今回はワンハンドルのノットバックを作ります…。
ワンハンドルとはいっても実際にはツーハンドルで、その一方のハンドルは長く、もう一方は短い構造となっています。そして、短い方に長い方を通して交差させ、使う時にワンハンドル(一つの持ち手)にするというバックです。
また、ノット(knot)とは「結び目」「絆」「縁」「絡ませる」という意味らしい…。ちなみに今回作るタイプは固く結んで使用することはほぼない。
なお、同じノットバックという呼び方でも結び目のあるタイプのものもあります。
ともあれ、今回作るタイプの場合は、薄い生地で作ると折り畳みやすくて軽るくもなるので旅行やショッピングの際のサブバックにもいいし、また、大きく作ってレジバックとしても使うのもあり。なお、グレードが高そうに見える生地を使えば十分にメインバックとしても使える。
とにかく、使用する生地や作るサイズによって、ご近所などへのカジュアルなお出かけから、そこそこ気を使うようなシーンまで幅広く使えます。
■マチ付きのノットバックを作る。
このタイプのノットバックとよく似た形状のバックに「レジバック」があるが、セレクトする生地によってはレジバック感が出てしまいそう…。今回はあまりそれ感が出ない様にとコーデュロイ生地で作ってみた。
サイズ的には、とりあえず長財布が横向きに入る大きさで、あとは・ケータイ・ハンカチ・キーホルダーなどを入れてちょっとしたご近所などに出かける際に便利な大きさにした。
【完成サイズ】底部分:横幅23cm程/マチ幅8cm程 高さ:43cm程
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【表地】… 50×32cm(2枚)
【裏地】… 50×32cm(2枚)
上記は 裁断する際の寸法。内訳は下記にて。
今回使用した生地…
【表地】コーデュロイ(カーキ色)
【裏地】オックス(生成り色)
ここでは表地としてコーデュロイを使いますが薄手のフェルトなどを使うのもかわいい。ただそれらだとちょっと秋冬感があるので、春夏用もしくはオールシーズン用にしたいのならカラー帆布などを表地にするのもいいかも…。
今回の型紙は…
イラストのように、大きい四角形(30cm×28cm)の上部に、幅7cmの長方形(長さ10cmと20cm)が2つ合体した形状。
さらに、その大きい四角形と幅7cmの長方形が接する内側の90度の部分には半径4cmの円弧(R4)を設けている。
そして、生地を裁断する際には、上記の型紙の周囲に1cmの縫い代を設ける。
■作り方
1.材料を裁断。
表地と裏地をそれぞれ2枚ずつ裁断します。
なおこの時、表地と裏地のそれぞれ2枚は、必ず「左右対称」にすること。
2.ハンドル部分の上部を縫う。
“表地同士”と“裏地同士”をそれぞれ中オモテにしてピッタリと合わせ、幅7cmのハンドル部分(長い方と短い方の両方とも)の先を縫い代1cmのところで縫い合わせる。
3.アイロンをかけて縫い代を割る。
縫い合わせた生地を広げ、さらに縫い代を割ってアイロンをかける。
表地と裏地の両方とも。
4.内側部分をぐるりと1周縫う。
表地と裏地のオモテ面を合わせて(中オモテにして)内側の端をピッタリと揃え、その内側部分を縫い代1cmでぐるりと1周縫います。
5.縫い代のコーナー部分に切り込みを入れる。
このあとひっくり返した時に、内側で縫い代がつらないようにコーナー部分(曲線部分)に切り込みを入れておく。
6.ひっくり返します。
7.アイロンをかけて形を整えます。
この時、裏地は表地よりも少し内側に入るように折り曲げました。
その理由は…
基本的にこの作り方の場合はリバーシブルに出来るので、裏地と表地の端は“つらいち”にしてもいいのですが、今回はリバーシブルにするつもりも無いし、そのような生地選びをしたので、完成して表から見た時に裏地がはみださないようにするため。
8.コバステッチで押さえます。
アイロンをかけて形を整えたところをコバステッチで押さえます。
ちなみに今回、表地と裏地というように2色の生地を合わせて縫う工程では、表地と裏地のそれぞれの色に合わせて上糸と下糸のミシン糸の色を変え、2色の糸で縫っています。
画像の場合は、上糸がカーキ色で、下糸を生成り色にしています。
とうぜん、同じ色同士の生地を縫う工程では、上糸と下糸は同じ色にしています。
その都度糸を変えるのはちょっと面倒ではありますが、完成度を上げるための手間です…。
