何年か前に、一度だけみかんの皮を使ってミカン醤というものを作ったことがありましたが、
その時以外、みかんを食べる時に剥いた皮はあたりまえのように捨てていました。

そのような中、カレー粉を手作りしようと調べていると、材料に「陳皮」というものがあって、それについてさらに調べてみたところ、温州みかん(またはマンダリン)の皮を乾燥させたものであると。

どうやらこの陳皮、けっこう使い道があるらしく。
例えば、漢方薬の材料になるほど体に良いとか、料理の隠し味やスパイスになるとか、お茶にもなるとか、酒に浸しておくと陳皮酒になるとか、お風呂の入浴剤にもなるとか、その他色々…。

そんなにも使い道があるのならと、カレー粉を手作りするついでに陳皮も手作りしてみることに。


■まず、皮に付いている不要なものを落とします。

テーブルの上のみかん

スーパーなどで市販されている温州みかんの場合はほぼ日本産で、輸入レモンや輸入オレンジのように、防カビ剤までもが付いているという程ではありませんが、農薬に関しては結構な割合で付いているとおもいますので、まずそれを落とします。

中には無農薬のものもあるとはおもいますが、明記がなくて分からない場合は、念のため、処理しておくに越したことはないでしょう。
とにかく、流通過程で付いた汚れも落ちるし、除菌や殺菌にもなるし。

調べてみると、「剥いたみかんの皮」から農薬を落とす方法には色々なものがありました。
その方法としては、「茹でる」「熱湯をかける」「水に数時間さらしておく」というものが。

そのほかには、「剥いたみかんの皮」だけに限定せずに、果物全体についていえば、
「野菜・果物専用の洗剤で洗う」「重曹水で落とす」「水酸化カルシウムで落とす」「塩水で落とす」「酢で落とす」「米ぬかで擦る」などという方法もありました。

しかし、どうしても農薬が嫌ならば、パッケージなどに「無農薬」や「有機栽培」と明記されたみかんを使うのがベストでしょう。
とうぜん、無農薬みかんならば、簡単に洗うだけで良く、下記の農薬を落とす工程は要りません。


■まず「皮を剥いてから茹でる方法」で試してみます。

茹でた状態のみかんの皮

「みかんの皮」の農薬を落とす、という方法を調べてみたら、「皮を剥いてから」というものが多くありました。
つまり、「みかんを食べた際に出てきたもの」という位置づけなのでしょう。
ですので、それらの多くあったものたちと同じように、まず最初は皮だけにして試してみます。

そして、農薬を落とす方法は…。

まず、「茹でる」「熱湯をかける」「水に数時間さらしておく」などという方法がありました。

水に数時間さらしておくという方法は、気のせいかもしれませんが なんだか弱いような気もします。
農薬の中には熱で分解されるものもあるらしいので、一番落ちそうなイメージのある「皮を茹でる」でまず試してみます。

その方法は、鍋に水を入れて沸騰させ、その沸騰水で1分間茹でるというものです。

試した結果は…。

沸騰水で茹でたので、とうぜんフニャフニャにはなります。まあそれはそれで良いのですが、
皮の裏の「白いスポンジ状の部分」が水分を吸収し、結構ベチャベチャな状態になってしまいます。

なので、干す前には、その水分をクッキングペーパーなどで拭き取ることになるのですが、
その水分を拭き取ったクッキングペーパーがかなり黄色い状態に…。
ということは、大事な成分がまあまあ煮出されてしまったのか…?。

あとで陳皮茶にもしたいし、その時に色も濃く出したいし、これでいいのかなぁ?という感じ。


■次は、皮を剥かないで。

内側のスポンジ状部分のアップ

ご存じの通り、皮の内側は白いスポンジ状になっています。
つまり、上記の方法のように「皮だけにした状態」だと、お湯で茹でないで たとえ水に浸けるだけだとしても、そのスポンジ状の部分はけっこう水分を吸収します。

そして、その吸収した水分をキッチンペーパーなどで拭いて取り除くという作業は結構面倒ですし、乾燥もおそくなる。そして、カビもはえやすくなる。
また、皮の内側からは大事な栄養成分が逃げてゆきそうです。

