クリームチーズや生クリームはたまに買うことがあるくらいで常備しているというほどではない。ましてやクリームチーズと生クリームが両方とも同時に揃っているとなると、何かを作るためにあえて揃えたという時以外はほぼないかもしれない。
そんな我が家では、思い立ってすぐに本格的なチーズケーキを作ると言うのは難しい…。
ただ、牛乳・ヨーグルトとなると常に何本かは置いてあるので“それ風”のケーキであればすぐにでも作ることは出来る。
今回は、そのような比較的安価に作れるチーズケーキ風のヨーグルトケーキを作ってみることにした。

ちなみに「ヨーグルトケーキだと脂肪分が少ないからカロリーオフになる」というジャンルのものではありません。
濃厚さやコクはちゃんと欲しいので、以下のレシピでは材料にバターを使っています。
また、バターとは分離しやすいはずの牛乳も工夫して入れてありますのでさらにコクがアップ。
黙って出されれば、チーズケーキと間違う方もひょっとするといるかもしれない…。


■クリームチーズや生クリームが無くても作れる“それ風”のケーキ。

今回は、クリームチーズの代りとして水切りヨーグルトを、生クリームの代りとして牛乳を使います。
ちなみに、クリームチーズの乳脂肪分は30%以上、生クリームの乳脂肪分は35~50%程度です。
一方、半分の重量にまで水切りしたヨーグルトの乳脂肪分は約6%、牛乳の乳脂肪分は約3.8%というように、「水切りヨーグルト&牛乳」は「クリームチーズ&生クリーム」の場合よりも、コクや芳香の素である乳脂肪分は全然少なくなります。
そこで、以下のレシピではバター(乳脂肪分は80%)を加え、濃厚でコクのある乳脂肪分の風味を足します。ただそれでも合計の乳脂肪分は「クリームチーズ&生クリーム」の場合よりも全然少ないですが…。

ヨーグルトケーキの材料
■材料(12㎝ケーキ型用)

【プレーンヨーグルト】… 160g
【有塩バター】… 10g
【牛乳】… 80ml
【グラニュー糖】… 35g
【卵】… 1個
【薄力粉】… 20g
【レモン汁】… 10ml(小さじ2)

【プレーンヨーグルト】160gから水(ホエイ)を切って、70gの水切りヨーグルトにします。
【有塩バター】クリームチーズには100gあたり0.7gの塩分が含まれていますが、プレーンヨーグルトには100gあたり0.1gの塩分しか含まれていません。なので、ここでは無塩バターではなく有塩バターを使って塩味も加えました。
【牛乳】今回は、75℃15分間殺菌のパスチャライズ牛乳を使いました。
【卵】ちなみに今回使用したものは、殻を含んだ重さが約64gのMサイズでした。
【薄力粉】20gの薄力粉は、10gずつに(2つに)分けておく。
【レモン汁】無くても美味しいです。ただ、加えた方がよりチーズケーキっぽくはなる。

■作り方


オーブンシートを敷いたケーキ型

下準備

●まず、プレーンヨーグルト160gの水(ホエイ)を切って【70gの水切りヨーグルト】を作っておく。
今回は、このページ下部に記載の方法で作りました。→ ■水切りヨーグルトを早く作りたい場合。
●その他の材料も全て計量し、常温(20~25℃程)に戻しておく。
●卵は、卵黄と卵白に分けておく。
●型の内側にオーブンシートを敷いておく。
さらに、使用した型(12㎝)が底取式なので、型の裏底をアルミホイルで覆っておいた。

ガラスボウルに入ったバターと薄力粉

.バターと薄力粉を混ぜる。

●バター10gと薄力粉10gを耐熱ガラスボウルに入れ、500Wのレンジで40秒加熱します。
●そのあと、ダマが残らない程にまで薄力粉と溶けたバターを練り混ぜます。

