酵母液を濾したあとのミニトマト

残りカスというか何というか、酵母液を作って濾したあとには材料である実などが残る。
今回でいうと画像のミニトマトになるが、見た目的にはまだ全然美味しそうだし匂いもすごくいいので、捨ててしまうのはちょっともったいない。
トマトソースやカレー作りの時などに加えたりしてもいいとは思うが、このような酵母液を濾したあとに残った実にも酵母菌はまだいるらしいし、せっかく時間をかけて育てたものなので、残ったミニトマトでも「元種」を作ってみることにした…。
うまくいったらそれでトマト色のフォカッチャも焼いてみたかったし…。

ちなみに、今回のミニトマトの場合は再利用してみることにしたが、中には本当に捨てたほうが良いくらいの材料もあるとは思う。
例えば、以前に一度だけリンゴで酵母液作りを試してみたことがあったけど、その時の「酵母液を濾したあとのリンゴの実(カットしたもの)」は、触るとスポンジのようにカスカスになっていて、再利用したいとは一切思い浮かばなかったくらいの、まさに残りカスと言える感じだった。
まあ品種にもよるかもしれないので、すべてのリンゴがそのようになるとは言えませんが、とにかくその時は絞って絞って絞りまくって、残った絞りカスは迷わず処分しました。

何はともあれ、今回の濾したミニトマトは捨てないで、試しに元種を作ってみる…。


■「天然酵母を起こした後のミニトマト」で元種を作る。

■1日目


残りカスで作る元種の材料
■材料
【残ったミニトマト】… 約80g
【強力粉】… 80g
【きび砂糖】… 6g
【水(ミネラルウォーター)】… 15g(ml)

【残ったミニトマト】
酵母を作る前のミニトマトは100gだったけど、作り終わったら約80gになっていました。多少は水分が出たようです。
なお通常は、酵母液を濾す場合、残った実などもよく絞って、その中の酵母菌もしっかりと取り出すことが多いとおもうけど、今回のトマトはあえてギューっと絞らずに網でただ濾しただけにした。
【水(ミネラルウォーター)】ここは水ではなく酵母液でもいいが、せっかく濾した残りのトマトで元種を作るというテーマにしたのに、それが台無しになると思ったので水にした。

●今回使用した主な器具や道具
・保存ビン(900ml)
・ミキサー(ブレンダー)
・混ぜるもの(菜箸やスプーンなど)
上記の器具は、それぞれに合った方法で煮沸消毒・アルコール消毒などをしておく。

ミキサーで攪拌するトマト液

最初に、トマトと砂糖水をミキサーに入れて一緒に攪拌する。

まず、きび砂糖6gを水15gに入れて溶かしておく。
そして、その砂糖水とトマト80gをミキサー(ブレンダー)に入れ、トマトの皮がある程度細かくなるまで軽く攪拌する。

そのあと、上記のトマト液を保存ビンに移す。

トマト液に強力粉を混ぜる

強力粉を入れて混ぜる。

上記のビンの中に強力粉を入れ、菜箸などで粉気がなくなるまで混ぜ、蓋をします。

発酵開始の状態

発酵開始。

発酵に最適な所に置いて2倍ほどに膨らませる。

春や初秋などの温かい日だったら常温。真夏だったら25~28℃設定のエアコンを付けた室内でちょうどいいと思うが、この日はまだ涼しかったので、25~28℃に出来る手作り発酵器の中に入れておいた。

なお、2倍になったのかどうか分からなくならないように、スタート時点の位置に輪ゴムを巻いて印にしておく。
このように生地の高さに沿って輪ゴムを巻いておくと発酵の進み具合が分かりやすい。

2倍以上に脹らんだ状態

ちゃんと膨らんだ

画像のように2倍以上に脹らんでちょっと安心。
かかった時間は3時間50分です。

過発酵にならないように、このあと冷蔵庫で保存。
すくなくとも6時間以上菌を休ませたほうがいいらしい。何かに書いてあった。

ちなみにこのあと、冷蔵庫の中でも膨らんで、最終的にはスタートの線(輪ゴムの位置)の3倍ほどになってしまいました。メチャ元気でした!

