鉄フライパンでの料理中、何気なくその取っ手を握り、思わず、アチッ!と叫んでしまったことはないでしょうか?

なるべく取っ手の端あたりを握るようにすれば、あまり熱くはないのかもしれません。
ですが、大きくて厚みのある重たい鉄製のフライパンを使用していて、特に、それを「あおる」ような作業をする時には、てこの原理の要領で、無意識のうちに取っ手の中心あたりから付け根寄りを握ってしまうことがあります。

色々と試作したハンドルカバーたち

鉄フライパンの取っ手全体の中でも、特に付け根あたりが結構熱くなりやすいのですが、
その熱くなった鉄の取っ手を、ミトンや鍋つかみなどを使わずに握ってしまい、あとで手がヒリヒリ。ということは避けたいですよね。

だけど、いちいちミトンや鍋つかみを持ったり放したりするのはわずらわしい。

ということで、せめて料理中だけでも取っ手に何かを着せておこうということで、いくつかのハンドルカバーを試作してみました。

作ったのは5種類。3つは綿の帆布製で、もう2つは革製です。
以下がそのハンドルカバーの詳細です。


■1つ目は、綿の帆布で作ります。

帆布と綿綾テープで作ったカバー

まず「1つ目」は、
周囲が布テープで縁取りされている仕様で、よく見受けられる形状のハンドルカバーを作りました。

今回は、「8号帆布」を重ね、周囲を「綿綾テープ」で包んで縫ってあります。

芯となるものが1枚と、折り曲げられた外側が2枚分となり、片面の合計が3枚重ねとなっています。

ちなみに、縫いしろ部分に関していえば、以下で説明する通り、両面合わせて帆布4枚重ね、綿綾テープは折り曲げる(包む)と2枚分となるので、合計で6枚の厚い布を縫うことになります。
なので、最低でも職業用クラス以上のミシンは必要かもしれません。

■作り方


材料の平面図

.材料の布(8号帆布)をカットする。

まず、「芯」となる布を2枚カットします。
その長さは、使用するフライパン取っ手の長さよりも短めに設定した任意の「長さ」で。
幅は、その取っ手の「幅」になります。

次に、「外側の布」も2枚カットします。
そのサイズと形状は、「芯を2倍の長さにし、それに “縫いしろなど” を全周に設けたもの」です。
※上記の “縫いしろなど” とは、「縫いしろ」+「取っ手の厚さの1/2」+「ゆとり分」です。

今回は、「芯」となる布の一端と、「外側の布」の両端に、アール(丸み)部分を設けました。

材料を配置するイラスト

.「外側の布」に「芯」を縫い付けます。

使用しているうちに、中で「芯」がずれないようにするため、「外側の布」に「芯」を縫い付けます。

なおそのとき、「芯」の一端(アールではない側)を「外側の布」の中心に合わせ、さらにその「芯」の周りには、縫いしろが均等な幅で出来るように配置します。

組み立てる要領のイラスト

.「外側の布」を半分に折り曲げ、さらに2つを合わせます。

2枚の「外側の布」を、其々、長さ方向のセンター部分で折り曲げて半分にし、
さらに、その2つを、お互いに芯が縫い付けられている側を内側にして合わせます。

ちなみに、このあと周囲を縫ってカバーとして仕上げるのですが、イラストでもわかるとおり、周囲の縫いしろ部分に関しては、帆布4枚重ねとなります。

縫い合わせているイラスト

.テープで包みながら、周りを縫います。

周囲の縫いしろの部分を「綿綾テープ」で包みながら縫うことで、フライパンの取っ手を挿入することが出来る“袋(カバー)”の状態となります。

最後に、縫い終わって端の部分に余ったテープは、「折り曲げて縫い付ける」。などの始末をします。

以上で完成です。


■2つ目も 綿の帆布製ですが、片側縫いで作ります。

片側だけ縫ってあるタイプのカバー

上記1つ目のハンドルカバーは、綿綾テープで包む部分が両側にあるため、横幅が広くなり、それがなんとなく邪魔でした。

なので「2つ目」は、綿綾テープで包む部分を片側1箇所だけにしてみます。
材料は、1つ目と同じ「帆布」と「綿綾テープ」を使います。

まずは、1つ目のハンドルカバーの材料を、横幅に約2倍広くしたサイズで1セットだけ断裁します。
この場合、1つ目の様な、両端にアール(丸み)をつけたデザインにはしていません。

そしてそれを、長さ方向で2つ折にし、さらに幅方向で2つ折にして、その端の部分を綿綾テープで包んでミシンで縫うだけです。


■3つ目は、革のハギレで作ります。

片側だけ縫ってある皮製のカバー

「3つ目」のハンドルカバーは、取っ手が入る丁度良い大きさに革をカットして、それを二つ折りにし、端の部分をミシンで縫うだけのものです。
革は、布のようにカットした部分がほつれくるということがなく、カットして縫うだけなので簡単に作れます。

