産直などではある時期になるとたびたび見かけることのある「さつまいもの茎(芋づる)」。
一般的なスーパーではあまり見かけることはないが、うちの家庭菜園では、新たに“さつまいも”を植えたので、茎(芋づる)はそこそこ取り放題。せっかくなので野菜として使ってみることに…。

家庭菜園の様子
葉っぱの連なったさつまいもの茎

本来はただ単に“芋”として収穫するためだけに植えた“さつまいも”だったのですが、聞いたところによるとその茎(芋づる)は「野菜として食べても美味しいよ。」とのこと。

話を聞いた頃はまだ植えたばかりで苗も全然小さかったし、成長もかなりゆっくりと遅い感じだったので、茎が食べれるという話はあまり実感がなく半分聞き流していた。
しかし、ある時期になるとビックリするくらい茎が横に伸びてきて、もう大変なことに…。

茎が根付かないよう頻繁につる返しをして横にずらしてはいたのですが、もう通路がふさがれてしまうほどの成長ぶり。おかげですぐそばに植えていたカモミールが覆われて見えなくなる始末。

これは大変と、さっそく一部の茎(芋づる)を間引いて、聞いた通りに料理してみることに…。
適当に聞いていたので半分は自己流ですが、食べてみたらなんと美味しいではありませんか。
食感がシャキシャキというかコリコリというか、なんとも心地の良い歯ごたえがあって、もう何か新しい野菜に出会った感じです。
なんで普通に売っていないのだろうと思うほど。

それからはちょっとしたマイブームとなり、何度も採って料理をしてしまいました。
もう、さつまいもを育てているということを半分忘れるくらいで、何か別の野菜を育てているかのように楽しめました。

何度か作った末、最終的に納得のいく出来になったのが以下のレシピ(芋づるの炒め煮)です。


■まずは、芋づるの下処理から。

今回使用する芋づるは、皮を剥く前の色が画像のように緑色の品種(金時)のものです。

葉っぱの付いた芋づる

.まずは、適当に収穫します。

まず、作る料理の量に合わせたおおよその量を収穫してきます。

採り過ぎた場合は、冷蔵もしくは冷凍保存しておくか、もしくは、山菜のようにカリカリに乾燥させて保存しておきます。
●その方法はページ下部に記載…
採り過ぎた“料理前”の芋づるを保存する方法

バットに入ってる芋づると剥いた皮

.葉を取り除いたあと、皮剥き(筋取り)をします。

皮剥き(筋取り)の方法は…
●芋づるの端部分の皮(筋)を、爪や包丁などで少しだけ剥がし、そこをつまんで引っ張るとスーッと剥くことが出来ます。
●もしくは、下の画像のように、皮(筋)の一部だけを残すようにしながら適当な場所でポキッと折り、そのまま下に引っ張てもスーッと剥けます。ただこの場合、全周を剥くとなると芋づるはだんだんと短くなってしまいますが…。
皮を剥いているところ

なお、この皮は剥いても剥かなくても食べれます。
しかし皮を剥かない場合は味の染み込みに時間がかかるし、また、硬い皮(筋)が噛み切り易くなるまでにも長い時間煮る必要があります。
なので今回は、早く仕上がるように表面の皮を全周きれいに剥きました。

ちなみにですが、皮剥き(筋取り)したものと、皮剥きしないものとの2通りを、同じ条件で実際に作り比べてみました。
すると、同じぐらいの味の染み込み方・噛み切り易さにするためには煮込み時間が4倍くらいかかる結果に…。

皮を剥くのは多少面倒ですが、その手間をかけることによって短時間で仕上げることが出来るので、確実にガス代は節約出来ますね。
※なお、さつまいもの品種によっては、芋づるの性質は異なるかもしれません。

もし、全周剥くのが面倒なのであれば1部(1筋)だけ剥く方法でも多少はいいようです。

まな板の上で小さくカットしている様子

.適当な長さにカットします。

カットする長さはお好みですが、今回は5cmほどの長さにカットしました。

水を張ったボウルの中で灰汁抜き中

.水に浸けて灰汁(アク)を抜きます。

一晩ほど浸けておく場合もあるようですが、今回は30分ほどで終了しておきました。
とりあえず全周の皮を剥いているので、こんなもんでいいかなと思い…。


■それでは「芋づるの炒め煮」を作ります。

芋づるに合わせる具材は、旨味とコクのある「油揚げ」と「干し椎茸」です。
椎茸のほうは、生のものでも作ってみましたが、干してあるほうが旨味が強くて断然美味しかったので、今回は干し椎茸で…。

材料の油揚げと干し椎茸
■材料

【芋づる(茎)】… 140g (皮を剥いたもの)
【油揚げ】… 50g
【干し椎茸】… 40g (水で戻したもの)
水で戻す前は10gでした。(いずれも軸を取り除いた状態で)

〔 調味料 〕
【酒】… 大さじ1 (15㏄)
【みりん】… 大さじ1と1/2 (22.5㏄)
【醤油】… 大さじ1 (15㏄)
【かつお削り節】… 2.5g
【ごま油】… 小さじ1/2 (2.5㏄)

〔 炒め煮用 〕
【植物油】… 大さじ1 (15㏄)
【水】… 1カップ (200㏄)

