簡単な方法と少ない材料費でエコバックを作ることが出来ないかと考えていたところ、パンチカーペットが目に留まった。これだと端処理も要らないので簡単に作れそうな気もする。そして材料費のほうも厚手のナイロン生地などよりも比較的安い。
しかも、一見するとフェルトのようにも見えるのでバックの素材としてはありである。
ただ、2Lペットボトルなどの重いものを入れるエコバックとして長期間使用できるほどの耐久性があるかどうかは分からないが…。

いずれにせよ、とりあえず作ってみることにする。少なくとも普段使いのトートーバックとしては普通に使えると思うので…。

ちなみに、パンチカーペットは厚地であるため、小さく折り畳んで普段使いのバックに忍ばせておくことは難しい。なので、お出かけの帰り道でのちょっとした買い物で使うタイプのエコバックではない。


■一見するとフエルト製のようなバック。

本来は絨毯(じゅうたん)なのですが、パンチカーペットは不織布の一種でフエルトの仲間と言えば仲間なので、細部にまでこだわれば見た目的にも普段使いのバックとして使おうと思えば十分に使えるはず。
例えば、袋口部分の生地を2重にしたり、裏地を設けたり、ハンドルを革にしたり、金属パーツを取り付けたり等々…。まぁそれでも、本格的な羊毛フェルトで作るほどのグレードにはならないとは思うが…。
ともあれ、今回の用途は汚れるのが前提のエコバックだし、超簡単な構造で作ることにする。

巻いてあるパンチカーペット
■材料

【パンチカーペット】
【平ベルト】25mm幅

【パンチカーペット】は、裏面にズレ防止などの加工がなされておらず、一見すると裏表が同じに見えるタイプのものを使用。

●よくある裁縫道具以外で必要なものは…
【ホチキス】 絶対に必要というわけでもないが、あったら便利。


■パンチカーペットを柔らかくする方法。

物にもよるかもしれないが、今回使用したパンチカーペットは入手したままだとちょっと硬目でしなやかには曲がらない。曲げようとするとコシがあり過ぎてパリパリと所々が折れるように曲がってしまう…。
本来の目的は絨毯であり、床の上に真っすぐ平らに敷くためのものなので それで全く問題はないのですが、今回の使い方に関しては、あちこちに折れ線が入っていると見た目的にちょっと良くない。
まぁそれでもバックとして使おうと思えば普通に使うことは出来ますが、とりあえずここでは生地を柔らかくしてからバックに仕立てようと思う。
生地を「しごく」とパリパリと折れ曲がることはなくなって、柔かいフェルトのようになります。

しごく方法いくつかありますが。ここでは下記の2パターンだけ説明します。
なお生地をしごくときは、最初から本来必要なサイズには裁断してしまわないで、そのサイズよりも少し大きめに生地を裁断しておきます。

生地のしごき方は…。

細くて硬い棒でしごく生地

●1パターン目は、まず、生地の幅よりも長くて、出来るだけ細く硬い棒を用意します。なお使用する棒は、両端がどこかに固定されていること…。
ちなみに固定されている棒はというと、もしかすると近くを探せばあるかもしれません。
例えば、壁に固定されている幅の広いタオルハンガーや、細い棒の洗濯物干しなど、とにかく硬くて細い棒だったら縦でも横でも何でもいい。
また、もし適当な細い棒だけがあったとするならば、誰かにその棒の両端を持ってもらうとか、どこかのしっかりとした所に紐で縛り付けてブランコの様に吊り下げておくのでもいい。

そして、イラストのように生地で棒を覆うようにし、その生地の両端を持ってピンと張らせ、その状態のまま両端を交互に引っ張るようにする。それを何度か繰り返すと生地がしごかれます。
さらに、生地端の持つ位置を変えたり、裏表を返したりして何度もしごく。

しごき始めた最初のうちは、棒の上を生地がスライドしていく際のパキパキ・・・パキと生地が折れていく感触が手に伝わってきますが、何度もしごいていくうちにその感触がなくなりスーッと滑らかにスライドするようになっていきます。

テーブルの角でしごく生地

●2パターン目は、棒が用意できない場合。
使用するのは、天板の端が直線になっておりその端の天面側に角が有るテーブル。いわゆるごくごく一般的な普通のテーブルです。
しごく原理としては、上記の1パターンの原理とほぼ同じで、テーブル天面の角に生地を当て、その上を手で押さえながらもう一方の手で生地の一端を持ち、そのまま生地を下方向に引っ張るようにスライドさせてしごく。そしてその作業を何度か繰り返す。さらには生地の端の持つ位置を変えながら、また表裏を返しながら生地全体をしごくようにする。

ただこの方法の場合だと、生地が大きいと多少やり難い。でも生地を縦・横・斜めのいずれの方向からでもしごけるので、じっくりとやれば、こちらのほうが上記の1パターン目よりも生地はよくほぐれるかもしれない。

