けっして高級グルメとは言えないけど「ずっと飽きない定番の味」というものは色々とある…。
そのような長きにわたって親しまれているものには美味しいものが多いが、人によってはそこに缶詰のポークランチョンミートを加える人もいるのではないだろうか…。

ポークランチョンミートはカットしてただ焼くだけでも美味しいし、炒め物やおにぎりやサンドイッチの具材にしてもいい。

今回は、ソーセージの一種であるそのポークランチョンミートを手作りします。


■ホーローの保存容器を型にして作る。

ランチョンミートおにぎりと言えば、スライスして焼いたものを握り寿司のように四角く握ったご飯の上にのせてあるのをよく見かける。そのせいか、自分の場合ポークランチョンミートといえばスパムやチューリップなどのような四角い缶詰をイメージしてしまう。

まあ中には丸い缶もあるようだし形で味は変わらないともおもうが、今回は作る時の型(容器)として、イメージ通りどこでスライスしてもなるべく同じ縦長の平面となるよう、直方体のブロック状に仕上がるものを探してみた…。
よくあるパターンとしてランチョンミートの空き缶を型として使うという方法もあるけど、あいにくうちにはその空き缶はない。そこで手持ちの容器を物色したところ、用意した250gのひき肉がピッタリ収まりそうなホーローの保存容器があったのでそれを型とすることにした。

なお、自家製なのでとうぜん発色剤や防腐剤などは無添加で作ることになる。しかし一般的な豚ひき肉だけで作ると見た目がちょっとビミョー。発色剤を入れないので完成がちょっと寂しい色になってしまう。
まあそれはそれでいかにも無添加という感じがして全然ありなんだけど、昔からよく見てきた缶詰タイプのランチョンミートっぽくはない。
最初は、無添加なんだからそんなもんかなとも思っていたが、どうせなら見た目もということで、今回は多少赤味を帯びさせるようにパプリカパウダーを加えることにした。

ボウルに入ったひき肉と香辛料や調味料
■材料
【豚ひき肉】… 250g
【氷水】… 40g(氷だけでもOK)
<A>
【片栗粉】… 7g
◇調味料
【塩】… 4g
【砂糖】… 1.5g
◇香辛料
【黒胡椒】… 0.5g
【白胡椒】… 0.5g
【ナツメグ】… 少々(0.25g・小さじ1/8)
【パプリカパウダー】… 0.25~0.5g

【パプリカパウダー】 入れ過ぎると変な赤になると思うけど、0.5g位までだったら全然大丈夫…。
【氷水】“クラッシュ氷が作れる製氷皿”で作った細かい氷を使用。なおここでは水を入れて氷水にするけれど、氷だけでもOK。

◇香辛料など…
肉の臭みを消すために今回は【黒胡椒・白胡椒・ナツメグ・パプリカパウダー】を入れますが、これらの香辛料はお好みでもっと分量を増やしても良いし無いものは無いままでも良い。
また、ハーブ(セージ・タイム・オレガノ・ローリエ・ローズマリー・その他)などをお好みで加えても良いし、すりおろしたニンニクや玉ねぎなどの香味野菜を加えるのも良い。

なお、使用する肉次第では臭みが出る場合もあるのでなるべく良い肉で…。
ちなみに、ひき肉になっていると空気に触れる面積が多くなって酸化しやすくなるらしいので、お肉屋さんの店頭でブロック肉をひき肉にしてもらい、買ってきたら直ぐに使うというのもいいかも…。

クッキングシートを敷いたホーロー容器
■茹でる時に必要なもの
【型(容器)】
【クッキングシート】
【ポリ袋】

【型(容器)】ホーロー保存容器など。
今回は、野田琺瑯ホワイトシリーズの”スクエアSサイズ蓋付”を使用。この容器は蓋をした状態で250gのひき肉がピッタリと入るサイズでした。
【クッキング(オーブン)シート】上記の容器(スクエアSサイズ)に合わせて幅は8.5cm・長さは25cm以上の帯状にカット。
【ポリ袋】茹でる時に、肉の入った型(容器)を入れておくものです。下記の工程7と8の画像を参照。
使用する鍋の水位に対して縦が短すぎず、かといって幅が広すぎではない丁度いい感じのサイズで…。今回は縦35cm×幅25cmのポリ袋を使用。

