うちではお米を玄米でストックしているので、精米するたびに米ぬかが出てくる。

玄米と精米機

普段この米ぬかは、菜園用のぼかし肥料にしたり、大根や筍(たけのこ)のアク抜きとして使用する以外はほぼ捨てている。
1度だけ米ぬかを軽く炒って布袋に入れ、それで無垢の木製品を磨いてみたこともあったが、1度や2度磨いたぐらいでは木を保護するほどの効果はあまり無いと判りそれっきり。

そんなところ、なにげなくあるサイトを見ていると「米ぬか石鹸」というワードが目に入ってきた。
これは何だろう!とさっそく調べてみると、とりあえずは石鹸らしい。そして、重曹と米ぬかがあれば作れるとのこと。
まあ、本格的な固形石鹸のようにはならないが、そこそこ汚れが落とせるものは出来るような感じ…。

そこで、ほんとうに汚れが落とせるのか、ものは試しと作ってみることに。
今回の用途は、台所で使う食器用洗剤として。

そのついでに、米ぬか石鹸の使い勝手を良くするための「専用袋」も作ってみた。


■「米ぬか石鹸」の作り方。

揃えた材料
■材料

【米ぬか】… 100g
【重曹】… 10g(今回、食用を使った)
【水】… 300㏄

色々と材料を調べてみた限りでは、ほぼほぼ上記の倍の量を作るレシピばかり、しかも完成した画像をみたら、えっ!という量である。なので今回はそれらの半分の量にする。
今回は、あくまでもお試しなので…。
あとは、とにかく調べた通りに作ってみた。

■作り方


鍋に水を入れる様子

.鍋に水を入れて沸騰させる。

このあと材料が膨らむ瞬間があるので、余裕のある大きめの鍋で。

沸騰したお湯に重曹を入れる様子

.沸騰したら、重曹を入れてしばらく煮込む。

重曹(炭酸水素ナトリウム)は、加熱によって、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水に分解するらしい。
シュワーとなるのは二酸化炭素が出ている状態。

炭酸ナトリウムになると重曹(炭酸水素ナトリウム)よりもアルカリ度は高くなる。

米ぬかを少しづつ入れる

.火を弱火にして、米ぬかを少しずつ入れる。

強火のまま米ぬかを入れると、泡が勢いよく泡立って吹きこぼれる恐れがあるので、コンロの火は弱火にしておくとよい。

鍋の中の材料が泡立った様子

米ぬかを入れた瞬間、フワーッと泡立ちます。

最初は少しだけ入れたほうが良いかもしれません。
そして、一旦泡がおさまったら、残りを入れる。

ちなみにこの画像は、お湯が沸騰した状態のまま米ぬかを入れた時のものです。もう吹きこぼれる寸前。慌てて弱火にしました。

材料をかき混ぜる様子

.弱火のまま、しばらくヘラなどでかき混ぜます。

そこそこ水分が飛んでペースト状になったら完成。

これは、アルカリ性の炭酸ナトリウムと米ぬかに含まれている脂肪酸とを反応させて石鹸にするということなのかな?

完成した米ぬか石鹸を容器に入れたところ

.容器に入れて冷暗所で保管。

完成後はなるべく早く使い切ること。

材料はあくまでも天然素材です。保管状況が悪いと環境や季節によっては1日で腐食してしまう可能性も十分にありえるとおもうので、保管場所には気を使った方がいい。
とにかく基本は冷蔵庫で…。期限も1週間ほどを限界にしようと思う。
なるべく一度に多く作らずに、面倒でも少量づつこまめに作った方がいいかも…。


■「専用袋」の作り方。

「米ぬか石鹸」の形態は、ほぼ米ぬかと水を混ぜ合わせて練ってあるだけの状態。とうぜん普通の洗剤とは違い粒々のカスの集まりである。そのままスポンジたわしなどに直接付けて洗ってもいいが、それだと粒々のカスが排水溝に流れてしまうので環境に優しくはない。また、排水溝の入り口に網をしている場合、その網がすぐ詰まってしまうのも嫌だし…。

ということで、米ぬか石鹸を使った際にそのカスが排水溝に極力流れないように、それを入れておくための「専用袋」を作ってみた。
なおこの袋は、今回の目的以外にも「小さくなったり割れたりして使いにくくなった固形石鹸を入れて、それらを最後まできれいに使うための袋」としても使えるかな…。

吊り下げられた石鹸用の袋
■材料

【柔らかい適当な布】

今回はシーチングを使ってみた。

■作り方


袋の型紙

.まず布をカット。

折り曲げる位置と寸法

.2枚とも一端を三つ折りにして縫う。

大小の2枚とも、一端を10㎜幅で三つ折りにしてコバステッチで縫う。
下の[工程3]の画像を参考。

袋状に縫った様子

.中表にして縫い合わせる。

中表に合わせた状態で三つ折りにした反対側の端を揃え、袋を作るようコの字に縫う。
この時の縫い代は5㎜で。

縫った後ひっくり返した様子

.裏返して表面を外側に出す。

裏返して表面を外側に出し、周囲の端をキレイに整えてアイロンをかけておく。
そして、袋状に縫っていない部分もその流れで折り曲げてアイロンをかけておく。

フタを折り曲げて縫い合わせた様子

.折り曲げて両端を縫う。

袋状になった口部分を中心にして折り曲げ、端から3㎜ほどのところで縫う。

なお、上に被さった布はこの袋のフタとなります。

周囲を袋縫いにした様子

.周囲を袋縫いにして、縫い代を始末する。

折り曲げたところ以外の3辺を、端から7㎜の所で縫う。
その結果、[工程3]で縫った5㎜の縫い代が、この7㎜の中に納まって袋縫いの状態となる。


■袋に米ぬか石鹸を入れる方法と使い方。

袋に米ぬか石鹸を入れる

袋に米ぬか石鹸を入れる方法

●まず、一番上に被せた布(フタ)をめくりあげてひっくり返す(裏返す)。
●そして、内側に隠れていた袋部分を広げて、そこに米ぬか石鹸を適量入れる。
●最後に、ひっくり返した布(フタ)を元に戻す(被せる)。

