表面のなめらかな本格的な石鹸を、苛性ソーダを使うことなく作ることが出来たらよくないですか。

以前に、石鹸の塊を細かく削って、それを固め直すという方法で手作り(リメイク)したのですが、
どうしても表面がゴツゴツとしてしまい、求めている物とは違う。 できれば、お洒落な雑貨屋さんなんかにあるような、苛性ソーダを用いて作られた感じの 表面が「なめらか」なものを安全に作りたい。
そう思って、色々と調べていくつか試してみました。 その結果、自分なりにですが満足のいくものが出来るようになりました。 以下は、その時の備忘録です。

使用する材料としては、パーム油がベースの、石鹸素地100%で出来た既存の石鹸を使用します。
なお、すべての種類の石鹸で作れるのかどうかは分かりません。


まず、どうしたら「なめらか」になるのかを、色々と試してみました

細かく削った石鹸

既存の石鹸を材料とした場合、どうしたら表面がゴツゴツとせずに「なめらかで均一」なものを作る(リメイクする)ことが出来るのか、
3つのパターンを試してみました。
ちなみに、作り直したり リメイクしたりすることをリバッチというらしいです。

まず基本の材料は、以前に「手でこねて」手作りした時と同じように、石鹸を細かく削ったものを使用します。

条件としては、細かく削ったものを各50gずつ用意して、そこに水分を加えてから、3パターンのそれぞれの方法で作ります。

パターン(ふやかしてから潰すだけ)

以前に、「手でこねて」作った時と同じ方法です。 ただし、ふやかす時間をかなり長くしてみました。
まず、材料をポリ袋に入れて、素地と水分をある程度均一に混ぜてから、水分が蒸発して乾燥しないように、空気とは遮断した状態で2日間寝かせて素地をふやかしました。
その理由は、よくお風呂の中に濡れたまま石鹸を置いておくと、ふやけて少し溶けた状態になってしまいますが。
それを利用して、少しでも素地の「ツブツブ感」を無くし「なめらかで均一」な見た目にすることが出来ないかというものです。

結果は…。以前とそれほど変わりませんでした。

↓以前作った方法はこちら
最も簡単な、ハンドメイド石鹸の作り方
パターン(電子レンジで溶かす)

熱を加えると、軟らかくなって「なめらか」に出来るらしいので、ボウルに材料を入れて、レンジで加熱してみました。
すると、少し透明っぽくなり 軟らかくもなってきたので、よし!これでなめらかになるぞ!と思ったのですが、
その後、冷めてくると、レンジでチンしていない時よりも逆に硬めになってきて、練れば練るほどボロボロともろくなり固まり難くなってしまいました。
失敗したかなと思ったのですが、ただ単に加熱不足だったようで、さらに加熱をするとしっかりと溶けてくれて キレイなものが出来ました。

詳しい作り方(下に移動)
パターン(湯煎して溶かす

次は、湯煎でも軟らかく「なめらか」になるらしいので、材料をステンレスのボウルに入れて、軟らかくなるまで湯煎してみました。
途中で、おやっ ということもありましたが、しっかりと溶けて キレイなものが出来ました。

なお、調べによると、湯煎やレンジなどで溶かす場合、石鹸の種類や状態によっては、素地を水分でふやかす必要もあるようです。
なぜなら、種類や状態によっては、石鹸が溶ける為に100℃以上必要な場合もあるのですが、ふやかして水分量を多くすると、それが100℃以下でも溶けるようになるらしいのです。
つまり、湯煎のお湯は100℃より高くはならないので、水分でふやかして素地の融点を下げるということですね。

詳しい作り方(下に移動)

■電子レンジで、なめらかな石鹸を作る方法

試した結果、電子レンジで素地を溶かす方法が一番簡単だったので、量を増やして再度作ってみました。

材料各種を並べた様子
基本の材料

【石鹸素地100%で出来た石鹸】 1個(100g程)
無香料・無着色(無添加)のモノを選びました。
とにかく原材料の表示には、石鹸素地100%の他には何も書かれていないもの。

【水分】 60g程(60cc)
お湯、水、精製水、ハーブティーなど。
*香りを付けたい場合、ハーブティーならばそのまま使用。 お湯や水を使用するなら、最後に型へ入れる直前に精油を3~5滴程度加える。
道具

