飲み物を入れる器として「紙コップ」を使用するということはよくあります。
しかし、紙コップに熱々のコーヒーなどを入れると、耐熱の加工がされていないものの場合、手で持った時に熱くて素手では持てないくらい…。

そのため「カップホルダー」というものが存在するわけですが、簡単に探してみたところ、革製のものはちょとお高め、お手頃に買えるものだと味気ないプラスチック製のものしか見つからず…。


■布と皮革で作ってみた。

そこで、“プラスチック製品をなるべく使いたくない派”としては、ここはやはり自作するしかない!ということでナチュラルな素材で簡単に作れるカップホルダーを考えてみた。

自宅や職場ではもちろん、アウトドアなどで使うのもいいかな…。
なお今回作るものは、小さいタイプの紙コップ用です。使用した紙コップは容量が205㎜のものです。

材料の綿帆布と皮革シートの型紙
■材料

【布】… 綿の帆布(10号)。 薄い布はNG。
【皮革シート】… 厚めでハリのある革。
※なお、皮革シートはあっても無くてもよい。

断裁した数量は、
【綿の帆布(キャンバス)】が2枚。
【皮革シート(レザー)】が左右対称で2枚。
今回は、厚さ2㎜でハリのある牛のヌメ革を使用。

■まずは、本体部分の型紙から作ります。

紙コップに線を描いた様子

.【本体型紙】任意の紙コップに、ホルダーの形を描きます。

まず、使用する予定のものと同じ型の紙コップを用意し、その表面に作りたいホルダーの形の線を描きます。デザインは自由に…。

今回の描き方としては、紙コップ縦のつなぎ目の所を頂点として斜めに下がってゆき、カップを1周してまた頂点に戻るという感じにしました。

描いた線に沿ってカットしている

.【本体型紙】描いたホルダーの形でカットします。

●まず、描いた形の頂点のところから下に向かって垂直にカットします。
●そして底部を取り除いて平面状に開き、描いた線通りにホルダーの形にカットしたものが基本の型となります。

なお、ホルダーの形にカットする時は、画像のように半分に折り曲げてカットすると、左右対称になります。

輪郭を写して2㎜大きくする

.【本体型紙】紙にアウトラインを写します。

●まず切り抜いた型を適当な紙の上に置いて、輪郭(アウトライン)を写します。

●そして、その輪郭の2㎜外側に線を引いて(黒色部分)、さらに輪郭を大きくします。
※理由… このあとの工程で、布を縫い合わせて裏返すと基の型の輪郭よりも小さくなるので、この時点で全周を2㎜ほど大きめにしておきました。

写した輪郭の両端につまみ部分を設ける

.【本体型紙】アウトラインにつまみ部分を追加して、その周囲に縫い代を設けます。

●上記の輪郭の左右に幅30㎜ほどのつまみ部分(濃いグレー色部分)を設けます。(今回は幅30㎜にしましたが、幅はお好みで…。なお、布の厚さによってですが、完成したら2~3㎜狭くなります。)
この時、下には15度ほどの角度を付けておきます。

●そして、周囲に10㎜の縫い代(黒色部分)を設けます。

これで、本体部分の型紙が完成です。
この型紙に合わせて帆布を2枚断裁します。

■それでは、縫っていきます。

布を縫い合わせて、切込みを入れる

.本体部分の周囲を縫います。

●本体部分の帆布2枚を重ね合わせ、周囲を縫い代10㎜のところで縫います。
この時、どちらか一方の端の一部に“穴◎(縫わない部分)”を設けます。そこは、このあとの工程で裏返す際の穴となります。

●そのあと、縫い代の角の部分に切り欠きを入れ、曲線部分には切り込みを入れておきます。

裏返してステッチを入れる

.裏返してから、周囲にステッチを入れます。

●まず、上記[工程5]で縫い合わせた本体部分を裏返し、形を整えてアイロンをかけます。

●そして、周囲に飾りのステッチを入れ、それと同時に、裏返す際に利用した穴(縫わない部分)も塞ぎます。

端の丁度良い場所を縫う

.両端を合わせ、丁度良い部分で縫い合わせます。

●まず、両端を合わせて端部分を指でつまみます。
●次に、そのまま輪っか状(環状)にし、その内側に使用する予定の紙コップを仮にはめてみる。
指でつまんで勘合具合の調整
●そして、中の紙コップがユルユルでもなくキツキツでもない丁度良い縫い合わせ部分を探します。
(なお、下記[工程9]も参考にして下さい。)
●丁度良い縫い合わせ部分が見つかったら、その部分をイラストの様に縫い合わせます。