ただ、ミシンで縫うだけ、といっても材料は革なので、この場合も職業用クラス以上のミシンは必要かとおもいます。
しかし最近では、革でも縫えるお手頃なミシンもありますので、その場合は薄めの革ならば大丈夫でしょう。
ただし、いずれも糸は細いものしか使えないと思います。

今回は、完成品が革製品らしくガッシリと見えるように、太い糸(今回は5番を使用)が使える工業用ミシンで縫いました。

もし、太い糸で縫いたいのならば、レザークラフト用の菱目打ちという道具で穴を開けて手縫いをするという手段もあります。
手縫いなら、もっと太い糸も使えるのでかなりカッコよくなると思いますよ。

なお、料理中に油などが飛んできて、それがブツブツな跡になったら嫌なので、使用する前にはオイルを塗っておこうかと。
オイルは、食用のエゴマ油の予定。
エゴマ油は時間が経つと乾燥してサラサラになるので、握っても不快感はないです。


■4つ目・5つ目は、全体を包まない仕様で作ります。

帆布で作られている貫通したタイプ
貫通しているタイプの皮製のカバー

よく考えてみると、結局、熱くなるのは真ん中辺りから付け根に向けてなので、端の部分はカバーしていなくても良いのではないか。

ということで「4つ目」のハンドルカバーは、好きな場所にだけカバーが出来るよう、上記の3つのタイプよりも短くて、端から端までが貫通しているものを作ってみることに。
材料は、「帆布」と「綿綾テープ」を使います。

なお、貫通しているタイプのハンドルカバーだと、フライパンの形状によっては、使用しているうちに場所が移動して、鍋の部分に近づき過ぎてしまう場合もあります。
そうなって、カバーが焦げてしまうのも嫌なので、
その場合は、取っ手の好きな位置にカバーを固定しておくことが出来るようにするため、縫い合わせる時、内側に磁石を仕込ませておくのもよいかも。

もしくは、磁石を仕込ませない場合、あえて細目の幅にして、取っ手に装着するとギュウギュウで動きにくいサイズにして作ることです。

そして「5つ目」のハンドルカバーは、
あえて細目の幅にして、ギュウギュウで動きにくくしておくタイプを「革」で作りました。

この4つ目・5つ目のハンドルカバーだと、フライパンの取っ手の長さには影響されません。 カバー自体は短いけど、自分の好きな場所に移動させればいいだけです。

ちなみに、「縫いしろ部分」が取っ手の横側にあると握る時に邪魔な場合は、クルッ!と少しだけ回転させて(ひねって)、「縫いしろ部分」を取っ手の上面部分か下面部分に配置させてやれば、多少は握り易くなります。


以上のように、5種類のハンドルカバーを作ってみました。

長さの違う取っ手に装着して比較

1つ目・2つ目・3つ目のカバーは、
もし、大きいフライパンの取っ手の長さに合わせて作った場合、そのカバーだと小さいフライパンでは長すぎてしまう。
逆に、小さいフライパンに合わせて作った場合、それを大きいフライパンに装着すると、一番熱い部分である取っ手の付け根近くが丸出しで、カバーの効果が半減してしまいます。
とはいえ、端の部分から包まれているという安心感はあります。

長さの違う取っ手に装着した、上記と異なるタイプ

4つ目・5つ目のカバーは、取っ手の長さに対してはフリーで、フライパンの取っ手が長くても短くても関係なく好きな場所に装着できます。
但し、取っ手にピッタリと嵌まることが前提ですが…。

また、フライパンの取っ手端にあるフック用の穴は覆わなくてすむので、フライパンを洗ったあとにハンドルカバーを装着させて、そのままの状態で引っ掛け収納をすることが出来ます。

なお、ハンドルカバーの役目は、熱さを防ぐだけではありません。
鉄のフライパンの取っ手は、鉄の板を打ち抜いて作られている仕様のもの多く、その場合、手で握った時にちょっと手が痛いような時もありますが。
ハンドルカバーはクッションの役目も果たし、多少なりとも握り易くするためでもあります。

ともあれ、今回作ったのは5種類ですが、数は全部で8個ほど作りました。
これは頻繁に使用するものですし、汚れたり焦がしたりなどしてみすぼらしくなった場合には、新しいものと交換してゆくつもりですが、これだけの数があればしばらくの間は作らなくてもいいかな…。

あとは、使い勝手や耐久性など少し様子を見て、次回作る時の参考にしようかと…。
また、耐熱性・耐油性・強度・耐薬品性などのあるネオプレンゴム(クロロプレンゴム)製の “スポンジ状でシートになっているやつ” が手に入ったら、次はそれでも作ってみたいです。


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