砂糖を煮詰めてカラメル化(キャラメリゼ)させたものを、焙煎されたヘーゼルナッツやアーモンド等のナッツ類に絡めて作るプラリネ。
そのままカリカリと食べてもいいし、さらに加工して製菓材料として使ってもいい。
ちなみに、上記のようなナッツ類をカラメルでコーティングしただけの状態のものや、それをクランチしたもの、さらにペーストにしたものもいずれもプラリネと呼ぶようである。
また、中に何か入った一口サイズのチョコレートをプラリネと呼ぶこともあるらしい…。
そのほかに、違った意味でプラリネという名前を使っているパターンも見たことが…。
どうやら国や地域が違うと、名前のさし示す対象のものが違う場合もあるようである。
なお今回は、砂糖をキャラメリゼしてナッツと絡めたほうのプラリネを作ります。
そして、そのカリカリなプラリネを「プラリネペーストに加工」するパターンも試してみます。
■2つの方法でカリカリなプラリネを作ってみた。
プラリネの作り方は色々あると思うが、今回はよくある2つの方法を試してみることにした。
■1つ目は、先に砂糖をキャラメリゼし、そのキャラメル(カラメル)とナッツを絡める方法。
■2つ目は、水で煮溶かした砂糖をナッツの周りで再び結晶化させ、そのあと砂糖をキャラメリゼする方法。
なお、材料の分量は両方とも同じで、ナッツの種類はアーモンドとしました。
◇
【ローストアーモンド】… 75g
【砂糖(グラニュー糖)】… 45g
【水】… 20g
【水】の量に深い意味はない。これより多くても少なくても別にかまわない。なお、多ければ多い分だけ水を飛ばすのに時間はかかる。
【砂糖】の割合に関してはいくつかのレシピを調べてみたが、その限りでいうと、アーモンドのグラム数100に対して砂糖のグラム数の割合が35~100%くらいまでと色々なパターンがあった。
なお今回は、個人的な思惑(このあとでスプレッドの材料として使う)で「アーモンド100:砂糖60」にしておいた。この割合だと、その作る予定のスプレッドの硬さと甘さが丁度良い感じになるので…。
ちなみにカリカリ食べる用として、キャラメリゼしたアーモンドがパラパラと1粒1粒ほどけやすいようにしたいのであれば、アーモンド100に対して砂糖35%くらいでもいいし、タップリのカラメルでアーモンドが覆われていて全体が板状になるくらいにしたいのであればアーモンド100:砂糖100でもいいかもしれない。
なお、それらが完成した時に比較的近い状態をこの画像で見ることが出来るが、写っているプラリネの左側半分は、タップリのカラメルでアーモンドが覆われていて完全な板状になっている状態。
そして右側半分は、カラメルで繋がってはいるけどアーモンド1粒1粒がパラパラと簡単にほどけやすくなっている状態です。
この画像のプラリネは、アーモンド100に対して砂糖が60%の割合(今回のレシピ)で作ったもので、上記で説明した、アーモンド100に砂糖が35%の場合と100%の場合のほぼ中間くらいの割合で作ってあります。それをクッキングシートの上で冷やし固めてからひっくり返してみたところです。
上述しましたが、砂糖の割合を35%にした場合と100%にした場合の両方の仕上がりに“近い状態”が見て取れます。
ただ、今回と極端に材料の量が違う場合や、ナッツの形状やサイズが違うとどうなるかは分からない。
■1つ目は、先に砂糖をキャラメリゼし、そのキャラメル(カラメル)とナッツを絡める方法。
■作り方
1.鍋に砂糖と水を入れる。
まだ冷たい状態の鍋に砂糖と水を入れます。
なお鍋に砂糖と水を入れたあとは、それらをかき混ぜたりはしない。
2.弱火で煮詰めて水分を飛ばす。
最初のうちはフツフツと泡が弾ける音を立てながら水が沸いて、だんだんと砂糖が溶けていきます。
そして、水分が飛んで無くなると、フツフツとした音は少なくなって甘い香りがしてきます。
3.色付き始めて、泡が少なくなってくる。
しばらくすると、煮詰めて溶けた砂糖が色付き始めて大きい泡も少なくなってきます。
4.細かい泡が立ち始めたらアーモンドを入れる。
さらに進むと、溶けた砂糖がキャラメル色になり始めて細かい泡が立ってきます。
