ドライブで立ち寄った漁港近くの産直で袋入りの乾燥天草(テングサ)を見つけた…。
説明書を見るとところてんの作り方が書いてある。
とりあえず楽しそうだったので一袋購入。
入っていた天草は120g。説明書の通りに作ったら7~8リットル分のところてんが出来ることになる。
さらに、たいした量にはならないけど1度使った天草はもう1度使おうと思えば使えるので、それも合わせるともう少し多めに作れてしまう。
(※ちなみに、2度目に作る場合は、1度目の時よりも水の割合を極端に減らすこと。なお、場合によっては固まらないかもしれないし、固まったとしてもトロトロなゼリーくらい柔らいことも…)
とにかく、何十回分ものところてんが作れるので、ついでに「天突き器」も作ることにした。
まあ天突き器がなければ、包丁でカットして麺状にしてもいいけど、あるとすごく楽なので…。
またこれは寒天だから、ゼリーや水羊羹なども作れるし料理にも使えるので全部をところてんとして頂くこともないとは思うが、道具として持っていればいずれまた使うかもしれないし…。
■天草から「ところてん」を作る。
自宅で「ところてん」を作ると、好みの柔らかさに調整出来るのもいいところ。
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【天草】… 15g
【水】… 1000㏄
【酢】… 5g
コリコリとした食感にしたい場合は、天草をもっと増やすかもしくは水を減らす。とにかく水の割合を少なめにしてところてんを硬くする。逆にもっと柔らかくしたい場合は、水の割合を多くする。
ところてん以外では…
このあと何かの液体(例えばコーヒーやジュースなど)を加えてゼリーにする場合、その加えた液体のせいで柔らか過ぎになってしまわないように、水の割合を少なめにして硬く作っておくようにする。
また、サイコロ状にカットしてあんみつなどに使う場合も、硬めとなるように水の割合を減らしておくといい。
なお、水の割合を少なくして硬過ぎになってしまった場合は、その固まりを鍋に戻して任意の量の水などを加え、再度火にかけて溶かし直せば柔らかくすることが出来る…。
■作り方
1.天草の汚れを落とす。
天草を水洗いして、汚れを落とします。
2.鍋に水と天草と酢を入れる。
水を入れた鍋に、洗った天草と酢を入れます。
ちなみにここで酢を入れますが、完成した時には酢の風味はあまり気にならなくなっています。
なので、黒蜜などと和えてデザートとして頂く場合でもさほど問題にはなりません。
3.まず、沸騰させます。
まずは、強火にかけて一旦沸騰させます。
4.弱火で30~40分間ほど煮る。
沸騰したら火を弱め、時々混ぜながらクツクツと30~40分間ほど煮ていきます。
今回はクツクツと40分間煮ました。
その結果、最初に1000㏄だった水は、下記の工程で濾した時には650㏄ほどになっていました。
なお、煮る時の火力や煮る時間によっても水分の蒸発量は違ってくるので、最終的な仕上がりの量はとうぜん変わるはずです。
5.ところてん液を濾します。
熱々のところてん液をさらしで濾します。
なおここは、細かい網目の濾し器を使っても大丈夫です。
ちなみに、このあともう一度天草を煮出してみたのですが、その時は「キッチンペーパーでもところてん液は濾せるのか」を試してみました。
結果的には、液がぜんぜん下に落ちてくれない…。
とんでもない時間がかかりそうだったので、途中であきらめて細かい網目の濾し器で濾し直しました。
ただし、液が濾せるかどうかはキッチンペーパーの種類にもよるとは思う…。
液は熱々なので火傷には注意。
さらしを使った場合、最後に絞り出す時は画像のように菜箸などでしごくか、もしくは、天草が包まれたさらしを網の上に置き、それをヘラなどで押して液を絞り出す。
このように道具を使い、絶対に素手では触らないようにする。
6.型に流し込んで、冷蔵庫で固める。
型に流し込んだあと、そのまま放置して粗熱をとり、ある程度冷めたら冷蔵庫に入れて固めます。
なお、型に流し込んだあと、液の上面には小さな泡が浮かんでいたので、楊枝の先でその泡を刺して消しておきました。
7.好みの形にカット。
固まったら冷蔵庫から出して、食べやすい好みの形状にカットします。
今回は天突き器を使って麺状にカットします。
このほかには、包丁でカットして平麺のようにするパターンもよくあるし、デザートにする場合は小さめなキューブ状にするパターンもよくある。
好みの味付けで…。
そのまま二杯酢や三杯酢をかけ、そこにお好みの薬味をのせて頂くのも美味しいし、めんつゆやドレッシングをかけるのもいい。
さらには、野菜とハムもしくは茹でたささみなどとあえてサラダにするのもあり。
その場合のドレッシングにしても、和風でも中華風でもイタリアンでも合うしマヨネーズでも合う。
また、そのまま黒蜜をかけてデザートとしてもいいし、あんこやきなこをのせてもいい。
