カシュクールのようなデザインが特徴のあずま袋。

「風呂敷」と「バック」の間のようなもので、なんと江戸の昔からあるらしい。
海外では“Origami Bag”や“Bento Bag”、そのほかにも色々な名前で呼ばれ、国内ではもちろん海外でも手作りするのが人気の袋…。

正方形タイプと長方形タイプの比較

中でも一番多いタイプが、縦横の長さが同じであるイラスト左側の「正方形タイプ」。
しかし、正方形のタイプだと袋の部分が若干浅めではある。 そうなると開口部分が外側に広がり気味になってしまい、中に入れたものが落ちやすいような感じがして「バック」として使うにしてはちょっと心もとない…。
とは言え「風呂敷」のように先の取っ手部分をギュッと結んでしまえば開口部分を閉じてしまうことが出来るので、弁当などのように頻繁に出し入れしないものを入れておくには良い。
しかし、もう少し深さはほしいところ…。

ということで今回は、深さがあって安心感があり、また、袋の幅が同じだった場合には容量が大きくなる、イラスト右側の「縦長長方形タイプ」で作ってみた。

なお「あずま袋」は、パーツが布一枚だけ、そして直線縫いだけで作れるので、バック類の中では比較的作るのが簡単です。


■縦長長方形タイプの型紙の作り方

「縦長長方形タイプ」のあずま袋の型紙を作るのは、「正方形タイプ」の型紙よりもチョットだけ面倒です。
今回の形状は、イラストのように“正三角形”を6つ並べた“平行四辺形”。

※ちなみに「正方形タイプ」の型紙は 下部↓に。

縫い代の無い状態の型紙

「平行四辺形」の型紙は…

●正三角形が6つ並ぶ状態の「平行四辺形の型紙」を作り、普通にそれを写すパターンでも良いし、
●「正三角形が1つだけの型紙」を作って、それを上下交互に6回置きながら生地に写していく方法でも良い。
※なお、製品を1個しか作らないならば、あえて型紙は作らずに、平行四辺形を生地に直接製図しても良い。とにかく、イラスト通りの平行四辺形が出来ればOK。

今回は、何個も「あずま袋」を作れるようにと型紙は作っておきましたが、正三角形1つだけの簡単な型紙にしておきました。
そしてそれを上下交互にペン(消えるペン)で6回写すという方法に…。

正三角形の描き方

「正三角形・平行四辺形」の描き方は…

【一つ目】の方法
「角が30°・60°・90°の三角定規」もしくは「分度器」などのように「60°の線を引ける道具」があれば、それを使用して、イラストの様に1辺の両端から60度の線を1本ずつ引くだけで高さを計算しなくても正三角形が描けます。
また、これを応用すると平行四辺形も描けます。

【二つ目】の方法
「三角定規」や「分度器」が無い場合。
「1辺の長さ」と「高さ」が分かれば、あとは直角を出す道具さえあれば正三角形は描けます。
なお、その描き方の「イメージ図」と「正三角形の高さの求め方」は下記にて…。
そして、これを応用すると平行四辺形も描けます。
※直角を出す道具は、何か手持ちの直角部分を有するものでもOK…。例えば、四角い箱・本・ノート・下敷き、その他色々な何かの角(90°)…。

高さを求める公式

●正三角形の高さの求め方
正三角形を描く時に必要な寸法は、辺aの寸法を決めたら、あとは高さhが必要です。その高さhを出す公式はイラストに記した通りです。
公式を見ると難しく感じますが、簡単に言うと、

高さh =[0.866 × 辺a]ということです。

※正確に言うと、aに0.86602540378…をかけるのですが、今回はほぼ意味がないので0.866で。

もし、正三角形の高さを計算で出すのが面倒な場合は、下記の早見表で…。

高さを計算した早見表

●正三角形の寸法早見表
※ここにない寸法は、上記の公式で計算…。

生地は伸縮するし、それほど精度の高いものを作るわけでもないので、高さhの寸法は小数点以下切捨てにしてあります。(単位をmmで計算した場合。)

ちなみに「正三角形」の辺aは袋(バック)の横幅となり、高さhは袋(バック)の深さとなります。
※但し、マチ(下部の両端を折り曲げて縫い、バックに厚さを出す)のない場合です。