以上でカップホルダー本体を作る基本の作業は終了です。
基本形の完成
これで十分という場合は、この時点で完成!
このあとは、この基本形に、何かパーツのようなものを取り付けたりとアレンジは自由に…。

但し、つまみが多少グラグラするので、もう一方の手をホルダー本体部分に添えて、安全のため両手で飲むことになります。
グラグラさせたくない場合は、下記の皮革シートを取り付けます。

■“グラつきの防止パーツ”でもある「皮革シート」をつまみ部分に縫い付ける場合。

8.【グラつき防止パーツの型紙】を作ります。

●まず、上記[工程7]で縫い合わせた線(赤点線)から外側の部分(斜線部分)の輪郭を紙に写すか、もしくは定規などで計測して作図する。
●そして、そのカップ側となる直線部分(点線部分)に凸部Aを設けます。(イラスト参照。なお形状は自由に、ただし大き過ぎず小さ過ぎず。)
この凸部Aは、紙コップをはめた時に、つまみが左右にグラグラしないようにするための「グラつき防止の押さえ」となります。※但し、用いる皮革シートが厚くてハリのある場合のみ効果あり。

これで、グラつき防止パーツの型紙が完成です。
この型紙に合わせて、皮革シートを“左右対称”で2枚断裁します。

9.つまみ部分に“グラつき防止パーツ”を合わせて縫い付けます。

端の部分を2枚の“グラつき防止パーツ(皮革シート)”で挟み込んで、イラストのように縫い付けたら完成です。

※ちなみに、このパーツはバネの役目を果たすため、中に紙コップをはめた時に多少キツメの勘合具合になります。
ですので、このパーツを取り付ける場合は、上記[工程7]での調整時、ユルユル過ぎはNGですが、“微妙に”ユルい感じで丁度かもしれません。

※なお、縫う部分に関しては、厚めの皮革シート2枚と帆布8枚とが重なるので、家庭用ミシンではほぼ縫えません。うちの工業用ミシンでも分厚すぎて押さえの下に入りませんでした。

そんな時、多少道具は必要ですが太めの糸で手縫いをするしかありません。でも手作りの素朴な味わいがあっていいですよ。
今回は、エスコードという糸で手縫いしました。


■アレンジすることで、イメージを変えることも…。

手作りした3種類のカップホルダー

以上、帆布と皮革シートで紙コップホルダーを手作りしてみました。

皮革シートを縫い付けるのが面倒、もしくは必要ないというのであれば、すべて布で…。
とにかく、使用する布は綿帆布のように厚めでハリのあるものが良いでしょう。

なお、本体部分やつまみ部分の材質、また、シルエットを変えたり、さらには他のパーツを加えたりと、色々アレンジすることによって、完成した時のイメージを変えることも出来ます。これは手作りならではの楽しみですね。

例えば、カップが3つ並んでいる画像の中で、右端のつまみ部分に付いている金色の丸いパーツは真鍮のハトメです。
つまみ部分にハトメをつけておくと、そこに指が入るというわけではありませんが、凹状態になるため多少つまみ易くもなります。

また、下の画像のようにフックに引っ掛けて収納することもできます。
ハトメを取り付けてフックにかけてある様子

ともあれ、コーヒーや紅茶などのホットドリンクを頂くときには、ちゃんとしたカップに入れて飲みたいものです。
しかし、アウトドアやビジネスの現場、その他グラスやカップを洗うのが効率悪い状況であったり、また衛生面の理由などで、飲み物を提供する際に紙コップを使用するということはよくあります。

そんな時、カップホルダーにセットしておくと、熱々の飲み物を入れた場合でも持ち易くなります。
また、多少ですが、保温効果もあるかな…?

なお、カップホルダーに紙コップをはめたり、また取り外したりする作業は、紙コップの中が必ず空の状態の時に行いましょう。
中に熱々の飲み物が入っていると危険です。


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