あらためて見てみるとけっこうワイルドな状態になっていたスマホケース…。そこそこ長く使っているのでデザイン的な新鮮味もない…。
どうせなら 中身もケースも全部まとめて新しくしてしまおう…。
と言いたいところだけど、スマホ自体には今のところ全然不自由さはないし まだしばらくはメーカーのサポートもありそうな感じ…。なので中身のスマホはしばらく使おうかと思うが、せめて外側だけでも新しくしておきたい。ということで、革製の「手帳型スマホケース」を手作りしてそれに着せ替えることにした。
スマホケースを作る。とは言っても、実際に作るのはプラスチック製のスマホケースを覆っておく革製の手帳型カバーのほうですが…。

ともあれ、使用感満載の古いケースを新しくするだけで多少なりとも気持ちは上がると思う。
ちなみに、簡単なレザークラフトでストラップも一緒に作っておいた…。


■ベルトで留めるタイプの手帳型カバーを作る。

手帳型カバーを閉じた時、その状態を留めておく方法としては色々な選択肢があります。
一般的には、ホックで留める。磁石で留める。ギボシで留める。ベルト通しにベルトを差し込んで留めるなどが見受けられます。その他にもいくつかありますし、中には留め具を設けないというタイプもありますが、ここでは、ベルト通しにベルトを差し込んで留めるという方法を用います。
また、手帳カバーの下部にはストラップなどを設置するためのDカンを取り付けておきました。

ヌメ革とスマホケースとカシメ
■材料

【牛革(ヌメ革)】
【市販のスマホケース】
【片面カシメ】… 頭径7mm(真鍮製)
【Dカン】… 内幅12mm(真鍮製)
【縫い糸】… ビニモMBT5
【接着剤】… 白ボンド

【牛革(ヌメ革)】今回用意した厚さは4通り。その詳細は下記の「革パーツ」の項に記載。
【片面カシメ】今回用意した頭径7mmのカシメは合計3個で、足の長さは2タイプ。
9mmタイプが1個、と7.5mmタイプが2個です。

手帳カバーのパーツイラスト

■革パーツ


革パーツは、A・B・C・D・E・F・Gの7種。
A・G、は1.5mm厚
B・C・D、は1mm厚
E、は2mm厚
F、は3mm厚
を使用。

■作り方


カットしてある型紙

.型紙を作る。

PCで図面を描いてプリントアウトし、それをボール紙に貼り付けて、アウトラインでカットしました。

パーツを裁断したところ

.革を裁断。

型紙を革に当ててアウトラインを罫書き、その通りに裁断します。

パーツの端部分を漉く

.パーツCの端部分を漉く。

パーツA・C・Dの3枚が重なった時に、真ん中となるパーツCの隠れた部分の形が上下のパーツA・Dの表に出ないようにするため、パーツCの隠れるアウトライン部分を漉いて薄くしておきます。
その重なるイメージは、下記工程8のイラストと画像を参照。

内側になる部分をコバ処理しておく

.手帳カバーの内側となる部分をコバ処理しておく。

パーツB・C・Dのイラストにおける黒色部分のコバは、このあと組み立てると手帳カバーの内側となってしまうためコバ処理がしにくくなる部分です。なので、組み立てる前にこの部分のコバだけは前もって処理して仕上げておきます。

ベルト通しとなるパーツ

.ベルト通しを作る。

ベルト通しとなるパーツEを裁断し、ベルトが通りやすくなるよう凸状に加工して、最後にコバを処理して仕上げます。

凸状にする加工方法は…
●まず、画像左側のように革を裁断し、そのあと水に浸けて革の芯まで水を浸み込ませます。
●そして、画像右側のような凸状となるようにした型を適当に作り、そこで押さえたまま1日ほど乾燥させます。
乾燥すると、革の可塑性によって画像右側のようにそのままの形で固定されます。

なお今回は、中に通すベルトを3㎜という厚目のものにするので、それが差し込み易いようにとベルト通しを凸状に加工しましたが、この加工はしてもしなくてもどちらでもいい。

