ティータイムの際に紅茶やお湯などを温めておくのが本来の使い方ですが、デザインによっては一人チーズフォンデュやチョコレートフォンデュ、一人アヒージョなどを保温する際のミニコンロとしても使えるティーポットウォーマー…。
今回はそんなティーポットウオーマーを自作してみることにした。

紅茶の入ったポットをティーウォーマーにのせる

デザイン的には ガスコンロ上部にある五徳のように無骨で工業的な感じが好きなのでそれっぽく…。
とにかく、ティーポットウオーマーとしてしか使えないようなオシャレすぎるものよりも、鍋敷きのような実用的な道具として普段からガンガン使えるように鉄を使って頑丈に作ることにする。おそらく我が家ではティーポットウオーマーとしてよりも、鍋敷きとして使う方が多くなるかもしれないし…。
ただある程度の高さは必要なので、どうしてもティーポットウオーマーっぽくはなってしまうが…。

ちなみに、お茶の時間にティーポットウオーマーとして使うメリットとして、常に温かいお茶を楽しめるということもあるが、それだけではない。
特に紅茶の場合は、冷めていくと渋みが強くなったり白く濁っていったりするけど、保温をすることでそれを防ぐ効果もある。ただ長時間保温しすぎると味が損なわれることもあるのでそこは注意…。
また、キャンドルライトの間接照明的な効果もあって雰囲気のある空間を演出することもできますし、ゆらゆらと揺らいだ温かみのあるキャンドルの炎にはリラックス効果も期待できます。

なお、このティーポットウオーマーのジャンルは、どちらかと言えばキッチンアイテムやテーブルウェアになるとおもうが、そのほかにも色々と使える。
例えば、ちょうどいいサイズの皿を上に置いてアロマポットとして使う。また普通にキャンドルスタンドとして使用するなど…。


■「3本脚」と「4本脚」の2タイプを作ってみる。

見た目的には、3本脚のほうは多少スタイリッシュに見えて、4本脚のほうは五徳っぽい感じがする。
それぞれにはページ下部の3本脚と4本脚の比較でも記したようにメリットとデメリットはあるけど、どちらかというと4本脚のほうが当初の目的である鍋敷きとしても使用するということには合うかもしれない。

なお、市販のティーポットウォーマーはティーライトキャンドルを設置して使用するものが多いですが、ここで作るものもそれらと同じように「ティーライトキャンドル専用」で、中心部分にある凹みがキャンドルのカップをおくためのホルダー部となります。

両面に黒皮の付いた鉄板
■材料

【鉄板】もしくは【フラットバー(平鋼)】

今回は、両面に黒皮の付いた厚さ3mmの鉄板を幅60mmの帯状にカットしたものを用意。
このカットが面倒な場合は、最初から幅60mm・厚さ3mmのフラットバーがおすすめ。

■その他用意するもの

【プラスチックシート】
【ラベルシール(フリーサイズ)】
【カッター】
【罫書きペン】
【金切ノコギリ】
【センターポンチ】
【電動ドリル】もしくは【ボール盤】
【ペンチ(プライヤー)】
【ヤスリ】
【サンドペーパー】
【銀ロウ】
【フラックス】
【バーナー】

■作り方


脚のアウトラインを描いたラベルシール

.脚1つ分のアウトラインをラベルシールに描く。

脚1つ分のアウトライン(側面図)を、CADソフトやドローソフトを使って描き、フリーサイズのラベルシールにプリンターで印刷する。
もし脚を描くソフトなどがない場合は、細いペンで直接ラベルシールに製図する。

デザインする際のポイントとして脚の高さは大事。ポットを上にのせた時にその底部にキャンドルの炎の先がに直接当たらない高さにする。
今回は高さ60mmとし、それに合わせて材料の鉄板をあらかじめ60mmの帯状にカットしておいた。
なお、鉄板ではなくて幅の決まっているフラットバーを使用する場合は幅60mm以上のものを用意し、それに合わせた高さのデザインにするといい。

ラベルシールを貼ったプラスチックシート

.プラスチックシートにラベルシールを貼る。

脚1つ分のアウトラインを描いたラベルシールをプラスチックシートに貼る。

アウトラインでカットしたテンプレート

.アウトラインでカットしてテンプレートを作る。

アウトラインでカットされたものが、このあと複数個作る脚のテンプレート(型板)となります。

ケガキペンでなぞったアウトライン

.テンプレートを当てて、その周囲を罫書く(けがく)。

材料の鉄板にテンプレートを当て、罫書きペンでその周囲をなぞるようにして罫書きます(線を描く)。

脚の長さでカット

.脚の長さでカットする。

まずは脚の長さ(イラストでは左右)でカットする。

カットする道具は金切ノコギリでもディスクグラインダーでも高速切断機でもなんでもいい。
そして、カットした跡がガタガタなになっている場合はヤスリを使って直線に整える。

ホルダー部の幅で切り欠く

.ホルダー部の幅で切り欠くようにカット。

ティーライトキャンドルを設置するためのホルダー部分を作るため、イラストのようにホルダー部分の幅で切り欠くようにカットする。

今回は使用するティーライトキャンドルのカップの直径が38mmなので、その半分よりちょっと大きめの幅20mmでカット。
なお、ホルダー部分下部の高さは11mmにした。

