乾性油とは、簡単に言うと、空気中の酸素と反応して固化(乾燥)する植物油のことです。 とうぜん油なので、水を弾く性質もあります。
その、固化する性質や、油本来の性質を利用して、
古くから日本では、エゴマ、亜麻仁、桐などの種子から絞った油を、番傘や提灯などに防水加工を施すためのコーティング剤として使用してきました。
そして現在でも、木部用の塗料としてや、木製品のメンテナンス用のオイルとして、また、印刷インクや、鉄の錆止めとして使われている乾性油もあります。
そのほか、亜麻仁、クルミ、紅花、芥子などの種子から絞ったものは、絵の具の原料としても使われています。

食用オイルでも、メンテナンスに使用できます

乾燥中の木のカトラリー
WOOD
鉄の椅子脚
IRON

上記は、産業用としてですが、食用としても多く流通しています。
純度100%の無添加のオイルの場合、産業用と食用の違いは、原料の品質が良いかどうか、管理や精製の工程が、食用に適するように衛生的かどうかなどの違いです。
ですので、食用オイルの場合でも、木の雑貨や家具のメンテナンス(お手入れ)や、鉄製品の錆止めに使用しても大丈夫です。
但し、食用のオイルは、価格がちょっとだけ割高なのでもったいないですが…。
しかし、カトラリーや調理道具などの、食品に触れるものに使用する場合に関しては安心できます。

なお食用のものを、木部のメンテナンスや鉄の錆止めに使用する場合の注意点ですが。
種類によっては、不乾性油がブレンドされていたり、酸化防止剤が添加されていたり、品種改良でリノール酸をオレイン酸(オレイン酸は乾燥しません)に置き換られていたりすることがあります。
その場合は、乾燥(酸化)がし難くなっている場合もありますので、裏面の原材料を確認するとよいでしょう。

逆に産業用(工業用)のものは、乾燥(酸化)を速める為に、有害な物質を添加している場合もありますので、食品に触れるものに使用するのはダメですし、とうぜんのことですが、直接口に入れてもダメです。
ちなみに、桐の種子から絞った油に関しては、毒性があるので、たとえ天然純度100%であっても食用のものはなく、産業用としてのものしかありません。

そして、呼び名に『乾性』という文字が含まれているので、合成樹脂塗料のように溶剤が揮発して乾燥すると思われるかもしれませんが、実際は酸素との化学反応で固化していくものです。
添加物を含まない純度100%のものの場合は、完全に乾燥(固化)するには数ヶ月とかかります。
但し、薄く塗った程度だと、数週間ぐらい経てばもうベタベタ感はなくなっていて、手で触れた程度ではもう乾いたかなという感じにはなります。 前記の、乾燥に数ヶ月かかるというのは、あくまでも厳密にいうとという意味です。

オイルの種類

ビンに入ったオイル2本

■【乾性油(かんせいゆ)】には、次のように色々な種類のものがあります。
亜麻仁・エゴマ・クルミ・芥子・紫蘇・紅花・ヒマワリ・桐などの種子から絞り出されたものです。
これらは、酸素に接すると酸化して完全に固化します。
よく、オイルフィニッシュと呼ばれ、木製品の仕上げやメンテナンスに使用されているのはこの部類で、特に、亜麻仁油と、エゴマ油がよく使われています。
なお上記のものたちには、産業用の製品があったり、食用の製品があったりしますが、前述した通り、桐の種子からから絞ったものの場合、食用はありません。

■そのほかには【半乾性油】というものもあります。
ゴマ・大豆の種子・コーンの胚芽・綿実・米糠などから絞り出されたものです。
これらは、酸素に接しても完全には固化せずネットリとなります。

■また【不乾性油】というものもあります。
オリーブの果実・椿の種子・ヤシの果実・アーモンドの種子・落花生の種子などを絞ったものです。
これらは、酸素に接しても固化はしません。

乾性油を、早く乾燥させたいときには

木や鉄のメンテナンスに使用した場合に、なるべく早く乾燥させたいときには、酸化を早めると良いわけですので、●光のあたる場所に置く、●風(酸素)通しの良い場所に置く、●気温の高い場所に置くことです。
但し、光といっても、木の場合、直射日光は反りやワレの原因になるので避けましょう。日中の日陰(室内など)の明るさの光で十分です。

また、酸素に触れると化学反応で固化するのですが、その固化中は熱を発生しています。
ですので、塗布に使用した、油を含んだ布や紙などの燃えるものを積み重ねておくと、熱が溜まって発火する恐れがありますので。水に浸して酸素に触れないようにして処分する必要があります。

木に塗布した場合、その表情に深みが出ます

乾性油が塗布されている木と、塗布がされてない木を、数ヶ月後に、2つ並べて比べてみると、塗布したモノの方が、少しだけ日に焼けたように色が濃くなっています。(普通に部屋の中で、覆い無しで置かれている場合)
特に、亜麻仁と、エゴマの場合は、やけが強くでます。
ですので、木の表情に深みを出したい場合には、良いかもしれません。
また、木の種類によっては、数年で飴色のように濃くなるものもあります。


なお今回は、おもに乾性油についての紹介でしたが、下記のページでは、それらを使って「木製の雑貨などをメンテナンス(お手入れ)する方法」も紹介しています。
また、市販の乾性油はもったいないので買いたくない、という方のために、「クルミの実を使ってメンテナンスする方法」も紹介していますのでご興味のあるかたはどうぞ。

乾燥中の木製のカトラリー木製の食器やカトラリー及び調理道具のお手入れ方法

クルミの実でメンテナンスした後の木製品「クルミの実」を使って木製品をメンテナンスする方法


ONLINE SHOP|オブノウ

ナチュラル キッチン雑貨

木と鉄の雑貨|of nou

インダストリアル家具

木と鉄の家具|of nou