ここ数年、財布には一度も小銭を入れていない…。
ちなみに、キャッシュレス化によって小銭でのお釣りをもらわなくなったからという訳ではなく、ただ単に財布がゴツゴツするのが嫌で、小銭を入れるための袋も一緒に持ち歩いているからなのですが…。

ただ、ネットショップでの買い物やスマホでの決済が増えてきたせいもあって、小銭でのお釣りをもらう頻度は確実に減ってはきている。
そういえば紙幣にしても、最近では2~3枚程度しか財布に入れていなし、その紙幣もずっと前から手付かずのまま…。とにかく いざという時の備えとして少しだけ現金を携帯しているだけ。財布はあまり開くこともなくほぼ免許証入れとなっている。
キャッシュレス化をとくに意識しているわけでもないけど、二つ折りサイズ以上の財布だと自分的にはもう大き過ぎなのである。

ということで、レザークラフトで小さな財布を作ることにした…。

今回作るのは“小さな財布”ではあるが、自分の使い方としては、免許証やカードなどをメインに入れておくつもりなので、このページタイトルは「革製のカードケース」とした。
要は使い方次第であって、どちらがメインでもかまわない。とにかくコンパクトさ重視で小銭入れ部分は省いてあって。そこに数枚のお札とカードが3~4枚ほど入るというものである…。


■キーホルダーのような感覚の三つ折りカードケース(コンパクト財布)。

極限までもっとコンパクトにしようと思えばもう数ミリ小さくも出来たが、少しだけ余裕は残しておいた。
なお、機能的にはキーホルダーのような感覚でも使えるようにDカンをつけておく。

材料の革とパーツ
■材料

【牛革(ヌメ革)】… 1mm厚
【バネホック小(No.2)】… ハンシャ(隠し頭)仕様(真鍮製)
【両面カシメ】… 頭径7mm(真鍮製)
【Dカン】… 内幅12mm(真鍮製)
【縫い糸】… ビニモMBT5
【ボンド】… 今回はGクリアーと白ボンドを使用した

今回は上記のほかに、真鍮製の【レバーナスカン】【二重リング】も最後に取り付けますが、この2つのパーツはあとからでも取り付けることが出来るので、この時点ではあってもなくてもいい。必要のない場合もありますし…。

■革パーツ図面


革パーツは、A・B・C・D・E・F・Gの7種。
CとGは同じものが2つずつで合計9パーツある。

本体型紙の図面

これらの図面は、縫い穴のピッチを4mmにすると丁度いい位置に穴が開くように設計してあります。
なお、この縫い穴の位置は記しても記さなくても良いですが、記しておくと、型紙にした時に、菱ギリでも一本目の菱目打ちでも丁度いい場所に縫い穴の位置が写せるテンプレートにもなります。
もちろん4mmピッチであれば目数が2本以上の菱目打ちでもあけれます。

こんな点々は記さなくても作ることが出来るという場合や、3mm、5mm、6mmなどのピッチにしたいという場合はスルーして無地のままで…。

ポケットの図面

このあとの製作工程で、縫い穴の位置をもし革に写すのなら、Cのパーツに関しては2枚作る内の1枚だけに穴の位置を写す。
なお、Cのパーツは2枚ともアウトラインが同じなので、1枚だけ型紙を作ってそれを併用する。

フラップとDカン留め部の図面

Gのパーツは12mmの穴あけポンチを使ってアウトラインをカットすると便利だしキレイだし型紙も要らない。
なおここは、12mmの穴あけポンチがなければ、11mmでも13mmでもいい。
ちなみにこれは、バネホックのスペーサーとなるものです。下記の工程10の画像を参考。

■作り方


カットしてある型紙

.型紙を作る。

CADやドローアプリなどで図面を描いてプリントアウトし、厚紙に貼り付け、アウトラインでカットして型紙を作る。

アプリやプリンターがない場合は、厚紙に直接製図するといい。

縫い穴の位置を記している

カットした後、バネホックとカシメの取り付け位置に穴あけポンチを使って穴を開ける。

また、縫い穴の位置を記した場合は、目打ちで貫通させておく。記さなかった場合はスルーで。

型紙の上に革を配列

.革に型紙を写し、その通りに裁断する。

革に型紙のアウトラインを罫書いてその通りに裁断し、そのあとバネホックやカシメ用の穴をあける。

CとGは同じものが2つずつあって合計9枚のパーツとなります。
なおGのパーツは今回型紙を作らず、12mmの穴あけポンチで直接くり抜いてパーツとしています。

カットした革パーツ

縫い穴の位置は、点々と開けた型紙の穴に丸ギリを刺して写していきます。
なお、この縫い穴の位置は、この時点で写してもいいし、縫う直前に写してもいい。
もしこの時点で付けるなら、Cのパーツは2枚ある内の1枚にだけに写す。

