平織りテープを用いてショルダーバックのストラップ(肩掛けベルト)を手作りします。
今回作るものは、あまり大きくないバックに取り付ける予定で、バランスを考えると幅10~20mmくらいの細いベルト(平織りテープ)でいいかなとも思ったのですが、ベルト幅が細いとどうしても肩に食い込み気味になりがちになるので、ここでは少しだけ幅広な平織りテープを使うことにした。

なおショルダーストラップの機能として、ベルトの両端にはバックとの取り外しが自在となるようにナスカン(フック)を設けておきますが、今回使用するそのナスカンは「ベルト側となる環部分の内幅」がベルト本体の幅よりも狭いタイプのものを使用することにします。
なのでイラストのように、そのナスカンとベルトとの間には幅を変換するための革パーツ(根革)を設けることになります。
ちなみに、革のパーツを設けたデザインにすると、その革部分がアクセントになって、布ベルト(平織りテープ)だけで作られた場合よりもちょっとだけグレードが上がって見えるようになる…。
また、幅広ベルトの先部分が細い状態に変換されることによって、ベルト本体の幅が広い割には繊細な雰囲気のショルダーストラップに見せることも出来るので、このあと取り付け予定である小さめのバックにも合わせやすくなるかと思う…。
■平織りテープと端革を用いてショルダーストラップを手作り。
テープ(ベルト)自体が革の場合だったらもっと簡単に作れる方法もあるし、さらにはグレードも高く見えるのでオールレザーで作りたいところですが、長尺な革を使うとなると材料代が結構高ついてしまう。でも平織りテープと端革のコンビだとかなり経済的…。その上、革の存在感もちょっとはあります…。

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【平織りテープ】(幅幅30mm)
【革ハギレ】(2mm厚)
【ナスカン】(内幅18mm) … 2個
【小判カン】(内幅30mm) … 2個
【コキ(調節具)】(内幅30mm) … 1個
【両面カシメ】(頭径9mm) … 2セット
【片面カシメ】(頭径6mm) … 1セット
今回使用する金属製パーツはすべて真鍮無垢です。なお真鍮無垢のパーツは、年月が経つにつれて黒っぽく変色していきます。
●そのほかに必要なものは…
【ボール紙】(型紙用)
【コバ処理剤】
【接着剤】(今回はゴム系)
【補強テープ】(伸び止めテープ)
【革用の手縫い針と糸】(今回の糸はビニモの5番)
【カッターナイフなど】(裁断用)
【穴あけポンチ】
【目打ち】
【サンドペーパー】
【カシメの打ち具】
【ミシン】
その他…
■作り方

1.革パーツ(根革)の型紙を作る。
平織りテープの幅を変換させてナスカンと連結させるための「革パーツ(根革)」の型紙を作ります。
※この型紙はボール紙で作っています。
●幅の広い部分は「平織りテープと同じ幅」(小判カンの内側に収まる幅)で、幅の狭い部分は「ナスカンにおける、ベルトを取り付ける環部分」にピッタリと収まる幅です。
●3箇所の丸穴(径3mm)は「カシメ用の穴」です。
●4箇所の小さい点穴は「縫い穴」です。

2.革を裁断する。
●まず革を荒裁ちし、そこに上記の型紙を当て、目打ちの先などでアウトラインを罫書きます。
●そして、罫書いた線に沿って革を裁断します。
●さらに、3箇所ある「カシメ用の穴」を穴あけポンチで開け、4箇所ある「縫い穴」を目打ちで写しておきます。
●最後に、コバ(裁断面)のアウトラインを、サンドペーパーを使って整えておきます。
以上を2枚作ります。

3.コバのヘリを落とす。
●銀面(オモテ)側のヘリ(コバの角)を「ヘリ落とし」を使って削ります。(イラストでは黒線部分)
●床面(ウラ)側は、縫い穴と縫い穴の間(黒線部分)のヘリだけを「サンドペーパー」で削り、軽くRを付けておきます。
なお「ヘリ落とし」は使わずに、銀面側のヘリも床面側のヘリもすべてサンドペーパーで削って、軽くRを付けておくだけでもOK。