牛乳とバターを混ぜている

.数回に分けて、牛乳を少しづつ加えながら混ぜていく。

●まず、80mlの牛乳を500Wのレンジで10秒ほど温めます。
●そして上記のボウルの中に10~20ml程だけ牛乳を加え、ダマが出来ないようになめらかにします。

少しづつ牛乳を加えている

●そのあとも同じように、ダマが出来ないように数回に分けて、80mlの牛乳を全部混ぜていきます。
とにかく、牛乳を加えるごとに泡立て器で混ぜて馴染ませていく。

加熱して糊化した薄力粉

.レンジで加熱し、薄力粉を糊化させる。

上記のものをレンジで加熱し、薄力粉を糊化(こか)させます。方法は以下の通り。
●まず、500Wのレンジで30秒加熱し、そのあと泡立て器で混ぜる。
●そして、再度500Wのレンジで30秒加熱し、泡立て器で混ぜる。
これで、薄力粉が糊化(でんぷんが糊状になる現象)してペースト状になり、牛乳とバターが分離しなくなります。

パンやクッキーなどのような小麦粉が多くて硬めの生地であれば普通に混ぜ合わせることは出来ますが、「水分(ここでは牛乳)の多いサラサラ気味な生地」に「油分であるバター」を常温レベルで普通に混ぜるとバターが固まった状態になって分離してしまいがちです。

今回のレシピの場合は小麦粉が少なめなので、以下の材料を全部混ぜ合わせても比較的サラサラ気味になってしまうため、常温だとバターだけが固まった状態で分離しやすくなってしまいます(泡立て器やボウルにこびり付く)。
そこで今回は、上記の工程1~3のように、小麦粉(薄力粉)の糊化する特性を用いて「サラサラの原因である牛乳」と「バター」とを混ぜ合わせておきました。要はホワイトソースのようなものです。

.オーブンの予熱開始。

オーブンを【160℃】に予熱しておく。

水切りヨーグルトを混ぜるところ

.水切りヨーグルトを混ぜる。

上記のボウルの中に水切りヨーグルトを加え、泡立て器で混ぜ合わせます。

卵黄を加えている

.卵黄を混ぜる。

上記のボウルに、分けておいた卵黄を加え、泡立て器で混ぜ合わせます。

ボウルにレモン汁を加えるところ

.レモン汁を混ぜる。

上記のボウルにレモン汁を加え、泡立て器で混ぜ合わせます。

ふるった薄力粉を加えている

.薄力粉10gを混ぜる。

上記のボウルに、ふるった薄力粉10gを加え、泡立て器で混ぜ合わせます。

ツノが立つくらいのメレンゲ

.メレンゲを作る。

●まず、ボウルに卵白とグラニュー糖を入れます。
●泡立て器でカシャカシャとかき回して、ツノが立つくらいのメレンゲを作ります。

ちなみにですが、まず最初に軽く“泡雪状”程度にまで泡立て、そこからグラニュー糖を数回に分けて投入しながら泡立てていったほうが、メレンゲのボリュームを出すことは出来ます。
ただ今回は、最初からグラニュー糖を投入した状態にしてから泡を立てて、あえてメレンゲに粘り気を出してさらにボリュームも抑えました。

メレンゲを生地に混ぜている

10.生地にメレンゲを混ぜていく。

工程8の生地にメレンゲを数回に分けて混ぜていきます。ただし、泡が潰れるほどコネコネとしっかり混ぜ過ぎないこと。

型の中の生地を串で回す

11.ケーキ型に生地を入れる。

ケーキ型に生地を入れたあと、その型を1cm位上から何度か落として中の生地を均等にし、さらに串でクルクルして気泡を抜いておいた。

バットにお湯を張っている

12.160℃のオーブンで50分間、湯煎焼きする。

オーブンの天板の内側にバットを一枚置き、その中にケーキ型を置きます。そして、内側のバットにお湯を張ってからオーブンに入れ湯煎焼きします。

ケーキクーラーの上で冷ましている

13.焼き上がったら冷却。

焼き上がったら、ケーキクーラーなどの上で冷まし、そのあと冷蔵庫で冷やします。


オーブンシートを剥がす様子

今回は夕方に焼き上がったので翌日に頂きました。
2~3時間冷蔵庫で冷やして当日に頂いても普通に美味しいのですが、翌日の方がさらに美味しいと思うので…。


なお今回工夫したのは、バターと牛乳を分離させずに混ぜ合わせる方法です。

■バターと牛乳を分離させずに混ぜ合わせる方法とは。

まず1回目の試作では、何も考えずただ普通に材料を混ぜて作ってみましたが、小麦粉が少なめなレシピのせいか、すべての材料を混ぜた時、生地がサラサラ気味でどうしてもバターと牛乳が分離し、そのバターが泡立て器のワイヤー部分に樹氷のようにこびり付いたり、ボウルの内側にこびり付いたりしてしまいました…。