ちなみに、このあと革を貼り合わせた時に端がズレてコバ面側に段が出来てしまった場合、その段を削ってキレイに揃えることになりますが、
仮に、縫い穴の位置を写したほうの革を削らなければいけないことになってしまった場合は、削る程度によっては縫い代が狭くなってしまいます。
なので、革をピッタリサイズで裁断するということや、段の無いピッタリとした貼り合わせに自信がないという場合は、この先に行う縫う作業の直前(貼り合わせてドレッサーなどで削ったあと)に縫い穴の位置を写すほうがいいかもしれません。

床面にトコノールを塗る

.床面処理をする。

今回はトコノールで床面処理をしておきました。
これはしてもしなくても良いですが、する場合はこのあとにボンドを塗る部分を避けるように。

革の一部だけコバを仕上げる

.一部のコバだけ仕上げておく。

イラストの黒線部分は、このあと組立ててしまったらコバ処理がしにくくなる部分です、
なのでこれらのパーツをボンドで貼り合わせていく前に、この黒線で示した部分だけコバの仕上げをしておきます。

ヘリ(角)を落とし、サンドペーパーでコバを整え、コバ処理剤を塗って、帆布で擦って磨きました。
※今回のように薄い革の場合はスリッカーよりも帆布のほうが磨きやすい。

なお今回は、1mmという薄い革を使用しているので、ヘリ落とし(道具)は使わずに、ドレッサーとサンドペーパーだけでヘリ(角)を落としました。

縫い代部分内側にボンドを塗る

.パーツ[C・C・D・E]にボンドを塗る。

パーツ[C・C]と[D・E]の縫い代部分内側面(床面)に、薄ーく幅細でボンドを塗ります。
イラストでは黄色部分。なお今回使用のボンドはGクリアーです。

貼り合わせた革パーツ

.革を貼り合わせて圧着。

ボンドが手に付かない程度にまで固まったら、パーツの[CとC][DとE]をそれぞれシールのように貼り合わせて圧着します。

キレイに整えたパーツのコバ

.パーツ[D+E]のコバをキレイに整える。

パーツ[D+E](中心のフラップポケット)の下部2カ所の角を小さなRとなるように刃物でカットし、そのあとコバ全体をドレッサーで整え(貼り合わせた時の段を削り)、サンドペーパーやダイヤモンドヤスリなどを使ってヘリ(角)を落としておく。

縫い穴を開けて糸で縫い合わせ

.パーツ[D+E]を糸で縫い合わせ、そのあとコバを仕上げる。

まず、菱目打ちや菱ギリを使って(始点と終点と角は丸ギリで)縫い穴を開け、手縫い針と糸を使って縫い合わせていきます。
※なおこの時、縫い代の幅(革の端から縫い目まで)は必ず3㎜以下にする。もし縫い代の幅が広いと内側のポケット部分が狭くなり、そこにカードが入らなくなる場合もあります。

そのあと、サンドペーパーでコバを軽く整えてからコバ処理剤を塗って、最後に帆布で擦って磨いておきました。

仕上げ剤を塗って帆布で磨いたヘリ

.パーツ[C+C]の一端を縫って、コバを仕上げる。

画像のように、パーツ[C+C]の一端だけ糸で縫い合わせ、その側のコバだけ仕上げておく。

コバ仕上げは上記同様に、ペーパーで整えて、ヘリを落とし、コバ仕上げ剤を塗って帆布で磨く。

バネホックのバネ部分を取り付け

10.パーツ[B]に、バネホックのバネ部分を取り付ける。

パーツ[B]の革に、バネホックのバネ部分を取り付けます。
ここでは、革とバネの間にパーツ[G](スペーサー)を挟んで取り付けます。パーツ[B]は厚さ1mmしかないので、バネと革の間にすき間が出来ないように、スペーサーを入れておきました。
ちなみに今回は、隠し頭(ハンシャ)仕様のバネホックを使用します。これはバネを取り付けた裏側面の頭がボタンの様に大きくないタイプです。