表紙にベルト通しを取り付け

.ベルト通しを取り付け。

●まずパーツAに型紙を合わせ、パーツE(ベルト通し)を取り付けるための「カシメ用の穴」を写します。そしてそこに穴あけポンチで穴を開けます。
●そのあと、ボンドが付きやすいように「カシメ用の穴」の周囲の銀面を少しだけ荒らしておく。
●次に、その荒らした部分に薄くボンドを塗り、お互いの穴を合わせるようにしてパーツAにパーツEを貼り付けます。
●ボンドが乾燥したら片面カシメで固定させます。
なお、ここで使用したカシメの足の長さは7.5mmです。

パーツを貼り付け圧着させる

.パーツAにパーツBを貼り付ける。

右側画像のように「パーツAのベルト通しを設けた反対側の裏面(床面)」と「パーツBの裏面(床面)」が合わさるようにしてボンドで貼り合わせます。
貼り合わせたあとは、しっかりと圧着させます。
この時、パーツAとBが合わさる面全体(イラストでは黄色い部分)に白ボンドが塗られています。いわゆるベタ貼りです。

ポケットを接着

.ポケットのパーツを接着。

上記でのパーツBを貼り付けた反対側に、ポケットのパーツC・Dを白ボンドで接着します。

パーツC・Dを接着させる順番は…
1、まず、パーツBを貼り付けた反対側の任意の端部分(イラストでの黄色い部分)に白ボンドを塗ります。
2、パーツCにおける突き出した形状の部分(イラストでの赤い部分)だけを接着させるようにしてパーツAに合わせます。
3、そしてその上から被せるようにしてパーツDを接着させます。なおパーツCもDも接着させる部分はイラストでの黄色い端部分だけです。
4、そのあと、ボンドが塗ってある部分はしっかりと圧着させます。

アウトラインを完成させる

.アウトラインを完成させる。

貼り合わせたあとボンドが乾燥したら、アウトラインを完成させ、コバに出来た段をサンドペーパーなどで削ってキレイにしておき、そのあと簡単なコバ処理をしておきます。
※コバを最終的に仕上げるのは、工程16の縫い終わったあと。

カメラレンズ用の窓を写す

10.カメラレンズ用の窓を写す。

スマホケースを取り付ける場所(パーツBの上)にそのスマホケースを置き、カメラレンズ用の窓を罫書いて写します。

カメラレンズ用の窓を開ける

11.カメラレンズ用の窓を開ける。

今回はカメラレンズ用の窓(長穴)を開けるために、まず左側画像のように穴あけポンチで穴を2つ開け、それらをつなぐために彫刻刀(平刀)で間の部分をカットしました。

長穴のコバ処理をして仕上げる

12.アウトラインを整えてコバを仕上げる。

上記で開けた長穴内側のアウトラインをリューターとサンドペーパーで整え、さらにそのあと、長穴内側はコバ処理をして仕上げます。

縫い穴の目印をつける

13.縫い穴の目印をつける。

縫い線の始点と終点の位置(イラストでは赤い点)に内側面のほうから丸ギリを刺します。その時、外側面(カバー表面)からもその位置が分かるようにそのまま貫通させておきます。
※今回の場合、縫い代は3mm(端から3mm)にしてあります。

ちなみに、イラストには6カ所の赤い点がありますが、これは、パーツB・C・Dのそれぞれの始点と終点です。
なお、パーツDの始点と終点は、縫い目の始点と終点ではなく、ここにパーツDとCの境目があるので、外側面(カバー表面)からはここに菱目打ちを刺して下さいという目印です。

ガイド線を引く

14.ガイド線を引きます。

ひっくり返して外側面(カバー表面)を上にし、前工程13で付けた目印から目印の間に手縫い用のガイド線(イラストでは赤い線)を引きます。
もちろんここでも、上記同様に端から3mmで線が引いてあります。

菱目打ちで縫い穴をあける

15.縫い穴をあける。

ガイド線に沿って縫い穴を開けます。
始点と終点だけは丸ギリで開け、ガイド線を引いた部分の縫い穴は菱目打ちで開けました。

周囲を手縫いする

16.周囲を手縫いする。

開けた穴に沿って周囲を手縫いします。

なお、このあとの工程でパーツを取り付けてしまったらコバ仕上げが出来ない部分も出てきます。
なので、縫い終えたらすぐに、この手帳型カバー(パーツを取り付ける前)のコバに関しては、最終的な磨きやその他の処理などをして仕上げておきます。

