コツさえ掴んでしまえば簡単に美味しい味が出せる。それが、ハンドドリップという方法で抽出するコーヒーの魅力です。
とくにペーパーフィルターの場合は使い捨てなので取扱いも楽です。にもかかわらず、美味しいコーヒーを淹れることが出来るという実はすぐれモノなのです。
また、色々な種類の豆や粉を買ってきて、自宅で手軽に本格的な味を楽しめるのも醍醐味のひとつです。
でも、簡単そうだけどやっぱり奥深いのがコーヒー。色々と淹れてみながら自分なりの味を見つけてみてはいかがですか。

準備するもの

コーヒーをドリップする為の準備

■コーヒーの粉
ペーパーフィルターでハンドドリップする場合、中細挽きが適しています。

コーヒー1杯当りに必要な粉の量は約10gです。
杯分だけ抽出する場合は、10~12gと少しだけ多目にしてください。
杯分を抽出する場合は、20g。
杯分を抽出する場合は、25~30gと、少な目にしてください。
杯分を抽出する場合は、35~40gと、少な目にしてください。
粉の量が増えるほど1杯当りが濃い目になりますので。杯数が増えるほど粉の量は少な目でもかまいません。

■ドリッパー
形状には台形型と円錐型のモノがあります。カリタ、メリタ、ハリオ、コーノなどのメーカーがあり、抽出されるコーヒーにはそれぞれ違う味わいがあります。この器具を使用するのが、コーヒーを抽出する方法として最もメジャーです。

■ペーパーフィルター
ドリッパーのサイズや形状と合うペーパーフィルターを使用して下さい。
ペーパーには漂白されたモノと無漂白のモノがあります。無漂白のモノは紙の臭いがするときがありますが、ドリッパーを温めるついでにお湯をかけて臭いを流してしまえば、気になるほどのことでもありません。

■ケトル(ドリップポット)
ケトルは、ハンドドリップを上手くする上でも重要な道具です。
本体の下部から、細長い注ぎ口がS字状にゆるやかなカーブで伸びていて、お湯の出口部分が斜めにカットされている形状のモノがオススメです。
理由は、お湯を注ぐスピードやお湯の量を調整する場合のコツが掴み易く、お湯を下に向けて垂直に落としながら注ぐ作業がし易いためです。

■コーヒーサーバー、または、耐熱メジャーカップ
メモリが付いたモノ、または、量が判る形状や大きさ(例えば1杯で130cc等と量が判ること)。

■メジャースプーン
コーヒー用のメジャースプーンは、1さじ10gが主流です。

■カップ
肉厚なモノのほうがコーヒーが冷め難いので美味しく飲めます。さらに、飲み口部分だけ薄くしてあると飲み心地も最適です。

■その他
毎回安定した味を抽出したい場合には、お湯の温度を測るための温度計や、ドリップスケール(はかり)があれば便利です。
さらに、ドリッパースタンドと、予備のカップ(ドリップのしずくを受けるためのモノ)があれば、ハンドドリップがさらに便利にできます。


まず、お湯を沸かします

ドリップポットでお湯を沸かしている

■コーヒー1杯当りに必要なお湯の量は約120~140ccです。
さらに、粉やペーパー、特に粉には10gに対して約20ccほどのお湯が吸収されますので、余裕をもってお湯を用意して下さい。

また、お湯を沸かした際には、器具(サーバー、ドリッパー、カップ)にお湯をかけて温めておいて下さい。
但し、プラスチックはお湯の熱を奪い難いので、プラスチック製のドリッパーの場合は、温める必要はありません。

■市販のコーヒーの粉でドリップする最適なお湯の温度は90~95℃程です。

温度が高い(90~95℃程)と苦味や渋味の強いハッキリした味になります。
温度が低い(80~85℃程)と苦味の成分が押さえられた酸味のある軽い味になります。
コーヒーらしい少し苦みのあるやつを飲みたい気分の時は高めの温度で。また、購入された粉が苦いと感じられるようでしたら、低い温度で抽出してみるのも良いかもしれません。

温度の調整は、専用の温度計で計りながら差し水などで調整するのが完璧なのですが、自宅で飲むだけなのでそこまで必要がないという方は、次の方法でも十分だと思います。

○高い温度(90~95℃程)のお湯をつくる方法。
沸騰後火を止めて1分ほど経ったくらいです。

○低い温度(80~85℃程)のお湯をつくる方法。
まずヤカンを2つ用意します。1つはドリップ用のケトル、もう1つは普通のヤカン(または鍋)で結構です。
そして、最初に普通のヤカン(または鍋)で沸騰するまでお湯を沸かし、火を止めて1分ほどおきます。そのお湯を別に用意しておいたもう1つのドリップ用のケトルに移し、さらに1分ほど経ったくらいです。
この時、お湯を移す先のドリップ用のケトルは、火にかけずに冷たいままの常温の状態です。
但し、室温やケトルの状態によって多少の差が出ます。


ペーパーをセットし、粉を入れます

コーヒー粉を入れたドリッパーの断面図

■ペーパーフィルターは、圧着部分を折り曲げてからドリッパーの形に広げ、ドリッパーの内側にフィットするように軽く押さえてセットして下さい。
ドリッパーとペーパーフィルターには色々な形状やサイズがありますので、必ずお互いの形状やサイズが合うモノを使用して下さい。

■次に、メジャースプーンなどで目的の人数分を計量しながら、ペーパーフィルターの中に粉を入れて下さい。そして、ドリッパーをポンポンと軽く叩くか、揺するかして粉の表面を平坦にして下さい。


