前回、布製のブレッドバスケット(パンかご)を作った時にふと思った。
パンを入れる為の布製バスケットがあるのなら、布製のトースト皿があっても良いのではないかと…。

バスケットの場合、“コロコロとした形のパン”を盛り付けるのには向いているけど、食パンを薄くスライスして焼いた“トースト”を盛り付けるのにはあまり向いてはいない。

ならば、物は試しと「布製のトースト皿」も作ってみることに…。


■焼きたての“カリカリ”を少しでも長く保ちたい。

いくつか試作をしてみて、まあこれでいいか!と出来たのがこのトースト皿。
この皿では、トースト(焼いた食パン)から僅かに出ている蒸気によって、パンの底が“ベッチャリと濡れる”ということがないので、表面がツルツルな普通の皿と比べると、焼きたての“カリカリ”を少しでも長くキープさせることが出来ます。

以下、イラストと画像を合わせて作り方を紹介します。

※なおこの皿は、あくまでもトーストやパン専用です。但し、汁や油などの出るパンには不向きです。

材料の寸法が記載されたイラスト
■材料

【布】… 綿の帆布(10号)

今回は、しっかりと“ハリ”のある布がいいということで綿の帆布を使用。
ちなみに、ハリの無い布でも作ってみましたが、皿の形に仕上げた時、周囲の縁(ヘリ)がベロ~ンと倒れたままでNGでした。

断裁する寸法は、
220㎜×220㎜が2枚。
160㎜×160㎜が1枚。
160㎜×200㎜が1枚。

なお、断裁する前には、水通しも兼ねて洗剤を使ってしっかりと洗ってあります。

■作り方


材料を対角線上で折り曲げた様子のイラスト

.まず、大きいサイズの布2枚を、対角線上で折り曲げる。

断裁した4枚の内で“大きいサイズ(220㎜×220㎜)の2枚”を対角線上で折り曲げます。

角部分を縫う時の場所を記載した拡大イラスト

.折り曲げた端の部分を縫う。

折り曲げたその両端部分をイラストの要領で縫います(赤の点線部分)。
※このイラストは、対角線上で完全に折り曲げられた状態での端部の拡大図です。

ここでは、縫う箇所(赤の点線部分)に、ルレット・アイロンで消えるペン・洗濯したら消えるペンなどで線を引いておくと分かりやすくて縫い易いです。

ちなみに、皿の縁(フチ)がもう少しせり上がっていて欲しい場合は、イラストで5㎜と記した部分を7・8・9㎜と数字を大きくしてゆくことでよりせり上がらせることが出来ます。
なお、このページに掲載している皿は、すべてイラストの通り5㎜で作ってあります。参考まで。

4隅の角を縫い終えたあとの様子

.4隅とも同じように縫います

もう一つの対角線でも折り曲げて、その両端も同じように縫います。
結果的に、4隅のせり上がった正方形の皿状になります。

以上の加工を、220㎜×220㎜サイズの布2枚ともに施します。

中表にして2枚を縫い合わせている様子

.中表で合わせて、周囲を縫い合わせます。

上記の2枚の布を中表で合わせ、縫い代10㎜で周囲を縫います。

なおこの時、一部分に縫わない箇所を設けます。
その縫わない箇所は、この先の[工程6]での、裏表をひっくり返す(裏返す)用の穴となります。

裏返す時にいらない4隅の先部分がカットされた様子

.4隅の先をカットします。

次の工程でひっくり返した時に、4隅の先が内側でモサモサしないように4隅の余計な部分をカットしておきます。

裏返してから縫って、さらに整えてある皿の様子

.ひっくり返して、端にステッチを入れます。

[工程4]で出来た穴(縫わない箇所)を使って裏表をひっくり返し、形を整え、全周の端に幅3㎜程のステッチを入れます。
全周の端にステッチを入れることによって、ひっくり返す際に使用した穴もおのずと塞がれます。