●材料の下ごしらえ
【芋づる(さつまいもの茎)】は、上記で下処理した通り、5cmほどの長さにカットしたもの。
なお今回は、皮剥き(筋取り)しましたが、皮付きでもOKです。
【油揚げ】は、味が浸みこみやすくなるように油抜きをして、8mmほどの幅・5cmほどの長さで短冊切りにします。
【干し椎茸】は、軽く洗って汚れを落としてから、水を張ったボウルに軸部分を下にして浸けおきし、柔らかくなったら軽く水を絞って3mmほどにスライスします。

■作り方


油で炒めている芋づる

.まずは、芋づるを炒めます。

フライパンに大さじ1の植物油を入れて熱し、そこに芋づるを入れて炒めます。今回は菜種油を使用。

油揚げと干し椎茸も入れて油で炒めている

.椎茸と油揚げを入れて炒めます。

ある程度“芋づる”を炒めたら、“椎茸”と“油揚げ”を入れてさらに炒めます。

鍋に水を入れている様子

.水と調味料を入れて煮込みます。

材料の水分がなくなってパチパチと音がしなくなったところで水200㏄を入れます。

沸騰してきたら、酒、みりん、醤油を順に入れて、さらに、かつお節を上から振りかけます。
入れる調味料たち
そして、ひと混ぜして弱火にし、鍋底の汁気が無くなるまで煮詰めます。

鍋底の水が無くなるまで煮詰めたら味見をして、芋づるの硬さや味のしみ込みを確認します。
OKならば、次の[工程4]へ…。
もし、まだ硬かったり、味がしみ込んでいなかったら、もう一度水を200㏄入れて水が無くなるまで再度煮込みます。このとき調味料は当然入れません。あくまでも水のみです。

とにかく今回は芋づるの皮剥き(筋取り)がされているので、1回目でOKでした。
しかし、皮を剥かずに作った場合は、柔らかくなるのも味がしみ込むのも遅くなるので、水を数回入れて煮込むことになる場合も…。
例えば、前に皮付きで作った時などは、水(200㏄)を4回入れて4回も煮込みました。

ごま油を回し入れる様子

.硬さや味がととのったら、ごま油をかけて混ぜ合わせます。

鍋底の汁気がほぼ無くなって芋づるの硬さや味がととのったら、全体にごま油を回しかけてひと混ぜしたら完成です。

※このとき、お好みで「かつお節」を少しだけ追加で振りかけても美味しいです。


■ご飯にもパンにも…。

完成した芋づるの炒め煮

白いご飯にピッタリ。

シャキシャキ・コリコリとした歯ごたえのある食感が癖になる芋づる。そして旨味やコクがあって食べ応えのある油揚げと干し椎茸。そこにかつお節と醤油の旨味、そしてごま油の風味が加わってとても美味しいです。
何はともあれ、この“芋づる”は完全に食材ですね。

具としてパンに詰め込まれている様子

パンの具にもしてみた。

面白そうだったので、パンを作る際に生地の中に入れて焼いてみたら、“おやき”のような、とっても美味しいおかずパンになりました。
とにかく、具のシャキシャキとパンの相性がピッタリです。


■採り過ぎた“料理前”の芋づるを保存する方法。

最終的には本来の目的である“さつまいも”を収穫することになります。
その時、茎(芋づる)も大量に採れましたが、とにかくそれらを捨ててしまうのはもったいない。しかし、一度に料理するのも大変。ということで、下記のように保存しておきました。
なお、量が多くて大変なので、皮剥き(筋取り)はしませんでした。

ポリ袋に入れる様子

保存方法その1「冷凍する」

まず、少しの塩を入れたお湯で1分ほど茹でます。
そして、5cmほどにカットしてポリ袋や容器などに入れて冷凍保存しておきます。

今回は、使い易いように、数枚のチャック付きのポリ袋に入れて小分けしておきました。

網の上に並べているところ

保存方法その2「乾燥させる」

こちらも上記同様に、少しの塩を入れたお湯で1分ほど茹でておきます。

そして、カットはせずに、そのまま網の上に並べて天日干しをしました。

乾燥した芋づる
細いものは2日程・太いものは1週間程でカラカラになります。重量にすると大体15分の1くらい。

そして、このカラカラを料理で使うときは、干した山菜のように「しばらく水に浸けて戻してから」となります。


以上、さつまいもの「芋づる」を野菜として食べる方法でした。
なお、今回使用した緑色の芋づるは金時(さつまいもの品種)のものです。この他にも少し赤みのかかった芋づるや、その他様々な品種のものがありますが、そちらのほうは今回と同じように作れるのかどうかはわかりません…。
まあ、どの種類のものを使ってもほぼほぼ作れるとはおもいますが…。おそらく…。

それはそうと、さつまいもは植えてから収穫まで約5カ月くらいかかります。当然その場所には他に何も植えることは出来ません。
その間、ほかの場所に植えた野菜などは次々と収穫出来るようになってくるのにもかかわらず、さつまいもはというと、あいかわらず茎ばっかり横に広がってきて何も食べることが出来ない。
なので途中からなんだか地面がもったいないような気がしてきて、来年はもうさつまいもは植えないでおこうと思うようになっていました。

しかし、本来の目的であるさつまいも以外にもう一つ野菜としての食べ方があるということを知ったので、今ではもう植える気満々です。
まあ、今年の半分くらいではありますが…。


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