先日、葡萄(ぶどう)の産地としてちょっとだけ有名な山里にある、ぶどうの直売所に行ってきた。
途中で道に迷いながらも、「この先直売所」と書かれた看板の所までなんとかたどり着くことに。
そこからさらにその看板に従って山の奥の方に進んでゆくと、あきらかに農家の方が手作りで建てたであろうと思われる木の小屋が出現。
そこは、見た目がなんとも簡素だけど、あたり一面がぶどう棚に囲まれた、なんだか味わいのある素敵な直売所でした。

ぶどう

その直売所で、あまりスーパーでは見かけることのないような珍しいぶどうを発見。
直売所のお兄さん曰く、皮ごと食べられて梨のような味がするとの事。
ナニナニ!「皮ごと」「梨の味」。なんとも興味を引くワード、梨の味がするなんて魅力的すぎる。
ひょっとするとデパ地下などでよく見かけるあの高級なやつなのかも…。
残念ながら試食は出来なかったけど、話を聞いただけで、即、購入決定。

さっそく持ち帰ってきて冷蔵庫で冷やし、どんな味なんだろうとワクワクしながら食べてみると…。
エーッ!…。 思っていたのと違う。
なんと。酸っぱくて、甘味が薄く、皮の渋みが舌に残る。大はずれのぶどうでした。

これは何とかせねば! ということで、その酸っぱい味を活かせる「コンポート」を作ることに。


なにはともあれまずは道具から、
酸に強いホーローの鍋、そのホーローに優しい木のスパチュラ。ついでに、包丁へのあたりが優しい木のカッティングボード。
お気に入りの道具たちを揃えたらさっそく調理開始です。

■まず、下準備です!

カッティングボードの上で葡萄をカット

まずは、実を洗い、包丁を縦にいれるようにしてその実を半分に切ります。
ちなみに、実を食べた時に判明したのですが、なんとこのぶどう、種ありでした。
皮ごと食べられるとのことだっだので、てっきり種なしだと思いこんでいました…。
なので、とうぜん種も取ります。

なお、皮の硬いぶどうの場合は、その皮を湯むきしてからコンポートを作るのですが、今回は、皮ごと食べられるモノとのことなので、皮をむかずに作ることにします。

※「湯むき」とは、皮に切り込みを入れたあと、材料を熱湯にさっと通してから皮をむく方法です。

ぶどうと材料
コンポートの材料です
■材料

【葡萄】10 :【砂糖】4、の割合(重量で)
【レモン果汁】・・・少々
【お好みの洋酒】・・・少々

【砂糖】は、グラニュー糖でも白砂糖でもよいのですが、今回は「きび砂糖」で。
薄茶色が特徴のきび砂糖で作ると、仕上がりの色は、全体的にちょっと茶色っぽい飴色のような感じになるのですが、優しい甘さが気に入っているのできび砂糖を使います。
きび砂糖は、比較的ゆっくりと消化・吸収されるため、血糖値が上昇する速度もゆっくり。
また、白い砂糖に比べると、精製されていないためサトウキビ由来のミネラルも豊富に含まれ、風味が豊かで、甘味もまろやかです。
【お好みの洋酒】は、果物に合わせて、ブランデーやラム酒、ワインなども使いますが、今回はラム酒を使います。

【その他】場合によっては、クローブやシナモン、八角などを香りづけに使うと、さらに大人な味になるので、手元にある場合は使ってみてもいいかも。

■では、作りはじめます!

砂糖を入れる

. まずは、鍋にぶどうを入れて砂糖を振りかけます。

画像の砂糖が薄茶色なのは、きび砂糖だからです。

砂糖を混ぜる

スパチュラなどで軽く混ぜ合わせ、そのまま数時間放置します。

※この時点では、まだ火にはかけません。

果汁が出てきた葡萄

すると、だいたいこんな感じに、けっこう果汁が出てきます。

ちなみに画像では、ぶどうの切り口はすべて下に向けてあります。
理由は、ぶどうが皮付きなので、切り口から果汁が出やすいようにするためです。

このように、果物に砂糖をからませて少し放置しておくと、切り口から果汁が滲み出てきますが。これは、切り口の表面近くの糖分濃度が高くなり、それを薄めようという浸透圧の働きによって、果物の中の果汁が外に引き出されてくる現象です。

この、果汁ときび砂糖が混ざり合ったものが、コンポートを作るときに必要な、果物を煮るためのシロップとなります。

■シロップが出来たので、火にかけます!

スパチュラで混ぜる

. シロップが出来たら、鍋を強めの中火にかけます。

強めの中火にかけて、ふつふつと泡が出るくらいに煮立ってきたら、火を弱火にし、ときどきゆっくりとスパチュラなどで混ぜながら煮てゆきます。

このとき、鍋が熱くなっていくと同時に、果物特有の甘~い香りがキッチンの中いっぱいに広がり始めますよ。

レモン汁を入れる

. レモン汁とラム酒を加えます。

好みの煮え加減になったら、レモン汁を加えて少しかき混ぜ。最後にラム酒を入れて一煮立ちしたら火を止めます。
もうここまでくると、キッチンは、葡萄とラム酒の美味しそうな香りで充満し、すごく幸せな気分になります。

今回は、コンポートを作るのでぶどうの形が残る状態で火を止めてしまいますが、さらにトロトロになるまで煮詰めて、ジャムにしてしまっても、それはそれでまた違った使い方や楽しみ方が出来るのでいいですね。

ジャムの場合は、「果物と同じくらいの重さ」の量の砂糖を加え、果物の形が無くなるほど煮詰めて作ります。あくまでも砂糖の量はお好みですが、砂糖の量を多く入れることによって保存食にもなります。なので、長持ちさせたいときはジャムにしてもいいかもしれません。
但し、ぶどうにはペクチン(天然のゲル化剤)の含有量が少ないので、硬めのジャムにしたい場合には、市販のペクチンを多少加えたら良いかもしれません。

一方、コンポートとは果物をシロップで煮たものですが。ここで重要なのは、形が無くなるほど煮詰めないということです。そして、砂糖はジャムよりも少ない量(今回は、ぶどう10:砂糖4)にします。
コンポートは本来は数日で食べきるもので、いわば作り置きの常備菜のような感覚です。

■ビンに詰めたら、出来上がりです!

コンポートの完成
It is compote

そして熱いうちに、煮沸消毒した清潔な保存ビンに移し替えて出来上がり。

密閉できる保存ビンに移し替えて直ぐに蓋を閉め、粗熱がとれたら冷蔵庫に入れて保存します。

さて、「酸っぱくて」「甘みが無くて」「渋い」あのぶどうが、どんな味になっているのでしょうか。
食べ頃の温度に冷えるまで、あともう少しだけ辛抱です。

冷たくなったら、そのまま食べるのも良いですし、ヨーグルトやバニラアイスに添えるだけでも美味しいデザートになるので、なにかしら、このような果物のコンポートが冷蔵庫の中にあると便利です。

―追記―
冷蔵庫で冷やして、作ったその日のうちにさっそく食べてみたら。 なんと、まだ「渋み」が残っていました!
やっぱりダメか、と思いながらも冷蔵庫で3日ほど寝かしたら、またまたなんと、「渋み」が消えて無くなっていました。

これでやっと、あの酸っぱい葡萄(ぶどう)が美味しいコンポートに。


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