布のバックを手作りするとなると、まず色々な形状・サイズのパーツを裁断することになりますが、それが面倒…という方も多いはず。
しかも各パーツがバラバラな形状・サイズであると、切り取ったあとに“ガタガタで使い道のない無駄な布”が多く発生してくるのでもったいない…。
今回は、そのパーツの裁断を少しでも簡単に出来ないか、そして無駄に捨てる布をなるべく少なくすることが出来きないか、ということで“簡単で単純な型紙のトートバック”を考えてみました。
しかも、裏地あり・ポケット付きで…。
用意する布は、全く同じ寸法の長方形2枚(表1枚・裏1枚)。とても歩留まりの良い型紙です。
■裁断が簡単で、無駄に捨てる布が少ない「トートバック」。
今回用意する布地は、オモテ地とウラ地各1枚ずつの合計2枚。そしてそのオモテとウラの布地はそれぞれ全く同じサイズ(95×42cm)です。
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【オモテ地】… ヴィンテージ加工の8号帆布
【ウラ地】… オックス
【布テープ】… 幅2.5cm・長さ80cm程
オモテ地とウラ地は、2枚共同じ「95×42cm」。
【オモテ地】 今回は8号帆布を使いましたが、ミシンによってはパワー不足の場合もあります。その場合は11号帆布もしくはその他の柔らかい布で…。
【ウラ地】今回はオックスを使用。比較的しっかりとした生地で、織り方が帆布と少し似ています
【布テープ】 今回は綿綾テープを使用。40cm程の長さが2本必要で合計の長さが80cm程。※少し余裕を持たせた長さです。仕上げる時には長すぎた分は多少カットする。
■作り方
1.ポケットのパーツを作ります。
① まず、上下の端を三つ折りにして縫います。
② さらに、左右の端も同じように三つ折りにして縫います。
※ちなみに、①と②の順番が変わったとしても特に問題はない。
2.ポケットのパーツをウラ地に縫い付けます。
イラストの様にウラ地のオモテ面にポケットのパーツを0.3cmほどのステッチ(赤線)で縫い付けます。
この時、三つ折りにした部分は内側にしておく…。
ちなみに今回は、イラストのように2つのポケットのうちの一方(イラストでは下)は大きいままのポケットにし、もう一方(イラストでは上)のポケットは、中心で一本縫い合わせることによってそれが仕切りとなり袋が2つある状態にしてあります。
なお、仕切りの線(縫い合わせ)を増やして袋の数を増やしたり、仕切りを横に移動させて袋の幅を変えたりなどは自由に。
縫い付ける際の「縫い止まり部分(ポケットの口部分)」は普通に折り返し縫いでも良いが、イラストのように“逆三角形“や“コの字状”に縫っておくと強い力が加わった時に布地が多少裂けにくくなる。
3.オモテ地とウラ地を中表にして合わせます。
上下左右をきっちりと揃えて、オモテ地とウラ地を中表にして合わせます。(ウラ地のポケットを縫い付けた面が内側。)
4.上下を縫い合わせます。
まず、中表に合わせた生地の上下を縫い代1.5cmで縫い合わせて筒状にします。
そのあと、ポケットが表側に出るようにひっくり返し、その上下に0.5cm幅のステッチを入れます。
ちなみにこのステッチはオモテ地側を上にしてミシンをかけましたが、今回は上糸をオモテ地と同じ黒色、下糸はウラ地と同じ生成り色としました。
5.両端を縫い合わせる。
さらに、両端から0.3~0.4cmのところで縫い合わせておく。
これは、下記の[工程10]で、底の部分を折りたたみ易くするためです。
6.持ち手の幅が4cmとなるように折り畳んでおきます。
まず、持ち手の内側となるほうのパーツを3cmカットして長さ39cmにします。
そして、内側と外側のパーツ両方とも(計4本)幅が4cmとなるように両側から折り畳んでおきます。
※生地のとり方(生地の縦横)によっては、アイロンを当て過ぎると持ち手が縮む場合があります。
7.持ち手を作ります。
① 折り畳んだ部分が中に隠れるように外側と内側の持ち手のパーツを合わせます。
この時、幅はきっちりと合わせる。長さのセンター同士もきっちりと合わせる。
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② 0.3cm幅のステッチで両側を縫い合わせます。
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③ 短いパーツ(39cm)を内側にして縦半分に折り曲げます。
※布地が薄いと比較的折り曲げやすいですが、生地が分厚いと普通に折り曲げるのは無理です。
その際は下の画像のように、内側の布地の奥のほうを少し持ち上げた状態にして折り曲げます。
