キッチンに並べたカッティングボード

雰囲気のある食卓にすることが出来るので 木製の食器やカトラリーを好んでコーディネートする方も多いのではないでしょうか。
例えば木のカッティングボードを用いると、何でもない料理でもただその上に盛り付けるだけであっという間にお洒落な一品に早変わり。おもてなしの際の盛付け皿としてはもってこいです。

また、調理道具であるスパチュラやレードルなどが木製だったら、鍋や皿などに当たってもカチンカチンという嫌な音はたてないし、当たりが優しいため、相手がホーロやテフロン加工などがされている場合でも、その表面を傷つけにくいという機能的なメリットもあります。
そのほか、食器が木製だと、陶器製やガラス製よりも割れにくいし、熱伝導率が低いので熱さや冷たさを伝えにくいという特徴もあります。

以上のように意匠の面でも機能の面でも優れていることから、木製の調理道具や食器・カトラリーは人気のアイテムです。

ただ、無塗装の木製品の場合、長く使い続けていると表面がザラザラになったり色が白っぽくなったりしてきます。
もちろんそのまま使用してもかませんし、むしろそのほうが木の本来の味があって素朴でオシャレだと思われる方もいらっしゃるかと思います。そしてそれはそれで無垢の木の持つ魅力のひとつでもあります。

しかし、あまり汚れを付けたくないという場合や、なるべく長く使い続けたいという場合などには、オイルでの定期的なお手入れをおすすめします。


オイルでのお手入れ(メンテナンス)方法は

オイルでのお手入れとは、簡単にいうと、木の表面部分の繊維に隙間なくオイルを染みこませ、そのオイルを自然乾燥させて固めることによって、木の表面をガードすることです。
しかしこの方法は、合成樹脂の塗装と違って表面に硬い膜をつくるものではありません。また、オイルは固まるといっても、使用と洗浄を繰り返していくうちに抜け出していく位の強度です。
けれども、オイルが繊維の中に留まっている間は、食べ物の汁が木の繊維の中に入り難くなっているので、汚れや臭いが付き難くなります。
また、木が乾燥しすぎて割れたり劣化したりしないようにするためにも効果はあります。
さらに、ビジュアル的にも木が活き活きとキレイに見える効果もあります。
ちなみに、以上の方法はオイルフィニッシュとも呼ばれています。

そこで、木製の調理道具や食器やカトラリーなどを、少しでもキレイに使用出来るように、また、少しでも長持ちさせるために、お手入れ(メンテナンス)の方法を、無垢の木のバターナイフを例にして解説します。


用意するもの

木製品のお手入れ道具

■オイル
スーパーなどでも手に入る、食用のエゴマ油・アマニ油・紅花油・ひまわり油・クルミ油などのいわゆる『乾性油』と呼ばれるオイルのいずれかを用意します。
これらの乾性油は、薄く塗り伸ばして空気に触れさせると、酸化して固まる性質を持ちます。
中でも乾燥が速いのはエゴマ油です。また、あまったらドレッシングなどの料理にも使えますし、なにやら健康にもよいそうですよ。

■布、または、キッチンペーパーかティッシュペーパー
オイルを塗るとき用のモノと、オイルを拭き取る用のモノの少なくとも2枚以上を用意して下さい。
布は無着色でキレイな綿のモノを用意して下さい、また、化学雑巾はNGです。

■サンドペーパー(#320~#400程)
木の表面がザラザラ(毛羽立ち)してきて、気になる場合のみ用意して下さい。毎回は必要ないとおもいます。

エゴマ油・アマニ油・紅花油・ひまわり油・クルミ油などの、食用の乾性油を購入する際に注意することは、必ず純度100%のものを選ぶということです。
購入前には必ず裏ラベルの原材料を見て下さい。例えばエゴマ油の場合、商品名がエゴマ油となっていてもごま油とブレンドされているものなどもあります。
ごま油は半乾性油なので完全には固まりません。でも中途半端には固まりますので中途半端にネットリします。またそのほかには、酸化防止剤が入っているものも固まりません。

なお、乾性油を買うのが面倒な場合は、自宅にオリーブオイルがあればそれなりに代用は出来ます。ただし、オリーブオイルは不乾性油といって固まらないオイルなので、薄く薄く塗って、その後、布やティッシュペーパーなどでシッカリと拭き取ってください。たっぷり塗り過ぎるとベトベトします。
もっとも、薄く塗っても濡れた感触は残りますので、どうしてもサラサラと乾燥(固化)させたい場合には、やはり乾性油でお手入れして下さい。