■2日目

2日目の発酵前とそのあとを比較

1日目の元種に、強力粉と水を継ぎ足して発酵させる。

■継ぎ足す材料
【強力粉】… 40g(1日目の半量)
【ミネラルウォーター】… 40g(強力粉と同量)

継ぎ足したら、消毒済みの菜箸などを使って粉気がなくなるまで混ぜ合わせる。この時、全体に酸素も与えている。

そのあとは、1日目と同様に輪ゴムで印をつけて2倍に脹らむまで適温の場所に置き、膨らんだら冷蔵庫で保存する。
ちなみにこの日は2倍に脹らむまで1時間30分。

■3日目


継ぎ足して発酵の3日目

2日目と同様に、継ぎ足して発酵。

■継ぎ足す材料
【強力粉】… 40g(1日目の半量)
【ミネラルウォーター】… 40g(強力粉と同量)

なお、この日は2倍に脹らむまで2時間だった。

以上のよう「継ぎ足して発酵」という作業を2~3回ほど繰り返すと元種が安定するらしい。

ちなみに、1日目のスタート地点から倍倍倍と増えていったとすると、3日目では普通にビンの容量が足りなくなってしまいますが、実際には倍倍倍にはならない。
膨らんだ次の日にコネコネと混ぜることによって前日の膨らんだ分の気泡は破裂するので、結局元種の高さは膨らむ前の高さに戻り、それプラスその日の強力粉と水を入れた高さになります。
それが左側画像で、発酵して倍になってもビンの容量が足りなくなる高さにはなりません。
まあ、そのまま冷蔵庫に入れずに放っておけば、発酵が進んでギリギリまで膨らもうとする場合もあるかもしれませんが…。
あと、一度に大量に継ぎ足していけば、もちろんビンの容量が足りなくなることはあります…。

ともあれ、このあとは普通にパンを焼く元種として使用し、減ったら継ぎ足し、また使用して減ったら継ぎ足し、を繰り返していくと、うまくいけばずっと使い続けられるらしい。

ちなみに…
あまり増やしたくない時は[強力粉10g:水10g]などと少なく継ぎ足せばいいし、
逆に、増やしたいときは[強力粉80g:水80g]などと多く継ぎ足せばいいらしい。
なお、継ぎ足すときは、その量が多くても少なくても[粉:水]の割合は[1:1]にすることがセオリーらしい。まあ、場合によっては変えたほうがいいような場合もあるらしいので絶対厳守ということでもないらしいが…。
これらは何かに書いてあった。


■トマトの実が入った元種を使ってフォカッチャを焼く。

フォカッチャを作る材料

元種がちゃんと膨らんだので、間違いなくフォカッチャは焼けると思うが・・・。

とりあえず材料を揃えて作ってみる。

材料を混ぜてコネた直後

まずは、材料を混ぜてコネコネ!

このあと、乾燥しないようにボウルの上にラップをし、30度くらいの場所に置いて発酵させる。

ちなみに我が家では、ドライイーストでパンを作る時。まだ寒い時期だと温風ヒーターから少し離したところに段ボール箱を置き、その温風が当たった段ボール箱の中にボウルと温度計を入れて発酵させています。
そして、近づけたり離したりしながら30℃の温度を保っています。
なので、今回も同じ要領で発酵させました…。

発酵が終了した頃

ちゃんと膨らんだ

いつものドライイーストで発酵させる時のようにちゃんと膨らんで一安心。

なおここまでの発酵時間はドライイーストより長めの3時間ほどでした。

このあとさらに作業を進め、オーブンで焼きます。

焼き上がったあとカットしたフォカッチャ

フォカッチャが普通に焼けました。

今回は、指で開けた窪みの奥にブラックオリーブの実を押し込み、オリーブオイルを塗った表面にはローズマリーの葉と黒胡椒を散らして焼きました。

切ってみると中はほんのりオレンジ色の生地。
その生地はトマトの味がすごくするという感じではなく。かすかに何かの旨味がするという感じです。
もっちりとしていて歯切れも良く、飲み込み易いフォカッチャに仕上がっています。

分割せずに結構大きめのものを1つだけ焼きましたが、とにかく美味しすぎて速攻でなくなってしまいました…。

以上のように、酵母液を濾した後の「残ったミニトマト」で元種を作り、それでフォカッチャを焼いてみましたが、これだけ出来れば大成功!
まあ、指で開けた窪みが深過ぎてブラックオリーブが全然見えませんが…。


■ちなみに、酵母液で作った元種は…。

前記では酵母液を濾した時に出たミニトマト(残りカス)で元種を作りましたが、ここでは本来のメインである酵母液を使って元種を作ります。
※前記で使用したミニトマトは下の画像のものです。なお以下で使用する酵母液もこの画像のものです。

酵母液の瓶を振る前と後

左側画像は発酵のピーク時点の様子です。このあとビンの上下を3度ほど交互に返すように軽く混ぜて直ぐに蓋を開けた時の様子が右側画像です。
蓋を開けた直後(この画像を撮る直前)には、ビンの口部分ギリギリのところまで気泡が沸き上がってきていました。それくらい元気な酵母液です。

これを作った時の様子は…
市販のミニトマトで「天然酵母液」を作ってみた時のこと」のページ途中に記してある「(追記)もう一度ミニトマトで酵母液を作ってみた。」で紹介しています。

■元種作り1日目(初回)