センターポンチで跡を付けておく

.穴を開ける部分にセンターポンチで跡を付けておく。

今回、ノコギリなどでカットしにくい部分は、横に連続して並んだ穴をドリルで開け、そこでちぎってカットすることにしたので、その穴を開ける部分にセンターポンチで跡を付けておく。
穴のセンター同士の間隔は3.2~3.5mm程にした。

この時、あとで穴を開けた時に脚本体(製品部分)に穴が食い込まないように、アウトラインよりも外側に穴が開く位置にセンターポンチを打つ。

ドリルで穴を開ける

.ドリルで穴を開ける。

センターポンチで跡をつけた所に穴を開けます。
今回は径3㎜のドリルを使用。

ノコギリでカット

.ノコギリが入る部分はノコギリでカット。

ノコギリの刃が入る直線のところはノコギリでカットします。
なお、このあとヤスリで削って成形するので、脚本体のアウトラインよりも少し外側でカットする。

折り曲げてちぎり取る
切り取られた様子

10.折り曲げてちぎり取る。

画像のようにペンチやプライヤーなどを使い、ドリルで開けた穴と穴の間のつながっている箇所を折り曲げるようにして不要な部分をちぎり取ります。

アウトライン通りに成形

11.工程4で罫書いたアウトライン通りに削る。

ヤスリで削ってアウトライン通りに成形します。
直線部分と外側の曲線部分は平形ヤスリで、内側の曲線部分は丸形か半丸形ヤスリで削る。

最後にアウトライン部分のすべての角は軽く面取りし、さらに、ヤスリをかけた部分はサンドペーパーで磨いてヤスリの目を消しておきます。

黒皮を付けた脚

12.銀色の部分に黒皮を付ける。

カットした周囲の部分(アウトラインの側面)は鉄の地肌が剥き出しになって銀色のままなので、そこに黒皮を付けます。
その方法は、ハイカロリーのバーナーで真っ赤(オレンジ色)になるまで炙る…。
そうすると厚い黒皮(黒い酸化被膜)が発生します。

接合部分に角度を付けた脚

13.脚の接合部分に角度を付ける。

3本もしくは4本の脚を中心でくっ付けた時に、ピッタリと合わさるようにヤスリで削って任意の角度を付ける。
3本脚タイプの場合は120°
4本脚タイプの場合は90°

3本と4本タイプの接合部

このようにピッタリと合わせるのは、見た目の完成度を高くするためもありますが、もう一つは、ロウ付けで接合させる時に、液状に溶けたロウが毛細管現象によってスーっと隙間に入っていくようにするためです。

ロウ付けで接合する道具

14.ロウ付けで接合する。

3本もしくは4本の脚を、均等な間隔で放射状になるようにして中心でピッタリと合わせ、その状態で固定し接合部をロウ付けします。

なお、ロウ付けをする接合面は、必ず鉄の地金が出ている(黒皮の膜が無い)状態であること。
つまり上記工程13での、接合部に角度を付けるためにヤスリで削った状態のままであることです。工程13と工程12の順番が逆になるのはNGです。

ちなみに、溶接で接合させても良かったのですが、歪んだ場合の修正が面倒かなとも思ったのでここではロウ付けにした。特に4本脚で歪んだ場合、修正が面倒そうだし…。


■「3本脚」と「4本脚」の比較。

3本脚タイプのティーポットウォーマー

■3本脚の場合

機能的には、3本脚の場合だと多少雑に作ってもガタガタしにくいというメリットがある。
しかし鍋敷きとして使うには、上に置いたポットなどが中心からずれると落下しやすくなるというデメリットはある。

キャンドルを設置した4本脚タイプ

■4本脚の場合

4本脚の場合だと、脚の高さがすべて揃っていないと上に置いたポットがガタガタしてしまう。
しかし、脚を4本ともきちんと高さを揃え、さらに歪みもなく接合したら、鍋敷きとして使用する場合の安定感は3本脚よりも確実に高い。

一人チーズフォンデュや一人鍋の保温などに使用する場合もちょっと安心です。

※なお、ティーポットウォーマーはあくまでもキャンドルの小さな炎でお茶などを保温をするための器具です。加熱調理をすることは出来ません。
加熱調理は別のコンロで済ませてからティーポットウォーマーに移動させてください。
ここで加熱調理をしようとして、ピンク色や水色などの一人鍋用の固形燃料を熱源にしては絶対にいけません。固形燃料だと火力が強すぎて危険です。


以上のように、五徳のようなデザインの「ティーポットウォーマー」を自作してみました。

なお、使う際には色々と注意は必要です。
●基本的には紅茶などを保温しておくもので、お湯を沸騰させることは出来ません。
●キャンドルは、必ずアルミカップ入りのティーライトキャンドルを使用する。
●固形燃料は火力が強すぎるので使用不可です。
●上に置く物は必ず耐熱・耐火素材のものにする。
●空焚きはしないように。
●キャンドルに火をつけたまま移動はさせない。
●使用中や使い終わったあとは本体が熱くなっているので、持つ際には火を消して冷めてからにする。
●誰もいない場所では絶対にキャンドルには火を付けないこと。
●燃えやすいものの近くでは使用しない。
●上にポットを置く時は、ティーポットウォーマーのセンターとは必ず合わせること。
●底の形状が平面ではない、もしくは平面の面積が狭いというポットは、上に置いても安定しないので絶対に置かないこと。
●熱に弱い材質で出来たテーブルの場合、天板の表面が変色変形する可能性もあります。その場合は間に敷物を敷いて下さい。


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