ただ焼くだけでも美味しいし、野菜と一緒に炒めたりパスタとあえたりするのもいい。また、スープなどに入れると旨味たっぷりの出汁も出る。
とにかくメインにもなるし 具材にもなるし 味の決め手にもなる。
このように、ベーコンは使い道が多くてとても便利なので冷蔵庫に年中ストックしている方もけっこう多いのではないでしょうか…。

そんなベーコンが自宅で本格的に作れたらきっと楽しいだろうということで、以前、温燻の出来るスモーカー(燻製器)を作りましたが、今回はそのスモーカーを使ってベーコンを作ります。

スモークベーコン作りは一定の時間と手間はかかりますが、塩分を加減できたり、好みの香辛料やハーブなどで風味付けできるのも自家製ならでは!


■「温熱乾燥」のあと「温燻」でスモークベーコンを作ります。

「熱燻」で短時間に作るスモークベーコンもジューシーで美味しいですが、今回は、旨味がより凝縮されたベーコンとなるように、数時間かけて水分量を減らす「温燻」と「温熱乾燥」とで作ります。
また、「温燻」で作ると「熱燻」で作ったものに比べると数日くらいは長持ちします。ただ「冷燻」で作るスモークベーコンのように長期保存には向きませんが…。

ベーコンの材料たち
■材料
【豚バラブロック肉】… 300g
◇調味料
【塩】… 9g(肉の3%)
【砂糖】… 3g(肉の1%)
◇香辛料・ハーブ
【黒胡椒】… 2g
【ローリエ】… 0.5g
【ナツメグ】… 0.5g
細かくしたハーブ

ホール状の香辛料とハーブは細かくしておいた。

なお、ハーブはお好みのものに変えてもいいし、入れる量もお好みでいい。さらに、すりおろした玉ねぎやニンニクなどの香味野菜を加えるのもいい。

完成した1セット
■使用したもの
【スモーカー(自作の燻製器)】
【ガスコンロ】
【アルミホイル】
【スモークウッド】

●今回使用したスモーカー(燻製器)の作り方や、それを使用した時の温度調整の方法は…
“熱燻”も“温燻”も出来る「スモーカー」を自作してみた のページにて…。

なお【スモーカー】を作るのが面倒な場合でも、
「鉄のフライパン」と「大きいボウル」と「脚の付いた網」と「プランタースタンド」が用意出来れば何とかなるかもしれない…。そこに「温度計」があればなおよし。
まあそれなりの工夫は必要ですが…。

■作り方


フォークで肉に細かい穴を開ける

.肉に細かい穴を開ける。

調味料を浸透しやすくするために、肉の筋切り器やフォークなどを肉の表面に刺して全体に細かい穴を開ける。
今回はフォークしかないので、それで…。

表面全体に香辛料をまぶした肉

.肉の表面全体に砂糖・塩・香辛料などをまぶす。

砂糖→塩→香辛料・ハーブの順で肉にすり込んでいくといいらしいが、
今回は、砂糖・塩・香辛料・ハーブを全部混ぜてから肉にまぶすことにした。

なお、ソミュール液を作ってそこに漬け込む方法などもあるが、今回はそれをしなかった。
その理由は特にありません。どれか一つしか選べないので…。
次回作る時は、ソミュール液に漬け込むパターンもぜひ試してみたい。

密閉袋に入れて漬けてある肉

.密閉袋などに入れて、冷蔵庫内で1週間ほど漬けておく。

余分な空気を抜くようにして密閉袋などに入れ、ときどき上下をひっくり返しながら冷蔵庫内で1週間ほど漬けておく。

なお、2週間とか3週間とか漬けておくと、肉の旨味が増してさらに美味しくなるという話もあるが、管理に不備があって失敗(腐敗)したら嫌なので今回は1週間だけ漬けることにした。

10日間漬けておいた肉

ちなみに、今回は1週間だけの予定にしていたのですが、日程の都合もあって結局10日間漬けてしまいました…。

流水で香辛料を洗っている

.流水でよく洗う。

袋の中から取り出したら、肉の表面に付いている砂糖・塩・香辛料などを流水でよく洗い流します。

塩抜きをしている肉

.塩の量によって、塩抜きをしたりしなかったり。

塩抜きをする場合…
香辛料などを洗い流したあとは、容器に水を入れ、ある程度の時間その水の中に浸けておきます。その時間に関しては塩の量次第です。
そして、水に浸けている最中は何度かその水を取り替えます。

なお今回のレシピ(塩の量は肉の3%)では、塩抜きの必要はないくらいです。
なので塩抜きはしないつもりだったのですが、とりあえず1時間だけ気休め程度の塩抜きはしておきました。もししょっぱかったら嫌なので…。
今回の塩の量だったら、塩抜きをするしないに関してはお好みで…。

ちなみに、塩の量によっては数時間塩抜きしないと確実にしょっぱすぎるという場合もあります。
塩味の確認は、肉の端を少しだけカットしてそれをフライパンなどで焼いて試食してみるといい…。

冷蔵庫で寝かせる前

.キッチンペーパーで包み、冷蔵庫で1日寝かせる。

肉表面の水分をしっかりと拭き取ってからキッチンペーパーで包み、そのまま冷蔵庫で1日寝かせて肉の水分を出す。

水分で濡れたキッチンペーパー

途中、何度か肉を上下ひっくり返し、水分で濡れたキッチンペーパーは新しく交換します。

スモーク無しで温熱乾燥する様子

.60℃で2時間「温熱乾燥」する。この工程はスモーク無し。

まず、フライパンの上部に浮いているような状態で網を設置し、その網の上に肉を置きます。
そしてスモーカー上部のドーム部分(ボウル)をかぶせて「温熱乾燥」を開始します。
この工程はだだの温熱乾燥なので、燻煙材(スモークウッドやスモークチップなど)は入れません。