■それでは作ります。

3通りの完成スタイル

■材料

●薄い生地のほうが、風呂敷のように持ち手部分が結びやすい。この“結ぶ”使い方があずま袋の基本。

●ぶ厚い生地を使用して作ると、持ち手部分が多少結び難くなる。
その場合、持ち手部分の“先”同士を縫い合わせて“輪っか”にしてしまうのも一つの手。
さらに、その縫い合わせた部分を別布や皮革シートなどで覆い隠すと、そこが“ハンドル”となってイメージも変わります。
また、上記のように先同士を直接縫い合わせないで、2本の先と先の間に“ベルト”を設けてそれぞれの先に縫い付けると“ショルダーバック”に変身…。

というように、材料の生地は好みに合わせて…。

■作り方

縫い代を付けてカットする材料

.型紙を写し、縫い代を設け、断裁します。

今回は「辺aが250mm(25cm)の正三角形」を型紙にしました。
そしてその正三角形を上下交互に生地の上に置いて消えるペンで6回写すという方法で平行四辺形を描きます。
この時、それぞれの正三角形の頂点の部分には印を付けておくと良いです。この印は、あとで折り曲げる時や、縫い合わせる時の印です。

なおここまでは、まだ縫い代の無い“仕上がり線”の段階です。(イラストでは黒い線)

このあと、平行四辺形(仕上がり線)の全周(4辺)に、15mm(1.5cm)~20mm(2cm)ほどの縫い代を設けて断裁します。 ※生地が厚いか、サイズが大きい場合は25mm(2.5cm)位でも良いほど。
この縫い代は、使用する生地が厚くなるほど幅の広いほうが縫いやすい。 また、デザイン的には、幅が広いほどカジュアル感はアップするかな…。
とりあえず、今回の縫い代は4辺とも20mm(2cm)にしておきました。

両端を三つ折りにして縫う

.両端を三つ折りにして縫います。

両端の縫い代を、10mm(1cm)幅で2回折り曲げて三つ折りにし、アイロンで押えたあと縫います。

※折り曲げられた端のラインが仕上がり線のところになります。
三つ折りにして縫った拡大画像
“アップ画像”

折り曲げ方の説明

.まず、一辺を縫い合わせます。

まず、上記[工程2]の状態から裏返します。

そしてイラストのように、仕上がり線(ア・ア)の所を、その真ん中の印(V)を中心にして折り曲げて縫い合わせます。

折り曲げて一辺を縫った状態
“それがこの画像”

端をめくりあげて反対側を縫った状態

.もう一辺も縫い合わせます。

上記[工程3]で縫い合わせた所の端をめくりあげて、反対側(上側)のもう一辺の仕上がり線(イ・イ)も同じ要領で縫い合わせます。

ちなみに、上記[工程3]での“最初の一辺”を合わせる時には、ただ単純に(平面的に)折り曲げるだけだったのですが、こちらの“もう一辺”側を合わせる時は、少しややこしい感じになってしまいます。
ですが、実際にやっていることは[工程3]とまったく同じです。

形を整えてバックの形にしたところ

.整えると、あずま袋の形になっています。

袋状になった中に手を突っ込んで形を整えると、もうすでにあずま袋(バック)の形になっています。

縫い代の下部を三角に折り曲げる

.縫い代の始末をする。その1

まず[工程3・4]で縫い合わせた縫い代を開き、下部分が三角になるように折り曲げる。

※なお開いた縫い代は、後で縫う時にはどっちみち閉じてしまうのですが、ここでは開いた状態で一旦アイロンをかけておきます。
これは、縫い目の部分に折り目を付けておく為で、この方がきれいに仕上がるはずです。
まあ、このアイロンは絶対に必要というほどでもありませんが、念のためです…。 要は、最後に表を返した時にがっかりする可能性を減らすため。
とにかくこのあと縫う作業をしますが、それは裏側からの状態であって表の状態は見えないので…。

縫い代を半分にカットする方法

.縫い代の始末をする。その2

●使用する生地が薄い場合…
この工程はスルー。

●使用する生地が厚い場合…
まず短い側の縫い代は20mm(2cm)幅のままにしておき。その反対側の長い縫い代を、短い側の縫い代に相対する部分だけ、幅が半分(10mm(1cm))以下になるようにカットする。