差し込みベルトを作る

17.差し込みベルトを製作。

パーツF(差し込みベルト)の型紙を革に当ててアウトラインを罫書き、さらに型紙に記載した縫い穴の部分には丸ギリを刺して革に印を付けます。

そして革を裁断し、縫い穴の部分は丸ギリで貫通させておきます。
そのあと、コバを処理して仕上げます。

Dカンアタッチメントを作る

18.Dカンアタッチメントを製作。

手帳カバーの表面にDカンを設置するためのDカンアタッチメントを作ります。

●まずパーツGの型紙でアウトラインと穴の位置を革に写し、その通りに裁断して穴も開けます。
●そのあと直線部分だけコバを仕上げます。
●そしてそのパーツGにDカンを通した状態で半分に折り曲げ、そのまま穴の位置を合わせるようにしてボンドで貼り合わせます。
●ボンドが固まったら、先の曲線部分のコバを処理して仕上げます。

パーツ取り付け用の穴を開ける

19.差し込みベルトとDカンアタッチメントの取り付け用の穴を開ける。

●まず、カバー表面(パーツA部分)に型紙を当て、差し込みベルトを縫い付けるための縫い穴と、Dカンアタッチメントを取り付けるためのカシメ用の穴を写します。
●そのあと型紙を外し、それぞれの穴に適応した道具使って穴を貫通させます。

ボンドを塗ってパーツを貼り付け

20.接着面を荒らし、ボンドを塗ってパーツを貼り付ける。

「差し込みベルト」と「Dカンアタッチメント」は、白ボンドを使ってカバー表面(パーツA部分)に仮付けしておきます。

●それぞれのパーツは白ボンドで貼り付けますが、その前に、接着する部分の銀面(表面)はカッターの先やヤスリなどで荒らして(足付して)おきます。
●そのあと、それぞれのパーツの接着面にボンドを薄く塗り、取り付け用の穴同士を合わせるようにして貼り付けます。
なおこの時、位置決めをする為に、差し込みベルト用の縫い穴には、左画像のように接着面の反対側から革用の縫い針(今回は竹串)などを刺してその先だけを出しておきます。
また、Dカンアタッチメントのところは、右画像のようにカシメ用の穴にその穴と同じサイズの棒(今回はドリル)を刺して位置決めをします。

パーツを固定させる

21.差し込みベルトとDカンアタッチメントを固定させる。

ボンドが乾燥したら、まず位置決め用の針や棒などは取り外します。
●そのあと、差し込みベルトは縫い付けて固定。
●そして、Dカンアタッチメントは片面カシメで留めて固定しました。
なお、ここでのカシメの足の長さは9mmです。

折り曲がる部分の革をほぐす

22.手帳型カバーの折り曲がる部分をほぐしておく。

画像のように手帳型カバーの左右の端同士がくっ付くようになるまで、折り曲がる部分(手帳型カバーのセンター辺り)の革をほぐしておきます。
これは、完成した時に、手帳型カバーを形良くパタッと折りたためるようにするためです。
スマホケースを内側に貼り付けてしまうと、この作業はほぼほぼ出来なくなってしまうので、スマホケースを貼り付ける前には行っておきます。

以上で、手帳型カバーを作るレザークラフト部分の主な作業は終了です。

手帳型カバーと市販のスマホケース

23.手帳型カバーに市販のスマホケースを貼り付ける。

手帳型カバーが仕上がったら、その内側に「ハードタイプ」もしくは「ソフトタイプ」のプラスチック製スマホケースを貼り付けます。

ちなみに「ハードタイプ(硬質のプラスチック製)」の場合は接着性の良い材質のものが多いですし、それと相性の良い接着剤は比較的簡単に安価で入手することが出来ます。
「ソフトタイプ」の場合は接着性の良くない素材の場合が多いので、相性の良い接着剤はあまり多くありません。たとえあったとしてもちょっとお高めのものになる場合があります。

いずれにしても、耐衝撃性のあるタイプの接着剤を選ぶことは大事。
固まるとパリパリ割れるタイプの接着剤は衝撃に弱いものが多くなるため、自分の場合はなるべく避けるようにしています。

手帳型カバーの内側に貼り付けたケース

ところで、今回作った革製手帳型カバーの内側に貼り付けたスマホケースですが、どちらかというと接着性のよくない「ソフトタイプ」のものを使用しています。
TPU(熱可塑性ポリウレタンエラストマー)というゴムのようなしなやかさを有するプラスチックで作られたのものです。

