何かの効果を期待してというだけではなく、単なる嗜好飲料としても飲まれている甘酒。
寒い冬には温めて飲むのもいいし、暑い夏には氷を入れ冷たくして飲むのもいい…。
そんな米麹甘酒を手作りしてみることにした。

その作る方法としては、ヨーグルトメーカー・炊飯器・ホームベーカリー・鍋と毛布・水筒・電気こたつなど様々な器具や道具を使う方法が紹介されているが、比較的よく見られるのは炊飯器を使ったパターン。その中でも炊飯器の釜に直接材料を入れて作る方法はまあまあ多いような気がする。
ただその方法だとイメージ的には大量に作らなければいけない感がある。そして釜の中に広がっている材料の表面を何時間もずっと剥き出しにしておくというのはなんとなく気が進まない。たとえその上を布巾で覆っておくとしてもちょっと…。しかも長時間の保温なのでかなりの水分が蒸発してしまうと思うし、さらには温度調節も難しそう…。
そのため、炊飯器の釜に直接材料を入れないでジッパー付きポリ袋やプラスチック容器などに一旦材料を入れてそれを炊飯器に入れるという方法もある。

ちなみに今回は炊飯器を使うことにするが、釜の中に直接材料を入れる方法ではなく、一旦容器(今回はガラスのボトル)の中に材料を入れてそれを湯煎して作ることにする。

もし仮に炊飯器の釜の中に材料を直接入れて作ったとすると、出来上がった甘酒を保存する際には、釜の中からわざわざ保存する為の容器へと移す必要があるけど、材料を釜の中には直接入れずに一旦容器の中に入れて作ったとしたら、その作った時の状態のまま冷蔵庫に入れることが出来るので楽である。
また、炊飯器の釜が汚れないので洗い物が少なくなるというのもメリット。
そして今回はガラスのボトルを容器として使うので、保存していた冷蔵庫からそのままテーブルに出しても見た目はおかしくない。
とにかく、最初から最後まで1つの容器で完結出来るというのはすごく便利です。
さらに、その容器を蓋付にすると、保温中に水分が蒸発して甘酒の量が少なくなってしまう事が無いというのもこの方法を選ぶ理由のひとつです。


■とりあえず模擬的な実験をしてみる。

炊飯器で甘酒を作ったらうまくいかなかったという話はよく見聞きする。
ただ、成功するか失敗するかはやってみないと分からない。でもいざやってみると失敗だったとなると米麹がもったいないので、とりあえず自宅の炊飯器が麹甘酒造りに適しているかどうかを調べるため、お湯を一定時間保温してその過程の温度データーを取ってみることにした。

その方法は、まずガラスボトルの中に60℃のお湯を入れたあと口を蓋で閉じ、そのガラスボトルを炊飯器の釜の中に入れた60℃のお湯で一定時間湯煎するというもの。この間の炊飯器の設定は[保温]。ここではその実験を9時間ほど行ってみることにした。なおこの日の室温は22℃でした…。
理想としては、湯煎中の湯温が50~60℃前後の範囲内でずっとキープ出来ている状態です。

釜の中の湯温を温度計で測定

実験の途中結果。

湯煎の開始から3時間経った時点での釜の中の湯温は、60.8℃と開始時とほぼ変わらず。
なお60℃よりも微妙にオーバー気味ではありましたが、理想が50~60℃前後だとするとギリギリ範囲内になるのかな…?分かりませんが…。

ちなみに釜の中のお湯は蒸発しているので水位は少しずつ下がっています。しかしボトル内のお湯に関しては量の変化は見られない。

9時間後の湯温を測定

9時間後。

この時点ではかなり蒸発してしまい釜の中のお湯の量はけっこう少なめです。

なおその湯温はというと61℃。
開始から1時間おきに湯温の計測をしていましたが、極端は上下はずっと無かったです。

ボトル内上部の温度を測定

肝心なボトル内の温度はというと…
釜のお湯に浸かっていないボトル上部のところでもちゃんと58℃程はありました。
ボトルの上部は外気にさらされてはいるけど、ガラスボトルもボトル内のお湯自身もある程度の熱伝導はするし蓄熱もする。また、蒸発していく釜の中の温かい水蒸気にも囲まれている。なので極端な温度低下はしていない状態です。