なお、取り付け時に固い所に置いて強く叩きすぎると隠し頭(ハンシャ)の板状部分が反り返ってしまうかもしれません。かといってゆる過ぎるとグラグラになって隙間が出来るので、そこそこの力加減で裏面の様子を確認しながら叩く。
なお、ハンシャの板状(頭)部分が反り返っても、ゆる過ぎても、このあとポケットになった時にそこにカードが引っかってしまうようになる。

相方の凸部分を取り付け

11.パーツ[A]に、バネホックの凸部分を取り付ける。

パーツ[A]の表面(銀面)側にバネホックの凸部分がくるようにして、ダボ(ゲンコ)を取り付けます。

なおこのダボを取り付ける際も、上記のバネ取り付け時と同様に叩き過ぎない。

上端だけコバ仕上げする

12.パーツ[A]の一部分だけコバを仕上げておく。

このあと別のパーツを取り付けたら処理しにくくなる部分だけコバを仕上げておく。

仕上げる一部分をイラストで説明すると、パーツ[A]の上端から、このあとパーツ[D+E]が取り付けられる予定の位置(点線部分)の上までの間です。つまりイラストの黒い線部分です。

銀面の接着部分を足付け

13.パーツ[C+C]の、銀面の接着部分を荒らす。

パーツ[C+C]の接着部分は銀面なので、その部分の肌を荒らします(足付けする)。
※荒らす場所は、下記工程14のイラストを参照。

銀面の場合、そのままボンドを塗って貼り付けても比較的簡単に剥がせてしまいます。
なので接着力を高めるため、銀面の接着部分はドレッサーやサンドペーパーや刃物の先などを使って荒らしておきます。

内側にボンドを塗ってパーツを貼り付け

14.パーツ[A]に、パーツ[B]と[C+C]を貼り付ける。

パーツ[A]と[B]と[C+C]の縫い代内側にボンドを塗ってそれぞれを貼り付けます。
※ボンドを塗る部分はイラストで黄色く示した通りです。

貼り付けたあとは、4角部分を刃物などでカットして小さなRに形造り、上記の工程12で仕上げたところ以外のコバをドレッサーやサンドペーパーで整えておく。

貼り付けたところに縫い穴を開ける

15.パーツ[B]と[C+C]を貼り付けたところに縫い穴を開ける。

パーツ[B]と[C+C]を貼り付けたところに菱目打ちや菱ギリを使って縫い穴を開ける。(始点と終点と角は丸ギリで。)

針と糸を使って縫い合わせ

16.縫い合わせる。。

手縫い針と糸を使って縫い合わせていきます。

フラップを貼り付ける

17.パーツ[D+E]を、本体[A]に貼り合わせる。。

[D+E](中心のフラップ)と[A](本体)を留める縫い代の内側にボンドを塗って貼り合わせます。

ボンドを塗る場所はイラストの通り(黄色部分)で、
[A]はポンチ穴のある側の床面の端部に、
[D・E]はポケットを設けた面の床面の端部に塗ります。

外周を帆布で擦って磨く

18.外周のコバを仕上げる。

まず、上記工程で貼り合わせたところのコバを整えて、縫い穴をあけて縫い合わせます。

そして、上記の工程12で仕上げたところ以外のコバをサンドペーパーで軽く整えてヘリも落とし、最後はコバに仕上げ剤を塗って帆布で擦って磨き、外周のコバを仕上げます。

Dカン取り付けパーツを接着

19.パーツ[F]を接着する。

Dカンを取り付けるためのパーツ[F]を接着します。ちなみにここは白ボンドを使いました。

なおこの工程では、パーツ[F]の銀面側を接着させることになるので、ボンドを塗る前にはその銀面の接着部分を荒らしておきます(足付けしておく)。

Dカン用パーツを両面カシメで固定

20.Dカンを取り付ける。

まず、パーツ[F]にDカンを通し、そのパーツ[F]端の内面にボンドを塗って、画像のように貼り付けます。

最後に、パーツ[F]と[A]に開けた穴に両面カシメの足を差し込み、道具で叩いて固定させます。

折り曲げ跡を付ける

21.折り曲げ跡を付けたら完成。

まず各ポケット(3つ共)にプラスチックのカードを差し込み、三つ折りにしてバネホックを留め、そのあとしばらくの間軽~い重しをして折り曲げ跡を付けたら完成です。

ちなみに、軽~い重しとは単行本2~3冊程度です。
画像のものは、レザークラフトで使っているゴム板(約1kg)一枚を1時間程度のせておいた状態です。
なおこの時、プラスチックのカードを差し込まなかったり、重しが重すぎたり、長時間重しをし過ぎたりすると、バネホックの当たる部分にその跡が付いてしまうかもしれません。

