紫蘇(しそ)の葉が収穫出来る時期も そろそろもう終わりかなぁ…という頃になると、最後にもう一度楽しみが待っています。
それは何かというと、「紫蘇の実」です。
先端に咲く「花穂」から 花びらが散る頃には、その花の萼(がく)の中に実が詰まっている「穂紫蘇」となりますが、
その「穂紫蘇」を摘み取って、軸から萼(がく)ごと「実」をしごき落とし、それを料理するのです。
佃煮や、醤油漬け、かき揚げなどにしても美味しいですよ。
例年は、庭のあちこちから勝手に生えてくる紫蘇でちょこちょこと作っていたのですが。
今年はあえて、家庭菜園に数本の苗を植えて育てたので、いつもより多く作れます。
まずその第一弾が、常備采に最適な「紫蘇の実の塩漬け」です。
このように塩漬けにして作り置きしておけば、何かおかずが足りない時や、食事を簡単に済ませたい時などに何かと便利ですよ。
■材料は、紫蘇の実と塩だけ。
◇
【紫蘇の実】
【塩】… アク抜き用 小さじ2(約10g)
【塩】… 塩漬け用(下記の通り)
●【紫蘇の実】は、「花穂」から花びらがほぼ散った状態の「穂紫蘇」を摘み取って、さらにそこから取ります。 ちなみに、花びらがほぼ散ったといっても、先端に2~3枚の花びらが残っている状態がいいようです。
収穫の時期は、早すぎると「実」はまだ出来ていませんし、遅すぎると「黒い種」になってしまい少し硬いです。
ちょっと気を許すと、収穫時期を逃してしまうかもしれないので うっかりは禁物です。
なお「紫蘇の実」が、ちゃんと収穫出来る状態になっているのかどうかを確認する方法は…。
まず「穂紫蘇」から、花びらの散ったツブツブとした小さな花の萼(がく)を一粒だけ取って、それを手で開いてみます。
そしてその中に、上記の画像のような、4つ並んだ白い粒(実)が出来ているかどうかを見ます。
もし、それが出来ていればOKです。
●【塩(塩漬け用)】は、実を茹でてから水を切って、さらに、ある程度水気を飛ばした段階で、その「総重量」を計量し、その「総重量」に対して「25%の重量」の「塩」を用意します。
例えば、水気の飛んだ状態で「実の総重量」が50gなら、必要な「塩」の量は12.5gとなります。
■作り方
1.摘み取ったばかりの穂紫蘇は、まず簡単に洗い、それから実を取り外します。
家庭菜園から収穫してきたので、目に見えない砂や何かの汚れが付いているはずなので、まず、簡単に水洗いをします。
そして、萼(がく)に残った花びらや、その他の余計なものを取り除き、そのあと、萼ごと「実」を取り外します。
その取り外し方として簡単な方法は…
まず穂の一端を指でつまみ、その状態のまま軸に沿ってスライドさせてゆくだけです。すると、軸から「実」がポロポロと取れてゆきます。
いわゆる「しごき落とす」という感じです。
そして、取ったものは水を張ったボウルなどに入れてゆきます。
2.しばらく水に浸けます
穂から取り外したものは、少しの間でも水に浸けておくことで、灰汁が抜けますし、汚れもさらに落ちやすくなります。
3.茹でる前に、さらにしっかりと洗います。
水がきれいになるまで2~3度洗います。
ボウルの中の水がきれいになるまで、水を取り替えながら振り洗いします。
画像の水は、3度ほど洗ったものなので、もうキレイな状態になっていますが、1度目に洗った水は、灰汁や汚れで結構茶色くなっていました。
4.お湯を沸かして塩を入れます。
鍋に水をたっぷりと入れ、沸騰してきたら、用意しておいた塩を入れます。
これは、さらに灰汁を抜くためと、おいしさが少しでもお湯に溶け出るのを防ぐためです。
今回は、2ℓのお湯に対して、小さじ2(約10g)を入れました。
5.実を茹でます。
[工程3]の、実が入った状態のザルのまま鍋に入れて、サッと(1分半~2分ほど)茹でます。
6.冷水で冷まします。
すぐに冷水につけて冷やします。ボウルの水は温くなるので、何度か水を取り替えます。
もしくは、流水で冷まします。
7.水を切ります
冷めたら、実をつぶさないように、布巾に包んでやさしく水を切ります。
とにかく、ひねり過ぎは厳禁です。
8.実に付いている余計な水分を取り除きます
ザルの上にキッチンペーパーを敷き、そこに広げて余計な水分を飛ばします。
何度かペーパーを取り替えた方が、早く水気がなくなります。
なお、カラカラに乾燥させる訳ではありません。
茹でた時に萼(がく)の中などに入りこんでいる、余計な水分を取り除くだけです。
9.塩を加えます。
余計な水分を取り除いて、紫蘇の実がパラパラとしてきたら、清潔な保存容器に「紫蘇の実」「塩」「紫蘇の実」と、何層か交互に重ねるように入れてゆきます。
今回、水を切った紫蘇の実の総重量が【55g】程だったので、その25%の塩【約14g】を入れます。
正確には13.75gとなりますが、区切りよく14gにしました。
なお、最後の方で表面を覆うために使用するので、塩は少し余るようにしておきます。
10.表面を塩で覆うようにしたら、蓋をして保存します。
最後に、[工程9]で少し余らせておいた塩で表面を覆うようにしたら、蓋をして保存します。
しばらくすると、塩が溶けて馴染んでゆきます。
以上、塩漬けの方法でした。
この塩漬けは、「ご飯のお供」や「おにぎりの具」としてはもちろんですが、パスタの味付けや風味付けなどにも使えます。
紫蘇の香りがアクセントになりますし、また、プチプチとした食感と歯ごたえも楽しいですよ。
なお、最後の工程で、塩を入れる代わりに醤油を入れると「醤油漬け」にもなります。それはそれで美味しい一品です。
いずれにしても、常備采として作り置きしておけば何かと便利。
しかしそれらは、収穫から完成までに少し手間がかかってしまうことがちょっと…。
でも、「作り置きの常備采」ということは、考え方次第では、いざという時には手間が省けるということなので、まあ 結局はトータルで便利、ということにしておきましょう。
なお今回は、穂紫蘇になってから収穫しましたが、もっと早くに花穂の時点で摘み取って、穂の状態のままで天ぷらなどの料理にするのもいいですよ。