4.コバを処理する。
コバ面及び上記で削った部分にコバ処理剤を塗り、帆布などで磨いておきます。

5.補強テープを貼る。
床面(内側)に【補強テープ】(革の伸び止めテープ)を貼ります。
そのあと、上記で開けた3箇所の穴に銀面(オモテ)側から穴あけポンチを差し込んで補強テープにも穴を開けておきました。
なお今回は、軽くて容量も小さいバックに取り付ける予定のショルダーストラップだし、この根革には硬い革を使用しているので、補強テープは貼っても貼らなくてもどちらでも良かったが、この先、大きいバックに取り付けることもあるかもしれないのでとりあえず貼っておいた。
だだ、伸びやすい革を使う場合は、取り付けるバックが小さくても貼っておいたほうが安心。

6.革パーツの端にボンドを塗る。
目打ちで付けた縫い穴の位置からパーツの端までの範囲に、薄くボンドを塗ります。
なお今回は、画像左側のようにマスキングをしてから塗りました。

7.縫い糸の端を固定させる。
●まず、縫い糸の端をほぐします。
そして、上記工程で塗ったボンド面の上に、ほぐした部分を広げて貼り付けます。
※なおこの時、目打ちで付けた縫い穴の所あたりに縫い糸のスタート部分が位置するように貼る。
●そのあと、さらに上からボンドを薄く塗って縫い糸を完全に固定させます。

8.上記工程のボンド面と合う部分にもボンドを塗る。
下記工程9の画像のように、小判カンを設置して革を折り曲げた時(カシメ用の穴同士を合わせた時)に、上記工程6と7で塗ったボンド面とピッタリ合う部分にボンドを塗ります。
※なお、左側の画像内で貼ってある右側のマスキングテープは、縫い穴の位置を目安に貼ってあり、左側のマスキングテープは、型紙を上手く使ってその貼る位置を決めています。

9.小判カンを設置する。
●革パーツを小判カンに通し、そのまま革パーツを折り曲げ、カシメ用の穴の位置がピッタリと合わさるようにボンド面同士を貼り合わせます。
●そのあと、4か所それぞれの縫い穴に目打ちを刺して穴をある程度大きくし、最終的には重なり合った縫い穴を一旦目打ちで貫通させて、縫い針がスムースに通るようにしておきます。

10.革の端部分を縫う。
革の端部分を糸でギュギュッと締めるようにしながら数回グルグルと巻いて革を縫い合わせます。その巻く回数は糸の太さに合わせて決める。今回は5番の糸を3回巻きました。

11.糸をボンドで固定。
●まず片方をグルグルと縫い終わったら、筒状になっている部分(小判カンの通っているところ)の中に糸を通して反対側から糸を出します。
●そして、筒状部分の中に隠れてしまうところの糸(左側画像の黄色い波括弧のあたり)の表面にボンドを塗り、ある程度固まったら、そーっと糸を引っ張って、ボンドの付いた部分の糸を筒状部分に収め、上記工程7と8の時に塗ったボンドに糸が当たるように目打ちの先などで押さえておきます。
このあと反対側の端もグルグルと縫います。

12.糸の端の始末。
両側ともグルグルと縫い終わったら、最後に糸の端を始末します。基本的には上記工程11の場合と同じような感じです。
●まず、隠れてしまう部分の糸にボンドを塗り、筒状部分に糸を通して反対側から糸を出すのですが。その前に、大体この辺かなという所の両端にマジックで印を付けておきました。
●そのあと工程11のように、筒状部分に糸を通して反対側から糸を出し、マジックで印を付けておいた範囲の糸表面にボンドを塗り、ある程度固まったらそーっと糸を引っ張ります。そしてボンドの付いた部分が筒状部分内に収まったら、上記の工程で塗ったボンドに糸が当たるように目打ちの先などで押さえておきます。
●ボンドが固まって糸が固定されたら、はみ出た糸を革の端部ギリギリのところでをカットします。
●最後に、目打ちなどを使い、糸の先3㎜くらいを筒状部分の中に折り返して(押し込んで)奥のボンドにくっ付けておきます。

