木製品をオイルでメンテナンス(お手入れ)する際には、よく乾性油が使われます。

乾性油には、亜麻仁・エゴマ・クルミ・ヒマワリ・紅花・紫蘇、そのほかにも色々な種類のものがあり、それらはビンなどに詰められて食用や工業用として普通に市販されています。

しかし、例えば木製スプーン2~3本をメンテナンスするだけのために、わざわざ高いオイル(乾性油)を買うのはもったいない。
もし、木製品に塗る面積が広いだとか、メンテ用に常備しておきたいとか、食用のものだったら料理に使うとか、などの使い道があればいいのですが、
余ってしまった時の使い道が決まってない場合には、購入するのを躊躇してしまいがちです。

そんなとき、スーパーなどでも普通に市販されている、食用の「クルミの実」でメンテナンスするのも良いかもしれません。
この場合だと、メンテナンス用として数個だけを使い、残りは食べてしまえばいいわけで、クルミが嫌いなら別ですが、考え方によっては経済的かもしれません。

とにかく、油の使い道が他にない場合、余った分を無駄に置いておくということはなくなります。


では、クルミの実を絞ってオイルフィニッシュのメンテナンスをします。

クルミを絞って出てくる油は「乾性油」といって 酸化すると固まる性質をもっているものなので、木製品をオイルフィニッシュでメンテナンス(お手入れ)するには最適です。

ガラスのボウルに入ったクルミの実
■材料

【クルミの実】… 数粒。
※おおよその塗れる量は、下記の工程3に記載。

クルミの実とは、種子(たね)の中にある「仁」と言われる部分で、この部分がいわゆる“木の実”として食べられています。
この実(仁)には油が豊富に含まれており、全体の約7割が油分となっております。
市販されているビン入りのクルミ油(ウォールナッツオイル)も、この実を絞ったものです。

今回は、それらに倣って、クルミの実の中から自分でウォールナッツオイルを絞り出し、それで木製品をメンテナンスをするという方法です。

その際に使用するクルミは、塩で味付けされているものや、食用油で加工されているものは不可。
その理由は…。
・まず、塩で味付けされていると、木製品に塩味が付いてしまうためです。 例えば、塩味になった皿とスプーンでスイーツは食べたくないですよね。
・次に、加工する際に使う食用油には、不乾性油や半乾性油といって「固化しない油」が使用されている場合が多いので…。

ということで、市販の「生クルミ(むきクルミ)」を材料として使用します。
もちろん、気合を入れて、殻に入ったクルミを自分で割り、殻から実を取り出してもよいですが。

■用意するもの

【布】… 薄くて丈夫なもの。今回は綿の布巾。
【潰すための道具】… 金槌、木槌、麺棒、すりこぎ棒など。
【縛るもの】… 紐、輪ゴムなど。

■無くても良いが、あったら良いもの。
【ラップ】

■メンテナンス方法


クルミを綿の布袋で包んだところ

.クルミの実を布で包み、その包んだ布を袋状にして 端の部分を輪ゴムなどで縛ります。

木製品の量に合わせてクルミを用意し、それを包むようにして布を袋状にします。
そして、布の端部分をひとまとめにして紐や輪ゴムなどで縛ります。

使用する布は、薄くて小さいほうがとうぜん油を吸収する量が少なくなります。
せっかくの油は少しでも大事にしたいので、布は薄いものを使い、さらにサイズを小さくします。
但し、次の工程で叩く時に袋が破裂しない程度で。

綿の布袋の上から叩いている様子

.布袋の上からたたいて、実を潰します。

シッカリとした台の上で、実を潰すために用意した道具(金槌、木槌、麺棒、すりこぎ棒など)を使って布袋を叩きます。
その際、あまり激しく叩く必要はありません。軽く何度も叩けば確実に潰れてくれます。

この作業の時、下に敷く台として「木製の何か」を使用したり、実を潰すための道具として「木槌、麺棒、すりこぎ棒」などの木製品を使用する場合には…。
布袋をラップで包んだ状態布袋をラップで包んでおくと、それら木製の「台、木槌、麺棒、すりこぎ棒」などに、油が吸収されて減ってしまうようなことはありません。
やはり、せっかく絞る油は、少しでも大事にしたいので…。
木製の小皿にクルミ油を塗っている様子

.布袋を木製品に押し付けて、油を絞りながら塗ってゆきます。

もし、塗っている途中で油が出にくくなってきたら、布袋をもみほぐしてやるか、再度叩いてやるかなどをすれば何度かは復活します。

今回は、クルミの実を2粒だけ潰して、どれだけ塗れるのか試してみた結果…。
・小皿 2枚。
・スプーン大小あわせて 10本。
・バターナイフ 2本。
・スパチュラ 2本。
・しゃもじ 1本。
以上を塗った時点で、ほぼオイル切れ。

木の種類や、メンテナンスの頻度によっても変わってくるとは思うので、あくまでも参考ですが、けっこうな数の木製品に塗れます。
※なお今回は、一度塗りです。

メンテナンスの後に並べられた木製品

塗り終えたものは、乾燥(酸化して固化)するまで、風通しの良い場所でしばらく干しておきます。

なお、作業がすべて終わったあとの粉々になった絞りカスは、その名の通り もうカスカスです。
以前、見た目が“きなこ”のようなので美味しいのかなと思い、ほんの少しだけ食べてみたことはあるのですが、あまり味がしなくて、まずくも美味しくもないものでした。
なので、今回はとりあえず捨てることに。
ちなみに、使用した道具と塗った木製品たちは、すべて食事や調理の際に使うキレイなものたちばかりなので、食べても大丈夫だったのかもしれませんが…。


上記以外の方法は…。

そもそも今回の目的は、クルミの実からウォールナッツオイルを絞り出し、それを木製品のメンテナンスに使おうということなので、実を潰すのはどんな方法でも良いのです。

実を乳鉢で潰している様子

乳鉢などで細かく潰す方法でも…。

例えば上記の方法のように、まず布で実を包んで、その「後に」実を潰すのではなく、
布に包む「前に」実を潰してから、その潰れた実を包むという方法でも良いです。

どちらでも結果はほぼ同じはずですので、都合の良い方で。

あと、まったくの余談なのですが、このようにすり潰したクルミをバターに混ぜるとクルミバターになりますよ。
以前、パンに塗って食べたのですが、そこそこ美味しかったです。


以上、「クルミの実」を使って、木製品をオイルフィニッシュでメンテナンス(お手入れ)をする方法でした。

ちなみに乾性油は、今回のように木製品のメンテナンスに使えますが、鉄製品(無塗装・無メッキの場合)のさび止めとしても使えます。

なお、下記のページでは、乾性油についてや、市販の乾性油を使って木製雑貨などをメンテナンスする方法も紹介しています。

ボウルに入った乾性油乾性油と、木や鉄のメンテナンスのこと

乾燥中の木製のカトラリー木製の食器やカトラリー及び調理道具のお手入れ方法


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