【削り器】 おろし金(大根おろし器)や、チーズグレーター(チーズおろし器/削り器)
【ゴムベラ】(スパチュラ) 先端のヘラ部分がシリコンなど、ゴム状のものが便利。
【型枠】 適当なサイズ・形の、箱や枠など。
【容器】 プラスチック製や、耐熱ガラスのボウルなど。 *レンジで使用するので金属製の容器はNG。

■作り方


おろし金で削る様子

.まずは、石鹸を削って細かくします。

今回は、溶けやすいように、おろし金で細かく削りました。また、チーズ削り器でも細かく削れます。
そのほか、ピーラーやナイフなどのほうが使い易いのであれば、それらを使って細かくしても良いとおもいます。
とにかく、怪我をしないように注意。

水を入れているところ

.容器の中に、細かく削ったものと水分を入れて均一に混ぜます。

石鹸:水分を、10:6の割合で混ぜます。
今回は、削った石鹸100gと、水60gをボウルの中に入れ、ゴムべらなどを使って均一に混ぜました。
しかし、それだとちょっと大きいかな、という場合は、50g:30gでもいい感じです。

ちなみに、レンジで加熱する場合、石鹸の種類によっては結構膨らみます。
その場合、作る量は100g:60gが限界かもしれません。 多く作りたい場合は、下記の項目の、湯煎で溶かす方法で作るほうが良いかもしれません。

そして材料を混ぜたあと、石鹸を溶けやすくするために、2~3時間放置して石鹸をふやかします。
乾燥しすぎた石鹸で作ると、なんとなく成功し難い感じです。
なお、空気に触れている部分から乾燥しないように、表面はラップで覆っておきます。

今回は、容器として耐熱ガラスのボウルを使用しましたが、プラスチック製のボウルでもOKです。
但し、プラスチック(樹脂)でも、その種類によっては耐熱温度の低いモノもありますので、使用前には電子レンジでの使用がOKか確認しましょう。

なお、ステンレスやアルミ、その他の金属製の容器は、電子レンジではNG(使用不可)です。
金属製の容器を使用すると、スパークして火花がでたり、電子レンジ自体の故障原因となる可能性があります。

電子レンジで加熱する

.容器ごと電子レンジに入れて加熱し、素地を溶かします。

まず、電子レンジの設定を、600W2分にして、一回目の加熱をスタート。
様子を見ていると、だんだんと膨らんできます。

そして、一回目の加熱終了後に、ボウルの中を確認してみたところ。
まだ温度が低いせいか、水を加えた寒天(なんとなく透明)のようになっているだけで、まだぜんぜん溶けてはいません。
*ちなみに、このあと溶けてくると白く戻ります。

引き続き、加熱(チン)してゆきますが、
2回目以降は、溶け具合の様子を見ながら、600W1分ずつの時間でチンをしてゆきます。

そして、2回目の加熱終了後に再び中を確認してみたところ。部分的にほんの少しだけ溶けてきてはいましたが、まだまだです。
確認が終わった後、溶けている部分と溶けていない部分を均一に練り混ぜて、再度チンします。

ゴムべらで混ぜる
このチンと練り混ぜを数回繰り返し、全体が完全に溶けてペースト状(マヨネーズのよう)になったら加熱終了です。

今回は、初回の2分間のあと、1分間のチンを4回繰り返しました。
つまり、合計で6分間チンしたことになります。(この時間は、石鹸の量・種類によっては異なるはずです。)

なお、過度にチンをすると、逆に乾燥しすぎてモロモロと固まってきますので、やり過ぎは禁物です。
完全に溶けたら終了とします。
もし失敗したら、そのまま固めてしまい、1からやり直すとキレイに溶けます。

ここで注意
●混ぜる時は、ゆっくりと混ぜましょう、早いスピードでグルグルと混ぜると気泡が混じります。
●湯煎の場合は膨らみませんが、電子レンジの場合は意外と膨らみますので、入れる石鹸の量よりも大きめのボウルを使用します。とにかく入れ過ぎには注意です。 但し、石鹸の種類によっては違うかもしれません。
なお、レンチン中はレンジの中を良く見て、膨らんだものが容器からこぼれないか、またレンジの天井に着かないか監視していましょう。
もし着きそうになったら一旦ストップし、レンチンする秒数を短くして、こまめにレンチンすると良いでしょう。
●レンジで加熱したものを手でさわると火傷しますので、必ずゴムべらやスプーンなどで混ぜます。

