料理のレシピを見ていると、調理の方法として湯煎をするという状況になることがたまにあります。

そして、その湯煎をする際に「お湯の温度を○○℃にする」という場合がありますが、その場に温度計が無い場合、ほぼ勘で調理してしまうか、もしくはそのレシピをあきらめてしまうか、のどちらかではないでしょうか。
また、コーヒーや紅茶などには「淹れる時の適温」というものもありますが、ほぼ無視の場合もあるかとおもいます。

そんな時、温度計が無くても、お湯の温度を「好きな温度に調節」できる方法があれば良くないですか。

また、湯煎をする時に、仮に温度計を持っていたとしても、温度計を使わないで 最初から「希望の温度のお湯」が作れてしまうと、
その「作った温度のお湯」に、「湯煎するもの」と「確認のための温度計」を浸けるだけで、そのまま直ぐに湯煎を開始することが出来るので便利です。

以下では、その「希望の温度のお湯」の作り方を紹介しています。


まずは、「出来るお湯の温度」を導き出す「計算式」を説明します。

まず、お湯の最高温度は、沸騰した状態での【100℃】です。
そして、【100℃以下】のお湯を作りたい場合、【100℃の沸騰水】に【冷たい水】を加えると作れるわけですが。
その時、【沸騰水】に【何度の水】を【どれだけの量を加えるか】によって、出来上がるお湯の温度は異なります。

沸騰したお湯に水を入れている様子

下記の計算式は、100℃の【沸騰水】に、【任意の温度の差し水】【任意の量】加えると、その100℃の沸騰水が大体何度ほどになるのかを導き出すためのものです。
この計算式通りに【沸騰水】と【水】を混ぜ合わせた場合、それが【何度のお湯】になるのかの結果が分かります。

■計算式
お湯の温度を求める計算式
例えば、沸騰水を1000g 用意し、そこに16℃の水道水を500g(cc)加えた場合、
下記がその水温の求め方となります。
計算例
つまり
計算例の途中
になるので
計算した結果
となります

なお、計算するのが「めんどくさい」という場合、以上の計算式はスルーをしても大丈夫です。
下の方に、ほんの数パターンですが、「計算済みの早見表」を作っておきました。
計算済みの早見表
ただし、当てはまる条件が無い場合は、面倒かもしれませんが上記の計算式に当てはめて計算してみて下さい。


下記の「計算済の早見表」を見る前に…

●水道水の温度は…

水道水の温度は気温によって変わる為、とうぜん夏は高くて冬は低くなりますし、その日の天気や環境によっても変わります。
例えば、思い出してみると、
「真冬の水道水」での食器などの洗い物は、手が痛くなるほど冷たいことがあるけど、
「真夏の水道水」を直接コップに入れて飲むと、氷を入れたくなるほど生ぬるいことがあるように、
「水道水の温度は〇〇℃」と、一概には言い切れません。

参考までに、東京都でのある年の水道水の水温を調べてみると、[1月・約7℃][8月・約27℃][年間平均・約16℃]でした。

水道水の温度を計測

●水道水よりも安定した温度の水は…

水道水は、「季節」「住んでいる地域」「その場所の環境」「時間」その他の色々な条件によって水温が一定ではありません

蛇口にたどり着くまでには、水道管を通ってくるわけですが、条件がほとんど同じような隣り合う建物でも、「2階建ての1軒屋」と「超高層のマンション」とでは途中の水道管の環境が全然違う場合もありますし。また、同じマンション内でも1階と最上階とでは違う場合があるとおもいます。さらにマンションの場合は、独自の貯水タンクを経由してくる場合もあります。
そのほかにも、環境が与える影響によっての水温の違いは色々とあるはずです。
もし、水道水よりも安定した温度の水が欲しい場合は、ただ単に冷蔵庫で冷やしておいた水道水を使うと良いでしょう。


それでは、以下が「計算済の早見表」と、その説明です。

■「水道水」(蛇口から出てきて直ぐの水)で調節する場合での計算

●クーラーを入れないと耐えられないほど暑い日の場合、水温を【27℃】として仮定。
●ヒーターを入れないと凍えそうなほど寒い日の場合、水温を【7℃】として仮定。
●どちらを入れないでも過ごせる日の場合、水温を【16℃】として仮定。 今回は、この温度で計算した早見表(下記↓)を作りました。

水道水の温度を16度で計算した表
A+Bの結果は、小数点以下を四捨五入しています。

※仮定した水温【27℃・7℃・16℃】と、実際の水温とでは、多少前後する場合があるかとは思います。 なお、環境によっては、かなり温度が違う場合もありますので、あくまでも参考としてみて下さい。
もし、かなり違うと考えられる環境の場合は、下の項の《「冷蔵庫で冷やした水」で調節する場合での計算》を参考にしてもよいかもしれません。