よく考えてみると、浸透性の農薬でない限り、農薬はみかんの表面に付着したままです。
ということは、皮は剥かずに「丸のままの状態」で農薬を落とす作業をし、そのあとで皮を剥くという方法でも良いのではないか。

そうすると、剥いた状態の皮のようにペラペラではなく、みかんの塊のままなので、両面から火が通った茹り過ぎのフニャフニャ状態にはなりにくい。
その上、直接お湯に触れるのはみかん表面だけなので、内側から栄養成分が流れ出ることはないはず。

さらに、内側にある白いスポンジ状の部分が水分を吸収してしまうということがないので、キッチンペーパーなどで水分を拭いて取り除くという面倒な作業が要りません。

また、その白いスポンジ状の部分に、水分以外の何かほかのものが吸収されるということもないので、「みかんを皮だけにした場合の落とし方」に限定されることもない。
つまり、「野菜・果物専用洗剤」「重曹水」「水酸化カルシウム」「塩」「酢」「米ぬか」なども使用可能ということです。

なので、次の作り方では、みかんの皮は剥かないでおくことに。

それでは、陳皮を作ってみます。

みかんの表面を洗っている様子

.スポンジたわしなどで落とせるものは、なるべく落としておきます。

まず、スポンジたわしなどを使って、みかんの表面に付いている余計なものを ある程度落としてしまうというイメージで擦ります。
とにかく、農薬だけではなくワックスが付いている場合もあるかもしれませんし、また、流通過程では目に見えない汚れも付いているはずなので。

その際に、よりキレイに落としたいという場合は、果物や野菜にも使用可能となってる 天然成分100%の洗剤などを併用しながら洗うとより良いかも。
そのあとはもちろん、付いた洗剤は流水でキレイに落とすこと。

なお、洗う前には「へた」は取っておきます。
その隙間には農薬などが入っているらしいので。

丸ごとお湯で茹でている様子

.お湯に浸ける。

農薬は、熱で分解されるらしいので、お湯に浸けて落とします。

しかし、100度の沸騰水に浸けることで、中の実まで茹ってしまうのは嫌なので、浸けるお湯は80度程にする。
お湯に浸ける時間は、1分ぐらいで。

※なお、温度計を使用しないで、お湯を「希望の温度」に調節する方法は、▼下部にリンクがありますのでご興味のあるかたはどうぞ。

お湯から取り出した後は、みかんの実が茹らないように流水に浸けて一気に冷やします。
結果的には、皮がちょっとだけフニャッとなりますが、あとで、中の実を確認したら普通でした。

水にさらしている様子

.水にさらしておく。

アルカリ性を有する「重曹(タンサン)」を混ぜた水にさらしておくと、酸性の農薬は中和されるという話もありましたので、まず最初は重曹水を作り、その中に10分間さらしておきました。

重曹水は、水の量が1.5リットルに対して、重曹が大さじ1です。
※重曹(タンサン)は必ず食用のものを使用。

この、重曹水にさらすという方法には、効果があるという意見と、効果は無いという意見がありましたが、今回は効果があるという側の意見を信じてみることに…。
念のため、良いと言われていることはなるべくやっておこう。

なお今回は、「普通の水に数時間さらしておく。」という方法も 追加で採用。

ということで、上記の重曹水の中からみかんを取り出し、流水でキレイに洗った後、さらに4時間ほど真水にさらしておくことに…。
その間は、時々新しい水と入れ替えてやると良いらしいので、気が付いたら途中で何度か水を交換。

ザルに干している様子

.皮を剥いて、網やザルなどに広げて干します。

水から出して表面の水分をよく切ったあと、
皮を剥いて、好きなサイズ・形にし、網やザルなどに広げて3週間ほど干します。
今回は、1cm幅ほどの細長い形にカットしました。

本来、薬用目的とする陳皮は、1年や3年程かけて乾燥させて薬効成分を生じさせるらしいのですが、
今回は漢方薬を作るわけではなく、あくまでも食用目的なので、とりあえず3週間ほど乾燥させるだけの簡易的な陳皮にしておきます。
まあ、薬効成分は無いにしても、それなりの栄養成分とそれなりの味や風味はあるはずです。