細かい泡が立ち始めてきている段階の、キャラメル色がまだ薄いうちにアーモンドを入れます。
なお、キャラメリゼによるカラメル色の濃さ(苦さ)はお好みで…。もっと薄くてもいいし、もう少しだけ濃くてもいい。ただ、濃くなり過ぎには注意。
5.素早く混ぜる。
キャラメリゼした砂糖(カラメル)がアーモンドに絡むように混ぜます。
あっという間に色が濃くなっていきますので絡めたらすぐに鍋から出します。
6.広げて冷却。
クッキングシート(オーブンシート)やシルパッドなどのような、表面がシリコンになっているシートの上に素早く広げて冷却します。
なお、溶けたカラメルは超熱いので触れないように注意!です。
冷えて固まったら、ポキポキと小さく割ってそのままカリカリと頂いてもいいし、さらにクランチやペーストに加工して製菓の材料としてもいい。
◇
以上、1つ目の方法でした。
■2つ目は、水で煮溶かした砂糖をナッツの周りで再び結晶化させ、そのあと砂糖をキャラメリゼする方法。
■作り方
1.鍋に砂糖と水を入れる。
上記の方法と同様に、鍋に砂糖と水を入れます。
また、上記と同じように、鍋に砂糖と水を入れたあとは、それらをかき混ぜたりはしない。
2.弱火で煮詰める。
鍋を弱火にかけて煮詰めます。
しばらくすると砂糖が溶け、だんだんと水分が飛んでゆき、そしてフツフツとした泡の弾ける音が少なくなり、泡の弾け方に粘りを感じるようになってなんとなく甘い香りがしてきたら、鍋にアーモンドを入れます。
この時点での砂糖液(グラニュー糖を使った場合)はまだ無色です。
なお、このアーモンドを入れるタイミングを上記のように雰囲気で決めるのではなく、温度計で砂糖液の温度を計って決める方法もあります。
ちなみに今回は、温度計を用意するのが面倒だったので、以下を鑑みて雰囲気で決めました。
●まず温度計で計って決める場合だったら、118℃がアーモンドを入れるタイミング。
●水の沸点は100℃なので、118℃という事は水分はほぼなくなっていると思う。
●ちなみに、砂糖がカラメルになってしまった状態だとすでに180℃程はある。
3.アーモンドに砂糖液を絡め、火を消す。
鍋にアーモンドを入れたら素早く砂糖液と絡め、そのあとすぐにコンロの火を消します。
4.砂糖を再結晶化させる。
コンロの火を消したらヘラでかき混ぜ続け、アーモンドの表面で砂糖を再結晶化させます。
ただひたすらかき混ぜていると、画像の様に砂糖が白く再結晶化してきます。
5.キャラメリゼします。
砂糖が再結晶化したらコンロに再点火。弱火で加熱し砂糖をキャラメリゼします。
6.砂糖がキャラメル色になったら終了。
白い砂糖が煮溶けてキャラメル色(カラメル)になったら終了です。
7.広げて冷却。
上記の方法の時と同じように、クッキングシートなどに広げて冷却します。
◇
以上、2つ目の方法でした。
■どちらの方法がいいのか?
以上、2通りの方法でアーモンドプラリネを作ってみましたが、おそらくどちらにもメリットデメリットはあるはず。
例えば「前者の方法」と「後者の方法」の場合とでは、アーモンドが熱々の鍋の中で滞在している時間が違います。
まず、キャラメリゼしたあとにアーモンドを入れる「前者の方法」では、砂糖がカラメルになる前はまだ鍋の中にアーモンドは滞在していませんが、
キャラメリゼする前にアーモンドを入れる「後者の方法」だと、砂糖がカラメル化するまでの間もずっと鍋の中に滞在しています。
ということは「後者の方法」で作ると、鍋の中に滞在している間じゅうアーモンドがずっとローストされている状態になるので、砂糖がすべてカラメル化するのに、仮に時間が長くなり過ぎてしまったとすると、アーモンドは過剰にローストされてしまうことになります。
今回も「後者の方法」では、ちょっと苦みのあるアーモンドになってしまいました。
しかも、アーモンドの表面に付着した砂糖がすべて完全に溶けるまで少し時間がかかってしまったので、カラメルの色が予定よりも濃いめになってしまうことに…。
まあ「前者の方法」の場合よりもカリカリアーモンドにはなったのはよかったが…。でも全体的にちょっと苦めでした…。
結局どちらのほうがいいのか?