■「冷蔵庫で冷却した水」で調節する場合での計算

この場合、1年中安定した水温の水を用意することが出来ますので、水道水の温度がわからないという場合には良いかもしれません。
但し、水を冷蔵庫で冷やす、という作業が一つ増えてしまいますが…。

●水を冷蔵庫で冷却した場合の水温は、基本【5℃】として計算します。その早見表が下記↓です。

冷蔵庫で冷却した場合の5度で計算した表
A+Bの結果は、小数点以下を四捨五入しています。

※今回、水を冷蔵庫で冷やした場合の水温を【5℃】にしましたが、この水温は冷蔵庫の設定によっても多少変わるかもしれません。 しかし、あくまでも物を冷やすためにある冷蔵庫なので、違っても誤差2~3℃程度ではないでしょうか。
もし、極端に異なる場合は、冷やす時間が短すぎるか、冷蔵庫に物を詰めすぎか、冷蔵庫に異常があるか、また、そのほかに何か理由があるかもしれません。


ちなみに、水を沸騰させると「その量」はどうなるのか…

以上では、計算の基となる「任意の必要な量の沸騰水」(上記では1000g)を用意する必要があるのですが、
まず「水1000g」を沸騰させても、「1000gの沸騰水」にはならずに多少減ってしまうというイメージがあります。
では実際、どれ位の量になるのか 簡単な実験をして調べてみました。

それでは実験です。
※なお、今回は「温度計が無い場合には…」がテーマなので、沸騰した状態の確認は、目と耳だけですることにします。

■まずは、鍋蓋をしない場合。
●まず計量カップで1000g(cc)の水を計量し、
(水は、19℃の水道水を使用。)
●その水を直径20cmの鍋に入れて、
●鍋蓋をしないまま強火にかけ、
●泡が大きくなってきて、音を立てながらブクブクと沸き立ってきたら、「直ぐに」計量カップに戻して「はかり」で計量する。
これを3回行いました。
その3回の「沸騰水の重量」の平均は、約960gでした。

■次に、鍋蓋をした場合。
条件は、上記とほぼ同じで、違いは、最初から蓋をするかしないかだけです。
中が確認出来るようにガラス蓋の鍋を使いました。
なお、使用した鍋と蓋の密閉具合は普通だと思います。
そして、このテストも3回行いました。
その3回の「沸騰水の重量」の平均は、約980gでした。

お湯をはかりで計量

■さらに、確認のために…。
なお、鍋を火にかけたまま、「グラグラと煮立った状態」を長く放置しておくほど、蒸発する量は増えるはずです。
それを確認したいので、
●鍋蓋をしない状態で1000g(cc)の水を沸騰させ、
●そのまま3分間沸騰した状態のまま放置しておく。
するとどれくらいの量になるのか、1回だけですがテストをしてみました。
その結果は、約850gでした。
やはり、けっこう蒸発して(減って)いました。

■つまり、結果としては…
「沸騰を確認した直後」の場合だと、水(お湯)の量は、あまり極端には減っていないということでした。
●しかし、上記の通り「蓋をした場合では20g程」「鍋蓋をしない場合では40g程」は、確実に減ってはいます。
もし、「沸騰水の温度調節をする際」に、それが気になる場合は、鍋を火にかけて水を沸かし始める前に「減る予定の水量分」を多目に加えておいても良いかもしれません。
●そして、「沸騰水の温度調節をする際」には、水が沸騰したのを確認したら「直ぐに、温度調節用の水を加える」のが良いかと思います。

※これは、あくまでも自分でテストしてみた結果です。
水の量、水の最初の温度、室温、使用する鍋やヤカンの開口部の面積、火力、テストの方法、その他によっても蒸発する量は異なります。
ただし、条件に極端な違いが無い限り、結果にそれほど違いはないとは思います。


あくまでも参考までに…

ちなみに、計算式による例や早見表などの温度は、計算上のものです。
「使用する道具・器具や、作業を行う部屋の温度(空気)」と、「沸騰水 や 水」との熱の交換はありますし、その他いろいろな事情にも温度の変わる原因はあります。
また、計算の基となる沸騰水の量などの条件も、タイミングや環境などによっては変わります。
ですので、あくまでも参考としてみて下さい。

※なお、沸騰水は大変に危険なものです。体に接触すると火傷します。
それは、使用する道具や器具でも同様のことです。
いずれも大変に危険なものなので、まずは、火傷をしないように十分に注意して作業することが最重要です。


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