■作り方


ひき肉に調味料などを混ぜる

.豚ひき肉に、調味料・片栗粉・香辛料を混ぜる。

まず、直前まで豚ひき肉は冷蔵庫で冷やしておく。

そして用意しておいたボウルに冷たい豚ひき肉を入れ、さらに材料<A>(調味料・片栗粉・香辛料)も入れて軽く混ぜ合わせます。

※気温が高い時は肉の温度が上がりすぎないよう、材料を入れたボウルを、氷を入れたボウルの上に重ねたり、保冷剤の上に置くなどして下部からも冷やしながら作業すると良い。

氷水を加えたひき肉

.氷水を加える。

ある程度混ぜたら氷水を加えます。

肉を練り混ぜている

.氷が溶けるまでよく練りながら混ぜる。

氷が完全に溶けて肉の色が白っぽくなり粘りが出るまでよく練り混ぜます。
そして、氷が溶けた時点で練るのは終了です。
とにかく手(体温)で肉が温まらないように…。

氷が完全に溶けて練り上がったら、肉を塊にし、その状態でボウルの底に何度か叩きつけるようにして空気を抜いておく。

肉を詰めたホーロー容器

.容器(型)に肉を詰める。

保存容器(型)の底部にクッキングシートを敷いた状態にし、その中に肉を詰めます。

このとき、肉を詰めた容器の底をトントンと手で叩くか、または、緩衝物(シリコン製の厚めの鍋敷きや何重にも折り重ねたタオルなど)を天面に敷いたテーブルの上に何度か軽く(高さ5~6cmほどで)落とすなどをして振動を与え、容器の隅まで肉を詰める。
※なお、ホーロー容器の場合は表面がガラスです、硬いもので叩いたり硬いところに落としたりなど強い衝撃をあたえ過ぎると表面は割れるので注意。

そしてそのあと、天面をある程度平らにします。

内側に曲げたクッキングシート

.形を整えたら、蓋をして冷蔵庫で1時間寝かせる。

天面をある程度平らにしたら、肉の高さのところでクッキングシートを内側に曲げて肉に貼り付かせ、シートの端同士を重ね合わせます。
そのあと、肉の天面をさらに平らに整えます。

※ちなみにですが、画像のようにこれほど天面をフラットにしておいても茹で上がったら真ん中辺りは多少膨らみます…。

そしてこのあと容器(型)に蓋をして、冷蔵庫で1時間ほど寝かせます。

湯温を調整する

.70℃ほどのお湯を作ります。

茹でるときは、まず鍋の中に70℃ほどのお湯を作ります。

70度のお湯を作る方法は…
・温度計で水温を測りながら強火で水を沸かしてゆき、70℃になったら火を弱める方法でも良いし、
・100度まで沸かした熱湯に、ある割合の水を加えて70℃にしても良い。
後者の熱湯に水を加える方法は「温度計を使用しないで、お湯を「希望の温度」に調節する方法」のページにて詳しく説明しています。

ちなみにこのあと、ポリ袋に入れた容器(肉)を鍋の中に入れることになりますが、それを鍋底の肌に直接触れさせないようにするため、この鍋の底にはステンレスの落し蓋を設置しています。なおそのステンレスの落し蓋は、耐熱皿を下に敷いて1cmほど浮かせてあります。

ポリ袋に入った容器

.容器の蓋を外し、ポリ袋に入れて茹でます。

●70℃のお湯が出来たら、冷蔵庫から容器(寝かせておいた肉)を取り出してその蓋を外し、用意しておいたポリ袋の底に置きます。
●そして、ポリ袋の口部分を持って吊り下げるようにし、そのまま湯に沈めます。
すると、画像のように水圧でピタッと真空パックのようになって、容器(肉)の周囲を均等に加熱出来るようになります。