そして今回は、Dカン部分に二重リングを介して真鍮生地のレバーナスカンを取り付けておきました。
さらには、Dカン→二重リング→チェーン→二重リング→ナスカンとしてもいいし、Dカンに二重リングだけを取り付けてそこに鍵を付けておくのもいいかも…。


■各ポケットの説明。

両端の2つのポケット

両端の2つのポケットはカード入れです。
左側画像のポケットのほうが少し奥行があります。自分はここに免許証を入れる予定です。地方や年代によってサイズが全然違うと思うので絶対にみんなが入るとは言い切れませんが、自分の貰った交通安全協会の免許証ケースの場合は丸ごと入れることが出来ます。というかこの免許証ケースのサイズに合わせてこのカードケースを作りました。
右側画像のポケットは、折りたたむと一番外側にくるので交通系のICカードなどは反応しやすいはずです。なので、ホックを留めたままでも改札のピピッが反応するかもしれません。
まあ、試していないので分りませんが…。

真中のフラップポケット

基本的には真中のポケットもカード入れであって、この財布に小銭入れはありません。
ただ、この真中のポケットは、フラップの内側にポケットがある構造なので、フラップを閉じたらポケットのフタが閉じるような感じにはなる。
なので多少の量であれば硬貨(小銭)を入れておくことは可能です。ただフラップを開ける時には、硬貨が落ちないように注意は必要かもしれない…。
とにかく硬貨のキャパシティはほんの数枚…。あくまでも、多少くらいだったら入れてはおけるという程度です。大量の硬貨でお釣りをもらうようなことがある場合は、このほかにコインケース(小銭入れ)のようなものが必要となるかもしれない。

紙幣を3つ折りで入れる

紙幣を3つ折りで入れる場合。
まず真中のフラップ(カードポケット)を広げます。そのあと浮き上がるほうのカードポケットの下側に紙幣を差し込みます。
そして、真中のフラップを閉じてから財布全体を3つ折りに閉じます。※画像の紙は10000円札と同じサイズです。


最近ではキャッシュレス化が進んできたことによって確実に現金の使用頻度は減ってきている。
ただどうしても、スマホ決済の場合は通信障害やバッテリー切れなどのようにスマホが使えない状況になることもあるだろうし、まだまだデジダル化未対応の店に訪れることもあるとは思う。なので、いざという時の紙幣やカードマネーはとうぜん所持していたほうが安心…。
ということで今回は、牛革のハギレを用いて「コンパクトな財布としても使える革製のカードケース」をレザークラフトで手作りしてみた。

作る前は、免許証などのカード類を入れておくためだけのケースを作ろうかと考えていたけど、数枚程度の紙幣くらいはせめて入れておきたい、ということで今回のようなかたちに…。
ちなみに、2~3枚の紙幣を入れておく程度ならば、小さく折りたたんで、カードと一緒に無理やり押し込んでおくことも出来るが、ぺったんこにしすぎて千切れそうになるくらいの折り目を何本も付けるのはなんとなくお金に失礼。せめて普通の財布くらいの折り曲げ具合では入れておきたいと三つ折りの本体にした。

あとは、出来るだけコンパクトなボディにしたかったので小銭入れは付けないでおいた。
ただ上記にもあるように、ほんの数枚程度であれば小銭(硬貨)も入れてはおけますが…。

なお巷では、財布とカードケースとスマホケースが一体化したものも販売されてはいる。それだとたった一つ持ち歩くだけで済むのでとても身軽になる。
なので、それらのようにスマホケースと一体化させておくというパターンも考えたが、自分の場合は免許証入れとスマホは別にしておきたかったのでやめておいた…。
そして、ケースが分厚くなってしまいスマートではなくなってしまうのもちょっと…。


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