13.ナスカンが納まる部分のヘリを削る。
ナスカンが納まる部分の床面側のヘリ(イラストの黒線部分)をサンドペーパーなどで少しだけ削って小さくR状に(丸めに)しておく。そしてその部分はコバ処理剤を塗って磨いておきます。

14.革のパーツ(根革)にナスカンを取り付ける。
●まず、カシメの穴を合わせるようにして革を折り曲げた時に重なる部分(銀面側)を、刃物などで引っ掻いて荒らしておく(足付けする)。
なお今回は、革パーツの先部分よりも一回り小さいテンプレートを作り、それを当てて周囲を罫書いてからその内側を足付けしました。
●そのあと、重なる部分の両面にボンドを塗り、しばらく乾燥させます。
●そして、革パーツの帯状部分をナスカンの環部分に通してから折り曲げ、カシメの穴の位置を合わせるようにしてボンド面同士を貼り合わせ、最後は穴にカシメを通し打ち付けて固定します。
以上を2セット作ります。

15.サル革(ベルトループ)を作る。
●まず平織りテープを2枚重ね、巻き尺などでその周囲の長さを計ります。
●そして11mm幅の革テープを作って「2枚重ねにした平織りテープの周囲の長さ」+25mmくらいでカットします。
●カットした革テープを「2枚重ねにした平織りテープ」に少し緩めで巻いた状態にし、重なる中心部分に目打ちを刺して貫通させます。
●その目打ちの位置に、穴あけポンチでカシメ用の穴を開けます。
●革テープの両端を丸くカットし、サントペーパーでアウトラインを整え、銀面側のヘリを落とし、コバ面と床面にコバ処理剤を塗って磨きます。
●そのあと、2つの穴を合わせると重なる部分を刃物なとで荒らし(足付けをし)、そこにボンドを塗って貼り合わせます。
そして、片面カシメで留めてループ状にしたものが「サル革」(ベルトループ)となります。
なお、このようなループ状の場合、カシメを打ち付ける時には、下側のカシメパーツの底にカシメ用打ち台を直接置くことは出来ないので、ここではループの中に3㎜厚の鉄の平板(画像奥)を差し込んでそれを台としました。

16.平織りテープの端にコキ(テープアジャスター)を取り付ける。
●まず、ストラップの長さを決めて平織りテープをカットします。今回は使用する際の最適な長さ+30cmにしました。
※なお、カットした部分がホロホロと解けないように、先端にはボンドを塗って固めておきました。
ちなみに、今回は綿のテープを使用したのでボンドで固めたけど、化繊テープの場合はライターの火で炙っておいても良い。
●そして、コキの中心の棒を平織りテープの端部分で包み、その平織りテープの先を二つ折りの状態にし、その折り曲げた部分を平織りテープと縫い合わせます。
なお縫う前には、折り曲げた部分を木槌で叩いて薄くしておきました。

17.一方の革パーツ(根革)と平織りテープを連結させる。
●まず、上記の平織りテープにサル革を通します。
●次に、革パーツ(根革)に設置されている小判カンに平織りテープを通します。
●その平織りテープをUターンさせてもう一度サル革に通します。
●そして、平織りテープをコキに通します。
※下記の作業へ進む前には、正しく組み立てられているかしっかりと確認。それぞれの裏表には気を付ける。この時点では、まだやり直しは簡単です。

18.もう一方の革パーツ(根革)も平織りテープと連結させる。
●上記でコキに通した平織りテープの先を、もう一方の革パーツと連結された小判カンに通します。
●そして、通した小判カンを平織りテープの端部分で包み、その先端を内側に折り返した(二つ折り)状態にし、重なるテープと縫い合わせます。
※なお、縫う前には裏表が正しいか確認する。

これでショルダーストラップの完成です。
今回は以上のように、平織りテープ・革・真鍮のパーツを用いてショルダーバックのストラップ(肩掛けベルト・ショルダーベルト)を手作りする様子を紹介しました。
なおこの次は、バックの本体を作る予定です。