庭で育てているハーブたちから精油を採取することが出来れば楽しいのではないかと思い、前回前々回と、2通りの水蒸気蒸留法を試してみた。
■簡易的な蒸留方法で、庭のハーブから「精油を抽出」してみる
■水蒸気蒸留器を自作して「精油・芳香蒸留水」を取り出す
なおその際には、ハーブウォーターと精油を分ける手立てが必要だったので「オイルセパレーター」を買うか作るかになったのですが、試す蒸留法の形態に合わせて3パターンほど自作することにした。
以下は、そんな“オイルセパレーター作り”の備忘録です。
ちなみに「オイルセパレーター」とは、気体と油、もしくは水と油を分離させる装置のことですが、ここで作るそれは後者のもので、大量の水の中に混ざっている油を取り出しやすくするための装置です。
原理はいたって簡単で、水よりも軽い油は水の上に浮かぶという現象と、お互いは完全に混ざり合うことはない(一体化しない)という性質を利用して油を取り出しやすくする仕組みとなっている。
なお、水と油が混ざっている場合、ただ普通に容器に入れておけば油は浮かんで自然と分離することにはなりますが、大量の水に少しの油という割合で混ざっている場合だと、広い面積の容器では油の層がものすごく薄い状態となり、そこから油を取り出すのは至難の業となってしまう。
であれば、容器を細長い筒状にして液面の面積を狭くすればいいという事になる。そうするとオイルの層は厚くなって確実に採取はしやすくなるので…。
ただ、水と油の混ざった液が大量にある場合、とんでもなく長い筒状容器が必要となってしまい、管理やメンテナンスが大変になるわ、施設の天井も高くしなければいけないわで現実的ではない。
そこで「オイルセパレーター」の登場となる。
■1つ目は、メスシリンダーを「オイルセパレーター」に変える。
細い筒状の容器で垂直に固定されているものと言えば、理科の実験でよく使われるメスシリンダーがある。ここではその縦長の筒を利用してオイルセパレーターを作ります。

◇
【メスシリンダー(PP製)】耐熱120℃
【PTエルボ】
【ホースニップル】
【シリコンチューブ】今回はシリコンストロー
【ステンレス針金】
■作った時の様子

1.底付近に下穴を開ける。
まずは、シリンダー底近くの側面に、PTエルボを取り付けるための穴(タップの下穴)を開けます。

2.PTエルボを取り付ける。
●まず、下穴にタップ(雌ネジを切る為の切削工具)を通してネジ切り加工をします。
●そして、シールテープの巻かれたPTエルボの雄ネジ部分をネジ穴に挿し、そのままPTエルボを回しながらねじ込んで固定させました。
なおタップが無い場合は、次の方法も考えられる。
●まず、上記工程1の時点で、PTエルボの雄ネジ部分の外径とほぼ同じくらいな大きさの穴を開けておく。(ユルユルではなく、雄ネジ部分を無理矢理ねじ込ませると入る大きさの穴。)
●そして、PTエルボの雄ネジ部分にシリコンシーラントなどを塗ってから、穴に雄ネジ部分を無理矢理ねじ込んでおく。あとはシリコンシーラントが固まるのを待つ。

3.ホースニップルを取り付ける。
●まずは、水漏れを防止する為、ホースニップルの先にシールテープを巻いておきます。

●そのあと、PTエルボとホースニップルの一体となった形がL字状となるように、PTエルボの雌ネジ部分にホースニップルの雄ネジ部分を嵌めて連結させました。

4.ホースニップルにシリコンチューブを取り付ける。
今回はシリコンチューブとしてシリコンストローを使用しました。

5.チューブ内に針金を差し込む。
シリコンチューブ内にステンレス製の針金を差し込んでおきました。その針金の長さは、チューブの長さと同じくらい。

6.チューブを折り曲げる。
針金の「可塑性」を利用して、シリコンチューブを任意の位置で直角に折り曲げます。
これで完成…。
なお「可塑性」とは、今回の場合で言うと、手で力を加えて針金を直角に折り曲げたあと、その手を離しても直角のままの形を維持しているという針金が有する性質のことです。
ちなみに「可塑性」の反対は、シリコンチューブが有しているような、変形させても元の形に戻ろうとする「弾性」です。

液面が任意の位置で止まるかを試してみた。
シリンダー内に水を注ぎ、その溜まった水の液面が、シリコンチューブを曲げたところの高さで止まるかどうかを試してみました。
結果的としてはあたりまえですが、その曲げたところで液面の位置が止まりました。
なお、この注いだ水には油は混ざっていませんが、もし混ざっていたとすると、シリンダーの上部には分離した油だけが浮かんでいるはずです。
そして、シリンダー内に入りきらない水はチューブの先から放出されます。
■2つ目は、ガラス瓶を「オイルセパレーター」にする。
試してみたい水蒸気蒸留法が2通りあったので、上記とは別の形態のオイルセパレーターも作ってみました。