なおこうすることで、中に芯材を入れなくても丸く膨らんだ持ち手が作れます。下記の完成画像参照。
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④ 中央部分(21cm)を縫い合わせます。
※生地が分厚い場合、木槌などで叩いて薄くしておくと縫いやすい。
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⑤ 両端が開いた状態のイラスト。
今回の8号帆布だと、ミシンのパワーが足りないとまず縫えないので、●その場合は最初から薄い布地を使う。
もしくは、●布地はそのままで、裁断するパーツの幅を6cmにし、それを折り畳んで幅3cmになった2枚のパーツを縫い合わせるだけの持ち手(布4枚のまま)にすると良いかも…。
つまり、パーツの裁断する幅を細くして、この工程の①②だけで終了させるデザインに変更。
8.両端を内側に折り曲げておきます。
内側と外側のパーツを重ねた時に出来る外側のパーツ両端の長い分(1.5cm)を内側のパーツに被せるようにして折り曲げておきます。
なお、折り曲げた部分を木槌などで叩いておくと、その部分が薄くなってこのあとキレイに納まります。
9.持ち手を取り付けます。
オモテ地側に持ち手を取り付けます。
イラストの順に縫います。
縫い進むうちに位置がズレていくのが心配ならば、四隅をしつけ縫いで留めて位置を固定しておくと良いでしょう。
10.底の部分がWの状態となるように折りたたみます。
ウラ地(ポケットが付いている面)を外側にして折りたたみます。
その際、側面から見た時にバックの底となる部分がローマ字のWの状態となるようにします。
この5.5cm+5.5cmの11cmがこのバックのマチ幅となります。
11.両側の端部分を縫います。
まず、折りたたんだ状態のまま1cmの縫い代で両側を縫い合わせます。
そのあと縫い代の始末となります。
その始末の方法は、切りっ放し状態の両端を包むように布テープを縫い付ける。
バックの高さよりも長めの布テープを使用しますが、上下に余ったテープの端はこの画像のように折り返して縫い付けておきます。
12.裏返して形を整えたら完成です。
このトートバックは、下の画像のように裏を返して形を整えたら、側面の下部に三角形のアクセントがあるデザインとなります。
なお、8号帆布とオックスの2枚重ねなので、比較的しっかりとした作りです。
今回はオモテ地を黒色にしましたが、このほかの色を使ってもその色それぞれの味が出てそれはそれでいい感じになるはず…。
また、より薄い11号帆布で作った場合、さらにカジュアルな雰囲気が出てそれもいいと思う…。
●バック完成サイズ(単位cm)
本体(袋)部分
横:底部29・口部38 高さ:24 マチ幅:11
持ち手含む全体の高さ:35
■追加の「アレンジ」で使い易さを向上させる。
以上の工程が“基本の作り方”で、それだけでもトートバックとして十分に使えますが、さらに今回は下記のようにアレンジしておきました。
底を補強する
バックに物を入れた時にバックの底がダラ~ンとたわむのが嫌な場合は、底部分に底板を縫い付けておくとよい…。
今回は、ウラ地の底部分に「カーペット生地のような硬めの不織布」を縫い付けておきました。
縫い付けるのは[工程2]の時点。付ける場所はポケットを縫い付けた反対の面(ウラ地のウラ面)です。
なので、完成したらウラ地とオモテ地の間に挟まれて、どこからも見えなくなります。
その不織布のサイズは【28×10cm】で、ウラ地の縦横のセンターに縫い付けてあります。
なお、たわみを極力少なくしたい場合のためにプラスチックシートの底板もありますが、今回の作り方では付けにくいし、無理に付けたとしても硬すぎて自然な感じがしないので不採用…。
多少のたわむ感じは残すことにしました。
ちなみに、ダラ~ンと垂れた感じも1つのデザインではあるのでもちろん底の補強無しでも十分OK…。
その他
カラビナなどを引っ掛けておくことが出来るようにD環も取り付けておきました。
これも、縫い付けるのは[工程2]の時点。
D環を留めているベルトは、ウラ地の共布(オックス)を加工したものです。
なおこの部分のウラ地のウラ面には、補強のために小さな布を当てて一緒に縫っておくと良い。
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この他にも、バックの口部分にホックや磁石を設けたり、ポケットの口にマジックテープを付けたりと色々なアレンジも考えられますが、とりあえず今回はこの2パターンだけを追加…。