精油などを入れる場合

もし、精油などを加えるのであれば、型に入れる直前に加えると良いでしょう、タイミングとしては、完全に溶けてペースト状になった時点で加えます。そして均一に混ぜます。
なお、精油には使用期限があるので、なるべく新しいものを加えるようにします。
また、精油は入れ過ぎると肌への刺激が強いらしいので、入れ過ぎには注意です。
今回は、ゼラニウムの精油を5滴だけ入れました。

石鹸を型枠に流し込む

.溶けた石鹸を型に入れて固めます。

今回は、好きなサイズで、長方形の型枠を作ってその中に入れました。

ついでに、6面ともキレイな平面にしたかったので、押さえ板を作って天面を押さえました。

↓その、型枠の作り方はこちら
石鹸を手作りするときに使用する 自作のオリジナル型

押さえ板で押さえる
ちなみに、押さえ板で押す時に、強く押し過ぎたので四方八方から漏れで出てしまいました…。

型に入れて成形する際は

なお、あまり分厚く作ると乾燥しにくいので、その場合は、
●型の平面を広くするか、●型を複数作るか、●レンチンする量を減らすか、●半分にスライスするか、などで薄い石鹸にすると良いでしょう。
また他には、●もっと石鹸の量を増やして、大きい長い型を作って、大きい長いかたまりを作り、そしてそれを包丁で輪切りにして、薄い石鹸を複数個作る方法もありです。 それはそれで、本格的なビジュアルのものが出きておしゃれです。

アレンジ次第で

今回は型枠を作りましたが、牛乳パックなどでも十分OKです。
他にも、紙コップの底に1~2cmほど流し込んで固めると丸い石鹸が出来ます。
それらの場合は、入れた直後に型の底をテーブルなどの上でトントンとすると、型の底の隅にまできれいに入ります。

型枠から取り外す

.型から取り外して出して、1ヶ月ほど乾燥させて、そのあと冷暗所で保存します。

型に流し込んで成形したあと、2~3時間ほどして石鹸がある程度固まったら、型から取り外します。
なおこの時点では、まだ、ギュと押すとすぐに凹むくらい軟らかいので、やさしく作業をします。

そのあと、なるべく光の当たらない風通しの良い場所で1ヶ月ほど乾燥させます。
その際は。ザルや網の上においておくと良いでしょう。 それらが無ければ、割り箸2本を並べた上に置いておく方法もあります。

乾燥が終わったら、冷暗所で保存します。
使用期限は、添加するものや保存状態にもよりますが、作った日から2~3ヶ月以内、長くても6ヶ月以内には使い切ります。
但し、6ヶ月以内でも、匂い・色・触った感じなど、なにかおかしいとおもったら、使用はあきらめて処分することです。

ちなみに、精油には使用期限がありますので、石鹸を少しでも長く保存したい場合には、新しい精油を添加することです。
そして、その精油の使用期限以内には石鹸も使いきるようにします。
なお、使用期限は精油の種類によって異なります。日付はビンなどに記載されているはずです。


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■湯煎で、なめらかな石鹸を作る方法

せっかく作ってみたので、湯煎で素地を溶かす方法も記しておきます。

材料
基本の材料
上記の、レンジで作る場合と同じです。

【石鹸素地100%で出来た石鹸】 1個(100g程) 無添加(無香料・無着色)のモノ
【水分】 60g程(60cc)
お湯、水、精製水、ハーブティーなど。
香りを付けたい場合、ハーブティーならばそのままで。
お湯や水を使用するならば、その他に精油3~5滴程。
道具

【削り器】 おろし金や、チーズグレーター
【ゴムベラ】
【型枠】 適当な形の箱や枠。
【鍋】 適当な大きさの鍋が無い場合は、大きめの金属ボウルでも。
【金属容器】 ステンレス製やアルミ製の、鍋や金属ボウル等。

■作り方


.上記のレンジで作る場合と同じように、まずは、石鹸を削って細かくします。

ボウルの中に水を入れる

.容器の中に材料を入れて均一に混ぜ、しばらく石鹸をふやかします。

まず、今回は湯煎なので、お湯の温度が伝わり易いように、内側の容器としてステンレスのボウルを使用します。

そして、容器の中に細かく削った石鹸100gと、お湯60gを入れて均一に混ぜます。
(10:6の割合なら、例えば、50g:30gでも、80g:48gでも、200g:120gでも。)

