ハーブなどの植物から精油(エッセンシャルオイル)を抽出するための「水蒸気蒸留装置」を自作してみることにした。なお、副産物として芳香蒸留水(ハーブウォーター)も作れてしまいます。

庭で収穫したローズマリー

ちなみに前回、簡易的な蒸留方法を用いて庭のローズマリーから精油を取り出してはみたが、残念ながら、思っていたほどの抽出率とはいかなかった。

もとより庭のローズマリーの場合、剪定した枝をほとんど処分しているくらい大量にあるし、何度も同じ作業をすればまあまあな量の精油にはなるので、たとえ抽出率が低くかったとしてもあまり気にはならないが、仮に少ししか入手できない植物からの精油抽出となると、抽出率が低いというのはあまり好ましいことではない。
また、抽出率が低いという事は、抽出する精油の量に対しての加熱用コンロのガス効率(燃費)が悪いということでもある。

水蒸気蒸留装置のイラスト

とにかく、同じ時間と手間をかけて蒸留するのならもっと効率よく精油を抽出したい。
ということで今回は、イラスト(完成予想図)にあるような、蒸気発生部と冷却部が別々に分かれているタイプの水蒸気蒸留装置を作ってみることにした。

ちなみに、前回行った簡易的な蒸留方法の場合、水蒸気を冷却する際には大量の氷が必要だったけど、今回の方法では水道水を冷却に使うので、絶対に氷を用意しなくてはならないということもなく作業前の準備も楽である。

※前回行った蒸留方法は【簡易的な蒸留方法で、庭のハーブから「精油を抽出」してみる】のページにて詳しく。


■まずは冷却部を作る。

この冷却部は「水蒸気を液体に変える場所」です。
なお蒸留作業を行うと、使用した冷却コイル内には精油の匂いがこびり付いてしまいます。なので、冷却コイルは「ネジで取り付け取り外しが出来る構造」にし、用いる植物ごとに冷却コイルを交換することが出来るようにしておきました。

冷却部を作るパーツ
■用意したパーツ

【水道用フレキパイプ】(パッキン付き)
【アルミ製の寸胴】
【平行ニップル】… 1個
【ホースニップル】タケノコΦ16 … 2個
【ホースニップル】タケノコΦ10.5 … 1個
【ロックナット】… 4個

■作り方


外側ケース穴を開ける

.外側ケース(冷却槽)に穴を開ける。

外側ケース(冷却槽となるアルミ製の寸胴)の任意の位置に、用意したニップルを取り付けるための穴を開けます。

開けた穴の大きさはニップルのネジ部分の径よりも少しだけ小さい大きさで、レンチで回しながらニップルのネジ部分を無理やりねじ込んで嵌めるようにしてあります。

ニップルを取り付けた外側ケース

.ニップルを取り付ける。

穴を開けたところにニップルを取り付けます。
これらニップルの内訳は、このあと下記で作る冷却コイルを設置するためのニップルが2箇所と、冷却水用のホースを取り付けるホースニップルが2箇所です。
それぞれのニップルは、薄型のロックナットで内側からも固定させてあり、さらには、ニップルのネジ部と穴との隙間にはシリコンシーラントを塗って水漏れ防止をしてあります。

フレキパイプを螺旋状に曲げた状態

.冷却コイルを作る。

「両端に袋ナットが設置されている水道用フレキパイプ」を螺旋状に曲げて冷却コイルを作ります。

ちなみに、最初に用意した水道用フレキパイプは長さ100cmのタイプが1本だけだったけど、螺旋状に曲げてみると何となく短いような気がしたのでさらに50cmのタイプも1本追加してみました。合計で150cmの長さになっています。
なお、実際に蒸留作業をしたあとで思ったのですが、どうやらこの追加の50cmは無くても大丈夫だったような気がする。

冷却コイルを設置した外側ケース

.ケースに冷却コイルを設置。

外側ケースに冷却コイルを取り付ける際は、ニップルと冷却コイルの端の間に付属のパッキン(水漏れ防止用)を挟んでから、袋ナットで固定します。

なお、外側ケースに設置してあるニップルは内側から薄型のロックナットで固定してあるので、そのロックナットの厚さ分だけニップルのネジ部分が短くなっています。
なのでこのままだとフレキパイプを取り付けてその袋ナットを締めたとしても微妙に隙間が出来てしまい、その隙間から蒸気や水が出入りしてしまいます。そこでその防止策として、パッキンが通常1枚のところを2枚重ねにしてニップルのネジ部分の短さを補っておきました。


■蒸気発生部を作る。

この蒸気発生部は「精油と芳香成分が含まれた水蒸気を発生させる場所」です。

蒸気発生部を作るパーツ
■用意したパーツ

【深鍋】
【ステンレスボウル】
【水道用フレキパイプ】(パッキン付き)
【平行ニップル】
【ロックナット】
【溝ゴム】(材質:EPDM)
【ターンクリップ】… 2個