なので本来ならば、TPU専用(皮革も接着可能)の接着剤を使用するというのがいいと思うのですが、あえて今回は、皮革との相性は良いけどTPUとは比較的相性の良くない接着剤を使用しました。
理由は、その接着剤が比較的簡単に安価で入手出来るからです。
しかし簡単に剥がれては意味がありません。
なので、剥がれにくくなるようにさらにひと手間加えた方法で貼り付けてみました。
その方法は、「接着性の悪い「ソフトタイプ」のスマホケースを革に貼り付け」のページにて説明…。


■次に、付属のアクセサリーであるストラップを作ります。

スマホケースの次は、そのケース下部に設けたDカンに取り付けるためのストラップを作ります…。スマホを使用する際にその輪っかの中に指を引っ掛けておけばちょっと安心…。
ここで使用する金具は、メッキでは出せない雰囲気のある無垢の真鍮製ナスカンです。

ストラップの材料
■材料

【牛革(ヌメ革)】
【ナスカン】… 真鍮製
【縫い糸】… ビニモMBT5
【接着剤】… 白ボンド

■作り方


革ベルトに開ける縫い穴の位置

.革ベルトの3箇所に縫い穴をあけておく。

イラストのように、革ベルトには3箇所(a・b・c)の位置に縫い穴をあけておきます。
完成すると、a・b間は「ストラップのメインとなる輪っか部分」で、b・c間は「ナスカンを設置するための小さい輪っか部分」となります。
なお、その3箇所の穴の数とそれぞれのピッチはすべて同じにしておきます。

※今回は糸で縫い合わせることにしますが、ここは両面カシメで留めてもいい。
両面カシメの場合は、縫い穴の代わりにカシメの足(軸)を通すための穴を開けておく。

縫い穴あたりを接着

.まずは、aとbの縫い穴部分を接着する。

a・b間のベルト部分が輪っか状となるようにaとbの縫い穴同士を合わせ、その状態で接着します。

この時、ボンドを塗る部分の表面はカッターの先などで荒らしておきます。
また、お互いの縫い穴の位置がピタリと合うように、両方の縫い穴には革用の縫い針を貫通させておきました。

ナスカンを通してから接着

.b・c間にナスカンを通してから、bとcの縫い穴部分を接着する。

上記のボンドが固まったら、次は、b・c間にナスカンを通し、そのあと、上記工程2と同様にしてbとcの縫い穴部分を接着します。

糸で縫い合わせて完全に留める

.糸で縫い合わせて留める。

ボンドが固まったら、縫い穴に刺してあった位置決め用の縫い針を外します。そしてその縫い穴に再度丸ギリを通して穴を少し広げます。
そのあと糸で縫い合わせたら完成です。

Dカンに取り付けたストラップ

完成したストラップを、上記で手作りした手帳型スマホケースの下部に設けられているDカン部分に取り付けてみました。


二重カンを設けたストラップ

ストラップを使用してみた感想…

今回作ったストラップ(イラスト上側)は、革のベルトとナスカンを合わせただけの単純なデザインなので、曲がる部分が少なく、使ってみると、革ベルト部分の可動域がちょっと狭いような気がする。
とりあえずしばらくはこのまま使うことにするが、時間を見つけてまた新たに作り直そうかと思う。

その際には、ベルト部分の可動域が広がるように、ナスカンと革ベルト間には、イラスト下側のように二重カンなどを設けておくことにする。
革ベルトの端に二重カンがあると、もしストラップとして使わくなったらキーホルダーとしても使えるだろうし…。


以上、「手帳型スマホケース」と「ストラップ」をレザークラフトで手作りしてみました。

ちなみに、ケースにスマホを入れておくと熱がこもりやすくなるということがあります。手帳型のほうだとなおさら。
しかし、何年も前からこれらのケースはずっと存在しているし、使っている方も大勢いるのでそこはあまり気にならない。むしろ、スマホが傷だらけになってしまうほうがストレスになる…。
スマホをケースに入れるか入れないかは人それぞれ分かれますが、とりあえず自分は入れておく派、しかも手帳型のほう…。手帳型だと全方位でガードしてくれるのでなんとなく安心感がある…。
しかもそれが革製となると、雑貨屋さんなどにもあるような“何かおしゃれな革小物”みたいな感じにもなるのでそういうところも気に入っている…。


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