その後、2~3時間放置して石鹸をふやかします。
その理由は、乾燥し過ぎている石鹸は100度以下では溶けない種類もあるらしいので、石鹸に水分を含ませる為です。

ラップでカバー
なお、ふやかしている間に表面が乾燥しないように、材料には直接ラップをあてて保湿のカバーとしました。

湯煎でペースト状に溶けたところ

.湯煎にかけて溶かし始めます。

まず、鍋などにお湯を沸かして、そこに材料を入れた金属容器を底部から入れて湯煎を開始します。

今回は、外側(下側)の大きめの鍋がなかったので、鍋の代わりに大きめのステンレスボウルを使用しました。この場合、ボウルの底は不安定なので底には焼き網を敷きました。
そして、内側の容器としては、底が薄くて持ち手の付いた鍋が無かったので、外側のステンレスボウル(鍋の代わり)よりも小さめのステンレスボウルを使用しました。
なお、ボウルの場合、持ち手の無いものが多いと思いますが、直接手で持つと火傷しますので、火傷しないようにミトン(鍋つかみ)もしくは、ペンチなどで掴みます。

そして、ゴムべらなどでゆっくりと混ぜながら溶かしてゆきます。 この時、早くかき混ぜると気泡が入ります。

ポイント
溶かし始めの時間帯に素地の温度が上がらないと、色が少し透明ぽくなってくるだけで、いっこうに溶けだしません。
要領としては、熱を加え始めの時間帯では、素地をボウルに「押し付けながら」「伸ばしがら」接触部分を多くしながら加熱するという感じです。
そして、溶け始めると、白い(石鹸の元の色)ペースト状(マヨネーズのよう)になってきます。
今回は溶けるまでに20分ほどかかりました。レンジよりも遅いです。
しかし、レンジで加熱するときのように膨らむことがないので、量を多く溶かす場合には良いかもしれません。

精油を加えるタイミング

なお、精油などを加えるのであれば、ペースト状になった状態で、型へ入れる直前に加えます。
そしてそのあとは、ムラ無く均一に混ぜるように。

その他の注意

中の材料はすごく熱くなっているので、作っている最中は注意が必要です。ましてや手で触ることは絶対に出来ません。
自分も、溶けたものが手の甲に付いた時、直ぐにはらったのですが、ネットリとしているため手の甲の上でただ伸ばすだけになってしまいました。
速攻で水道まで走り、手を流水で冷やしました。メチャ熱かったです。
火傷にはくれぐれも注意です。鍋も容器も中身も熱いです。

.上記のレンジで作る場合と同じように、溶けた石鹸を型に入れて固めます。

.上記のレンジで作る場合と同じように、型から取り出して、1ヶ月ほど乾燥させて、そのあと冷暗所で保存します。


完成したところ

以上、「電子レンジ」と「湯煎」を用いて、石鹸を手作り(リメイク・リバッチ)してみました。
結果的には、苛性ソーダを使用せずに、手軽に用意することの出来る材料と道具だけを使って簡単に作ることが出来ました。

なお、これらの手作り石鹸は、あくまでも個人的に使うために作ったものです。
本格的に使用する前には、念のためにパッチテストは必ずします。 そして、精油(エッセンシャルオイル)やハーブティーを入れる場合には、自分の肌に合うのかを調べて、確認のうえで入れることも重要です。もし分らなければ入れないことです。
また、材料となる石鹸や精油の説明書にも書いてあるとはおもうのですが。 もしも、アレルギー反応や異常が起きた場合は、使用を中止してすぐにお医者さんに相談することは必須です。


なお、今回は、「レンジ」もしくは「湯煎」で手作り(リメイク・リバッチ)する基本の方法を紹介しましたが、それらを色々とアレンジしても楽しいです。
下記のページでは、色々なデザインや作成方法、また保存の際のちょっとしたアイデアなどを紹介しますので、興味のあるかたはどうぞ。
↓こちら
おしゃれ雑貨のような 手作り石鹸のレシピとアレンジ方法

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ちょっとしたアイデアとアレンジ方法

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