なお今回の作り方の場合、【ステンレスボウル】【深鍋】のそれぞれの開口部分には、画像のように外側に広がったヘリ部分があることが必須です。
そして、両者のヘリ部分の外径は、おおよそ同じであることも必須条件です。
なお今回の場合、鍋よりもボウルの方が多少小さくて、直径で4mmほど(お互いの中心を合わせると周囲では2mmほど)の差がありました。でもギリギリ大丈夫でした。

■作り方


ボウルの底に穴を開ける

.ボウルの底に穴を開ける。

フタの上部(ボウルの底)に平行ニップルのネジ部分を挿し込むための穴を開けます。
※ボウルは逆さまにしてフタとして使用します。

ちなみにですが、ボウル表面のピカピカが嫌だったので、このあとサンドペーパーを使って表面にヘアライン加工を施し、艶消しにしておきました。下の深鍋とお揃いにもなるし…。

平行ニップルを取り付ける

.平行ニップルを取り付け。

画像のように、上記で開けた穴に平行ニップルを嵌め、内側からロックナットで固定しておきました。

ボウルにフレキパイプを取り付け

.水道用フレキパイプを取り付け。

フタの上部に、冷却部と繋げる際の形に加工したフレキパイプを取り付けます。
もちろん、平行ニップルとフレキパイプの間には、フレキパイプに付属のパッキンは挟んでおきます。

鍋とボウルのヘリを溝ゴムで覆う

.蒸留する際には…。

蒸留する際には、鍋にフタ(ボウル)を被せ、その鍋とフタの開口部にあるヘリ同士が重なった部分を「溝ゴム」でぐるりと覆い、その溝ゴムの両端をターンクリップなどで留めておきます。

この溝ゴムの目的は、鍋とボウルのズレ防止と蒸気の漏れ防止(密封)です。

組み立てた蒸気発生部

画像ように組み立てて蒸気発生部として使用。
なおこの中には下記の蒸しカゴも設置します。


■蒸しカゴを改造。

蒸気発生部の底に設置する蒸しカゴの脚を長くします。

改造した蒸しカゴ

「水蒸気を発生させるための水」を鍋の底にタップリと入れることが出来るようにと、高さ3cm弱しかなかった蒸しカゴ(ハーブを置く場所)の脚を、長さ6cmのM4ボルトに取り換えておきました。

脚の高さが3cm弱しかないと、蒸しカゴの下には2cm位しか水を入れることが出来ないので、空焚き状態にならないか心配しながら作業することになりますが、脚の高さを6cmに伸ばす改造をした後だと蒸しカゴの下には5cm位の水を入れておけるので安心感は増します。


■以上を組み合わせて精油と芳香蒸留水を抽出。

以上の「蒸気発生部」と「冷却部」を組み合わせて精油と芳香蒸留水を抽出します。

セッティングされた状態のイラスト

水蒸気蒸留装置として使用する際は、このイラストのようにセッティングします。

それぞれの役割としては、
●まず、イラスト左側の「蒸気発生部」からハーブの芳香成分と精油を含んだ水蒸気を発生させる。
●次に、中央の「冷却部」で結露させることによって水蒸気が液体(精油と芳香蒸留水)となる。
●最後に、液化した精油と芳香蒸留水を、右側の「オイルセパレーター」で受けて分別します。

なお、今回使用しているオイルセパレーターも自作です。その作り方は次回の【精油を抽出するための「オイルセパレーター」を自作】のページを参照。

ホース3本と泡沫アダプター

上記イラストの通り、冷却部の外側ケース(冷却槽)に設けた2箇所のホースニップルにはそれぞれホースを取り付けます。
その内訳は、下部のホースニップルには「冷却水の入口用ホース」、上部のホースニップルには「排水の為の出口用ホース」となります。
なお、今回は冷却水として水道水を使用しますが、使用する場所にある水道の蛇口が、先部に泡沫キャップが付いているタイプだったので「冷却水の入口用ホース」を直接繋ぐことは出来ませんでした。
ということで、その泡沫キャップを取り外し、代わりに蛇口とホースと繋ぐために泡沫アダプター(右画像)を取り付けてホースを設置しました。

そして3本目として、蒸留した液体(精油とハーブウォーター)の出口となる、冷却部の下部に設置されているホースニップル(タケノコ径10.5mm)には、蒸留した液体をオイルセパレーターまで誘導するための細いチューブを取り付けます。