でも、どうしてもバターと牛乳を使いたかったので、材料の変更はしない。
ということで2回目以降の試作では、牛乳を50℃程にレンチンしてから生地に加え、さらには生地を入れてあるボウルを50℃程で湯煎をしながら混ぜることにしました。
そうすると道具の表面でバターが固まることは無くなったので、そのあとのいくつかの試作ではその方法で作っていましたが、湯煎をするのがちょっと面倒くさかったし、少し冷めるだけでバターが分離して固まりそうな感じであった…。

そこで、上記に記載した工程1~3のように、小麦粉が糊化(こか)する性質を使って牛乳とバターを練り混ぜることにしてみました。
その結果、生地が多少冷めたとしてもバターと牛乳が分離しないようになりました。

バターと牛乳が分離して悩んでいる方は、この方法を試してみると良いかも、まあレシピの中に小麦粉がある場合ですが…。
ただ、今回はこの方法を使えましたが、作るお菓子によっては不向きな場合もあるかもしれません…。


■水切りヨーグルトを早く作りたい場合。

水切りヨーグルトの作り方は色々あると思うので、それぞれのやり易い方法で作ればいいと思う。ヨーグルト専用の水切り器があればそれで…。
ちなみに、時間的には数時間とか半日とかかけて作る場合もあるけど、以下の作り方だったら15~20分くらいで水切りヨーグルトが作れてしまう。ただ、今回使用する1-4杯用サイズのドリッパー&ペーパーフィルターだと、ヨーグルト160g分の水(ホエイ)を切るのが精いっぱいかも…。

ペーパーフィルターに入ったヨーグルト

.ペーパーフィルターにヨーグルトを入れる。

●まず、絞り出したホエイ(水)を受ける容器(画像ではガラスカップ)をハカリの上にのせ、風袋引きの機能を使って表示を0にします。
そのあと、容器の上にペーパーフィルターをセットしたドリッパーをのせます。
●そして、ペーパーフィルターの中に160gのプレーンヨーグルトを入れます。

上部を折り曲げたペーパーフィルター

.ペーパーフィルターの上部を折り曲げる。

次に、中のヨーグルトを包むようにペーパーフィルターの上部を折り曲げます。

手で押してホエイを絞っている

.手で軽く押しながらホエイを絞り出す。

そして、その上に底面が平らなものをのせ、それを手で軽く押しながらホエイを絞り出します。
押さえていると、フィルターの表面側からホエイがじわじわと出てくるのが見えます。

ただ、強く押さえ過ぎると、折り畳んだところのすき間から中身が漏れ出たりフィルターがパンクしたりしますので、とにかく慎重に様子を観察しながらゆっくりと押さえ続けます。
なお、ホエイが絞られていくにつれて中のヨーグルトは小さくなっていくので、そのサイズに合わせてフィルター上部をたたみ直していくとさらに絞りやすくなります。

ヨーグルトをかき混ぜる様子

.ヨーグルトをかき混ぜる。

●途中で水(ホエイ)が出にくくなってきたら「水分の少なくなった外側部分」と「水分の多い内側部分」が混ざるようにかき混ぜ、全体の水分を均等にしてやります。そうると、再び水(ホエイ)は出やすくなります。
●かき混ぜたあとは、再びペーパーフィルターの上部を折り畳んで絞り始めます。

ホエイの量を確認している

.時々ホエイの量を確認。

時々ドリッパーを外して下の容器に落ちたホエイの量を確認し、その量が85gになるまで絞ります。

完成した水切りヨーグルト

ペーパーフィルターは約5gのホエイを吸っていますので、下に落ちたホエイが85gだとすると、ペーパーフィルター内に残った水切りヨーグルトはおおよそ70gほどとなります。
「160g-85g-5g=70g」です。
なお、多少重量が前後していてもかまいません。

今回は、15分程度で完成しました。
なお、絞り出した85gのホエイは、牛乳と混ぜて飲むヨーグルト風にして頂きました。


以上、クリームチーズや生クリームが無くても作れる、チーズケーキ風なヨーグルトケーキのレシピでした。


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