ワイルドストロベリー(野イチゴ)の株を植えたのが2年前。それから少しづつ株も大きくなって、そこそこ収穫出来るように…。
それでも一度に収穫できる量は、多い時で大体5~6粒。それが週に2~3回。
このワイルドストロベリーは粒の大きさが普通のイチゴよりも小さいので、食べる時のボリュームがあまり無く、少量だと満足感は極めて少なめです。
昨年などは要領が分からず、実るたびに摘んで食べていたのですが、あまりにも小粒すぎて自分でも食べたかどうだか実感が持てないほど…。
なので、今年はある程度の量をためてから、何かに加工して食べることにしようと、毎回少ないながらも収穫したそれらすべての分を、せっせとジッパー付きのポリ袋に入れて冷凍庫で保存しておくことにした…。
ちなみに、真冬は寒すぎて収穫ができない、逆に真夏は暑すぎて収穫ができない。これらのほとんどは5~7月初旬までの最盛期に収穫したもの。
暑さが収まり始める9月ごろからでも微妙に採れるので、それを加えるためにしばらく待ったが、これまで収穫した分をあまり長く冷凍庫にいれておくのも何なのでそろそろ何かを作ろうかと…。
他の方が育てているワイルドストロベリーと比較したことがないので、多いのか少ないのかは分からないが、そこそこの量(約400g)は貯まった…。
そこで、アイスにしようか、苺ミルクにしようか、ムースにしようかと色々考えたが、比較的長く楽しめるようにとジャムを作ることに…。
この量だったら大きいジャム瓶で2本ほど、小さいジャム瓶なら4~5本作るくらいの量は十分にある。 しかも、ジャムさえ作っておけば、それでアイスやムースも作れるし、また、バターやクリームチーズやヨーグルトなどに混ぜても美味しいし…。
とにかく、ワイルドストロベリーは大きな実が沢山採れるわけではありません。しかし、こうやってわずかな収穫を工夫しながら食べるのも家庭菜園をしている中でのささやかな楽しみのひとつです。
■まずは、実の表面に付いている粒々を取る。
ワイルドストロベリーの場合、実が小粒なのにもかかわらず、一般的なイチゴと同じくらいの数の粒々が表面に付いています。 そのせいで、ジャムにした場合、一般的なイチゴジャムよりも粒々の割合がめちゃくちゃ多くなってしまいます。
例えば、ワイルドストロベリーの実が、とある一般的なイチゴの1/10の大きさだったと仮定します。そして、それぞれ同じ数量の実でジャムを作った場合、当然ワイルドストロベリージャムは一般的なイチゴで作ったジャムの1/10の量にしかならないということになります。
なのにもかかわらず、実1個あたりの粒々の数が同じくらいということは、同じ量あたりのジャムの中には約10倍ほどの数の粒々が入っているジャムになってしまうということです。それだと、見た目的にも粒々が多すぎてなんだか不気味なジャムになること決定です。
なので、どうにかしてその粒々を取ることが出来ないかと色んな方法を難しく考えていたのですが、一回目のトライで意外とあさっり取れてしまいました。
但し、100%は取れません。あくまでも減らすだけです。
まあ別に、粒々は取らずにそのままでも全然いいのですが、とりあえず記述しておきます。
【事前に準備しておくこと】… ワイルドストロベリーを冷凍しておく。
※この方法は、前提として、冷凍されて実がカチカチになっていることが必要です。 今回は冷凍保存していたのでそのまま作業します。
【用意するもの】… ポリ袋
粒々の落とし方。
用意したポリ袋に冷凍されているワイルドストロベリーを入れて、袋の外から全体を軽く揉んだり、袋を振ったりして“実を擦らせ合う”だけです。
すると、ワイルドストロベリーの場合、一般的なイチゴよりも粒々が比較的飛び出して付いている感があるので、お互いが擦れあった際の抵抗でポロポロと取れ、袋の下に粒々が溜まってゆきます。
なお所々には、数個の実がくっ付き合って“かたまり”で冷凍されている箇所もあったので、そのかたまりはほぐしてから揉みました。
こんなに取れます。
このように沢山取れました。これで6~7割くらいは取れたのではないでしょうか。
もし、これが全部一緒に入っていたとすると、結構不気味なジャムが出来るのでは…。
ちなみに、もっとしつこく作業するとさらに取れるとは思いますが、全部きれいに取る必要もないでしょう。
まあ少しくらい残ったとしても、一般的なイチゴくらいになるだけのことなので…。
なお、この粒々を取る作業は、実の表面部分が解凍され始める前には終了する必要があります。
◇
●特に目的はないけれど、なんとなく粒々たちを干してみた。
植物学的にはこれらの粒々が「果実」なのであって、一般的に“苺の実”として食べられている赤いところは「花托」という部分らしい。 そしてその花托を「偽果」として食べていることになるそうだ。
※ちなみにこのページ内では、一般的に呼ばれているように、赤い食べるところ(偽果)のことを「実」と記述しています。
なお、本来の「果実」である粒々の中には「種子」が入っているらしいので、これを種として植えた場合、もしかすると新しい芽が出るのかもしれない。
気が向いたら植えてみようかな…。
しかし、あらためて見てみると、この粒々の量はやっぱり多過ぎです…。
もしこれが全部ジャムに入っていたとすると、確実に見栄えは悪いですよね。
◇
■それでは、「ジャム」を作ります。
◇
【ワイルドストロベリー】… 370g
【グラニュー糖】… 222g
【レモン果汁】… 大さじ1と1/2(約22.5㏄)
◇
【ブランデー】… 大さじ1(15㏄)
【ワイルドストロベリー】表面の粒々を取り除いたあとに計量し直すと「400g」あった実が「370g」になっていた。なんと「約30g」も粒々が取れたことに!