元種が膨らむ前と後

全粒粉は栄養が豊富なのでそれを混ぜると酵母菌が元気で長く持つらしい。
とのことなので「強力全粒粉」を買ってこようと思ったけど、たまたま家に完粒紛があったし、全粒粉も完粒紛も栄養が豊富なのは一緒だろうと思い、ここでは完粒紛を混ぜることにした。
「全粒粉」ではなく「完粒紛」です。ちなみにこの完粒紛はタンパク質の少ない薄力タイプでした。
だだ、今となってはこれが良かったのか悪かったのかは分かりません…。

■初回の材料
【完粒紛】… 50g
【酵母液】… 50g

画像左側が混ぜた直後で、画像右側が2時間30分後です。この時点では気泡も大きく完璧です。

残ったミニトマトの実で作った前記での場合、初回は3時間50分かかって2倍になったので、やはりこちらの方が強いような気がする。

■2日目


完粒紛を入れて発酵させた2日目

元種作りのセオリー通りに[粉:水]を[1:1]の割合で継ぎ足していく。

■継ぎ足す材料
【完粒紛】… 50g(1日目と同じ)
【ミネラルウォーター】… 50g(完粒紛と同量)

発酵して右側の高さになるまでは、初日とほぼ同じ2時間30分でした。

※ちなみに、上記の1日目の発酵の時は初回なのでとうぜん酵母液を混ぜていますが、この2日目以降はミネラルウォーター(水)を混ぜています。
なおここは、水でも酵母液でもどちらでもいいが、とりあえず水のほうがこの先も豊富にあるので。

■3日目


2倍の高さになるまで膨らんだ3日目

■継ぎ足す材料
【完粒紛】… 50g(1日目と同じ)
【ミネラルウォーター】… 50g(完粒紛と同量)

ちゃんと発酵して2倍の高さになるまで膨らみました。約3時間でした。

しかしここで、ちょっと気になることが…
酵母菌が元気になるかと思って栄養が豊富な完粒紛を使ったけど、段々と元種がユルユルになってきて、気泡も小さくなってきました。
とりあえず膨らむことは膨らんだが、なんとなく元気がないように見えてしまう。
ただ、匂いはすごくいいままなので、悪くなってしまった訳ではないと思う。

もしかすると、タンパク質の多いパン用「全粒粉」を使わなかったからそうなったのか…。
それとも、完粒紛の内訳は[ふすま+白い粉(小麦粉のメイン)]なので、回数を多く継いでいくにしたがってビンの中の[白い粉(小麦粉のメイン):水分]の割合が[1:1]ではなく水分過多のほうに傾いてしまったため、それが原因でユルユルになってしまったのか…。
でも、もしそうだったとしたら全粒粉でも同じようなことになるし…。全然分りません。
それとも、ユルユルになるのはごく普通のことであって、全く問題のないことなのか…。

ともあれ、気泡が小さくなったのはやはり不満。
とりあえず次の日には、ユルユルになった元種を2ビンに分けて1ビンあたりの元種を少なくし、
そして完粒紛を使うのをやめて強力粉に変え、一度だけセオリーを無視して[強力粉2:水1]と水分を減らしたものを継ぎ足して発酵させ、そのあと[強力粉1:水1]に戻して発酵させてみた。

そうすると、とりあえずは粘りのある元種に戻り、気泡も多少大きくはなりました。
やはり、最初から「強力全粒粉」を使うべきだったのか…。分りませんが…。

ケーキクーラーの上にのせた丸パン

普通にパンが焼けました。

一度はユルユルになって心配しましたが、画像のようにちゃんと焼けました。
いつものドライイーストで作るパンと遜色のないくらいふっくらです。
ひょっとしてただのから騒ぎだったのか…。

とりあえず、このあとしばらくは強力粉を使って元種を育ててみようと思う。
まだまだ匂いも全然いいし、けっこう長くいけそうな気はする…。


以上のように、ミニトマトで作った自家製の天然酵母液と、それを濾した時に残ったミニトマトとの2パターンで元種を作り、それらを使ってフォカッチャと丸パンを焼いてみた。
いずれも美味しくて大満足でした…。

ちなみにですが、小麦粉などの材料や焼く方法がまったく同じだった場合、手作りの天然酵母を使ったパンはドライイーストを使って作るパンの“何倍”も美味しいかと言われれば、全然そんなことはないとは思う。
だけど、焼いている途中と焼き上がりのパンの匂いは明らかに数倍は違うと思えるくらい良い。
とにかく天然酵母の場合は、ドライイースト特有の変な臭さはまったくありません。
もう、香ばしい匂いだけがキッチンに漂います…。

何はともあれ、上記のフォカッチャも丸パンも確実に風味がいいのは確か。香りも味のうちなので結局その分は確実に美味しいということ…。


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