なお今回は、このあとの工程で発生させる煙の臭いをフライパンには付けたくなかったので内側はアルミホイルで覆っておきました。
あと、肉は長かったので半分にカットしておいた。

スモーカーを火から離した状態

ちなみに、ガスコンロの五徳の上に直接置いて加熱するタイプのスモーカーというのは温度調節が比較的むずかしく、どうしても「熱燻法」(高温で燻製にする方法)になってしまう場合が多くなります。
だけど、そのタイプのスモーカーでも「温燻」や「温熱乾燥」をすることは可能です。

そこでポイントとなってくるのは、直火にかけないようにするということ…。
ここでの場合は、画像のようにガスコンロの五徳の上とスモーカーとの間に三脚台(高さ15cmのプランタースタンド)を設置して、コンロの火とスモーカーの底面に距離を設けるようにしてあります。
このように、スモーカーをガスコンロの火から離した状態にし、「とろ火~弱火」の間で火力調整をすると、庫内温度は「温燻」や「温熱乾燥」に適した50℃~80℃位にすることが可能となります。

スモーカーを加熱

というように上記の方法を用い、この工程7ではスモーカーの庫内温度を60℃前後に保つように火力を調整しながら、2時間ほどかけて肉を「温熱乾燥」させます。

なお、庫内の温度が上がるまでは最上部の丸い窓の蓋は締めておきますが、ある程度の温度になったら窓の蓋は少し開けて、そこから蒸気を出すようにします。

温熱乾燥終了

.「温熱乾燥」終了。

画像ようにいい感じで乾燥されました。
この時点でちょっとベーコンっぽい…。

スモークウッドに着火

.庫内温度75℃で3時間「温燻」する。

次は「温燻法」でスモークします(燻す)。
なお今回の方法では、燻煙材としてブロック状のスモークウッドが適しています。
ちなみに着火する箇所は、面積の一番狭い面です。

温燻法でスモーク

スモークウッドに着火させたらそれを網の下に置きます。なお、スモークウッドに肉の油がかからないように肉の真下は避けて置くようにします。

煙が出ているスモーカー

そして、上記のように着火したスモークウッドを網の下に置いたら、ドームを被せ、ガスコンロやスモークウッドの火力調整をしながら庫内温度を75℃程度に保ち、3時間かけて「温燻」します。

スモークが終了したところ

10.「温燻」終了。

お好みの状態になったら「温燻」は終了。
なお、温燻終了の時点でスモークウッドは取り出しておきます。

自家製スモーカーの上部

11.さらに70℃で1時間「温熱乾燥」する。

スモークウッドを取り出した燻煙の無い状態で、庫内温度が70℃程度になるようにスモーカーを調整し、さらに1時間ほど「温熱乾燥」します。

なお上記の「温燻」する工程ではその時間を1時間長くして4時間にしても良かったのですが、あまりスモーク感が強すぎるのも好きではないので、上記では「温燻」を3時間で終了しておきました。
しかし、肉中心部への加熱はもう少し長くしておきたいし、水分量を減らして肉の旨味も凝縮させたいので、この工程では、70℃の「温熱乾燥」でさらに1時間加熱しておくことにしました…。

とにかくここは「温燻を4時間」でもいいし、今回のように「温燻を3時間」+「温熱乾燥を1時間」でもいい。もしくはもっと長くてもいい…。ここはお好みで…。

コンロの火の様子

最終的な温熱乾燥もしくは温燻が終わったら終了。


まな板の上の自家製ベーコン

これで、添加物のいっさい入っていないスモークベーコンの出来上がりです。

なお、出来たてをすぐに食べたいところですが、スモークしたてはまだ味が尖っています。
なので、出来上がったベーコンは常温まで冷ましたあと保存容器などに入れて冷蔵庫内で最低1日は寝かせます。食べごろはそのあとからとなります。

ちなみに、「冷燻法」で作るスモークベーコンのように長期保存には向きませんので、数日以内には食べきるように…。


以上、温燻と温熱乾燥で作る「自家製スモークベーコン」のレシピでした。

なお、豚の生肉は食中毒菌に汚染されている場合があります。
なので衛生面的には、中心部の温度を63℃で30分間以上加熱するか、これと同等以上(75℃1分間以上の加熱でも良いらしい)が必要とされています。
もし面倒でなければ、豚肉の中心に温度計を刺して、肉の温度を測定しながらスモークすれば間違いないと思います。
まあ上記で作ったベーコンは、温度計を使用して庫内温度を測りながら合計6時間も過熱しているので大丈夫だとは思いますが…。
それでも心配ならば食べる前に一旦焼いてから食べるといいでしょう。

また、スモークの作業に関しては…
スモークの煙を吸うと体には良くないので換気はしっかりと行う。出来れば外もしくはカーポートやベランダのような半分外のような場所で行うように。
もしキッチンしかないというのであれば必ず強の換気扇の下で、そして窓は開けっ放しで…。ただ室内の場合は煙の臭いがしばらく残ると思います…。
とにかく近所には迷惑をかけないこと、そして煙によって少しでも気分が悪くなったら即刻中止するということも大事です。


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