C形鋼(Cチャンネル)と磁器レセップを使って、シンプルなデザインのテーブルランプを自作します。
メインとなるこれらのパーツは鉄製と磁器製なので素材の醸し出す表情も味わい深く、また使用するパーツすべてが昔から存在するデザインのモノなので、組み上げた時点ですでにレトロ感も漂います。
さらには、配線も丸見えで工業的なイメージのあるデザインにしてあり、クリアタイプの電球をソケットにセットすると、なんとなく真空管アンプのような雰囲気も…。
ちなみに、レセップとは台座付の電球ソケットのことでレセプタクルとも言う。
以下は、その「テーブルランプ」を手作りした際の記録です。
■建築資材として使われているC形鋼(Cチャンネル)を使用。

今回はテーブルランプのボディとして、倉庫を修繕した際に取り外した古いC形鋼(Cチャンネル)を使うことにします。

まずは平面が正方形になるようにカット。
幅が100mmのC形鋼だったので、長さも100mmにしました。
ちなみに、今回使うC形鋼は表面に装飾の塗装がなされている古いものですが、仮に新品でC形鋼を入手したとしても、多くの場合で赤茶色のサビ止めの塗装がなされています。
そしてこの手のC形鋼であれば、それらの塗装の下は、黒皮という味のある表情の酸化被膜で覆われているはずです。
ということで今回は、表面の塗装を剥がし、その下にある黒皮を剥き出しにして無骨で味わいのある雰囲気を出そうと思います。
とりあえず、サンダーなどの工具で塗装を剥がすと黒皮も一緒に剥がれてしまう恐れがあるし、塗装剥離剤を使ったとしても、場合によっては同じような恐れがある。なので今回は、バーナーで焼いて確実に塗装だけを取り除きます。
その方法としては、●まずバーナーで焼いて表面の塗装をカスカスにする。
●次は、熱々だと危険なので、触っても火傷しないようにC形鋼を常温まで冷ます。
●そして、真鍮ブラシで優しく塗装を擦り取る。
●そのあと、真鍮ブラシで擦った跡が表面に残るので、ナイロンたわしで優しくそーっと磨く。
なお、真鍮ブラシで擦る作業やナイロンたわしで磨く作業の時、C形鋼の角部分は強く当たりぎみになって黒皮が剥がれやすいので特に優しくします。

以上の作業で画像のように黒皮に覆われたC形鋼となりました。
またバーナーで焼いたおかげで、鉄の地肌色(銀色)であった切断面までも酸化被膜(黒皮)に覆われて全体が黒い塊となります。
※この画像の切断面は光りの具合で白っぽく見えていますが、実際には以下の画像たちを見ても分かるようにちゃんと黒くなっています。
ちなみに、この表面全体を覆う黒皮には多少の錆防止効果はあります。ただ、錆防止とは言っても生鉄と比較した場合であって、何も塗らずに放置しておくと錆びだらけになる場合は普通にあります。
錆の発生具合は設置する環境次第ではありますが、黒皮の表情をキープしたい場合は、防錆剤・蜜蝋・乾性油・透明合成樹脂塗料などを塗っておく。
ただこれらの防錆処理を行ったとしても、何年もの間ずっと完璧に錆止めが出来るというものではありません。処理方法によって期間の程度は異なりますが、ずっと錆びさせないためには時々同じ物を塗るなどのメンテナンスをする必要はあります。
なお今回は、今後錆びたとしても、その錆びた表情も味があっていいだろうと思い、あえて何も塗らないままにしておきました。
■それでは加工と組立てをします。

◇
【カット済C形鋼(Cチャンネル)】
【磁器製レセップ】
【トグルスイッチ】
【ゴムブッシング】
【電線】
【差し込みプラグ】
【LED電球(クリアガラスタイプ)】
画像にある以外で使用したものは…
【丸形圧着端子】
【熱収縮チューブ(絶縁チューブ)】
【はんだ】
【ボンド】
■作り方

1.穴を開ける。
まずは、C形鋼にパーツを取り付ける際の穴を開けます。
●天面中心部と側面部には電線を通すための穴。
●天面端部にはトグルスイッチを取り付ける穴。
●天面中心部の穴の両脇にはレセップを固定するためのビス用の穴。
合計5つの穴を開けました。
なおレセップを固定するためのビス用の穴は、タップを通してネジ穴にしておきました。

2.電線を通す穴にゴムブッシング。
C形鋼は鉄なので、配線を傷つけないように、電線を通す穴には絶縁体でもある保護用のゴムブッシングを取り付けておきました。捻には念を入れて…。