コーヒーの粉を蒸らします

粉が膨らんだドリッパーの断面図

■まず最初は粉の蒸らしです。簡単に言うと本格的にお湯を注ぐ前に、粉に染み渡る程度のお湯を注いで30秒程置く作業のことです。お湯を注ぐというより、お湯を粉の上に乗せるという感じにするのがコツです。
この蒸らしをすることで、粉全体に均一にお湯が行き渡り、お湯の誘導路が出来て粉に触れる面積が多くなります。この作業でコーヒーの成分が抽出されやすくなります。
また、鮮度の高い豆を使用した場合、蒸らすことで豆からガスが発散され、その影響で上の部分がカップケーキのようにフワ~ッと膨らみます。 膨らまない場合は、豆の鮮度が低いことも考えられます。
蒸らしは、するかしないかで味わいに違いが出ます。また、蒸らしの秒数によって味も変わります。深煎りのコーヒーを淹れる場合は、さらにプラス10秒程長く蒸らしたほうが味がしっかりします。


では、ハンドドリップの開始です

ドリッパースタンドの上でドリップ中

■粉の中心から外側に円を描きながら最初は多目に注ぎます。その後もゆっくりと円を描くように心がけながら、数回に分けて注いで下さい。
その際は、なるべく湯面の高さの上昇を抑えて、湯面を一定の高さにキープするのがコツです。
一度に勢い良く大量のお湯を注ぐと、粉が浮いてしまって、旨みをじっくりと抽出し難くなります。

お湯を注ぐ際、気持的には端の部分のほうの粉にまでお湯を行き渡らせたくて、ペーパーフィルターの手前ギリギリの所まで注ぎたくなりますが、しっかりと端の部分までお湯は浸みていきますのでギリギリまで注がなくても大丈夫です。
むしろ、ペーパーフィルターに近いギリギリの部分だと、お湯の落下する勢いで薄いコーヒー液が横から出てしまいます。

抽出する時間ですが、2~3杯分の場合、最初のお湯の注入から終了まで約3分ほどで抽出して下さい。 それ以降は、1杯増えるごとにプラス10秒ほどが良いでしょう。

お湯の注ぎ方

お湯を注ぐ際には、絶対にペーパーフィルターに直接お湯がかからないようにして下さい。お湯がかかるのは絶対にNGです。

ペーパーフィルターに直接お湯がかかってしまうと、そのお湯が粉の中を通過しないでサーバーに落ちてしまい、コーヒーが薄い色になってしまいます。とうぜん味も薄くて頼りない味になります。
簡単に言うと、お湯でのばしたコーヒーのようになってしまいます。 お湯はなるべく多くの粉に触れさせてから下に落としたいものです。

お湯を注ぎ中の断面図

さらに、お湯を継ぎ足すタイミングで大事なことは、直前に注いだお湯が切れない間に継ぎ足すことです。
完全にお湯が切れてからお湯を継ぎ足してしまうと、粉の上に浮いている泡が下のサーバーに落ちてしまい雑味が出てしまいます。
泡はいわゆる灰汁(アク)です。なので下のサーバーに灰汁を入れないようにするために、絶対にお湯を途中で切らさないで下さい。
Cの図の様に、粉が完全にくぼんだ状態になってしまったらNGです。

注ぎ終わった断面図

それは、抽出作業が終了するときの最後の泡も同じことです。
粉がくぼんでしまう前にサーバーからドリッパーを外して、下のサーバーの中には泡を含んだ最後のコーヒー液は入れないで下さい。
その際に、ドリッパーの下部からコーヒー液がしばらく出てきますので、余分な予備のカップを用意しておいてコーヒー液を受けて下さい。
こういう時にドリッパースタンドを使用していると、下に置いてあるサーバーとカップを瞬時に交換することが出来て便利です。


ドリップコーヒーの出来上がり!

抽出したコーヒー
Fresh pot of coffee

■コーヒー液の量が目的のメモリまで達したら、ドリッパーとサーバーを離して抽出完了です。

■最後にコーヒーの味が均一になるように、サーバーを2~3回クルクルと軽く振るように回して下さい。(縦振りではなく横振りです。)

そして、あらかじめ温めておいたカップに、淹れ立てのコーヒーを注いでお飲み下さい。

まとめ
・美味しく淹れるために、コーヒーの粉は初めに必ず蒸らして下さい。
・ゆっくりと円を描くように心がけながら、数回に分けて注いで下さい。
・湯面の高さの上昇を抑えて、湯面を一定の高さにキープするのがコツです。
・粉の上に発生した泡は、雑味のある灰汁(アク)なので、下のサーバーには落とさないようにして下さい。
・ペーパーフィルターには、直接お湯がかからないようにして下さい。


ドリッパースタンドを使うとより便利です。

ドリッパースタンドを使うと、コーヒー専用のサーバーが無い場合、上部が安定しない形状や開口部が狭い容器などをも、サーバーの代わりに使用してドリッパーが使えます。
さらに、直接コーヒーカップなどに一人分だけ淹れたいときなどには、サーバーすらも必要としません。しかも、カップの中がドリッパーで隠れて見えなくなることがなく、上からコーヒーの量が確認できるので、透明ではないカップでも使用しやすくなります。
お気に入りのマグカップなどでも、中身を確認しながら直接ハンドドリップが出来るのでとても便利です。

1連のドリッパースタンド
3連のドリッパースタンド

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