革ハギレ)
【バネホック/No2】(頭径11.5mmの真鍮製)

【パンチカーペット】は、一見するとウラ・オモテがないようにも見える(ウラ面に何も加工されていない)タイプのものを使用します。

そのほかに必要なものは…

【裁断用の道具】(ハサミ・カッターなど)
【穴あけポンチ】
【サンドペーパー】
【コバ処理剤】
【接着剤】(今回はGクリアー)
【バネホックの打ち具】
【ミシン】
【ガイドライン(縫い線)を引く道具】(今回はステッチングルーバーを使用)
【目打ち・菱目打ち】
【手縫い用の針と糸】
※なお今回は、手作り感の出せるレザークラフトの手法を取り入れたので【ガイドラインを引く道具】【目打ち・菱目打ち】【手縫い用の針と糸】を使用しますが、全部ミシンで縫うのであればこの最後の3項目は必要ありません。

■作り方


厚手のボール紙で作った型紙

.型紙を作る。

ボール紙などの厚手の紙を使って、袋(本体)部分と革パーツの型紙を作ります。

型紙の形状と寸法

今回はこのような寸法にしました。

裁断したパンチカーペット

.型紙通りにパンチカーペットを裁断。

パンチカーペットに型紙を当てて裁断します。

なおパンチカーペットを裁断するのは、しごいて柔らかくしたあとです。カットしてからしごくと、寸法が大きくなったり、いびつな形状のアウトラインになったりする恐れがあります。

裁断して穴を開けたレザー

.型紙通りに革を裁断。

●革に型紙を当て、その周囲を「目打ち」などでけがきます。
●そして、けがき線の通りに裁断し、バネホックを取り付ける箇所には「穴あけポンチ」で穴を開けておきます。

コバを処理したレザー

.コバを処理。

●コバ(裁断面)を「サンドペーパー」で削って滑らかなアウトラインにします。特にR(曲線)の部分。
●さらに「サンドペーパー」で、コバの角(へり)を小さく面取りしておきます。
※なお「ヘリ落とし」を使えば均等に面取り出来るのですが、今回のような薄い厚さの革の場合、へりを落とし過ぎているのはあまり好きではない。なので「サンドペーパー」で軽く削ってほんの少しだけ面取りしておいた。
●最後に「コバ処理剤」をコバに塗って帆布などで磨いておく。

ガイドラインを引いたレザー

.ガイドラインを引く。

縫う所にガイドラインを引きます。
今回は縫い代を3㎜とするので、端から3㎜の所にガイドラインを引きました。

なお今回は「ステッチングルーバー」を使用してガイドラインを引きましたが、「デバイダー」もよく使われている道具です。それらがもし無ければ「コンパス」などでも全然良い。
「コンパス」を使う場合は、芯を設置する所に、つま楊枝や竹串などの先が細い棒をセットしておくといいかもしれない。

ただ、ミシンで縫うのであれば、このガイドライン自体あってもなくても良い

接着剤を塗ったところ

.接着剤を塗る。

革パーツの裏面と、パンチカーペットの革パーツを貼り付ける部分に薄く「接着剤」を塗ります。
なお、革パーツには1度塗りですが、パンチカーペットは吸い込むので2度塗りしました。
ちなみにパンチカーペット側には、塗った接着剤の端部をきれいなラインにするためと、そのラインから接着剤がはみ出ないようにするため、画像のようにマスキングテープを貼っておきました。

そして、塗った後はしばらく乾燥させます。
※接着剤に記載の使い方を参照。

ローラーで圧着している様子

.貼り合わせる。

接着剤の乾燥具合を確認し、接着面がシールのようになったら、お互いの端部をキレイに貼り合わせて圧着します。

「圧着ローラー」が無い場合は、革の上に厚めのPPシート(表面にシボなどの模様の無いもの)などを置いて「金槌や木槌」でトントンと叩いて圧着させるといい。※但し、強く叩き過ぎないこと。

R部分からはみ出た部分カット

.はみ出た部分をカット。

左側画像のように、革パーツのR(曲線)部分からはみ出しているパンチカーペットの角を、右側画像のように、革パーツのRに合わせてカットします。

菱目打ちで縫い穴を開ける

.縫い穴を開ける。

工程5で引いたガイドラインに沿って「菱目打ち」と「目打ち」を使って縫い穴を開けます。

針と糸を使って縫い合わせ

10.縫い合わせる。

「手縫い用の針と糸」を使って、革パーツとパンチカーペットを「平縫い」で縫い合わせます。

ちなみに、今回はこの部分を手縫いで縫い合わせましたが、菱目打ちなどの道具は使わずに最初からミシンを使って縫うのも全然ありです。

バネホックを取り付けた様子

11.バネホックを取り付ける。

●まず、革パーツの中心部に開けたバネホック用の穴に「穴あけポンチ」を差し込んでパンチカーペットにまで穴を貫通させます。
●そして、「バネホック用の打ち具」を使ってバネホックを取り付けます。

接着剤で仮止めしておく様子

12.仮止めしておく。

ミシンで縫う前に仮止めをしておきます。
その方法は、●まずパンチカーペットのオモテ面左右両端の、上から5cm位の長さの所に幅2mmほどで接着剤を塗ります。
●そして接着剤が固まったら、パンチカーペットを中表にして貼り合わせます。

ミシンで両脇を縫ったところ

13.両脇を縫う。

ミシンを使って、縫い代5mmほどで両脇を縫います。

マチの縫う箇所に線を引く

14.マチを作る。

今回はマチの幅を6cmとし、さらに完成した時に底部分がコロンとした形になるように、外側に張り出した曲線の縫い線にします。
※画像左側は、手作りした「Rのテンプレート」を使ってカーブした縫い線を引いた様子です。

Rのテンプレートの図面

ちなみに、上の画像に写っている「Rのテンプレート」の図面はこちらです。

なお、このテンプレートは作っても作らなくてもどちらでも…。作らなかった場合は、マチ幅6cmの曲線をフリーハンドで描けばいいだけです。

縫い線の外側部分をカットしている

15.ミシンで縫い、その縫い線の外側部分をカット。

上記で引いた縫い線に沿ってミシンで縫い、そのあと縫い線の外側の不要な部分をカットします。
今回は、縫い線から外側の端まで(縫い代となる幅)が5mmくらいになるようにカットしました。

裏表をひっくり返している

16.裏表を返す。

裏表をひっくり返します。

完成した不織布ポーチ

底の部分の形を整えたら完成です。

側面から見た不織布ポーチ

側面や正面から見ると、底面がコロンとした形になっているのが分かります。


以上、レザーをアクセントにした不織布のポーチを手作りしました。

メイク用品・スマホ用品・アクセサリー・サニタリー用品・薬・絆創膏・裁縫セット・グルーミングセット・その他にも色々とバックに入れて携帯したい雑多な小物があるけど、それらを収納しておくためによく使われるのが「小さなポーチ」。そんな万能袋を簡単な方法で作れないか考えてみました。
今回作ったものにはレザークラフトの要素が含まれていて多少手間のかかる作り方ではありますが、ファスナー付けの作業が無いので意外と簡単に作れると思います。

なお、上記のサイズ通りではなく、デザインをアレンジして作るのもいいかもしれない。
例えば、口部分をこの倍くらいの幅にしてそこにホックを3箇所並べて設け、横長のクラッチバックやバックインバックとして使ってもいいし、幅はこれくらいのままだけど縦に長いデザインで作り、肩掛けベルトを取り付けてスマホ用のショルダーポシェットとして使ってもいいような気もする。


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