ところてん自体には味がないわけではないし、磯の香りも確かにある。
ただそれらは主張し過ぎないので何にでも相性が良く、おかずにもデザートにもなる。
なお今回は三杯酢をかけ、海苔と白胡麻をトッピングして頂きます。
ちなみに、冷奴のような大きめの角形にカットし、刻み海苔と生姜をのせて醤油をかける、という食べ方をしてみたけど、麺状にカットするのとは食感が異なってまあまあ美味しかった。これは手作りならではの食べ方です。
◇
■「天突き器」も手作りする。
包丁で麺状やキューブ状にカットするのもいいけど、ところてんと言えば天突きだろうと思いこの道具を作ることにした。とにかく雰囲気も大事なので…。それに購入した天草の量だとかなりの回数カットしなけれいけないので大変だし…。
※なお、上記で使用している天突き器は、今回手作りした自家製のものです。
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【木の板】
【木の丸棒】
【木のブロック】
【テグス】
【木の板】は本体用で、サイズはイラストの通り。
【木の丸棒】径10mm×長さ380mm(突き棒用)
【木のブロック】32×42×18mm(突き棒用)
【テグス】は、ところてんのカット用です。ここでは太さ0.3mmのタイプを使用。
ちなみに最初は細いステンレスの針金を使おうと試してみたけど、すぐに緩んでしまって張るのが難しかった。なのであきらめて今回はテグスを使用することにした。テグスのほうがピンピンに張った状態にしやすかったので…。
なお 上手く巻けるのであれば、より細い針金のほうが切れ味があっていいとは思う。ただ、本体に使用する木が硬くないと緩みやすいかもしれない。
■作り方
1.材料を寸法通りにカット。
今回決めたサイズ(上記イラスト)通りに材料をカットします。
2.テグスを設置するための切込みを入れる。
糸鋸を使ってテグスを網状に設置するための切込みを入れます。
今回は突いたところてんが5㎜角サイズの麺となるように、5㎜間隔で切込みを入れました。
なおこの切込みの幅を糸のように狭くするために、すごく細い鋸刃である金工用の糸鋸を使いました。
3.ビスで留めて組立る。
まず、横板のビスを刺す場所にはあらかじめ下穴を開けておき、その上部にはザグリ加工(ビスの頭部が飛び出さないための穴加工のこと)をしておきます。
そのあと、縦板にその横板を合わせてビスで留めていきます。
天突き器は食品用の道具なので、組立には接着剤を使用せずこのようにビスだけで留めました。
4.周囲に溝を入れる。
「工程2で入れた切込みの奥」を繋ぐ線上に、鋸で溝を掘ります。
この溝は4面共に掘って、画像のように周囲をグルリと1周する溝にします。
なおこの部分はテグスを引っ掛ける所となります。
ここは、弓形のハンドソー(金鋸)で加工しました。
5.テグスを網状に張る。
テグスを順々に切込みに設置し、周囲の溝のところに引っ掛けていきながら網状に張ります。
この時、テグスがピンピンとなるようにある程度のテンション(張力)は保っておく。
なお、テグスの両端の留め方ですが…
●まずテグスのスタートの端は熱で溶かして玉状にし、それを切込みの外側に引っ掛ける。
そして、画像の様に網目状にテグスを張っていき、
●終わりの端は、出口側にある4カ所のビスのいずれかのビス1つを一旦緩めて1mmほど頭を出し、そこにテグスの端をグルグルと2~3周巻き付け、出たビスを再び締め直してしっかりと固定させる。
最後に、そのビスの頭の脇からはみ出したテグスの端はカットしておく。
以上で本体部分は完成。以下は突き棒の組立です。
◇
6.突き棒の先となるブロックに穴を開ける。
今回、ハンドル部分となる丸棒は10mm径のものを使用するので、突き棒の先となる木のブロックには10mm径の穴を開けます。
7.穴に丸棒を差し込む。
ブロックの穴に丸棒を無理やり差し込んで固定させます。
基本的に同じ寸法同士の凸と凹の場合は嵌らないのですが、これらは木なので無理やり押し込むと入ります。
なお今回は、木槌で叩いて押し込みました。
どうしても入らない場合は、棒の先の周囲をサンドペーパーなどで少し削って細くする。
逆に、ガバガバですぐに抜けてしまう場合は、ブロックの先からビスを刺して丸棒を留める。
とにかくここでも接着剤は使用しません。
以上のように、天草を使って「ところてん」を手作りし、それを麺状にするための「天突き器」も自家製で用意しました。
天突き器は、買ってまで欲しいということではなかったので今回は手作りしましたが、あったらあったでちょっとうれしい。
これで、ところてんは突き放題です。
そういえば、この天草を買った港の近くに、出来上がったところてんを販売しているおじいちゃんのお店があった…。そのところてんを以前に食べたことがあるけど、すごく美味しかったなー。
でも、今回作ったところてんもそれくらい美味しかったぞ…。