以上で、皿本体部分の加工は終了です。

■次に、パンを少しだけ浮かすための“リブ(立ち上がり)”の部分を作ります。
これは、パンを浮かすことによって、焼きたてパンから出る蒸気がパンの下になるべく“こもらない”ようにするためのパーツです。

材料を折り曲げる時の位置を記したイラスト

.160㎜×200㎜の布に、5箇所の折り目を入れます。

5箇所の折り目それぞれの間隔は30㎜で、それらは200㎜幅のセンターに位置するようにします。

5箇所折り曲げて、1箇所にステッチが入っている様子

.折り目を入れた箇所に1~2㎜幅のステッチを入れます。

5箇所の折り目それぞれに、1~2㎜幅のステッチを入れます。
この時、画像のように、ステッチの前後10㎜(この先の工程で縫い代となる部分)は縫わないようにします。

なお、ステッチ幅をあまり大きくしてしまうと、次の工程で、布の寸法がギリギリか、もしくは寸法が足りなくなる場合もありますので、必ず1~2㎜幅のステッチにする。

余計な部分をカットする様子を記したイラスト

.正方形になるように、両端をカットします。

5箇所の折り目にステッチを入れ終えたら、
残ったもう一枚の布(160㎜×160㎜)と同じサイズになるように、長い部分を160㎜にカットします。

材料の周囲を縫っている様子

10.中表に合わせて周囲を縫い、そのあとひっくり返します。

[工程7・8・9]の布と、残ったもう一枚の布(160㎜×160㎜)を中表に合わせて、縫い代10㎜で周囲を縫います。
なおこの時も、裏表をひっくり返す(裏返す)用の穴を設けるために、一部分は縫いません。

そして、上記工程5の時と同様に4隅の余計な部分をカットし、そのあとひっくり返して、周囲の形を整えてアイロンをかけておきます。

パンを浮かせるためのパーツ
これで、パンの下に蒸気が“こもらない”ようにする「パンを浮かせるためのパーツ」が完成です。

皿本体にリブのパーツを縫い付けている様子

11.皿本体部分に、パンを浮かせるためのパーツを縫い付けます。

以上、工程1~6で作った「皿本体部分」の上部中心に、工程7~10で作った「パンを浮かせるためのパーツ」を縫い付けたら完成です。

縫い付ける際には、パーツの端ギリギリのステッチ(コバステッチ)で縫い付けます。


■使い心地や、使い勝手は…。

テーブルの上で使用している布製トースト皿

以上、焼きたての“カリカリ”がキープ出来る「布製トースト皿」の作り方でした。

この皿は布製なので、トーストから出てくる蒸気が皿の上に水滴として溜まりません。
さらには、皿の表面にリブが設けられていて、そこから蒸気も逃がすので、普通の皿のように表面に水滴がたまって“トーストの底面がベッチャリと濡れる”ということはなくなります。
しかし、さすがに蒸気を完全に逃がすということはできないので、微妙に“しんなり”とはなってしまいますが…。

とは言え、トースト上面のカリカリ度が100だとしたら、底面のカリカリ度は90~95ぐらいはある感じなので、十分にカリカリとは言えるでしょう。
対する普通の皿の場合だと10~20ぐらいかな…。
ちなみに、これらの数字は、あくまでも手で触った時の個人的な感覚です。
また、焼いてから皿の上にのせて数分以内での場合です。 例えば、焼いて直ぐに食べないでそのまま何十分も放置しておくと、さすがに上面ですらカリカリではなくなるはずですので。

なお、この皿の弱点としては、あくまでも布製なのでシミ汚れなどにはちょっと弱いところ…。
でもそれは一般的に販売されている布製のブレッドバスケットでも同じこと。

とにかく汚れないようにパン以外のものは盛り付けない。間違っても“取り皿”としては使用しないことです。あくまでも素のパン・トースト専用で…。

また、いくら汚れないように使ったとしても、使用後は毎回キレイに洗い、しっかりと乾燥させて衛生的に保つことは必須です。


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