インする服の厚さや枚数、また体形の変化などによってベルトがきつくなったりゆるくなったりはするけど、そのたびにベルト穴の位置を変えるのはよくあること。
ただ、丁度いい感じの位置に穴がある場合と、そうでもない位置に穴のある場合とがある。
きつくしめ過ぎると苦しいし、ゆる過ぎるとなんとなく落ち着かない。

そんな時、ダブルリングベルトだと常に思い通りの締め具合に出来るのでいいかも…。
ほぼフリーサイズ仕様なので、微妙なおなかの出具合の変化にもジャストフィットで調節可能。

今回は、そのDOUBLE RING BELT(ダブルリングベルト)を手作りすることにしました。


■まずは本体の材料とパーツを決める。

基本的にダブルリングベルトは、ベルト本体とバックルとなるリング2個で構成されます。

3種類の平ベルト

■ベルト本体

よく使われているものに、平ベルト(布テープ)や帯状のレザーなどがある。
また、ひもを編み込んでメッシュの帯状にしたものなどもあるし、リボンまたは長く裁断した布を数枚縫い合わせて厚い帯にしたものもある。
とにかくしっかりとした帯状のものだったら材質は何であれ普通に作れると思う。

今回は、バックのハンドルやショルダーベルトなどに使用するためにストックしておいた厚手の平ベルト(布テープ)が数種類あったのでそれを使う。
最初はどれか1種類の平ベルトで1本だけ作ろうと思っていたけど、どうせ作るならということで3種類の平ベルトを使って一度に3本作ることにした。
ちなみに、35mm幅を1本と30mm幅を2本用意。

ステンレスと真鍮のDカンと角カン

■バックル(リング)

Dカン・角カン・丸カンなどがよく使われていて、2個で1セット。

今回は、3本のダブルリングベルトを作るために、真鍮とステンレスのDカンをそれぞれ1セットと、真鍮の角カン1セット。以上の合計3セットを用意。
なお、それらの内側の幅寸法はベルトの幅寸法に合わせておいた。
ちなみに、線の太さはすべて5mmのタイプです。


■細部の仕様を決める。

バックルの取り付け方やベルト先端の始末の方法によって、完成した際のイメージはぜんぜん違ってくる。
一般的に平ベルト(布テープ)を使用しているものは、バックル側とベルト先端側の仕様が以下に挙げるいずれかを選んで組み合わせられている場合が多い。
組み合わせ次第ではめちゃくちゃ簡単に出来たり、けっこう手間がかかったりする。まあ手間がかかる場合はその分完成度も上がるが…。

バックルの取り付け方法のイラスト

■バックル(リング)の取り付け方法

2つ重ねたリングをベルトの端に取り付けます。

簡単な取り付け方としては、
[A] ベルト本体の端部分を三つ折りにし、その内側にリングを設置して、折り曲げた端とベルト本体を縫い合わせる。
[B] また、上記と同じようにリングを設置し、折り曲げた端とベルト本体をカシメで固定する。
などの方法がある。

また、折り曲げた小さな帯状の革(レザー)パーツの内側にリングを設置し、それをベルトの端に取り付ける方法もみられる。この場合は、
[C〕 簡単に、カシメで固定。
[D] また少し手間はかかるが、縫い付けて固定されている場合もよくある。これだと仕上がりの完成度は多少上がるしそのステッチもデザインになる。

ちなみに、ベルト本体がオール革(レザー)の場合は、端の部分を折り曲げたあとカシメで固定するだけでも雰囲気はある。しかも簡単。

ベルトの先を始末する方法のイラスト

■ベルトの先を始末する方法

ベルト本体が布の場合、カットしたままだと織りがほどけてくるし、仮に材質が化繊で、ほどけないように熱で溶かして先を固めておいたとしても、それはそれで見た目が悪い。
いずれにしても、ベルトの先は始末しておいたほうが良い。

その方法として、
[E] ベルトの端を三つ折りにし、その状態のまま縫って固定させる。
[F] 市販の金属のパーツ(先止金具)を用いてベルトの先を覆う。
[G] ベルト本体とほぼ同じ幅の小さい革でベルトの先を覆って縫いつける。
[H] ベルト本体とほぼ同じ幅の2枚の革でベルトの先をサンドして縫いつける。
などがある。

なおオール革(レザー)などのような、ベルトの織りがほどけない材料の場合は、以上の様な先の始末はしなくてもOK。


■まずは、革(レザー)パーツでアクセントをつけるタイプを作る。

まず1本目は、バックル部分とその反対側の先部分に、革のパーツを用いてアクセントをつけるタイプのダブルリングベルトを作ります。上記でいうと[D][G]の組み合わせ。
なお今回は手縫いで作りますが、この場合ほぼレザークラフトです…。