●なお上記の2パターンのほかには、生地をひたすらクシュクシュと揉むという方法もあります。
ただその方法だと小さい小物などを作る場合だったらいいですが、今回ほど大きい面積のものをしごくのにはちょっと不向きかもしれない。とにかく手が疲れ過ぎます。もし手がダルくて途中でやめてしまったら、しわくちゃな生地になってしまいます。ただ完遂すると超ソフトな生地にはなります。でも揉み過ぎると弱くはなるかも…。

ちなみにですが、今回使用したパンチカーペットは、入手した状態のままだとロール状に丸まっていてバック作りの作業がしにくい感じでした。
なので、最初のおおまかな裁断をしたあとは、1日くらい寝押しするように広げて押さえておきましたが、それだけではそのクルリンと丸まった癖は簡単に取れませんでした。
でも上記のように「しごく」とその癖はなくなり簡単にフラットな状態になってくれました。


■それではパンチカーペット製のエコバックを作ってみます。

■作り方


必要な生地のサイズ

.生地を裁断。

まずバックのサイズを決めて生地を裁断します。
今回は、横43cm×高さ37cm×マチ幅16cmのバックにするため、90×43cmに裁断しました。
マチ幅については、下記の工程2にて…

なお、袋口を強化したいなら、強化用の生地も一緒に裁断しておいてそれを縫い付ける。もしくは、生地を長めに裁断してその長く裁断した部分を折り返して縫い留めておくパターンでも良い。
そして、それらを縫い付けるタイミングは少なくとも工程4の前までに…。
※詳細は、このページ下部に記載した「袋口を強化したいなら…」の項にて。

エコバックの型紙

.マチの部分をカット。

マチとなる部分の両脇に、直角二等辺三角形(高さ8cm・底辺8+8cm)の切り欠きを片側に2カ所ずつ設けます。

このパターンだと、センター側の8+8cmでマチ幅が16cmとなります。これは、底部分に幅7cmの牛乳パックを2本倒して余裕で入れておける幅です。
なお、マチ幅(直角二等辺三角形の底辺のサイズ)はお好みで…。

木槌で叩いているベルトの先

.ハンドルの長さを決めてカット。

今回は、バックのハンドルとしてナイロン製の平ベルトを使用します。

まず[ハンドル部分の長さ]を決めます。
そして[ハンドル部分の長さ]の両端に[バックに縫い付ける部分]と[折り返し]部分を足し、その長さで平ベルトをカット。
そのあと、両端の[折り返し]部分は木槌で叩いて折り曲げておきました。

ちなみに、ベルト両端の織りが作業中にほどけないよう、その先端部分はライターの火であぶって溶かしてあります。

ハンドルを縫い付けた袋口となる部分

.ハンドルを縫い付ける。

袋口となる部分(2カ所)の表面側に、両端を折り曲げた平ベルトのハンドルを縫い付けます。

なお縫い付ける前には、ミシンで縫う線を避けた位置に接着剤を塗って仮止めをしておきました。

ハンドルを縫い付ける位置

今回の[ハンドル部分の長さ]は32cm、[バックに縫い付ける部分]は6cm、ハンドルを縫い付ける際の[ピッチ](平ベルトのセンターからセンターの間)は13cmにしてありますが、これらのサイズはお好みで…。

縫い合わせる位置と順番

.端を合わせて縫っていく。

ここからは、両脇の端を縫い合わせて生地を袋状にする作業です。

まず、イラストで示した[緑・緑][黄・黄][橙・橙]の辺をそれぞれ合わせながら縫っていきます。
縫い合わせる順番としては[緑][黄][橙]もしくは[黄][緑][橙]の順です。

なお、イラスト内で矢印で指した3箇所の角の先端が、最終的にはピッタリと合わさっているように意識して縫い合わせます。

縫い終わりの位置の説明

まずここでは、一番最初にイラスト(A)で示すところの[緑・緑]から縫い合わせていきました。

なお、今回の縫い代は0.5cm(5mm)です。ただこの時、端から端まで全部縫ってしまわないこと。
イラスト(B)で説明すると、矢印で指している角側には、交わる縫い代と同じ幅の[縫わない部分]を設けておきます。
これは、このあと残りの部分を縫い合わせていったときに、イラスト(A)の矢印で指した3箇所の角の先端がすべて同じ状態で重なり合うことが出来るようにするためです。

以上のように[緑・緑]を縫い合わせたあとは、上記イラスト(A)で示す[黄・黄][橙・橙]の辺も順に縫い合わせていきます。そしてさらに、反対側の3箇所も同じように縫い合わせていきます。

なお、このイラストで縫っている箇所(最初の1本目)は、生地をただ折り曲げて端を合わせて縫うという簡単な作業ですが、このあとは、生地をクネクネさせて端を合わせる必要があるのでちょっと縫いにくくはなります。ただ基本的な考えは同じです。