ちなみに、木製品(無塗装の木)専用で食品に触れてもOKなオイルワックスもあります。とにかく専用のモノの方が良いに決まっているはず。というかたはそちらをどうぞ…。
オイルワックスには、カルナバ蝋や蜜蝋などが配合されている場合が多いので、100%オイルだけのモノよりも水をはじきますし多少長持ちもします。
なお、オイルワックスの主原料には植物由来(乾性油主体)のものや、石油由来(ミネラルオイル)のものがあります。
※但し、食品に触れてもOKのものから、NGな成分が入ってるものまで色々とありますので、購入する前には必ず説明文を読み、用途目的は確認しましょう。

オイルワックスは、無垢の木の家具にも使用できるモノがほとんどなので、家具をメンテナンスするついでがあればいいかもしれませんね。

ちなみに、以上の食用オイルもオイルワックスも、塗装ではありませんので使用していくうちに効果は薄れてきます。なので効果が薄れてきたら再塗布する必要はあります。


それでは、お手入れ(メンテナンス)の開始です

使用した無塗装の木製のバターナイフ

今回は、しばらく使用した無塗装の木(ケヤキ製)のバターナイフをお手入れしてみます。このように、使用していくうちに油分も抜けて表面がカサカサになり白くなってきた頃がお手入れをするタイミングです。

今回、取っ手の部分はキレイでしたのでサンドペーパーはかけずに、ザラザラしているヘラの部分だけにサンドペーパーをかけることにします。
サンドペーパーをかける箇所は、それぞれの状況によって決めて下さい。


ザラザラしている箇所に、サンドペーパーをかけます

サンドペーパーをかける木製のバターナイフ

サンドペーパーは #320~#400位の細かいものを使用しましょう、粗いものだと表面が荒れてしまいますし、また、擦った部分のシルエットがすぐに変わってしまいます。
しかし、細かいからといっても、擦りすぎるとシルエットは変わってしまいますので、やさしく撫でるようにサンドペーパーを当てましょう。

ここで気をつけることは、木製品には必ず木目に沿って平行にサンドペーパーを当てるということです。木目に対して平行以外に当ててしまうと必ずキズになってしまいますので注意して下さい。

今回は、木の表面にザラザラしている箇所があったのでサンドペーパーをかけましたが、あまりザラザラしていない場合には、サンドペーパーをかける必要はありません。


全体にくまなくオイルを塗ります

オイルを塗っている木製のバターナイフ

今回、お手入れに使用するオイルには、スーパー等でも購入できる純度100%の食用のエゴマ油(乾性油)を使用しました。

まず、布などにオイルを含ませて、木の表面全体にくまなく塗り伸ばします。
そのあと、表面の余分なオイルは、新しいキレイな布などでシッカリと拭き取ります。ここで十分に拭き取りをしないと乾き難くなります。
以上でお手入れの作業は終了です。

ちなみに、乾性油は、空気に触れて酸化するときに熱が発生します。
お手入れに使用したオイル(乾性油)を含んだ布や紙は、重ねたり丸めたりした状態で置いておくと、熱が蓄積されて発火する危険性がありますので、水に浸して空気に触れないようにして処分して下さい。


風通しの良い場所に広げて乾燥させて下さい

バターナイフとその他のカトラリー

作業終了後は、手で触ってサラサラな状態になるまで風通しの良い場所に広げて乾燥させて下さい。

その他の木製の調理道具(まな板、カッティングボード、スパチュラなど)や、テーブルウェア(スプーンなどのカトラリーや、食器など)の場合も同じ方法でお手入れして下さい。

お手入れ後に始めて使用する際に、乾燥したオイルの臭いが気になる方は、表面を一度サッと水洗いしてから使用したら良いでしょう。

※以上は、無塗装の木製品のお手入れ方法ですので。塗装がされている木製品には適用しないで下さい。
特に、サンドペーパーを当てると塗装が取れてしまうので、絶対にいけません。
また、塗装がされているとオイルは吸収しませんので、塗るだけ無駄です。


なお今回は、木製の食器・カトラリー・調理道具のお手入れ方法について紹介しましたが、
下記のページでは、「お手入れに使用するオイル(乾性油)について」も紹介しています。
また、市販のオイルはもったいないから買いたくない、という方のために、「クルミの実を使ってメンテナンスする方法」も紹介していますのでご興味のあるかたはどうぞ。↓

ボウルに入った乾性油乾性油と、木や鉄のメンテナンスのこと

クルミの実でメンテナンスした後の木製品「クルミの実」を使って木製品をメンテナンスする方法


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