糸やボンドなど材料の画像
■材料

【Dカン】… 太さ5㎜ステンレス製
【平ベルト(布テープ)】… 30mm幅
【革シート】… 2mm厚
【糸】… エスコード中細
【接着剤】… 白ボンド

■作り方


リング設置用パーツのデザイン

.リング設置用パーツを作る。

●まずは、革シートを帯状に裁断。
幅は、ベルト本体とほぼ同じくらい。
長さは、2本のリングを実際に通してみて、バランスを見ながら好みで決める。なお両端のデザインもお好みで…。例えばイラストのように丸でも角でも尖っているのでも…。ちなみに今回は、イラスト中央の角形デザインにする。
まず実際に革をカットする前に、厚目の紙などで帯状のものを作ってそれにリングを通してみて大体の雰囲気をつかんだ方がいいかも…。

ちなみに今回は、30mm×100mmの長方形にカット。そしてその四つ角はR2mm程の角丸にした。

裁断したあとの革

●裁断したあと、縫い穴をあける。
この帯状の革パーツは、半分に折り曲げた状態でベルト本体に縫い付けることとなりますが、その縫い付けた状態を想定した一方の側にだけ菱目打ちで縫い穴をあけておきます。
※画像や上記イラストを参照。

さらにこのあと、ヘリ(角)を落とし、最後にコバ処理剤をコバ(裁断面)に塗って仕上げておきます。

先止パーツのデザイン

.ベルトの先を始末するための先止パーツを作る。

今回は、小さい革でベルトの先を覆って縫いつけておくという方法にするので、その先止用の革パーツも作っておきます。
●まず、幅はベルト本体とほぼ同じ、長さはお好みにして革を裁断する。この両端のデザインも上記のリング設置用の革パーツ同様お好みで…。
ちなみに、ここでも上記に合わせてイラスト中央の角形デザインにした。
●そのあと、イラストのように縫い穴をあける。
さらにここでも上記同様に、半分に折り曲げてベルト本体に縫い付けた状態を想定し、その一方の側にだけ菱目打ちで縫い穴をあけておきます。
またそのあと、ヘリ落としもしておきます。

ライターの火で溶かし固めた切り口

.ベルトの長さを決めてカット。

上記で作った2つの革パーツを取り付けた状態を想定してベルトをカットします。
使用する人のウエストに平ベルトを直接当ててみて、ベルト本体の大体の長さを決めます。このとき実際にパンツやスカートをはいてそのウエスト部分に当てるとより確実。
このあと、下記の工程8にて最終的な長さを決めるので、それを前提に少しだけ長めにカットしておくといいかも。短すぎるとショックなので…。
なお、長~いのが好きな方や、太る予定の方は何も考えず長~くカットで…。

カットしたあとは、切り口の織りがほどけないようにライターの火を一瞬だけ近づけて溶かし固めておいた…。この場合、あくまでも火は近づけるだけで直接は当てないほうがいい。直接当てると着火してしまいます。
なお、今回使用する平ベルトは素材が化繊なので熱で溶かしたけど、天然素材だと熱で溶けないので、その場合は切り口に接着剤などを付けて固めておくといい。

リング設置用パーツをベルトに貼り付け

.リング設置用パーツをベルトに貼り付ける。

ベルトの端部分と、リング設置用パーツの片側(縫い穴を開けた部分の裏面)に接着剤を薄めに塗って、おたがいを貼り合わせます。

リングを設置する様子

.リングを設置する。

接着剤が乾いて固まったら、革パーツにリングを2個とも(1セット)通し、そのまま半分に折り曲げてフリーになっているもう一方の革パーツの端にも接着剤を塗ってベルトに貼り付けます。

右側画像は、貼り付けたあと適当な大きさにカットしたPPシートで挟んで、その上からクリップで押さえて固定している様子。

菱ギリを刺して縫い穴を貫通させている

.反対側にも縫い穴をあけるように貫通させる。

接着剤が乾いて固まったら、反対側にも縫い穴を写すように、縫い穴を開けた側から菱ギリを刺して貫通させます。
※菱ギリは断面が菱形のキリです。1本タイプの菱目打ちと似ています。

平縫いしているところ

.手縫いする。

革用の縫い針と糸を使って平縫いをします。

ベルトの長さを決定

.ベルトの長さを決定する。

一旦腰に巻いてギュッと締め、最終的な長さを決めます。OKならそのまま、長いようだと調整のカットをする。なお、カットしたあとは、切り口にライターの火を一瞬だけ近づけて溶かし固めておく。

とにかく色んなことを想定して最後のカットをすると良い。例えばパンツやスカートの中に厚目の服をインするとか、シャツを数枚重ねてインするとか、まったくインしないとか…。
また、ベルトをするボトムスのデザイン(腰の位置)によって、必要な長さがぜんぜん変わってくる場合もある。

もし、短くしてしまった場合は…。
ベルトの先止パーツを、上記のベルトの先を始末する方法でのHタイプにし、それを長めにする。
そうすると“程度によっては”まあまあセーフになる場合もあるかもしれない…。