ホッチキスで留めた仮縫い

仮縫いはホッチキスで。

ちなみに、上記の端を縫い合わせる作業の前の仮縫い(仮止め)は、してもしなくてもいいですが、どちらかというとしておいたほうが縫いやすいのは確かです。
でも縫い針と糸を使って留めるのは生地が硬くて縫いにくいし面倒くさい。という場合はホッチキスで留めておくのが楽です。

なお、ホッチキスの針の先がミシンの針板に引っかからないように、またミシンにキズを付けたくもないので、針の先端は上になるようにして縫う。
画像で説明すると、写っているのは針の頭側なので、この面を下(反対)にして縫うということです。

あと、これは仮止めなので、縫い終わったらホッチキスの針は抜いておく。

端の3箇所を縫い終えた様子

6箇所を縫い合わせたら完成。

片側3箇所、両脇の合計で6箇所を縫い合わせたら完成です。

仕上がったバックの画像

2Lのペットボトルや1Lの牛乳パックを何本も入れるようなガンガン使い倒すエコバックとしての耐久性があるかどうかは、使ってみなければ分かりませんが、少なくとも普段使いのトートーバックとしては普通に使えそうである。


袋口を強化する方法

袋口を強化したいなら…

袋口の部分をピンと張らせたい場合や、もう少し強度が欲しいという場合は…。
●袋口の内側面に、細長く裁断しておいた強化用の共生地を合わせ、端部分にステッチを入れるようにして縫い付けておく。
●もしくは、本体の生地自身を縦に長く裁断しておき、その長くした部分を内側に折り返して端部分にステッチを入れて留めておく。

ただ両脇を縫う際には、強化した部分が4枚重ねになっているので、そこはちょっと縫い難いかもしれない。
なおこれらの作業は、少なくとも上記の工程4(ベルトを縫い付ける作業)の前までには終了させておく。

ちなみに、裏地を設けたいという場合もこのパーツがあったら仕立てやすくなります…。


■お好みでアクセントを設ける。

仕上がってみたら何となくさみしい感じがしたので、アクセントを設けることにした。

ベルトを取り付けたバック

真鍮のホックを付ける。

ここではアクセントとして真鍮のホック(ジャンパーボタン大)を袋口に設けておくことにしました。

ちなみに、今回は真鍮のホックのみ取り付けましたが、このほかにも外ポケットや何かのマークなどをどこかに取り付けるというのもいいかもしれない。

なおホックの場合は、ポンチで生地に穴を開けてそこに打ち付けるだけなので、バックの形になってしまった後でも取り付けることが出来ましたが、ポケットを縫い付けたい場合は、袋状にする前(生地が平たい状態)の段階で取り付けておく。

袋口を閉じるためのベルトとホック

ところで、袋口に直に取り付けたホックは、バックの中に入れた物が少ない時には普通に留めることが出来ますが、袋口ギリギリにまで物が満杯に入っている場合は、そのホックを留めて袋口を閉じることが出来ません。
なので、バックが満杯になっても袋口を閉じることが出来るようにと、そのホックとホックとの間を繋ぐ「袋口を閉じるためのベルト」も設けておくことにしました。
このベルトは、画像のように、任意の長さにカットした平ベルトの両端を5㎜ほど内側に折り曲げてそこを縫い留めておき、ベルトの両端部分それぞれにホックの凹凸パーツを取り付けてあるものです。
このベルトの取り付け取り外しは自在です。

吊り下げられた完成したバック

ちなみにこの画像は、上記の「袋口を閉じるためのベルト」の片方のホックを、バック側の袋口の片方のホックに留め、もう片方のベルト側のホックの部分はバックの外にペロンと出してある状態です。

なお今回は、エコバックとして作ったのでめちゃくちゃ簡素な仕様にしましたが、上記でも述べたように、袋口部分の生地を2重にしたり、裏地を設けたり、ハンドルをレザーにしたり、ホック以外の金属パーツを取り付けたりと、細部にまでこだわったデザインにして作ればもっとお洒落なトートバックにもなりそうな…。


以上、パンチカーペット製のエコバックでした。
薄い生地製の携帯用エコバックだと、知らず知らずのうちに溜まっていって家には沢山あるので、あえて今回は厚地バージョンを作ってみることに…。
とにかくエコバックはいくつあっても絶対使うし、状況に応じて色んな種類があってもいいので。

なお、パンチカーペットは生地の端処理などが不要なので、今回の最も簡単な仕様で下準備さえ出来ていれば1時間くらいで完成という人もいるかもしれない。

また今回は、あえて縫い代を外側に出すデザインにしましたが、取り付けるパーツをすべて裏表面逆に取り付け、最後に生地をひっくり返して縫い代を内側にしたデザインにするのも全然いい…。


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