■蒸留開始


鍋の底に水を入れる様子

.水またはお湯を入れる。

鍋の底に蒸気の元となる水かお湯を入れます。
今回は水2リットル入れておきました。
※この量は、このあと入れる蒸しカゴの底面ギリギリくらいの量です。

鍋底に蒸しカゴを設置

.蒸しカゴを設置。

鍋の中に入れるハーブが鍋底の水に浸らないようにするための、脚の付いた蒸しカゴを置きます。
※この蒸しカゴは、上記したように脚を高くする改造が施されております。

鍋の中に詰めたローズマリー

.ハーブを詰め、フタを被せる。

蒸しカゴの上に載るように鍋の中にハーブを詰めます。今回は600gのローズマリーを用意しました。

そのあと、鍋にフタ(ボウル)を被せ、その鍋とフタの周囲にあるヘリ同士が重なった部分を溝ゴムで押さえます。

蒸気発生部と冷却部の連結状態

.蒸気発生部と冷却部を連結。

冷却部の外側ケース(冷却槽)に設けてあるニップルに、蒸気発生部の上部に設置したフレキパイプを連結させます。

冷却槽に溜めた冷却水

.冷却槽に冷却水を溜める。

冷却水である水道水を、冷却コイルを冷やすための冷却槽に流し込んて溜めておきます。

加熱している蒸気発生部

.加熱を開始。

蒸気発生部を加熱して蒸気を発生させます。
今回は中火~弱火の間で加熱してみました。

水の中にある冷却コイル

.冷却水を流しっぱなしにする。

溜めておいた冷却水の上部付近が温かくなてきたら、冷却水(水道水)を流しっぱなしにします。

ホースが設置されている冷却槽

画像の状態は、冷却コイルを冷やすため、下部の網入りホースから常に冷却水を流し入れた状態にし、上部の透明ホースから排水しています。
ちなみに、画像ではまあまあ勢いよく流れていますが、このあとかなりチョロチョロにしました。
なお、水道水を流しっぱなしにしておくというのは勿体ないというのであれば、面倒だけど2~3分くらいおきに水を流したり止めたりして常に水を冷たくしておく。
これは、様子を見ながらで…。

ちなみに、この冷却水の排水は全く汚れていないキレイな水です。
なので、このあと洗い物などに使う用として、排水ホースの先には容器をおいて溜めておきました。

精油とハーブウォーターが出来ている

.しばらくすると精油が…。

初めの頃はオイルセパレーターの筒部分が満タン(50ml)になっているのにもかかわらず、精油が一切見当たらなくて心配でしたが、途中から見る見る精油が溜まっていくようになりました。

精油が溜まっているオイルセパレーター

.精油の量が増えなくなったので終了。

ある程度の精油が溜まったら、そこから先はあまり増えなくなってきたので、コンロの火を消して蒸留作業を終了としました。
また、長く蒸留作業をし過ぎて、鍋の水が空になるのも嫌だし…。
なお、蒸留時間のほうは1時間くらいでした。
※とにかく、空焚きには絶対にしないこと。

ちなみに今回は、蒸留を開始する時点で鍋の底に入れておいた水が2リットル(2000ml)。そして、終了時点でビーカーとオイルセパレーターに入ってるハーブウォーターが合計で500mlほど。なので、鍋の底にはまだ余裕で水は入っているはずです。


■オイルセパレーターから精油をとり出します。

オイルセパレーターに溜まった精油とハーブウォーター(芳香蒸留水)を別けます。

精油をスポイドで採取

スポイドで採取。

オイルセパレーターのシリンダー上部に溜まった精油を、スポイドを使って吸い取っていきます。
この時、下の層のハーブウォーターは吸い取らないように意識を集中。

なお、上下の層のギリギリ境目を吸い取るとハーブウォーターも混ざってしまうので、残り少ない最後の部分の精油はあきらめる。

スポイド内で分離した精油

最後の部分の精油をあきらめたくない場合は。

●まず、最後の最後の残り少なくなった薄い精油の層を下のハーブウォーターごと吸い取ってしまう。
●すると精油とハーブウォーターは、画像のようにスポイドの中で上下に分離します。
●そして、下層のハーブウォーターと精油の下部分をちょっとだけ吐き出すと、スポイドの中には精油だけが残るので、それをビンに移していく。

ただこの方法では、ハーブウォーターが混ざってしまう可能性はあります。
もしハーブウォーターが混ざってしまったら(移したビンの底に水の玉が溜まっていたら)、面倒だけど、もう一度オイルセパレーターに戻してやり直す。

抽出した精油とハーブウォーター

今回は最終的に、3ml強の精油と約550mlのハーブウォーターを抽出しました。
つまり、原料として使用したローズマリーの量は600gだったので、ローズマリー100gあたりの精油抽出量は0.5mlとなります。
ということは、前回行った簡易的な蒸留方法(ローズマリー100gあたりで0.25ml)よりも確実に効率は良くなっています。
そして、今回とれたハーブウォーターは白く濁っていて前回よりも少し濃いような気がする。(前回は完全な無色透明だった。)


以上のように今回は、水蒸気蒸留器を自作して庭のローズマリーから精油(エッセンシャルオイル)と芳香蒸留水(ハーブウォーター)を抽出してみました。
なお次は、アップルミントやタイム、セージ、紫蘇などの、庭で繁殖している植物の精油を抽出してみようかと思う。
さらにいずれはラベンダーを繁殖させて、そこからも採取する予定。


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