半分に折り曲げた先止パーツ

.先止パーツを半分に折り曲げる。

今回は、水で柔らかくしてから折り曲げました。
その方法は、まず革(先止パーツ)を水に浸し、その革に水が浸み込んだら水から取り出します。
そして表面の余分な水はタオルなどで拭き取ってから折り曲げ、その状態のまま革が乾くまで上から重しをして押さえておく。
なお、先の折り曲げ部分が完全にぺったんこにならないように、折り曲げた革の内側には1~2mmほどのプラスチックシートを挟んでおきました。

ちなみに、厚目の革を半分に折り曲げると、折り曲げた辺りの横幅は少し広くなってしまいます。
なので、その広がった両側をサンドペーパーで削って平行にしておきます。
そうすることで見た目的にもキレイになるし、バックルに通らなくなることも防げる。
そのあと、曲げた部分には角が出来るかもしれないので、その場合はサンドペーパーでヘリ落とし(面取り)します。
最後に、周囲のコバを仕上げたらパーツの完成。

なお、薄い皮の場合は、ただ折り曲げたままでもいいかもしれない。

先止パーツをベルトの先に取り付けた様子

10.先止パーツをベルトの先に取り付ける。

ベルトの先に先止パーツを取り付けたら完成です。
先止パーツの取り付け方は、上記でリング設置用パーツを取り付けた時とおおむね同じ要領です。

※ここで注意…。
このダブルリングベルトは、バックル(2つのリング)にベルトの先を通したあと、そのベルトの先を反対側にUターンさせ、またバックル(1つのリング)に通して締めるものです。
ということは、そのUターンした際にベルト先のウラとオモテが逆になります。

なので、先止パーツをベルトの先に取り付けるときは、そのオモテ面とリング設置パーツのオモテ面が、最初から反対の面になるようにしておくといいかもしれない…。
まあ今回作ったベルトの場合、基本的にはウラ・オモテの区別はないので、キレイに縫えた場合はあまり意味はなくなるが…。
※ここで言うオモテ面とは、最初に菱目打ちを刺した側の面(確実に縫い目がキレイになる面)のこと。

ただ、下記の3本目(ネイビーのベルト)のように、先止パーツを付けないで、ベルトの先を三つ折りにしてだだ縫い留めておくだけの場合は確実にウラ・オモテが分かるので、出来れば先部分のオモテ面とリング設置側のオモテ面は反対の面になるようにしておいた方が良いと思う。

とは言え、それは、Uターンしたベルトの先をベルトループにきちんと通して、ベルトの先をダラーンと垂らさない場合です。
もしダラーンと垂らすのならば、ウラ・オモテはどちらでもよさそうではある…。


■2本目は少し簡単に…。

真鍮製のDカンと平ベルト
■材料

【Dカン】… 太さ5㎜真鍮製
【平ベルト(布テープ)】… 30mm幅
【カシメ】… 真鍮
【革シート】… 2mm厚
【糸】… エスコード中細
【接着剤】… 白ボンド
真鍮のカシメで留めてあるタイプ

2つのリングはベルト本体端部を折り曲げてそこに設置しました。上記のようなバックル設置用の革パーツは付けないタイプです。
留め方としては、三つ折りした端をミシンで留め、もう一か所はアクセントにもなるように真鍮のカシメで留めておきました。
なおベルトの先の始末は、上記の黒いベルトと同じように革製の先止パーツを付けてあります。


■3本目はすごく単純に…。

太さ5㎜の角カンとベルト
■材料

【角カン】… 太さ5㎜真鍮製
【平ベルト(布テープ)】… 35mm幅
三つ折りにしてミシンで縫ったタイプ

このベルトも、バックル設置用の革パーツは付けないタイプにしています。
そして、リングを設置したあとは、ミシンと手縫いで留めておきました。
また、ベルトの先を始末するパーツは使用せず、ベルト自身を三つ折りにしてその状態のままミシンで縫って固定しておきました。

なお、上記の2本目(カーキのベルト)の時もそうですが、ベルトに折り目を付ける時は、アイロンの熱で折り目を付けるのではなく木槌で叩いて付けるといいです。
そのほうが、重なった部分が薄くなって多少は縫いやすくもなります。
また、化繊の場合アイロンはNGですし。


以上のように、フリーサイズで調節可能な「ダブルリングベルト」を3本手作りしてみました。

このタイプのベルトは、2つのリングによって構成される留め具(バックル)によって、フリーサイズでベルトを留めれる仕組みになっていて、常に最適なウエストサイズに設定することが出来ます。
ただフリーサイズとはいっても“ほぼ”フリーサイズであって、1つのサイズが万人にとってのフリーサイズになるというものではありません。あくまでも作ったベルトのサイズに合う人限定です。
とにかく、ずっと使い続けたかったら太らないこと…。もしくは、キッチリ感は無くなるけど、ダラ~ンと垂れるくらい長く作っておくことです。長めに作っておけばその分は安心して太れるので…。

ちなみに、このダブルリングベルトにはほかにも呼び方があるっぽい。例えばRIBBON BELT(リボンベルト)とか…。
基本的にはカジュアル向きで、フォーマルやビジネスにはちょっと無理があるかもしれませんが、使う材料や細部の仕様次第ではそこそこコンサバなファッションにも使えそう。


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