様々な条件で何度も試したわけではないので絶対とは言えませんが、今回の量だと「前者の方法」のほうが自分的には向いているような気がした。
なお以上は、キャラメリゼする前のロースト具合を自分で調整することが出来る「生アーモンド」を使用するか、すでにロースト済みで販売されているごくごく一般的な「ローストアーモンド」を使用するかによっても違ってくるはず…。
■ちなみに、アーモンドを調理前に「ロースト」しておくかどうか。
なお、色々なレシピを調べてみると、市販の「ローストアーモンド」をさらに「ロースト」して、アーモンドの香ばしさやカリカリ感をさらにアップさせておくというパターンもあった。
ただ、「生のアーモンド」を使うのであれば調理前に「ロースト」しておく必要はあるけど、市販の「ローストアーモンド」を使う場合はしてもしなくてもいい。
特に、今回の2通りあるプラリネの作り方のうちの「後者の方法」であれば、あえて「ロースト」しなくてもいいかもしれない。
理由は上で説明した通りで、鍋の中でのアーモンドの滞在時間です。
ただ「前者の方法」の場合であれば、アーモンドの香ばしさやカリカリ感をアップさせるため、多少であれば逆にローストしておくのもいいかもしれない。
なお、調理が終わってシートの上で広げてある状態でも、熱々なカラメルによってアーモンドは多少ローストされる感じなので、その分は考慮して…。
■プラリネペーストに加工。
上記で作った状態のままカリカリと頂くのも美味しいですが。クランチやペースト状にすると使い方がさらに広がります。
ちなみにペースト状にする場合、ミキサーやフードプロセッサーなどの電動調理器具で加工すれば簡単なのですが、今回は量も少ないし電動調理器具にあまり負荷をかけたくもなかったので、すり鉢ですり潰すことにしました。
1.細かく割る。
まずは手でポキポキと割って細かくします。
2.細かく砕く。
このあと叩いてさらに細かく砕きますが、その際に飛び散らないように何かで包みます。
今回はクッキングシートで包んでさらにポり袋に入れておきました。
そして、木槌で叩いて細かく砕きます。
3.すり鉢ですり潰して、ペースト状にする。
なお、クランチのままで良いならここで終了。
すり鉢ですり潰してペースト状にします。
アーモンドオイルが滲み出てくるほどのトロトロなペーストになったら終了。
この状態は、ミキサーやフードプロセッサーなどの電動調理器具を使っても同じ。
■色々な「プラリネ」を楽しむ。
今回作ったカリカリのプラリネは、ナッツの種類・ナッツの形体・砂糖の割合・カラメルの煮詰め具合などを変えて作る楽しさもある。
例えばアーモンドの形体でいうと、スライスやクランチに加工して販売されている場合もありますが、今回上記で作ったような粒のままのアーモンドを使ったものと、スライスもしくはクランチに加工されたアーモンドを使ったものとでは、カリカリと食べる場合の食感はそれぞれ違ってくる。また、砂糖の割合を変えることによって食感も味(甘さ)も変えることが出来るし、砂糖の煮詰め具合(キャラメリゼの程度)でも味(苦み)を変えることが出来る。
そのほか、それらをペースト状に加工して、さらに別の使い方や食べ方をするのも一般的。
例えば、製菓の材料として使うというパターンもあるし、プラリネペーストをそのままパンにのせて頂くというパターンもある…。
ともあれ、個人的にはフロランタンが好きなので、今度作るとするならば、スライスアーモンドを使って板状のそれっぽいものを作ってみようかと思う。なお作り方は「前者の方法」にしようかと…。