【グラニュー糖】一般的に、砂糖は果物の重さに対して、50%~100%の割合で加えます。
今回は、果物に対して60%の分量を入れました。
【レモン果汁】これで酸味の調整をします。上記を参考にしてあとはお好みで。
【ブランデー】入れても入れなくてもOK.
■作り方
1.グラニュー糖を、実にからませておきます。
まず、表面の粒々を取り除いた冷凍ストロベリーを鍋に入れます。
そこに、分量のグラニュー糖とレモン果汁を入れ、グラニュー糖が万遍なく実にからまる様にスパチュラなどを使って混ぜます。
このあとフタをして、しばらく放置しておきます。
2.数時間後
浸透圧で果汁が出てきて、5時間経ったらこれだけのシロップになりました。
場合によっては、一晩(8時間~10時間)ほど放置することもあるらしいのですが、
グラニュー糖が溶けて、これくらい鍋にシロップが溜まってきたら大丈夫なのではないかと…。
3.火にかけて煮詰めます。
●鍋を中火にかけ、沸騰してきたらアクをきれいに取り除き、火を弱めます。
●鍋底をスパチュラでさらうようにして、焦がさないように混ぜながら煮詰めていきます。
●ある程度煮詰まってきたところで味見をし、足りない甘味や酸味があったら、分量外のグラニュー糖やレモン汁をプラスして好みの味に調え、さらにお好みでブランデーを加えます。
なお、ブランデーを加えた場合は、ひと煮立ちさせてアルコールを飛ばします。
●冷えると糖分で少し固くなるので「ちょっとゆるいかな」というところで火を止めて終了です。
4.保存容器に移します。
ジャムがまだ熱いうちに、煮沸消毒をした保存容器に移し、冷めたら冷蔵庫で保存します。
今回は、504gのジャムが出来ました。
出来上がった色は、苺ジャムというよりも濃いラズベリーや葡萄ジュースのような色。
そして味はというと…。
出来て直ぐ、鍋の中からスプーンですくって温かい状態で味見をした時には、
口に入れた瞬間“あっ美味い”。しかしそのあと、ん…!という感じだった。
美味しいのは確かなのだが、ちょっとワイルドな味。微妙に青っぽさが残る。
その後、保存容器に詰めて冷蔵庫で数時間冷やしたものを食べてみると、青っぽさは完全に消えて無くなっていた。まずは一安心。
味を説明すると、名前はストロベリーなのに、普通の苺ジャムとはちょっと別のものです。
ラズベリーのような、グレープのような、ブルーベリーのような味。その中に少しだけイチゴが顔を出す感じ…。
これは、自分で栽培して作らないと出会えない味でした。
◇
■次は、「苺バター」を作る。
◇
【ジャム】… 60g
【無塩バター】… 60g
【塩】… 約0.3g
今回は、ストックしていたバターが無塩だったので塩を入れますが、有塩バターの場合は塩無しで。
■作り方
1.バターを泡立てる。
●まず、計量したバターは常温に戻しておく。
●柔らかくなったバターと塩をボウルに入れ、泡立て器でバターが白っぽくなるまで泡立てる。
ここでバターが白くなるまでしっかり混ぜると滑らか食感に仕上がります。
※電動のハンドミキサーを使用した方が早いのですが、今回は作る量が少ないため泡立て器を選択。
ちょっと腕が疲れました…。
2.バターにジャムを加えて、混ぜ合わせます。
1のバターにジャムを少しづつ加えて、混ぜ合わせてゆきます。
味見をしてOKなら完成。
もう少しフルーツ感が欲しい場合は、ジャムを追加するなどして調整します。
3.冷蔵庫で保存します。
最後に、煮沸消毒した密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。
ちなみに、冷蔵庫に入れて冷やした数時間後、パンにのせて食べてみました。
軽ーいクリームのような口当たりが、パンとすごくマッチしています。
とにかく、バターのコクとフールツ感が満載の、とても美味しい苺バタークリームパンでした。
以上、自家栽培での「ワイルドストロベリー」をジャムや苺バターにしてみました。
今年は400gしか収穫することが出来なかったのでチョットさみしい感じだけど、今後は株分けして増やす予定…。
なお、自家栽培しているワイルドストロベリーの品種はランナーの出ないやつ。それが2株。
実際は、今回の1.5倍ぐらいは結実していたとは思うのですが、けっこう虫たちに食べられてしまい上記の量になってしまった。
本当は、ランナーが次々と伸びてきて、勝手に株が増えていく品種のワイルドストロベリーが欲しかったのですが、苗屋さんに行ったのが少し遅い時期だったせいもあってちょうど売り切れ。
もし、ランナーのでるやつだったら、植えてから2年も経っていると株はもっと増えていたかもしれない。残念…。
まあ、あまりにも増えすぎて雑草のように草刈りをしなければいけなくなるのも大変だし、また、ほかの野菜やハーブも育てたいし、とにかく庭にも限りがあるのでこれでいいといえばいいのですが…。