ステンレス製の鍋やカトラリーなどが、金属臭いと感じたことはありませんか。

鍋などの場合は口に入れるものではないので、あまり気になることはありませんが、スプーンやフォークなどのカトラリーの場合は、直接口に入れるものであるため、金属臭は少し気になってしまいます。

特に、クレンザーなどの磨き粉や、研磨粒子入りのキッチンたわしなどで強く擦った後に臭う事が多いはずです。
これは、ステンレスの表面に形成されている保護膜を破壊してしまうからです。
また、場合によっては、購入したばかりの比較的新しいステンレス製品でも臭う事があります。

ステンレスとは、鉄にクロムなどを添加した合金であり、
ステイン(汚れ、サビ)レス(無い)というように、錆無いという意味ですが、基本は鉄なので絶対に錆びないということはありません。
ステンレスは、本来錆びるはずの鉄にクロムを添加し、そのクロムが酸素と結びつくことによって、表層に耐食性を持つ膜を形成させて錆無いようにしているのです。

その膜は、金属を錆びないようにするための保護膜なのですが、同時に鉄臭さも遮断してくれています。
なので、磨き粉や研磨粒子入りのキッチンたわしなどで強く擦った場合、この保護膜は破壊されて、鉄の臭いが出てくるのです。

また、ステンレス製品の製造工程にて生ずる色々な要因によっても膜は破壊されることはあるので、購入したばかりの新しいステンレス製品が臭う事があるのはそのためです。


耐食性を持つという膜

えっ、汚れを取る為に、表面を磨き粉でメチャ擦ってしまった…。どうしよう。
という方、安心して下さい。このステンレスという金属は凄いのです。

何が凄いかというと、
先程も述べた通り、ステンレスの表面が空気中の酸素に触れると、添加されているクロムが酸素と反応して、表層に保護膜が形成されてゆくのですが。
なんとその保護膜は、自然に再生されてゆくのです。
それこそが、ステンレスのステン・レスたる所以なのです。

不動態皮膜の説明

その保護膜は、不動態皮膜と呼ばれている酸化皮膜で。
磨き粉などで擦って破壊された直後から、瞬時に形成はされるのですが、最初はまだ薄い状態です。

そこから徐々に成長してゆき、そのうちには安定します。
その膜の厚さは、1~3ナノメートル程度と言われているのですが、その超薄い膜がステンレスの腐食(錆)を防止してくれるのです。そして鉄臭さも薄くしてくれます。

つまり、「ステンレス製品は、その表面を磨き粉などで擦ってしまったとしても、ただ普通に使用しているだけで保護膜が自然に再生され、それから徐々に保護膜が厚くなり、再び元に戻って錆難くなってくれる。」ということです。


ステンレスの種類は

ステンレスの種類はいくつかあって、
13クロム > 18-0 > 18-8 > 18-10 > 18-12 > 20-20の順にグレードが高くなってゆき、強度や耐食性が向上してゆきます。
なお、さらに細かく言うと、上記の其々のグレードには、その下にも枝分かれするほどの種類があり、全てで100以上もの種類があります。
カトラリーとして流通してるのは、上記のグレードすべてからですが、中でも多く流通しているのは 18-0、18-8です。

そして、上の順番で言うと 18-0ステンレスまでは、
もし仮に、クレンザーなどで表面を磨いてしまった場合、金属臭が元々の最小レベルに戻るまでにはけっこう日数がかかります。 しかも、完全には消えません、カナケと呼ばれる金属味、金属臭は多少残ります。
しかし、18-8ステンレスから後は、金属臭のレベルが比較的速くに元の最小レベルに戻ってくれます。
ですので、金属臭が苦手というかたは 18-8以上のグレードを選ぶのが良いでしょう。
但し、それでも 厳密にいうとカナケが完全に消えるわけではありません。

しかし、いずれも保護膜が完全に安定してしまえば、よほどの敏感な人でない限りは、仮に臭いに気づいたとしても気になるほどではないとはおもいます。

ステンレスの説明

ちなみにステンレスの呼び方で、例えば18-8の場合、
18の部分はクロムの割合、8の部分はニッケルの割合で、
18%以上のクロムと、8%以上のニッケルが添加されているということです。

ということは、18-0ステンレスの場合では、クロムは18%以上添加されていますが、後ろの数字は0なので、ニッケルは入っていないということです。

この、ニッケルを添加する目的は、強度の向上、そして被膜の働きを強化して耐食性を向上させることです。


臭いを早く薄くしたい時には

特に腐食するといけないステンレス製品などは、腐食防止目的のため、 製品の加工後に不動態化処理というような、表面の不動態皮膜の成長を促して早く安定させる処理を行う場合があります。

ですが、家庭ではそんな大げさな事は出来ません。
結局、製品の表面を、磨き粉などで擦ってしまった場合は、不動態皮膜が自然に厚くなるのを待つしかないのです。
理想的なのは、不動態皮膜の厚くなるスピードが速ければ良いのですが、
グレードの低いステンレスほど、金属臭が薄くなるなるまでには時間がかかります。(但し、グレードの低いものは、臭いが全く0にはなることはありません。)

鍋やキッチン道具ならばそれほど気にもならないのですが、直接口の中に入れるスプーンなどのカトラリーの場合、金属臭はけっこう気になるものです。
ところで、家庭でもその金属臭を薄くすることが出来る、何か簡単な方法はないものでしょうか。

ということで、どこかで見たか聞いたかしたことのある、
ステンレスの臭いを消すという方法を試してみました。
試してみたのは、水に食酢を加え、その中にカトラリーを入れてしばらく煮沸した後、その中にしばらく浸しておくという方法です。

まず実験のために、ほぼ臭いのしない同じ型のスプーンを6本用意しました。
そして、そのスプーンの表面をサンドペーパーで磨いて保護膜を破壊し、あえて金属臭がするようにしました。

その6本を半分ずつに分け、半分の3本はそのまま何もせず、もう半分の3本は、上記の臭いを消すという方法を試してみました。

そして、お互いの臭いを比べてみた結果。
上記の方法を試した直後の3本のスプーンは、少しだけ臭いが薄くなっているような気はします。
しかし、何もしていないスプーンと同時に比べてみないと分からない位でした。
そして、この処理をすることで、金属臭が消えてなくなるということはありませんでした。

ということは、上記の処理はしてもしなくても、時間が経てば最終的には両方とも同じレベルにはなるはずなので、
結局は何もせずに、ステンレス表面の不動態皮膜が自然に復活する力におまかせするほうが良いのかもしれません。

それでも、ずっと金属臭が薄くならないカトラリーなどがあったとすれば、
不動態皮膜が生成されにくい環境におかれているのかもしれませんし、もしかすると、その使用しているステンレスのグレードの実力なのかもしれません。


ステンレス製品のお手入れは

やはりステンレスも主材は鉄なので、絶対に錆びないということはありません。
例えば、鉄などと接触したまま放置しておくと、その鉄が錆びたときに錆をもらってしまう場合があります。
また、汚れや水分や塩分などを長時間付着したままにしていると、それが錆の原因となってしまいます。

使用後は、なるべく早く中性洗剤などを使って汚れを落とし、その後、洗剤を流水で完全にすすぎ落として下さい。
また、洗浄する時には、よほどの焦げ付き汚れなどが無い限り、磨き粉や研磨粒子入りのキッチンたわしなどの使用は避けて下さい。もしそれらを使用すると、不動態皮膜が破損してカナケ(金属味・金属臭)が強くなります。
そして洗浄し終わったら、水分を切って、完全に乾燥させ、異種金属とは接触しない状態で保管して下さい。


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