◇
【透明ガラス瓶】
【ビーカー】
ガラスのカットは専用の道具がないと危険です。あくまでも参考として見てください。
ちなみに、ガラスの場合、100℃の水蒸気や沸騰水程度での耐熱性はあるにはありますが、あくまでも常温から徐々に100℃まで上がった際の耐熱です。急激な温度差には弱いのでいきなり高温に触れさせるのはNGです。またその逆の急冷もNGです。
以前行った蒸留の際には、その点を鑑みて使用しています。
■オイルセパレーターの内訳は

任意の箇所でカットしたガラス瓶。
ガラス瓶の形状やサイズ、そして相方であるビーカーの高さを鑑みた任意の箇所でカットしました。
このカットしたガラス瓶とビーカーの高さの相関関係は、この下の画像にて分かるかと思います。
なお、カットした瓶の底部分は不要です。

水が逃げる部分を設けてある。
底となる部分の一部を削って、水が出やすくなるようにしました。

ビーカーを用意する。
上記の「首(ボトルネック)部分を含めたガラス瓶の上部(カットした部分)」と「ビーカー」とで1セットとなります。

使用する際は…
オイルセパレーターとして使用する際は、カットしたガラス瓶の上部をビーカーの中に置きます。

筒状部分の水の上部に油が溜まる。
画像は、筒状部分(ボトルネック部分)に油と水が層になって溜まている状態で、その上部は油で下部は水です。なおビーカーの中は全部水です。

上から水を垂らしてみると。
画像のように水と油が分離して層になっている上から水を垂らしてみた。
左側の画像は、水を垂らしている最中。垂らした水が丸くなって下に沈んでいく。
右側の画像は、しばらく経った状態。水と油は完全に分離されている。
同じように油を垂らすと、その油は上に留まって油の層は厚くなっていく。
ちなみに「オイルセパレーター」に溜まった油を取り出すときは、下の層である水を吸わないように上の層の油だけをスポイトで吸い取ります。
このとき、最後のほうの残り少ない油は取り出しにくいのであきらめることになります。
なお、この筒部分が細ければ細いほどあきらめる油の量が少なくなり、効率よく油を回収することが出来ます。
■3つ目は、透明パイプで「オイルセパレーター」を作る。
上記ではガラス瓶の一部を使いましたが、「透明な筒状の物」がカップ内で垂直に固定せれていればOK。
例えば以下のように、透明なパイプをコップの内側に何かで垂直に固定させておけば、上記の2つと同じ原理でオイルセパレーターとして使用することが出来る。

◇
【ガラスカップ】
【透明パイプ】
【プラスチックシート】
【ビス】
【プラスチックシート】は、品質表示に耐熱温度が120℃と記載されているPPシートを使用しました。
【透明パイプ】は、透明度の高いグレードであればシリコン製のチューブがいいかもしれない。
また、ガラスのように高透明で耐熱温度も120℃程あるポリカーボネート製のパイプでもいいと思うし、上記で使用しているメスシリンダーのように透明度が高く耐熱温度120℃程のPP製パイプでもいいと思う。
その他にも色々と探せば、100℃以上の耐熱性がある透明パイプはあるはず。
なおプラスチック製の場合、シートでもパイプでも何度も使用できるほどの耐久性があるかどうかは分かりません。

プラスチックシートを加工して透明パイプを固定させてみた。
●まず、セットで使用するカップの径よりも大きいサイズにPPシートをカット。
●その中心に、透明パイプの外径と同じサイズの穴を開けます。ユルユルはNG。
●さらに、水を逃がすための穴(画像ではU字状の切り欠き部分)を設けます。
●次に、横移動防止の為、カップの内側に嵌るようにストッパー(3本のビス)を取り付けます。
●そして、中心の穴に透明パイプを嵌めて固定させたら完了です。
なお、パイプの底部分は、水が逃げるように斜めにカットしてあります。
ちなみに、プラスチックシートの加工が面倒な場合は、透明パイプを針金などで固定させても良い。
とにかく透明パイプが倒れずに垂直に固定されていればどんな方法でもOK。

上記の2タイプと同じ原理。
水と油を分ける原理は、上記の2タイプとまったく同じです。
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ちなみに、画像の物は失敗作。なお失敗なのは材質であって機能的には成功でした。
どういうことかというと、この透明パイプ部分にはビニール製チューブを使用しているのですが、このあと高温の水(お湯)に触れる環境においたら、このチューブは真っ白になり中が見えなくなってしまいました…。
そのあと水から出して2日ほど時間が経ったら透明に戻りましたが、あとで調べてみると、品質的にも影響はなくて、チューブ自体の劣化でもないようなのですが、ビニール製チューブにはそういう性質があるらしいのです。今回の目的に限って言うと、どうやらビニール製はNGだったようです。
以上、精油とハーブウォーターを分けるためのオイルセパレーターを3つ作った際の備忘録でした。