折り曲げてアイロンをかけておく

.縫い代の始末をする。その3

●[工程7]をスルーした場合は…
下の半分は縫い代を2枚重ねて10mm幅で三つ折りにし、上半分の持ち手部分の縫い代はそのまま10mm幅で三つ折りにする。
そして、アイロンをかけてから、全部一緒にまとめて上から下までコバステッチで縫う。

●使用する生地が厚い場合… の続きは…
上半分の持ち手部分の縫い代は10mm幅で三つ折りにし、下の半分は、短い側の20mm幅の縫い代で、10mm幅にカットした部分の縫い代を包みこむ。(いわゆる折り伏せ縫い。)
そして、その状態でアイロンをかけてから、上から下までコバステッチで縫う。

縫い終えた状態

縫い終えたら、この画像のようになります。

ちなみに、「縫い代の幅をカットしないままで縫った場合」も、「10mm幅に細くカットした縫い代を包みこんで縫った場合」も、
縫い終えてしまうと、両方とも仕上がりの見た目は同じです。

先端部分の始末方法
“持ち手部分先端”の拡大イラスト

なお、この時の先端部分の始末は…

[工程2]から[この工程8]までの間に縫い代を何度も折り曲げてくると、最終的には、持ち手部分の先端に“はみ出す部分”が出来てきます。

その始末の仕方は…
●イラストの様に[◎部分]だけを残し、そこ以外のはみ出した[×部分]はカットする。
●そして、残しておいた[◎部分]は内側に巻き込んで縫っておきます。
※この部分は生地が重なって縫い難いので、木槌などで叩いて薄くしてしまうと縫いやすい。

それでも、どうしても縫い難いという場合は、外から見ても影響の無い内側の層を切り取って、この部分を薄くしてしまうと良い。
薄くするために切り取る

完成して広げた状態

.ひっくり返すと完成です!

最後に、裏表をひっくり返すと「縦長タイプのあずま袋」の完成です!
今回は薄手の生地で作ったので、風呂敷のように持ち手を結びやすいタイプです。

なお、厚い生地で作った場合は、持ち手同士を縫い合わせて輪っかにし、ワンハンドルのトートバックとしても良いし、また、持ち手同士の間にベルトを設けてそれを縫い付け、長めのショルダーバックにしても良いですね。
さらに、下部の両端を折り曲げて縫い付け、マチのある袋にしても良い。
もちろん、サイズも自由に!
このように、アレンジ次第で色んなデザインに…。


■「正方形タイプ」の型紙と、そのタイプの「あずま袋」の作り方は…

正方形タイプの型紙

ちなみに、完成した全体の形状が“縦横同じ長さ”である「正方形タイプのあずま袋」の型紙は、イラストのように正方形が3つ並んだ形状です。(縫い代の無い“仕上がり線”の状態。)
とにかく、めちゃくちゃ単純!

袋(バック)の作り方は…
今回の縦長タイプとまったく同じです。
というか、工程はまったく同じですが、さらにちょっとだけ簡単です…。
例えば、[工程4]がややこしくない(あくまでも感覚の部分ですが)。 また[工程8]では、持ち手部分の先端に“はみ出す部分”が出来ない、など。
まあ、ほんのちょっとだけ…。


使用する生地によっては、洋風にも和風にもなる「あずま袋」。

あれこれと思いを巡らせて生地を選ぶ作業はとっても楽しい時間ですよね。自分のスタイルに合わせてどんな生地にしようかと…。
特に「あずま袋」の場合は、風呂敷のように持ち手を結ぶデザインになっているで、使用する生地によっては“ど和風”にも出来るし、もちろん“洋風”にも出来るし…。

また、「薄手の生地」で作っておけば、小さくたたんでカバンにも収納しておきやすいのでエコバックとして使っても良いし、旅行の際の予備バックとしてもピッタリ…。
また、しっかりとした「厚手の生地」で作り、さらに持ち手を縫い付けておけば、普段使いのバックとしても十分使えますね…。

なお、和風にも洋風にもなるバックと言えば「ノットバック」もそうである。
このノットバックも簡単に作れますので気になる方は、ワンハンドルで使う「ノットバック」の作り方とその型紙 をどうぞ。


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