劣化してパリパリとひび割れてしまう度にプラスチックの蓋を捨ててきたので、気が付けばガラスの容器部分だけになっている中途半端なキャニスターがいくつも貯まっていた…。

蓋の無い状態のキャニスターたち

何度か替蓋を購入して復活させもしたが、使用頻度の高いものから順にひび割れていって結局また蓋の無いものが増えていくという感じ…。
中にはまだ蓋の残っている容器もあるにはあるが、それでも色が褪せてきていたり微妙な亀裂が入ってきている蓋もある…。

ということで蓋をいくつか新調することにした。
それにあたって、一部の容器用ではあるが木製の蓋を手作りしてそれを使ってみることにする。使い方次第ではプラスチックよりも木製のほうが長持ちするだろうし、見た目が変わると新しいキッチン雑貨を手に入れた気分にもなれると思うので…。
もちろん、本来純正で付いてくるプラスチック製の蓋ならばピッタリと閉じることも出来るので、あったらあったで便利である。なのでこの機会にその純正プラスチック製替蓋も入手してはおきたい…。

木の蓋のイラスト

なお、作るほうの木製の蓋は、イラストのようにガラス容器の開口部分にただのせておくだけの単純な構造のものであって、容器を密閉出来るようなものではない。
もっとも、密閉容器としても使用したいという場合は、さらにゴムパッキンも設ければいいとは思うけど、さすがにそこまでするとシリコンゴムのシート代もそこそこかかるし、手間も多くなり過ぎて面倒なのでここではやめておいた。
また今回作るこの蓋は、塩と砂糖が入っている容器用として使うつもりだし、その場合、片手でサッと開けれる方が楽なのでむしろこの方がいいくらい。
それに、塩と砂糖は密閉容器でないと傷みやすいというものでもないし毎日頻繁に使う調味料だから入れ替わるサイクルも早いので密閉していなくても自分的には全然問題はない。
しかも、市販されている塩砂糖用のキャニスターにもパッキンの無いタイプはよく見かけるし…。
なので今回は、あくまでも簡単バージョンで…。
ちなみに、蓋の下にとび出した凸部の高さ分だけは容器の容量が狭くはなります…。


■ここではトリマーで加工する。

今回作る木の蓋は円形なので、旋盤でも作れるしその方が加工も早いとは思うけど、ここでは「ガイドべアリング付のストレートビット」と「段欠き加工用のビット」を取り付けたトリマーで加工します。
この方法だったら四角いタイプなどの円形以外の蓋も作れます。

材料のケヤキの板
■材料

【木の板】… 今回はケヤキ

■作り方


容器の内径を測っている

.蓋のサイズを決める。

容器の外径と内径を測って蓋のサイズを決めます。

今回はガラス容器の外径が96.5mmだったので、その上にのせる蓋の外径はそれ以上あることが前提。
そして、容器の内径と、使用する「段欠き加工用のビット」のサイズを鑑みて蓋のサイズを決めます。

段欠き加工の参考イラスト

今回使用するビットとガラス容器で計算すると…
●まず、使用する段欠き加工用ビットの「刃径」と「ベアリング径」の差は12.5mmだったので、段欠きの幅(a)はその半分の6.25mmとなる。
●次に、蓋底面にある凸部(ガラス容器との勘合部分)の高さを5mmとした場合、上から5㎜の所でガラス容器の内径を測ることになるが、その測った結果を鑑みると蓋底凸部の外径は87mmにしたい。
※今回対象となるガラス容器は上に向かって拡がっている形状なので、凸部の高さによって対応するガラス容器の内径(凸部の外径)は異なってくる。
●ということで凸部の高さを5mmとした場合、
6.25mm(段欠きの幅)×2+87mm(凸部の外径)で、蓋の上部の外径は99.5mmとなる。
これだとガラス容器の外径である96.5mmより大きいので大丈夫。今回はこれで進めるとする。

アウトラインを木の板に記す

.決めた蓋のサイズのアウトラインを木の板に写す。

●まず、決めた蓋のサイズ(今回は直径99.5mmの円形)の型板を作ります。
●そして、木の板の上に型板を置き、そのアウトラインをペンでなぞって写します。

糸鋸で周囲をカット

.糸鋸で周囲をカット。

このあとトリマーで仕上げる部分を残すようにして、上記工程で描いたアウトラインのギリギリ外側を糸鋸でカットします。

裏表をカンナ等で削る

.裏表をカンナ等でキレイにする。

裏表をカンナ等で削ってキレイで平坦にすると同時に裏面と表面を平行にします。さらにはここで板厚も調整する。

トリマーで周囲を円形に加工

.トリマーで円形に加工。

●まず、上記の工程2で作っておいた型板(今回は直径99.5mm)を、表面か裏面かのいずれか1面に貼り付けます。
●そして、その円形の型板に倣いながら、ガイドべアリング付のストレートビットを取り付けたトリマーで周囲を円形に削ります。

段欠き加工をする

.段欠き加工をする。

●段欠き加工用のビットを取り付けたトリマーで、裏面(底面)になる側の端部全周に段を付けます。
今回は上記で決めた通り、凸部の高さが5㎜となるように削りました。

●段を付ける作業が終わったら、すべての角(3箇所)をサンドペーパーで1周削って面取りしておく。その面取りの大きさは好みで…。
今回は小さく面取りしたかったので、サンドペーパーで削ってC0.5程の糸面取りにしましたが、大きく面取りしたいというのであれば、トリマーに面取りビットを取り付けて削ると完成度は高く見える。
※なお、下部の凸部の角を面取りする場合はちょっとだけ注意です。下記で説明するように勘合具合が多少変わってしまいます。