ちなみにですが、肝心のみかんの実は、そのまま普通においしく頂きました。

密閉容器に詰めたところ

.容器に入れておく。

カラカラに干せたら、乾燥剤を入れた密閉容器に入れて保存しておきます。


■陳皮の使い方は色々

急須で蒸らしているところ

陳皮は、料理の隠し味にしたり、お茶にしたり、お酒に浸したり、お風呂の入浴剤にしたり、その他使い方は色々とあるようです。
なお、七味唐辛子の材料の一つでもあるらしい。

今回は、自家製のカレー粉に入れるための、パウダー状のスパイスにするために作ったのですが、
とりあえず、すりつぶさない状態のままで、陳皮茶も作ってみました。

飲んでみた感想としては…。
想像では、みかんの味がけっこうするのかなと思っていたのですが、どちらかといえば普通のお茶に近い感じでした。

そのほかには、紅茶葉に陳皮を加えて一緒に蒸らした「陳皮ティー」。また、お酒に漬けて栄養成分を染み出させた「陳皮酒」にしてもいいようです。

そして次は、パウダー状に。

乳鉢でパウダー状にした状態

パウダー状にするために、まず、すり鉢と乳鉢を使ってすりおろしてみたのですが、
これが硬すぎて、まったくすりろせるような気配がありません。 硬いといっても、グニャッ!と曲がる、粘っこい?ような硬さです。

やはり、乾燥期間がまだ短かったのかもしれないと思い、電子レンジでチンしてさらにカリカリにし、ポキッと折れるほとまでに“追い乾燥”。
すると、きれいにすりおろせるようになりました。

とはいえ、レンチンし過ぎると焦げてしまうので注意は必要です。
レンチンの仕方としては、
①.1回のチンは、500~600Wで15~30秒ほど。
なお、このレンチン中は、焦げないようにガラス越しに確認しながら。
②.チンが終わったら取り出して、ポキッと折れるかどうか、硬さを確認する。
そして、以上の①②を納得のゆくまで数回繰り返すという感じでしょうか。 もちろん、1回でいい場合もあるかもしれません。

また今回は、ミキサーを洗って片付けるのが面倒だったので、すり鉢と乳鉢を使ってすりおろしましたが、おそらくミキサーでもパウダー状には出来るとおもいます。
ただし、その場合でも“カリカリであること”が前提のはずです。

ヨーグルトと陳皮

そして、パウダー状にしたらヨーグルトに入れても美味しいですよ。

まず最初に、パウダーを少しだけ入れて味見をしてみたのですが、あまり味の変化は感じられず。

な~んだ!と思いながら、ヨーグルトが思いっきり黄色くなるまで入れ、さらにパウダーシュガーも一緒に入れたところ、けっこう美味しい「みかん味のヨーグルト」になりました。

さらにその中に、細かくほぐして粒々になったみかんの実を追加しても、たぶん美味しいはず。

ちなみに、今回作ったのは簡易的な陳皮です。
1年とか3年とかかけて乾燥させた、本格的な陳皮の場合はどうなのか分かりません…。


以上、「スポンジたわしで擦り」「お湯に浸けて」「重曹水にさらし」「水にもさらして」、陳皮を作りましたが、
上記での農薬を落とす方法以外には、先ほども述べたように、野菜・果物専用の洗剤で洗う方法や、酢や塩水や米ぬかで落とす方法、また、水酸化カルシウムで落とすという方法もあるようです。

その、水酸化カルシウムで落とす方法というのは、
ホタテ貝やホッキ貝100%で作られた天然カルシウム100%の粉(成分的には水酸化カルシウム)を水に溶かし、そこに野菜や果物をしばらく浸けておくというものらしいです。

いずれにせよ、今回紹介されている作業は面倒だ。また、農薬が完全に落とせるのかが心配。というのであれば、やはり「無農薬みかん」や「有機栽培みかん」と明記されたものをセレクト。で!

▼下のページでは、上でも記しましたように、希望の温度のお湯を作る方法を紹介していますので、ご興味のあるかたはどうぞ。


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