以上のように理想の50~60℃前後よりも極端に上がり過ぎるということも下がり過ぎるということもなく、そこそこな適温をずっと保つことが可能だということが分かった。
しかもボトル内のお湯の量に関しては変化なし。
ということで、このあと実際に米麹を使って甘酒を作ることにしました。

炊飯器で甘酒を作ると失敗することがあると言われているけど、ガラスボトルの中に入れて湯煎をすると何となく成功の確率が上がりそうな…。

但し、今回使用した炊飯器では保温の設定で60℃前後をキープすることが出来たので良かったですが、機種によっては保温の設定温度が高すぎて、電源を入れっぱなしでの甘酒造りはほぼ無理という炊飯器もあるとは思います…。


■ちなみに、気になる電気代は。

炊飯器での保温にかかる電気代は下記の計算式で求めることが出来ます。
消費電力(Wh) ÷ 1,000 × 電気料金単価(円/kWh) × 使用時間 = 電気代(円)

ということで、我が家の条件で計算すると、
今回使用の炊飯器における保温時の消費電力は1時間当たり16.2Wh。
契約している電気料金単価が現時点で35円44銭。
仮に8時間使用したとなると…
16.2Wh ÷ 1,000 × 35.44円/kWh × 8時間
で、電気代は、約4.59円となる。


■炊飯器で湯煎をして甘酒を作る。

まず、結果だけ先に言うと大成功でした。完成した甘酒はストレートで飲むには甘すぎるくらい甘かった。
しかも米麹の風味や香りがすごくある。そして酸味は発生せず…。
なお米麹を使う甘酒づくりには、お米(炊いたご飯)を入れるレシピと入れないレシピとがありますが、今回はお米を入れないで作りました…。

ちなみに、おしゃれなキッチン道具を使う時のようにビジュアル的にも気分が上がるというわけでもないけど、自宅にある器具と道具だけで作れてしまったのはちょっと嬉しいかもしれない。

材料の米麹とお湯
■材料

【米麹】… 150g
【お湯(60℃)】… 300g

【米麹】製造日から日が経つにつれて麹は弱くなるらしいので、そこそこ新しいものを使った。
【お湯】60℃のお湯の作り方はの下記の別ページにて紹介しております。↓↓↓
温度計を使用しないで、お湯を「希望の温度」に調節する方法

※なお、湯煎の際に使用するガラスボトルの中で作ると、急冷・急熱の温度差でボトルが割れてしまう恐れがあります。
ということで60℃のお湯は、鍋やステンレスボウルなどの耐熱容器の中であらかじめ作っておきます。

■作り方


ガラスボトルに米麹とお湯を入れる

.ガラスボトルに米麹とお湯を入れる。

殺菌をしたガラスボトルの中に米麹を入れ、そこに用意した60℃のお湯を加えます。

※なおガラスボトルの種類によっては、急激な熱の変化を与えると割れてしまうという場合もあるので、それを避けるために使用するガラスボトルの耐熱温度差は調べておいた。
ちなみに、今回使用するガラスボトルの耐熱温度差は80℃以内だったので60℃のお湯はOKでした。

スプーンなどで材料を混ぜる

.よく混ぜる。

殺菌したスプーンなどでよく混ぜます。

炊飯器にお湯を入れてボトルを湯煎

.60℃のお湯で湯煎。

炊飯器の設定を[保温]にし、釜の中に60℃のお湯を入れて湯煎を開始します。
ここから先は、中の水分が蒸発しないようにボトルの口には蓋をしておきます。
なお今回使用しているボトルには、ただ載せておくだけのガラス蓋が付いているのでその蓋を被せておきました。

ちなみに、ネジ式の蓋になっているビンの場合は、その蓋は使用せずにビンの口をラップで覆っておくといいかもしれない。
ネジ式の蓋で完全密封してしまうと中の空気が膨張してパンパンになりそう。そうなるとちょっと危険な感じがするので…。

時々材料を混ぜる

.時々混ぜる。

混ぜても混ぜなくても出来るっぽいが、混ぜたほうが甘くなるらしいという情報があったのでとりあえず時々混ぜることにした。

時々湯温を確認

時々湯温をチェック。

釜の中の湯温が低すぎたり高温になり過ぎていると失敗するので時々チェックする。
今回は前もっての実験で確認したので全く心配はなかったけど、念のため…。
もし高温になっていた場合は、しばらくコンセントを抜くなどするといいかも…。