3.電線の先に丸型圧着端子を取り付け。
レセップに接続させる電線の先(2箇所)には丸型圧着端子を取り付けました。なお圧着端子は専用工具を使ってギューッと確実にカシメておく。
そしてそのあと、カシメた部分に熱収縮チューブ(絶縁チューブ)を被せておきました。これはレセップを取り付けるところが鉄製であるC形鋼なので、その表面と誤って接触してしまった時に通電しないようにするためです。
レセップに圧着端子を接続し、さらにそれをC形鋼に取り付けた場合(下記の工程5と6)、カシメた部分とC形鋼は構造的に離れてはいるのですが、念には念を入れて。

4.トグルスイッチと電線を半田付け。
トグルスイッチの端子がネジ止めで結線させるタイプではなかったので、端子と電線を半田付けで結線させました。
そして、この部分を裸にしたままだと、通電中に触れてしまうと危ないので、半田付けした端子部分は熱収縮チューブ(絶縁チューブ)でカバーしておきました(画像右側参照)。
なお、熱収縮チューブは、画像左側のように、半田付けする前には熱収縮させない状態であらかじめ電線に通してあります。
※ちなにみ、すべてが完成したしばらくあとで、熱収縮チューブが劣化した時のことも考え、このトグルスイッチの下部から熱収縮チューブ(端子の隠れている部分)までを覆うようにして絶縁体であるシリコンシーラントを塗り固め、さらにカバーしておきました。

5.レセップを接続。
C形鋼にトグルスイッチを取り付け、さらにC形鋼のセンターの穴から電線を通してレセップと接続させます。なお結線の際はビスをシッカリと確実に締めておきます。

6.レセップをC形鋼に固定。
レセップをC形鋼にビス止めして固定させます。

7.電線を穴から外側に出す。
C形鋼の側面に設けておいたゴムブッシングの穴から、差し込みプラグを接続させる側の電線を外側に出します。
そのあと、電線の任意の部分(最終的にゴムブッシングの所に位置する辺り)に熱収縮チューブを被せ、ずれないようにピッタリと熱収縮させておきました(画像右側参照)。

8.差し込みプラグを接続。
とにかくビスはシッカリと確実に締める。

9.ボンドで固定。
電線が移動しないよう、電線に被せた収縮チューブの所にボンドをのせて、C形鋼に取り付けてあるゴムブッシングと電線を固定させておきました。
理由は、ここでもし電線をストップさせておかないと、思いがけずに電線を引っ張る状況になってしまった場合、電線が接続してある端子まで引っ張てしまうことになって端子にダメージを与えてしまうことになるので、その防止の為です。
なお今回使ったボンドは合成ゴム系粘着剤でしたが、シリコンシーラントにしても良かったかもしれない。いずれも耐衝撃性のある接着剤です。

完成すると裸電球の状態になるので、触れても火傷しないように発熱量の少ない電球を取り付けます。
ということで今回はLED電球を取り付けました。
白熱電球の場合は、ワット数が大きくなると超高温になって危ないので、仮に白熱電球を使ったとしても5ワットくらいのミニボール球までかな…。

鉄の素朴な表情が味わい深いインダストリアルな雰囲気のあるテーブルランプとなりました。昔懐かしいデザインの磁器製レセップやトグルスイッチも渋いですし、配線が丸見えなのもいい感じです。
そして画像のように、クリアガラスタイプで温かみのある電球色ランプを取り付けると、雰囲気のある空間を演出することが出来ます。
ちなみに土台となるC形鋼は鉄なのでいつの間にか錆びているということは十分にありえます。
なので、錆のあとを付けたくない場所に置いておく場合は、C形鋼の底面にあたる所にフェルトシールなどを貼って少し浮かせておくつもりです。
以上、「テーブルランプ」を手作りした際の記録でした。
今回は、各パーツの素朴な雰囲気を残すために塗装などはしないでおきました。
また特に気を付けたのは、配線が緩んでスパークしないように、電線と圧着端子は専用道具を使って確実に止める。さらにその端子を接続する部分のネジはしっかりと確実に留める。そして半田付けの部分は緩まずに確実に固定することでした。
そしてあらゆる箇所の絶縁もしっかりとしておきました。捻を入れ過ぎということはないので…。
なお、上記の照明器具は自分個人で楽しむために作ったものです。また、本記事は電気関係のプロが記した配線の参考書のようなものではありません。あくまでもテーブルランプとしてのデザインや雰囲気などをメインに紹介している個人的な備忘録程度のものとしてご覧ください。