9.表地同士・裏地同士を合わせて袋状に縫う。
まず、表地と表地・裏地と裏地を中オモテにして端をピッタリと合わせます。
そして、両脇と底部分を縫い代1cmでコの字状に縫ってそれぞれを袋状にします。
この時、イラストでも記したように、バック底部から27cm(縫い代も含めると28cm)のところで縫い止めて、ハンドル(持ち手)部分までは縫わない。
この縫わないハンドルの脇部分が、このあと生地をひっくり返すときの返し口となります。
10.底部分にマチを作る。
生地(袋部分)のウラ・オモテが逆になっている状態の時に底部分の両側を縫ってマチを作っておく。
今回はマチ幅7cmにしました。
この作業は表地・裏地とも行います。
なお、このウラ側になっている状態でマチ幅7cmで縫うと、オモテに返したら7.5~8cmほどのマチ幅になるはずです。(生地の厚さ次第)
そして、マチを作ることによって表地と裏地の底部に出来た2カ所(合計4カ所)の余分な角は、縫い目から1cmを残してカットします。
11.ひっくり返す。
ハンドル(持ち手)部分の脇(返し口)に指をつっこんで奥の生地をつまみだし、そこから全体をひっくり返します。
ひっくり返したあと、下部の画像のようにはみ出た裏地は中に収めてバック状に整えておく。
12.最後に返し口を始末します。
長いハンドル(持ち手)と短いハンドルの、まだ縫い合わせれていない外脇部分(返し口)を縫い代1cmで折り曲げて端を合わせます。
ここでも工程7の時と同様に、完成した時に表地よりも裏地が外にはみださないように、裏地が少し内側になるように折り曲げました。
そして、その合わせた端部分(返し口)をコバステッッチで縫い合わせて閉じたら完成です。
なお最後に、両ハンドルとも両脇の縫い止まり部分には補強のための“閂止め(かんぬきどめ)”をしておくと引き裂けにくくなり安心です。
その方法としては、手縫い・専用ミシン・コンピューターミシンなどで縫う方法があるが、手縫いは面倒だし、専用ミシンは業者でないかぎりあるはずもない。コンピューターミシンだったらそこそこ持っている方もいるとは思うが、とりあえず直線専用ミシンでも十分OK。
1~2cmくらいの距離(赤線部分)をミシンの直線縫いで行ったり来たりを数回行うだけでも全然良い。
使用する時は、ワンハンドルにする。
使用する時は、短いハンドルのような形状の輪っかに長いハンドルを通してワンハンドルにします。
短い輪っか側の周辺部分がフタ代わりとなって、中に入れたものが落ちにくくなるのがこのノットバックの特徴です。
■自分流のアレンジでより使い易く。
今回はバックの内側に、何かを留めておく時に便利な引っ掛けループを設けておいた。
何かの拍子に大事なものがバックから飛び出したりして紛失するのを防止する為です。
例えば、鍵を付けたキーホルダーを直接留めておいたり、また、小さなポーチをぶら下げておいてそこにケータイや財布などを入れておいたりと…。
その取り付け方法は…
上記の工程9の時点で、中表にした裏地の間に「半分に折り曲げた綾テープ」を挟んで一緒に縫う。
さらに詳しくは、
まず、幅20㎜の綾テープを10cmにカットし、それを縦半分に折り曲げて幅10㎜にする。
その折り曲げて合わせた端部分にコバステッチをかけて開かないようにする。
それを半分の長さ(5cm)に折り曲げてループ状にしてから、画像のように中表にした裏地の間に挟んで一緒に縫う。
以上のように「ノットバック」の作り方とその型紙の描き方でした。
今回は、底部分にマチを設けて下部を角形にしたのでそうは見えにくいけど、底部分を丸く裁断してマチを作らない(タックを入れる場合はある)バージョンにすると、ワンハンドルにしたときに横から見ると“しじみ”のような形に見えるので「しじみバック」と呼ぶこともある。
ともあれ、このバックはセレクトする生地次第では洋風にも和風にも出来るデザインです。
例えば、和風柄の生地で作ると浴衣にも合いそうだし、ゴールドやエナメルなどのキラキラで張りのある生地を使って小さ目に作ればフォーマル過ぎない場合のパーティーバックにも使えそう。
なお、上記でも述べたようにノットバックのノット(knot)には“結び目”という意味も含まれているが、どちらかと言えば「あずま袋」のほうが“結び目”の出来るバックではある。
この「あずま袋」も簡単に作れますので、気になる方は “深さがあって容量も大! 縦長タイプの「あずま袋」の作り方” をどうぞ。