袋を水で濡らした様子

使い方

食器などを洗うときは、全体を水に濡らしてスポンジたわしなどの様に使用する。

ギュッと絞ると白っぽい濁った液が出てくる。おそらくそれが洗剤の代わり。但し泡は出ない。

なお、使用後の米ぬか石鹸のカスは毎回袋から取り出しておく。濡れた状態で放置をしておくとカビの生える恐れがあるためです。
カスの取り出し方は…。袋をひっくり返すと内側に米ぬかのカスがこびり付いているので、それをスプーンなどでそぎ落とす。そしてそのそぎ落としたカスは使用ごとに毎回捨てる。

使い終わった袋はキレイに水洗いをしてから固く絞り、風通しの良い場所に吊るして乾燥させておく。

※ちなみに、素手で使う場合は必ずパッチテストを行なって、自分の肌に合うのかどうか確認。もし心配ならゴム手袋を装着。


■米ぬか石鹸の洗剤としての効果と使用感は…。

ガラスのボウルを洗っているところ

とりあえず、油汚れの落ち具合を試してみた。

まず、陶器・ガラス・ステンレス・琺瑯・プラスチック・シリコンゴム、の食器や容器、調理道具などをいくつか用意。
そして、それらの表面に植物性の食用油を塗りつけ、その油がどの程度落ちるかをテスト。
※なお、動物性油のテストはしていない。

【結果(効果)】
●陶器・ガラス・琺瑯は、指で擦るとキュッ!キュッ!となるくらいまで油は落ちた。
●ステンレス・プラスチック・シリコンゴムの場合、油膜が完璧には落ちない感じ。表面を指で擦ってもキュッ!キュッ!とはいかない。微妙にヌルッとしている。

結論としては、あらゆるものの油汚れをガンガン落とすという感じではない。
まあ、これでも良い、といえば良いのかもしれないが、洗った後にキュッ!キュッ!とならない材質のものがあるというのは不満。

ただ、気のせいかもしれないが、ステンレス鍋の底が少しだけキラッとして見えるような…。 これは何汚れが落ちたのかな?タンパク質汚れ?…。それとも綿シーチングで落ちたのか?…。もしくは本当に気のせい?…。まあ、詳しくは分かりませんが…。

また、無垢の木の食器やカトラリーなどを洗う場合に関しては、液体洗剤を使用すると、木の繊維に浸み込んだ洗剤がそのまま残留してしまうのであまり好ましくないし、木の表面もカスカスになってしまいそう。
その点米ぬか石鹸は、しみ込んだとしても天然の米ぬかだし、むしろ木の保湿になるかもしれない…。

但し、アルカリ性である炭酸ナトリウムの影響による“木の変色”には注意する必要はあるかも…。
とりあえず、手持ちの無垢の木皿で試してみた。
その結果、1度洗った程度ではあまり影響はなかった。まずはひと安心。これは炭酸ナトリウムが米ぬかの脂肪酸でちゃんと中和されているのからなのかな?…。
ただ、木の種類も色々とあるので何とも言えない。

【使用感】
●なによりも、泡が出ない。
●米ぬかの臭いには賛否があるとおもう。

元々、強力な食器用液体洗剤は使用せずに固形の台所用石鹸で食器を洗っていたので、多少の泡立ちの少なさには慣れていたが、それにしてもまったく泡が出ないのはさすがに物足りなさはある。


以上、米ぬか石鹸とそれを入れる専用の袋を作って試してみました。

この米ぬか石鹸は、主な材料が米ぬかなので天然の洗顔料として使用しているという話もありますが、効果のほどはよく分からないので今回はあくまでも「食器用洗剤」として使ってみました。
とにかく、出来上がったものが中性か弱酸性になっていればいいのかもしれませんがphの測定手段が手元に無くてよく分からないし…。また、何かのアレルギー物質が含まれていると嫌なので…。
と言いながらも、今回“素手”で扱いましたが…。
いずれにしても、使用前のパッチテストは必要。
もし心配だったらゴム手袋をはめて使用したほうが良いと思う。

なお、石鹸とは謳っているが、普段使っている台所用石鹸とは程遠い感じ。
とにかく、今回使ってみた限りでは、この先もずっと使ってみたいとは思わなかった。
だからと言って全然使えなかったと言うことではなく、ガラス・陶器・琺瑯などのような昔ながらの材質のものを洗うのは得意なようではあった。

そしてこの先、何かの汚れが意外とよく落ちるなどの効果があると分かったらもちろん使うかもしれません…。

※ここで言う米ぬか石鹸とは、あくまでも今回作った手作りのものを指します。市販の米ぬか石鹸のことではありません。

なお今回、せっかく石鹸用の袋を作ったので、これはこれで無駄にならないように「小さくなって割れた固形石鹸を入れて使う袋」として使うつもり。


ONLINE SHOP|オブノウ

ナチュラル キッチン雑貨

木と鉄の雑貨|of nou

インダストリアル家具

木と鉄の家具|of nou