ポリ袋が倒れないようにつまんでいる

.70℃~75℃で60分ほど茹でる。

お湯の温度を70℃~75℃の間で保つようにしながら60分間ほど茹でます。
この工程では、火を付けたり消したりしながら湯温を調整することになります。
※お湯の量・使用するコンロ・室温などいくつかの条件にもよるので絶対ではありませんが、一旦70℃にしたお湯を「超とろ火」で加熱した場合、条件さえ良ければそこそこ長い時間で70度を保つことは可能です。

なおここでは、一対の菜箸でポリ袋の口部分を挟んでその両脇を縛り、その状態で菜箸を鍋の淵にひっかけておきました。
ちなみに、このポリ袋及び容器は菜箸にぶら下げているわけではありません。ポリ袋の口部分が倒れないようにただつまんでいるだけです。

蓋をしたホーロー保存容器

.粗熱を取ります。

茹で上がったら、鍋から容器(肉)を取り出して粗熱が取れるまで放置しておきます。

ちなみに、このホーロー保存容器を型として使用すると便利なところは、冷蔵庫で保存する際に、そのまま蓋をするだけで保存が出来るということです。

容器から出したところ

中身を取り出すときは、ペーパーの両端をつまんで引き上げると簡単に容器から取り出せます。


スライスしたランチョンミート

スライスでも拍子木切りでも…。

出来上がったランチョンミートは、用途に応じて好みの厚さ・形状に切り分けてどうぞ…。

ちなみにこの画像は、パプリカパウダーを0.25gにして作ってみたバージョンです。
結果としては、スパムやチューリップなどの缶詰のランチョンミートほどは赤味を帯びなかった…。

なのでこのあと、パプリカパウダーを0.5gに増やしたバージョンも作ってみたところ、より缶詰に近い感じにはなりました。(ただし焼く前です。焼いてしまったら赤味は多少消えてしまいます。)

まあ、せっかくの無添加なので無理に赤味を付ける必要もありませんが…。
この、色に関してはとにかくお好みで…。

フライパンで焼いている

ともあれ、スライスや拍子木切りにしてフライパンで焼くとパンにもご飯にもピッタリ…。
焼いてそのまま食べても良いし、マスタードやケチャップなどを付けて食べても良い。また、炒め物の具材にするというのも定番ですね…。


以上、ホーロー容器で「自家製ランチョンミート」を手作りするレシピでした。

なお今回はひき肉を買ってきて手で練りましたが、もしフードプロセッサーがあったら、ひき肉ではなくブロック肉を買ってきて上記の工程1~3をその中で行ってもいいかも…。
その方法は、小さくカットしたブロック肉とその他の材料(調味料・香辛料・片栗粉)、そしてキンキンの冷水(もしくはかき氷機で削ったふわふわ氷)、以上のすべてをフードプロセッサーの中に入れてそのまま練ってしまう…。

また今回は上記のように容器をポリ袋に入れて70~75℃の温度で茹でましたが、温度管理が面倒な場合は、ポリ袋には入れないで、代わりにラップをして蒸し器で60分間ほど蒸しても良い。
その場合、蒸し器内が高温になりすぎないように蓋を少しずらしておく。なお蒸す場合は、お湯が無くならないように気をつけることは必要…。

缶詰のポークランチョンミートは手軽だし保存もきく。そして、長く多くの方に食べられているだけあってもちろん美味しい。
だけど発色剤や保存料などがちょっと心配という方もいる…。
しかし、そんな方でも手作りだったら大丈夫。
保存はきかないけど、自分で材料を決めれるので安心です。もうランチョンミートむすびもあきらめないでいい…。


ONLINE SHOP|オブノウ

ナチュラル キッチン雑貨

木と鉄の雑貨|of nou

インダストリアル家具

木と鉄の家具|of nou