ちなみにここでは釜の最高湯温が61.5℃を記録しました。ちょっと心配でしたが麹菌の働きが失活するのが70℃近くらしいのでおそらく大丈夫だろうとそのまま進めました。
また、前もっての実験での通り、ボトルの上部は温度が少し低いはずだし…。

まあ、結果的には上手く仕上がっていたので今回に関しては大丈夫だったのでしょう…。

時々湯温を確認

.今回は、8時間で完成にしておいた。

味をチェックしてもう少し甘味が欲しいという場合はもう1~2時間湯煎をする。
甘さは発酵時間によっても変わります。
色々なレシピを調べたところ、長い人で12時間というのはあったが、大体6時間~10時間の間で作るというレシピが多かった。※みんなが湯煎というわけではありません…。

なお、ここまでくるとけっこうお湯の量は減っているので、追加で湯煎する場合はお湯が無くなっていないかチェック。無くなっていた場合は60℃のお湯を追加しておく。

お湯から取り出して冷ます

.冷まして保存。

湯煎が終了したらお湯から取り出して冷まします。
なお煮沸はしていないので、この冷ましている間も甘味は増すはず…。

このあと粗熱がとれたら、ボトルの口をピタッと閉じることの出来るプラスチックの蓋に取り替え、冷蔵庫に入れて保存しておきました。

なおそのままだと冷蔵庫内でも多少は発酵するらしいので、2~3日以内には消費するように…。
それ以上長く保存する場合は一旦鍋に移して火入れをし、殺菌したキレイな蓋付の容器にあらためて入れておく。それでも5~6日以内には消費したい。
さらにもう少し長く保存したい場合は、密閉出来るプラスチック容器かポリ袋などに移して冷凍しておくといいかも。ただそれでも常識の範囲内には消費するように…。

ちなみに今回は、洗い物を少なくするというのもテーマのひとつだったので、3日で飲み切りました。


■アイスでもホットでも…。

今回は蓋付のボトルに入れて作ったので水分はあまり蒸発せずに済みました。また材料には炊いたご飯も入れていません。そのため固いお粥のような状態にはならず、ストレートでも飲めるくらいのサラサラ具合に仕上がっています。そのうえ、ストレートで頂くと甘すぎに感じる方もいるのではないかというくらいの糖度になっています。

冷たい炭酸水と甘酒

アイスの場合ストレートでも美味しいですが、冷たい炭酸水で割るのも美味しかったです。

カップに入ったお湯割りの甘酒

もちろん、温めてのストレートでも美味しいしお湯割りでも美味しい。
なお今回はレンチンで温めました。

このあと豆乳割りと牛乳割りも作りましたがそれも美味しかった…。

そのほかにも、お酒を入れて大人の甘酒にしてもいいし、甘味の調味料代わりにも使えるらしいので、このあともう一度甘酒を作って試してみようかと思う。まだまだ米麹も残っているし…。


以上、炊飯器で米麹甘酒を作ってみました。
なお今回は、材料の中にお米(炊いたご飯)は入れなかったけど、色々調べると材料にお米を入れたほうが甘さは増すという説がある。
またその逆で、お米を入れずに米麹100%で作るほうが甘くなるという説もある。
その両者の説にはそれぞれ理由があって、例えば、前者のお米を入れたほうが甘くなるという説は、麹菌の生成する酵素が、お米に含まれているデンプンをブドウ糖へと分解するためお米が入っている分は甘さが増すというもの。
また、後者のお米を入れないほうが甘いという説は、もし作る甘酒の量が同じで全体に対する水の割合が同じだったとすると、米麹100%だった場合は甘味を作る麹菌の割合が多くなるということになるのでその分甘さが増す。そもそも米麹の粒々は米なのであえてお米を入れなくてもそこにもデンプンはあるしというもの。そのうえ米麹が多い分風味や香りは濃いとも…。
まあ、条件によっても変わってくると思うし、どちらが正解なのかは全然分りませんが、とりあえず今回はお米を混ぜない方で作ってみた…。

ちなみに、今回は上記のように細めのガラスボトル(容量500㏄)を使いましたが、作る甘酒の量を多くしたい場合は、1度に2~3本を同時に湯煎するか、もしくは、ちょっと太めで容量の多い瓶で作るといいかもしれない。例えばハチミツが入っていたような容量が1000㏄くらいでネジ式キャップの広口なガラス瓶など…。まあ、試していないのでうまくいくかどうかは分かりませんが…。
とりあえず次回は、広口で太めのガラス瓶で量産してみよう…。


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