面取りの部分のイラスト

加工した後は、まずサイズの確認として蓋の凸部をガラスの容器に嵌めてみます。
そこで、微妙に窮屈だった場合は、凸部の下部の角を大きく面取りする。その時は少しずつ追込みながら調整していくといい。
いきなり大きく面取りすると勘合具合がユルユルになってしまう恐れがあります。
ただしそれは、内側が上に向かって広くなっている容器に使用する場合です。内側が平行でストレートな円柱形の容器だった場合は調整出来ません。

なお、そもそもが大き過ぎ(面取りしても無理)で全然入らない場合は採寸か計算のミスなので、採寸と計算を再度行って工程5からやり直し…。

水で濡らした木の蓋

.表面を水で濡らす。

大まかな削る作業が終わったら、表面をいったん水で濡らします。そのあとしっかりと水を拭き取ってから乾かします。
このように水で濡らしてから乾燥させることによって、表面をわざと毛羽立たせます。

サンドペーパーで周囲を削る

.サンドペーパーで毛羽立ちを削る。

わざと毛羽立たせた表面のザラザラをサンドペーパーで削ってスベスベにします。

なおこの時は表面の毛羽立ちだけを削ります。あまり削り過ぎると奥の部分が出てきて意味がなくなります。まあ形も変わってしまうので削り過ぎることは無いとは思いますが…。

この作業をしておくことで、次に濡れた時(洗った時など)にあまり毛羽立たなくなります。

表面にオイルを塗る

.お好みでオイルを塗る。

お好みでオイル(乾性油)もしくは乾性油主体の蜜蝋ワックスを塗ります。いわゆるオイルフィニッシュです。
その際は、いずれも食品に触れてもOKのやつで…。
今回は食用のエゴマ油(純度100%のタイプ)を塗りました。
塗ったあとは、オイルで濡れた表面を乾いた布やペーパーなどでしっかりと拭きとっておきます。

このように、オイルを塗ることによって、撥水・汚れ防止・変形防止・ワレ防止・毛羽立ちの防止などの効果も得られるし、見た目的にも味わいのあるしっとりとした色に変わります。

※なお、食用オイルの場合、品質表示の確認は重要です。まずは純度100%のタイプを選ぶことです。不乾性油とブレンドされていたり酸化防止剤が入っていたりするものはNGです。
また乾性油は、場合によっては乾燥(酸化重合)する際に熱を発して自然発火するおそれがありますので、塗布に使用した布やペーパーなどは水に浸してから捨てます。念のため…。

「乾性油」とは、酸化すると完全に固化してネバネバにならない油です。ちなみに、オリーブオイルは「不乾性油」なのでずっとネバネバのままです。
乾性油については「乾性油と、木や鉄のメンテナンスのこと」のページにて…。

浮かせて乾燥させる

10.しばらく乾燥(酸化)させる。

乾性油は固化するのに結構時間がかかります。
ドライヤー(乾燥剤)の含まれていない乾性油の場合、オイルの種類にもよりますが完全固化には数カ月かかるといわれています。
ただあくまでも厳密に言った場合です。このような雑貨の表面に塗布して使用する程度だと数週間ほどで実用レベルにはなると思います。

なお今回は、食用である純度100%のエゴマ油を使ったのでドライヤーは含まれておりません。なのでしばらくは使用せずに乾燥(酸化)させておきます。

木の蓋を嵌めたキャニスター

オイルが乾燥(固化)したら完成…。

表面を手で触ってみて、濡れた感じが無くなりサラサラしていた大丈夫です。仮に微妙だったとしても使用しているうちに乾燥していくと思います。

ちなみに、このあと水で洗って撥水力が弱いと感じたら、さらにもう1~2回オイルを塗ると良いでしょう。多少なりとも撥水の効果は上がります。


以上、ケヤキの木を使ってキャニスター(ジャムジャー)の蓋を手作りしてみました。

カトラリースタンドとして使っている

蓋の無くなったキャニスターの使い方としては純正の替蓋を入手して元の状態に復活させるというのがベターだとは思うが、ついつい買いそびれてしまい、中途半端な下のガラス部分だけがたまってしまっていた…。
でもそのままにしておくのはやっぱり無駄なので、今回、蓋付き容器として復活させることにした。

なお、そのうちの2つは上記のように手作りの木製蓋で復活させたけど、あとの残りに関しては、普通にプラスチック製の替蓋を入手して元の状態に復活させようかと…。
とりあえずネットで探してみたところ、送料無料のラッキープライスな純正替蓋を見つけたので、すかさずポチッとしておいた…。
これでやっと、中途半端だった蓋の無いガラス容器部分すべてが蓋付のキャニスターとして使用することが出来るようになる。
ただし、画像の様にカトラリースタンドなどとして既に使用している分はそのままにしておくが…。

ちなみに、今回作った木製の蓋で復活させた上記の2つは、プラスチックの蓋を被せた時とはまったく異なる雰囲気のキャニスターとなり大満足です…。


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